月下香

水無月唯花 @minaduki_yuika

あなたは2時間以内に6RTされたら、兵士×捕虜の設定でプレゼントを送りあうちょも月下香の、漫画または小説を書きます。 #shindanmaker shindanmaker.com/293935 え、ちょっとたぎりますね。

水無月唯花 @minaduki_yuika

ああ、しくじった。 殴られて痛む体をなんとか起こして、周囲を確認するがどうやら牢屋に放り込まれたようだ。 ブラック本丸疑惑に見習いのふりをして潜入したが、予想以上に相手はクソ野郎だった。 後ろ手に手錠をかけられ、霊力封じの呪具まで用意しているとは、恐れ入った。

水無月唯花 @minaduki_yuika

まあ、見習い研修予定日を過ぎても戻らないようなら黒として監査部が突入してくるのでそれを待つだけだ。 ……できることも無いので、床に転がって目を閉じる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

どれくらいたっただろうか。 かちゃりとドアノブの動く音で目を覚ます。 体はそのままに、耳だけを澄ます。 ……足音がほとんど無いことで刀剣男士だとわかる。微かな足音に大きめの刀種のようだ。 私の入ってる檻の前に来たようだ。 檻の中に転がっているものに、息を呑んだ気配がする。

水無月唯花 @minaduki_yuika

だれじゃろー？　呼吸、心拍数は眠ってる人間と同じ、大きめの刀種なら刀剣男士にもバレないだろう。 なのでのんびりと構えている。 「子ども相手にこのようなことをっ……」ぎちりと皮の手袋が軋む音と艶やかな低音。oh、山鳥毛じゃん……。 やだ、この本丸連隊戦こなしてる……。嘘じゃろ……。

水無月唯花 @minaduki_yuika

入って来たときとは打って変わって足音を荒々しくたてて出て行く山鳥毛。 完全に部屋から気配が遠ざかったのを確認してから目を開ける。 呪具を所持していることも合わせて、確実に違法性を感じる。 外部と連絡が取れたら、データを洗い直す必要が出てくるだろう。

水無月唯花 @minaduki_yuika

……連隊戦をこなしていて、山鳥毛を所持していない本丸が有るかどうかを。

水無月唯花 @minaduki_yuika

１日暇です。 出陣も、書類も無く牢屋に転がってるだけですから～。 暇。 体の痛みは引いたので、今の敵は暇なこと。 ふわふわ飛んでく思考がドアノブの回る音に一瞬で警戒モードに切り替わる。 前回と同じ足音で山鳥毛ということがわかるが、表面上は家を逆立ててる猫のような警戒心を露わにする。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「誰ですか？」 ふらりと視線がさまよう。 本丸のシステムに接続できないので全く視界が効かない。まいったまいった。 聞こえる呼吸からだいたいこのあたりかな～？　と視線を固定する。 「っ！」 ぎりっと歯が軋む音と食いしばった歯の間から息が漏れる音。 うげぇ、怖。見えなくて良かった。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「山鳥毛と言う。食事を持って来た。一人で食べれるか？」 「刀剣男士の方ですよね……食べ物の位置を12支で教えて頂ければ」 こちらにと呼ぶ声に這って近づく。 檻にぶつかる前に手を取られて丁寧に拭われ、座らされる。 前に食事を置かれ、12支で位置を教えてくれる。 そのまま身を翻す気配に

水無月唯花 @minaduki_yuika

首を傾げれば、 「食べ終わったらそのままにしておいてくれ。後で取りにくる」 扉の閉まる音におお、気を使われている……。 大勢で食べるのに慣れている身としてはなかなか味気ない食事だがありがたくいただく。 腹が減っては戦はできぬのだ。

水無月唯花 @minaduki_yuika

あの後、言葉通り取りに来た山鳥毛が戸惑う気配があったが、檻に入れられた見習いが出された食事を空にしてたら、それはそうですね！　でもお腹空いてたんだもん！　てへ～。 脳内反省会を開きながら、また檻の中に転がる。 転がりながら、呪具をなんとかできないか力を込めてみる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

ぷしゅ～っと込めた霊力が抜けていく。 おおっとまずいまずい。 慌てて霊力を散らす。 なるほど。集中した霊力を放出する呪具か。 あまり食事のとれない現状では呪具をどうにかするのは止めよう。 眠くなってきたので、今日は寝ます。おやすみなさい。

水無月唯花 @minaduki_yuika

朝4:00！　おはよう！　こんな時間になにしてるんだい？　私？　いつも通りに起きちゃったよ！ 体なまりそう。 とは言え、流石に牢の中で鍛練するわけにもいかないからなぁ。 タイムアップまで時間をつぶすだけである。 何かできないかねぇ？ そうこうしているうちに、ドアノブの回る音が聞こえる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

んん？足音が片足を庇うような動きをしている。 「食事を持ってきた」 声も掠れてる。 「怪我をしたの？」 疑問が口をついて出る。 山鳥毛は動揺したようだった。 「……気にすることはない。手入れで直る」 まあ、とっ捕まってる見習いに事情は話せませんね。 とは言え、何とか情報を得たいものだわ

水無月唯花 @minaduki_yuika

「耳が良いんだな」 にょむにょむ鉄格子に近づけば昨日のように座らせてくれる。 「また、後で来る」 頭を撫でられた。 遠ざかる足音に見えぬ視線を向ける。 この優しい刀に私ができることは何だろうか。 もっもっと塩にぎりを頬張りながら、思考の海に沈む。

水無月唯花 @minaduki_yuika

本日もまた空にしてしまった盆と向き合う。 まだ山鳥毛は取りに来ていない。 取りに来たとき、ちょっと思いついた事をしてみようと思う。 食べたご飯から得られた霊力を集中しないように循環させる。 丹田を意識しながら、深く呼吸する。 ドアノブが回る音。 ……まだ、庇うような足音。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「今日も綺麗に食べたな」 よすよすと頭を撫でられる。 「あと、これを使ってくれ。初日に渡せなくてすまないな」 毛布を鉄格子の隙間から入れてくれる。 「ありがとう」 当然の礼を言えば、ふ、と笑う気配。 「……主は君を乗っ取り見習いと言うが、私にはそうは思えない」 なるほどー！

水無月唯花 @minaduki_yuika

乗っ取り見習いとして捕まったのかー！ おめーの本丸なんか要らねーよ！ 一通り心の中で悪態をついてから、動揺で霧散しかけた霊力を呪具に集中させる。 呪具によって散らされた霊力は空気に溶け込む。 急速に体の力が抜けて、ちょうど貰った毛布に倒れ込む。 もふもふとした感触を感じながら、

水無月唯花 @minaduki_yuika

意識が薄れていく。 完全に意識が落ちる前に慌てた足音が聞こえた気がした。

水無月唯花 @minaduki_yuika

……体が動きませんね！ 強制的に霊力を排出させられるのは、すっごい負担なんだね！　私覚えた！ あ～、ご飯下さい。 光忠のご飯が恋しい。 ドアノブの音、聞き慣れない足音。 鉄格子の開く音、頭を踏みつけられる。 はあ～。ヘドロみたいな霊力を垂れ流し人の頭を踏みつけるとはとんだクソ。

水無月唯花 @minaduki_yuika

後で絶対殴る。 ぎゃあぎゃあ煩く喚く声を意識からシャットアウトする。 全くもって痛いだけの踏んだり蹴ったりである。 善良な見習いちゃんにすることではない。 が、平気でするって事は来た見習いを乗っ取り扱いにできるコネがあるって事か。 なるなる。 いい感じにカウンターが回る。

水無月唯花 @minaduki_yuika

体に力が入らないのもあるが、だらりと人形のようにしていれば、短時間で息が上がったらしく、悪態をついて出て行く。 ずきずきと鼓動と共に痛みを訴える傷に意識が落ちそうで落ちない不快さで眉間に皺がよる。 痛みに耐えていると、頭を動かさないように抱き上げられる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

そのままどこかに運ばれていく。 ん？　ということは、あいつ鍵をかけなかったのか。 近年稀に見るアホでは？ 完全にされるがままなので、脳内でつけるだけ悪態をつく。 あ～、もう、痛いのは嫌でち。 殴る蹴る踏むするくらいならひと思いにやって欲しい。 色々なものが積み重なって、

水無月唯花 @minaduki_yuika

意識がぷつりと途切れた。

水無月唯花 @minaduki_yuika

……循環する。 炎に温められた空気は空に上って風になる。 風は酸素を運んで炎は燃え盛る。 温かさが心地よくて強く抱きつく。 唇も寄せる。 さっきまでくれていたのに。 舌でぺろりと舐めれば、絡みついて食まれる。 奪われて、与えられる。 体の線をなぞられ、抱きしめられる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「んっ、はぷ、ちゅっ、あむ」 あむと大きくかぶりついて、絡めて、吸い付く。 びくりと震えて逃げようとするので、腕を絡みつけて逃げられないようにして貪る。 しばらく喉でうなり声を上げていたが、諦めたのか素直に合わせてくる。 いいこいいこと撫で、べろりと舐めあげる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「あ、む、ん、はむ、ん、ちゅ、は、ふ」 唇であむあむとしたり、歯ではさんだり。 上顎を舌で擽り、歯列をなぞって、下唇を唇で挟む。 そのたびに流れ込むモノを嚥下する。 強い酒を飲んだように喉が焼けて、胃が熱くなる。 循環する。 貰うだけでなく、与える。 満足して唇を離せば、

水無月唯花 @minaduki_yuika

「君が私の小鳥であれば良かった」 と声が落ちてきた。 「それは、むり、だねぇ」 火酒をいなすように、厚みのある布……たぶん布団に背を預けて微睡む。 今はちょっと回復するための時間が欲しい。

水無月唯花 @minaduki_yuika

『…………わさ……』 『……さ……わ……ま』 『……さ……わさ……』 『さにわさまーー！！』 きーん！ 頭に響くこんのすけの泣き声混じりの大声に息が詰まる。 『こんのすけぇ……頼むからボリューム下げて……』 『さ、審神者様ぁ！　ようやく応答していただけましたぁ！

水無月唯花 @minaduki_yuika

こんのすけ、一日千秋の思いでしたよぉ！』 おいおいと泣き出すこんのすけをなんとか宥める。 潜入してから一切の通信が取れず、パニックをおこして監査部に飛び込んだらしい。 『審神者様に何かありましたら、こんのすけ、死んでも死に切れません～！！』

水無月唯花 @minaduki_yuika

『そこまで私を案じてくれるなんて果報者だねぇ』 そうか、こんのすけは今、監査部に居るのか。 『私のことを案じてくれるこんのすけだから、頼みたいことがある』 通信の向こうでシャキッと背筋を伸ばした気配がする。 『このこんのすけになんなりとお申し付けください！』

水無月唯花 @minaduki_yuika

『データベースから、連隊戦を攻略したのに報酬の山鳥毛を受け取れてない本丸をピックアップして欲しい』 それと、もうひとつ。 『ピックアップした本丸の担当者を監査部に伝えて』 『わかりました。どうぞ、審神者様もご無理なさらないように』 すんすんと鼻を鳴らして通信が切れる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

肌寒さを感じて、隣の大きくて硬いが温かいモノに転がって抱きついた……ら、抱きしめ返され意識が覚醒する。 お互いにほとんど着てる意味のない浴衣をなんとか合わせ、手探りで帯を締める。 相手のも目の毒なので、前を合わせて帯を適当に結ぶ。 部屋の隅に真っ二つになって転がる枷にちょっと震えた

水無月唯花 @minaduki_yuika

炭化した呪具も見つけてしまい、マナーモードになる。 ぷるぷる。わたし、わるいさにわじゃないよぉ。 思わず冷えた腹を撫でれば、太い腕が回される。 「寒いのか……？」 耳元で囁かれ、悲鳴を上げそうになった口を手で抑え、首を横に振る。 寝起きに聞いて良い声じゃないですね。

水無月唯花 @minaduki_yuika

夜の色気満載じゃないですか、ヤダー。 真っ二つの枷とか炭化した呪具とかを意識から締め出して、目的の物を探してきょろきょろしてしまう。 「どうしたんだ？」 体を反転させられ、頬に男らしい大きな手が添えられる。 「ええと、今何時か知りたくて」 思わず棒読みで答えてしまう。 あばば。

水無月唯花 @minaduki_yuika

「時間……時計か。ここには無いな。昼か夜か区別がつけばいい」 赤い瞳が覗き込んでくる。 「たとえ時計があっても君は見えないだろう？」 だから、私に聞いてくれ。と 「あ、見えるようになりましたので大丈夫です」 こんのすけと連絡がとれたので、目が見えるようになった。 山鳥毛は目を見開いて

水無月唯花 @minaduki_yuika

固まって居たが、片手で顔を覆い、慌ててサングラスに手を伸ばす。 ずいぶんと恥ずかしがらない山鳥毛だと思ったが、私の目が見えてなかったからだったかぁ。 サングラスをかけて、着衣も整え、座布団代わりに布団に向かい合って座る。 うっかり、初夜かな？　と思ったが、顔に出さないようにする。

水無月唯花 @minaduki_yuika

正確な時間はわからないが、悠長にしている暇は多分無いだろう。 こんのすけからの連絡はまだ無いのかまた通信ができないのかわからない。 私の置かれてる状況は不安定さしかない。 最悪、私は人外なのでここの審神者をﾒﾒﾀｧして事故として処理することにしようと思う。がやはり情報は必要である。

水無月唯花 @minaduki_yuika

しかし、刀剣男士の時間区分が昼か夜かだけとは真っ当な運営はされていない事がわかる。 放っておけばごろごろしっぱなしの明石や逆におじいちゃん時間で過ごす古刀連中を管理するために、時計は有効な手段だからだ。 昼夜の雑な区分で運営する場合、犠牲になるのは審神者の睡眠時間である。

水無月唯花 @minaduki_yuika

お役所は平日の5時で受け付け終了ですよ。 締め切りは待ってくれない。 思わず布団に突っ伏す。 「具合が悪いのか？！　薬研通しを呼んで来よう！」 向かいの山鳥毛が慌てて部屋を飛び出す。 書類の締め切りで具合が悪くなったとは言えなかった……。 しかし、いい匂いがする。

水無月唯花 @minaduki_yuika

ここの審神者は、贅沢な香を山鳥毛に与えてるようだ。 うちの山鳥毛はお給料で香を好む刀達と情報交換して、分けてもらったりしながら楽しんでいる。 運営費から考えると、博多先生から絶対にお許しの出ない金額……。 お気に入りの刀だけに貢いでいるなら可能だ。 状況証拠だけは集まってくる。

水無月唯花 @minaduki_yuika

確実な物証が欲しい所だ。 かつかつと指輪の音をたてて、部屋の主が戻ってくる。 「薬研通しを連れてきた、気分はどうだ？」 「最悪でふ……」 布団に突っ伏したままなのでくぐもった声で返す。 薬研が傍らに膝を付く。 「碌な診察はできないが、無いよりはマシって奴だ。すまねぇが我慢してくれ」

水無月唯花 @minaduki_yuika

薬研藤四郎は早く来る短刀だし、個体差はあれど医学知識に興味を持つのでこんのすけを通して政府に申請すれば格安で医学書やら治療キットなどが薬研用に購入できる。 折ったりはしていないが、手入れを疎かにして適当な布を包帯がわりに傷口を手当てしているにもかかわらずこちらの心配をしてくれる

水無月唯花 @minaduki_yuika

彼に思わず歯を食いしばる。 具合の悪さを堪えてる表情に思われ、二振りに 「別嬪さんの顔になんてことを」 「ああ、酷いことをする……。気にすることはない。私が責任をとろう」 と甲斐甲斐しく面倒を見られてしまった。

水無月唯花 @minaduki_yuika

私は今、粟田口部屋に居ります。 なにが起こったのかと言えば、一期一振が不在になるので薬研を呼びに来た五虎退の虎がくっついて離れなくなったので私ごと移動したのである。 ふふ、五虎退の虎が大きくなっても甘えてくるほどに子虎を可愛がっていた経験が生きるとは！

水無月唯花 @minaduki_yuika

子虎にもみくちゃにされながら、心の中でガッツポーズを取る。 「とらくんがすみません……」 なんとか子虎達を回収しようと奮闘してる五虎退も目に見える場所に包帯があって痛々しい。 うっすら警戒されているようだが、こちらも薬研の手で包帯を巻かれたのが、功を奏し同情的な雰囲気である。

水無月唯花 @minaduki_yuika

やはりこの部屋にも時計は無い。 手入れのされていない短刀、脇差、打刀、不在の太刀。 ああ、気が重いうえに腹がたってきた。 小さく紡ぐ呪歌が懐いた子虎達を眠らせたので五虎退に渡す。 一人で戻れるか心配してくれる薬研に大丈夫と伝えて、廊下に出る。 しばらく廊下を歩いていると、 通信が入る

水無月唯花 @minaduki_yuika

『審神者様！予定日を過ぎても帰還されなかったので、突入部隊が編成されました！』 は？ え、暴行されて意識を失ったのが4日目のはず……それから3日山鳥毛の部屋で気を失ってたの……？ 『こんのすけが審神者様と連絡が取れたのが6日目ですよぉ！』 ああ～！　明日の夜には突入部隊が来るー！

水無月唯花 @minaduki_yuika

『ちょっとこんのすけ！　手を貸して！』 『は、はいぃ！』 本丸に張り巡らされているネットワークにこんのすけがクラッキングしてシステムを掌握する。 『審神者様、完了しました！』 『……それにしても、おかしいですね。この本丸に配属されてるはずのこんのすけからの応答がありません』