乗っ取り見習いとして捕まった月下香はその本丸の山鳥毛に助けられて悪い審神者にお仕置きしちゃうぞ☆完結
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水無月唯花 @minaduki_yuika

クラッキングは当然犯罪だし、本丸のシステムに第三者が介入すれば、審神者と共に配属されるこんのすけがいち早く反応する。 敵に本丸のシステムを把握されたら事だから。 どんどん状況証拠だけたまっていく。なんなら、こんのすけの所在不明を放置していることで政府に引き渡すこともできる。

2020-04-26 20:27:05
水無月唯花 @minaduki_yuika

『あのぅ、審神者様ぁ』 もう、こんのすけの不在放置で引き渡すかぁと考えていると、本丸のクラウドをスキャンしていたこんのすけがおずおずと話しかけてくる。 『どうしたの? 何か見つかった?』 『暗号化されたパス付きのデータがありますね。時間がかかりますが、閲覧できるようにしますか?』

2020-04-26 20:50:12
水無月唯花 @minaduki_yuika

『決め手になるかも。よろしくお願いします』 こんのすけのアバターがぶんぶんと尻尾を振る。 『任せて下さい!審神者様!』 ぴょんと跳ねたこんのすけのアバターがくるりと一回転して煙のエフェクトを残して消える。 暗号化とパスワードの解除にリソースを全て注いでくれる。

2020-04-26 20:58:52
水無月唯花 @minaduki_yuika

こんのすけを待つ間、どうするか。ふらふら廊下を歩き、通りかかった部屋の気配を探る。 と、曲がり角で向こうから来た相手とぶつかってしまう。 体格差で弾き飛ばされてしまい、廊下に倒れ込む。 衝撃に備えて体を縮こまらせるが、いつまでたっても、痛みが来ない。 恐る恐る目を開けようとすれば、

2020-04-26 21:13:57
水無月唯花 @minaduki_yuika

顔面に衝撃が来た。 筋肉の胸板は凶器。てか、壁。痛い。 「だ、大丈夫か? 戻ってこないから、どこかで倒れて居るのかと思ったぞ」 顔を覆って悶絶していると、ひょいと抱き上げられる。 お姫様抱っこ……ではなく、赤ん坊抱っこだ、これ。 二の腕で頭を支え、もう一方の腕で尻を支える。

2020-04-26 22:22:30
水無月唯花 @minaduki_yuika

「よしよし、良い子だ」 そのまま、山鳥毛の部屋に運ばれ布団に優しく下ろされ親鳥が雛を抱くように抱きしめられる。 「私が君を守る。だから、安心して寝なさい」 子守歌のように紡がれる言葉に瞼が落ちてくる。 まだ、調べたいことが、あったのだけど……。

2020-04-26 23:53:42
水無月唯花 @minaduki_yuika

『審神者様~!!』 一瞬で意識が覚醒する。 『こんのすけ、暗号化とパスワードは解析できた?』 『勿論です! 審神者様!』 えっへんとアバターが小さな胸を張る。 『映像データでしたよ。ご覧になりますか?』 『倍速で構わないので、流して』 『かしこまりました』 映像は本丸内の一室の記録。

2020-05-04 23:36:13
水無月唯花 @minaduki_yuika

なんというか、口に出すのも憚られる仕打ちが映像に残されている。 大きいも、小さいも問わず。 流し見た感じ、大きいのが多い……? 仲間、兄弟を庇ってるからだろうか……? 胸くそ悪さに思わずため息をこぼしつつ、終わりまで確認したらこれを証拠にここの審神者を押さえられる。

2020-05-05 23:58:26
水無月唯花 @minaduki_yuika

ため息しかでないが、頑張ろうと映像に意識をもどす。 日付がどんどん新しくなっていく。 ……当然だが、この本丸で見知った相手の映像もある。 私がこの本丸に来てからの映像もだ。 『こんのすけ』 『はいぃ~、審神者様……』 ぴるぴる体を震わすこんのすけにそんなに怯えることはないのに、と

2020-05-06 00:08:57
水無月唯花 @minaduki_yuika

にっこり笑顔を向ければ、更に震えが酷くなる。 失礼な。 『このデータを監査部へ、あとこんのすけの放棄の可能も一緒に伝えて。なるべくゆっくり』 『か、かしこまりました』 データを咥えて瞬く間に通信を切ったこんのすけを見送り、私も起きる準備を始める。 さあ、ショータイムだ。

2020-05-06 00:12:39
水無月唯花 @minaduki_yuika

……とりあえず、打撃73の太刀の腕から抜け出す方法を考えないといけない。

2020-05-06 00:15:58
水無月唯花 @minaduki_yuika

政府内部のとある会議室。 そこには様々な老若男女と対をなすかのように様々な刀剣男士達が集まっていた。 彼らは監査部直属の部隊である。 その中で目を引くのが、審神者のいない刀剣男士だけの一角。 山姥切国広、鯰尾藤四郎、亀甲貞宗、愛染国俊、五虎退、不動行光。 彼らは全員極姿であった。

2020-05-06 00:56:54
水無月唯花 @minaduki_yuika

審神者名、月下香。 今回とある本丸に見習いとして潜入した彼女の刀剣男士達。 「主、暴れてるかな?」 「暴れてる可能性を考えて、亀甲貞宗だ。」 「ご主人様のお仕置き!!」 「亀甲貞宗は落ち着いて!」 「あるじさま、ご無事でしょうか……」 「俺が一番に駆けつけるから、大丈夫だって!」

2020-05-07 00:01:52
水無月唯花 @minaduki_yuika

予定通りに帰還しない主の為に、この場に来た一部隊だが、慌てる様子もなく、わちゃわちゃっとしている。 「諸君、もうすぐ本丸IDXXXXXXXXへの突入時間だ。準備は宜しいだろうか?」 グレーのスーツにシルバーの眼鏡をかけたオールバックの男性がファイルを片手に声をかける。

2020-05-07 00:11:47
水無月唯花 @minaduki_yuika

監査部所属の職員であり、月下香本丸の担当官の彼が会議での指揮を取っている。 現場では、必然的に審神者か刀剣男士の判断になるためだ。 準備ができていることを確認し、設置されているゲートを繋げるために、職員IDとパスワードを入力する。 低く唸るような音を立ててゲートが起動する。

2020-05-07 00:26:42
水無月唯花 @minaduki_yuika

真っ先にゲートをくぐり抜けようとする山姥切国広に男が耳元で囁く。 「できるなら、生存。五体満足でこの本丸の審神者を連れてきて欲しい。」 その言葉に、鼻を鳴らし 「そう言うことは主に先に言ってくれ。」 橙色の鉢巻きを翻し、ゲートへ消えた隊長を追って次々と刀剣男士がゲートを潜っていく。

2020-05-07 00:39:36
水無月唯花 @minaduki_yuika

夜に設定されているその本丸は一見、普通であった。 しかし、どこかピリピリと肌を刺す感覚はまるで戦場の様で。 やってきた刀剣男士達は何時でも本体を抜けるよう、警戒している。 と、奥から怒号と悲鳴。 「! ご主人様の声だ!」 良く通る声は確かに主のもので。 「やっぱり暴れてた!」

2020-05-08 06:50:47
水無月唯花 @minaduki_yuika

鯰尾が楽しそうに声の方向を指さす。 ため息を吐き、指先を目指して駆け出す。 「あいつが見つかったら亀甲には指示をだす。備えておけ。」 慣れたものですぐに短刀は先行し、屋根などに散って偵察する。 斜め後ろを走る亀甲に告げれば、恍惚とした表情で「もちろんだよ!」

2020-05-17 20:28:52
水無月唯花 @minaduki_yuika

と元気な返事が帰ってくる。 ……問題は無いだろうと意識をすかさず前方へ向けた。

2020-05-17 20:28:52
水無月唯花 @minaduki_yuika

その部屋は日が落ちたばかりなのに暗かった。 水色の髪が床に広がる。普段は優しげな微笑みを浮かべる顔は苦痛を耐えるようにきつく歯を食いしばる。 男はその顔に舌なめずりする。 弟達の手入れの対価を払うため、兄である刀は今ここにいる。 男は嗜虐心を心底満たされた恍惚の表情で

2020-05-17 21:02:38
水無月唯花 @minaduki_yuika

青年に覆い被さろうとした瞬間、結界ごと障子が吹き飛んだ。 「お邪魔します~!」 鈴を転がすような声が部屋を一瞥する。 ずかずかと部屋に上がり込みながら、起きあがろうとする青年の頭からシーツを被せる。 「見習い!? 貴様、どうやって抜け出した!?」 問いかけを鼻で笑い、

2020-05-17 21:02:38
水無月唯花 @minaduki_yuika

「普通に鍵をかけ忘れた出入り口からですぅ」 はくはくと酸欠の金魚みたいに口を開閉させてる男の側へ素早く近寄る。 言霊を使われる前に頬を拳で一発打ち抜いておく。 食いしばる暇も与えなかったおかげで、歯で口の中や舌が傷付いたらしく、口を押さえてのた打ちまわる。 「これはお返しね」

2020-05-17 22:24:31
水無月唯花 @minaduki_yuika

にっこり笑いかけてやれば、這いつくばって逃げようとする。 「さあ、サッカーして遊ぼう? ボールはお前な」 腰の入ったキックが男の尻に吸い込まれるように当たった。

2020-05-17 22:24:31
水無月唯花 @minaduki_yuika

声の方向へ走りながら、刀達が動こうとしないことに気が付く。 あいつが主の俺達でも、あいつに何かあればこの通り、真っ先に動く。 ここの刀達はそれほどまでに主を見限っているのだろう。 盲目的に慕う刀さえ、部屋から出てくる気配は無い。 こちらとしてはやりやすいことだが、ため息は出る。

2020-05-17 22:47:08
水無月唯花 @minaduki_yuika

せめて後から来るだろう監査部の部隊に保護なり刀解なりされることを思うだけだ。 こちらにはこちらのやるべき事がある。 屋根を伝って走る短刀から、合図が来る。 それに頷き、命を下す。 「行け! 亀甲!」

2020-05-17 22:51:58
水無月唯花 @minaduki_yuika

サッカーボールのように悲鳴を上げて転がる男を追って庭に降りる。 どうしょうもなく楽しくて、けらけら嗤うとダンゴムシみたくまぁるく縮こまる。 虫みたく、少しずつ引きちぎってやればもっと面白くなるかな。と思って腕の付け根に手を置けば、ぶるぶる震えて、とっても面白い。 月のない夜を背に

2020-05-17 23:16:34
水無月唯花 @minaduki_yuika

三日月状に裂けた口で笑いかけて、手に力を入れれば、泣き声が大きくなる。 ゆっくりと外してや「ご主人様! 待てのできない僕お仕置きを!!」

2020-05-17 23:16:34
水無月唯花 @minaduki_yuika

その姿はまさに落ちたきゅうりを見た南泉一文字のようだった。 走り込んだ亀甲を認識した瞬間、主は屋根ぐらいの高さに飛んだ。そこへ走り込んだ愛染が確保した。 今は目の前で地面に正座し、期待を込めた視線を向ける亀甲から隠れるように五虎退の虎に埋まってる主を不動が慰めて、

2020-05-17 23:46:29
水無月唯花 @minaduki_yuika

鯰尾が腹を抱えて笑い転げている。完全に混沌とした状況だった。 俺は元凶の審神者の頸動脈を締め、気絶させて動けないようにしたところだ。 「見習い」 着流しに雪駄の山鳥毛が縁側から歩いて来る。 流石に虎から顔を上げて、山鳥毛と向かい会う姿に、立候補者されたが室内戦になるからと、

2020-05-17 23:46:30
水無月唯花 @minaduki_yuika

うちの山鳥毛の同行を却下しておいて本日に良かったと思う。 「行ってしまうのか?」 「すでに出立してる予定だったんですよ」 はぐらかしてる事も多々あるが、今回は本当にはぐらかしているわけではなく、ズレた回答をする主に思わずチベットスナギツネになってしまう。

2020-05-17 23:46:30
水無月唯花 @minaduki_yuika

「今一度問いたい。私の小鳥になっては貰えないだろうか」 そっと手を取り切なげに問う山鳥毛に思わず頭を抱える。 また、誑し込んだのか! あいつは! 「ごめんなさい。私はあなたの『小鳥』にはなれないわ」 主の回答に目を伏せ息を吐いて手を離す。 「そうか」 「あなたにはちゃんと主が居るのよ」

2020-05-17 23:59:51
水無月唯花 @minaduki_yuika

赤い瞳が片手にぶら下がっている男に向けられる。 「……あれか?」 「ああ、違う違う。あなたをちゃんと連隊戦で迎えたはずの本丸があったの」 ぱちくりと目を丸くする。 「この本丸には極は居ない。とは言え時間とお金をかければ山鳥毛を手に入れる事はできる。だけど、時間管理ががはがばな

2020-05-19 19:31:00
水無月唯花 @minaduki_yuika

この審神者には無理ね。そう思ったから調べて貰ったの」 にこにこと告げる主は残酷だ。愛だけ与えて、気持ちは受け取らない。しかし、あの山鳥毛を受け入れることは、うちの山鳥毛が許さないだろう。どちらかが折れることになるだろう。 そういう意味では、主の対応は間違ってはいない。

2020-05-19 19:31:00
水無月唯花 @minaduki_yuika

きつく拳を握り締めた山鳥毛が一歩、主に近づく。 ……何時でも抜けるように本体に手をかける。 一歩踏み込んだ山鳥毛が主を抱きしめる。 「……ありがとう、見習い」 抱きしめられてきょとんとした主が破顔する。 「良い人だから。元気でね」 山鳥毛の首に腕を回して頭を撫でる主に、

2020-05-19 19:51:06
水無月唯花 @minaduki_yuika

だからダメなんだと深いため息をつく。 まあ、諦めてくれただけでもこの場は良しとしよう。 本格的な説教は帰ってからだ。 政府施設での禊ぎをしてから帰ってこいと言いつけないとなと思い、ゲートへ山鳥毛と向かう主へ駆け寄った。

2020-05-19 19:51:07
水無月唯花 @minaduki_yuika

「ああ、小鳥に呼ばれたか。上杉家御手選三十五腰のひとつ、無銘 一文字。号して山鳥毛だ。我が家の鳥たちは集まっているか?」 連隊戦からだいぶ経ったある日、とある本丸に山鳥毛が顕現した。 彼は新入りとして、良く働き、審神者の信頼も厚い刀だった。 時折、

2020-05-19 19:58:41
水無月唯花 @minaduki_yuika

彼が万屋街や演練場で誰かを探しているような仕草をしていたが、時が経つにつれてそれも無くなっていった。

2020-05-19 19:58:42
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まとめたひと
水無月唯花 @minaduki_yuika

20↑ 山🦅毛沼にずぶって、お頭に初めてを捧げた。 pixiv初作品の事だよ。一文字さに(オリ主)を書いてます。 更に一文字沼にも沈んだ🦅☀️🐱🎍。気がついたら🎍沼で溺れていた。🌿沼にも沈んだ。 恋と深空初めました。レイ先生推し。 全ては私の妄想です。公式には一切関係ありません。