第44回深夜の真剣140字60分一本勝負

RAY/※※※ @growler_ray

どこにいようと、あなたが編んでくれたマフラーを手放したことは無い。巻いて座っても、抱いて眠っても、いつでもあなたを近くに感じることが出来るから そうしていつも通り笑顔を浮かべてマフラーを巻いていたけど、不意にデコピンを貰ってしまった 「…少しぐらい、アタシで温まってくれよっ！」

水城弥生 @mizukiyayoi8484

クリスマスになり、イルミネーションを目当てに人々が行き交う。「毎年ここのは綺麗だよね」屋台で買ったお汁粉から昇る湯気と自身の息で空気を白く染めた彼女が言う。「今年も君と見れてよかった」「私もだよ」一口飲んだ後マフラーで口元を隠した彼女の笑顔はでも、イルミネーションより眩しかった。

夢夜 @ruya_reve

「おはよう！　マフラー、色違いだね！」 君の明るい声が響く。 振り返ると、僕のそれと似たようなデザインのマフラーをした君が明るく笑っていた。 「行こう？」 そう言う君の指先が赤くなっていることに気づく。 僕はその手を掴んで自分の手ごとポケットに突っ込んだ。 そんな初デートの日。

花滝ちかる @chikaru_toka

私ばかだわ。不器用な癖に手編みのマフラーをプレゼントなんて。 こんなの、格好悪くて使えっこない。 「どうして？使うよ」 今すぐ、と彼は笑って、不揃いな編み目のマフラーを首に巻いた。 「冷やかされそうだけど平気だよ。あったかいからね」 私も笑った。 一番あったかいのは貴方よ。 #140字小説

夢夜 @ruya_reve

両手足を思いっきり伸ばして温泉の恩恵を全身で感じる。 目を閉じてハミングしているとお湯が動いた気配がした。 「え……？」 湯気の向こうから自分を呼ぶ彼の声が聞こえた。 両手足を折り畳もうとするより一瞬早く腕を掴まれる。 「さて、どういうことかな？」 ──女だと気づかれてしまった……

夢夜 @ruya_reve

膝の上でぐっすり眠る愛猫を撫でながら一つ息を吐いた。 裕福な暮らしではないが多くを望まなければ一人と一匹で生きていける。幸いこの子はわがままじゃないから、それも難しいことではない。 それでも。 かつて愛した人の名前を唇に乗せると、名前を呼ばれたと勘違いしたらしい猫が目を覚ました。

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

寒がりの君が巻いたまだ早いマフラーをぎりぎりと締め上げて君の顔が湯気でも立ちそうなくらい真っ赤になるのを見ようと思うの。開かれた瞳孔はきっと猫みたい、取り出したら猫目石として飾っておけるかな。やがて事切れた君は真っ暗な肌をして、ああもう終わっちゃったなって、僕はほっとするんだよ。

にゃん @nyan_kotonoha

猫を飼ったら、肩に乗せて首にクルッと巻き付いてもらうアレをやりたい。これからの季節にぴったりだ。でも、その為には今いるペット禁止のアパートを引っ越さないといけない。ああ、少し我慢すれば仕事辞めずに済んだのにな。猫はおろか引っ越しもできない。今年の冬は持ってるマフラーで我慢するか。 pic.twitter.com/G6wnwsPefx

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松岡 9JIRA @aoarup

○小屋（夜） 　　長い襟巻きを着けた忍者が、姫を抱きかかえ入る。 　　傷だらけの忍者。 姫「そなたのおかげで助かった」 　　寒そうに身体を丸める姫。 　　忍者、襟巻きを外し、姫の首に巻く。 忍者「では」 　　小屋を飛び出す忍者。 　　襟巻きを見つめる姫。 N「これが後のマフラーである」

日引 @hibiki_ost

お日さまの光をたっぷり浴びたふかふかの布団にくるまり、猫のように丸まって眠る。台所から呼ぶ君の声でゆるゆると目を覚まして、ふたりそろって食事をとる。野菜の沢山入った温かなスープは、君の心遣いだ。いつまでもこんな日々が続くとは思わないけど、今は少しだけ、甘えさせて。

繭美 @140mayumi

お題/マフラー・猫・湯気 #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字小説 #140字ss pic.twitter.com/P02DGtaQwe

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三塚日月 @3_hiduki

🖋️お題/①マフラー ②猫 ③湯気 テキスト版→privatter.net/p/3909696 #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字小説 #140字ss pic.twitter.com/HjvNVSDd77

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宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

寒いからとベッドから出ない僕の為に、君は二人分の湯気の立った珈琲を淹れて持ってきてくれた。 でも僕はそれをベッドサイドに置いてもらい、腰を引き寄せ、温いベッドへ引き込む。寂しがり屋の猫もマフラーの様に、僕らの肌にすがってくる。 気だるい日曜日の朝だ。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

TAB @Tapumaru

皆が笑う長すぎるマフラー。 貴方の誕生日にプレゼントするため、練習用に編んでいたものだけれども、風邪を引いてしまい、本番が間に合わなくなって苦肉の策として渡したもの。 皆が長すぎると笑う中、貴方は言う。 「これなら二人一緒に巻くには丁度いいね」っと。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

∫ MatoP @_Mato_P_

最近少しずつ寒くなっている。 息が湯気のように空へ登っていく。 野良猫も身震いしている。 学校終わり、あたりも暗くなった校門に君がいる。 君は上着にマフラーに手袋と重装備でいる。 「うぅ…寒い」 そんな君と今日も帰る。 ちょっと寄り道しながら。 君と過ごせるのはこの時間だけ。

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

こ、これが彼のマフラー… 席を立った彼を待つ間、机の上に無造作に置かれたマフラーをつい手に取った。 付き合って半年、私はまだドキドキなんだけど彼はどうなのか… 「なんだ、寒いのか？」 ギャ！ ぼーっと考えてたらマフラー巻いてるし！ 恥ずかし…頭から湯気が… 「いいよ使いな」 ドキッ…

青い糸 ❁ @aoi_ito_

マフラーを巻き、寒いと独り言を吐いて公園の椅子で肉まんを頬張る 「みゃー」とどこからか呑気な声で私に寄り添う黒い影 「君も寒いのかい？」 満天の星空の下、1人だったはずの公園に、➕1匹。 身震いしながら、空の星を数える 1人だった公園も、小さい命が傍にいるだけで暖かい。 今日は夜の快晴だ

色糸 @IRO_Iroito_

風呂上がり、窓を開けると、湯気と入れ替わり猫の声が流れてきた。 外に出ると、寒い風に蹲る猫がいた。マフラーをやった。 次の日も、まだいた。 これから寒くなる季節だ。暫く家で飼う事にした。 そして半年。 寒さも和らいできたろうに。今は風呂の扉の外、温かい湯気に包まれて僕を待っている。

青い糸 ❁ @aoi_ito_

「お疲れ様、帰ろうか」 仕事終わり、早上がりだった君が迎えに来た。さりげなく手を繋ぐ 「つめたっ！…寒かったでしょ。これ使いなよ」 マフラーを外し私の首に巻く君 「それじゃあ貴方が寒くなってしまうでしょう？」 2人で1つの深い赤のマフラーを分け合ったら心も体も温かくなった。幸せを添えて