7月の31日間、毎日お題に沿って小説を書く企画「文披31題」にツイノベ(140字小説)で参加しました。 お楽しみいただければ幸いです。
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綺想編纂館(朧) @Fictionarys

【文披31題:お題発表!】 7月1日~31日で開催予定の「文披31題」のお題一覧を発表します! 基本的に7/1にDay1のお題(黄昏)、7/2にDay2のお題(金魚)とひとつずつ進んでいく形です。7/1スタートで、タグは #文披31題 をご使用ください。 #文披31題_お題 #お題 twitter.com/Fictionarys/st… pic.twitter.com/KZlpwMozJZ

2022-06-06 20:52:57
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【告知】11月に開催していた小説創作企画「ノベルバー」の後継企画を7月に開催します!応援してくださった皆様に感謝。 pic.twitter.com/WnA2jbpAyC

2022-05-18 20:26:32
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Day1.黄昏 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-01 21:13:45
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昼と夜の境目はすべてが曖昧に入り交じる魔法の時間。嘘も真も、夢も現も、後悔も希望も黄昏の色に染まっていく。そこに残るひとつの影を手繰り寄せてつくったのは一羽の鳥。名前も知らないその鳥が夜に滲んで消えてしまう前にとそっと手から放せば、頭上を通過する渡り鳥の影と共に飛び去っていった。

2022-07-01 21:07:45
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Day2.金魚 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-02 21:47:32
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金魚すくいで溺れていた金魚をすくったら、すっかり懐かれてしまった。連れて帰って部屋の中に放すと、風にひらひらと尾びれをなびかせながら宙を泳ぐ。美しいがなんとも不思議な光景だ。たまの来客時には水の入っていない金魚鉢の中で普通の金魚のふりをしているが、いまだに誰にも気づかれていない。

2022-07-02 21:46:54
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Day3.謎 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-03 21:34:26
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道端に「謎」が落ちていた。誰かの落とし物だろうかと拾おうとしたがうまく掴めなかったのでそのままにしておいた。それでも気になって毎日通るたびに見ていたら日に日に大きくなってきたような気もする。今日はついに数が増えていたので、謎が謎を呼んだのかもしれない。明日どうなっているかも謎だ。

2022-07-03 21:33:56
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Day4.滴る #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-04 21:26:23
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ペットボトルを開けた瞬間、溢れ出した泡に思わず声が出た。慌てる私とは対照的に隣で笑う姿を見れば犯人は明確だ。「ひどい」とわざと怒ってみせれば「ごめん、ごめん」と謝る顔は学生の頃のままで、懐かしいイタズラに思わず吹き出した。腕から青春の名残が滴るのもそのままに、ただ二人で笑い合う。

2022-07-04 21:25:47
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Day5.線香花火 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-05 21:41:47
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最後に残った線香花火に火をつけた。持ち手の先にある蕾から繊細な火花が咲く頃には辺りの賑やかさも消え、聞こえるのは小さな火花が散る音だけ。どれだけ落とさないように気をつけても夢の終わりはやってくる。花火の余韻がゆっくりと風に流されていく中で、別れを惜しむように無言で灯火を見つめる。

2022-07-05 21:41:13
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Day6.筆 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-06 21:31:13
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この村には遠い昔から受け継がれてきた七夕の筆がある。その筆で短冊に願い事を書けばどんな願いでも叶うらしいが、叶った後はその願い事を忘れてしまうというから厄介だ。しかも何十本とある筆の中に紛れているため、当たるかどうかは運次第。去年の願い事は忘れたけれど僕の願いは叶ったのだろうか。

2022-07-06 21:30:43
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Day7.天の川 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-07 21:39:20
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水底に星が煌めく天の川の水には様々な効果があると言われている。万病に効くのはもちろん、美容効果や疲労回復、不老不死まで。「そんな効果があったってなんの意味もないのに」両手ですくった水に映る不満げな顔に、思わずため息混じりの呟きがこぼれた。どうせなら恋の病も治してくれたらいいのに。

2022-07-07 21:38:50
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Day8.さらさら #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-08 21:30:05
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ここ数日降り続いている雨が待ち人の足を遠ざけている。書き物をしても和歌を詠んでも気分は晴れないまま曇っていくばかり。御簾の向こうから絡み付く湿った空気を振り払いたくて、扇を開けばやわらかに広がる貴方の香り。今宵もしっとりと静まり返った部屋で、さらさらと心地よい衣擦れの音を待つ。

2022-07-08 21:29:36
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Day9.団扇 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-09 21:24:20
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昔、自在に風を起こすことができる団扇をもらった。起こした風に名前をつければ涼しい風もあたたかい風も思いのままになる不思議な団扇だ。少し古びたそれで扇げば、昔と同様に室内にふわりと風が吹く。しばし迷って「追い風」と名付けてみると、僕を優しく包み込んだ風が背中を押してくれた気がした。

2022-07-09 21:23:50
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Day10.くらげ #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-10 21:34:41
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最近なんだかおかしいと思ったら、私の心にくらげが住んでいるらしい。私の感情の波に合わせてゆらゆらと揺蕩う姿は悪くないけれど、掴みどころがないのでどう接していいのかがわからない。一番困っているのはたまに心に小さな痛みを残すこと。気づかないふりをした感情もくらげにはバレているようだ。

2022-07-10 21:34:08
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Day11.緑陰 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-11 21:23:59
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ひとときの静寂を探してたどり着いた木の下には先客がいた。静かに本のページを捲る横顔は緑陰に溶けて曖昧で、思わず幻かと疑ってしまいそうになる。ぼんやりと繊細な指先を見つめていたら、ふと顔をあげた君と目が合った。忘れられないあの出会いの瞬間は、君の瞳にはどう映っていたんだろうか。

2022-07-11 21:23:19
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Day12.すいか #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-12 21:48:44
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ひと抱えほどもある大きな丸いなにかが転がっている。植物のような色だが不思議な模様が入っていて、一体どこからやってきたのかもわからない。恐る恐る指先で弾いたり手のひらで叩いてみたりすると、高いような跳ねるような音が返ってきた。しばらくすると中から「お主は誰ぞ」と誰何(すいか)する声。

2022-07-12 21:48:13
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Day13.切手 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-13 21:26:52
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最近は魔法道具が発達して、魔法使いじゃなくても使えるものが増えた。例えば切手。サイズは大きくなったが、切手内に住所を書いて封筒に貼れば一瞬で届けることができる。ただ問題があるとすれば受け取る時。ポストの位置をきちんと指定しておかないと家のどこに落ちてくるかわからないので要注意だ。

2022-07-13 21:26:27
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Day14.幽暗 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-14 21:23:30
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フッという吐息とともに灯りが消えて、部屋に幽暗が満ちていく。手の届く位置で横になる貴方の輪郭はぼんやりとわかっても、表情までは見えなくて。こんなに近くにいても夢路に足を踏み入れれば貴方と離れてしまうから。微睡みの誘惑に抗いながら、睡魔に連れ去られてしまわないように貴方の名を呼ぶ。

2022-07-14 21:22:41
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Day15.なみなみ #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-15 21:33:32
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月のない夜は星酒を冷やすのにぴったりだ。大きめの桶に井戸から汲んだ水をはり、そこになみなみと広がる星空に瓶を沈める。波紋に揺れる星々の中で瓶が仄かに青白く煌めくのは、星明かりの中で作られた酒だからだろうか。流れ星のように駆け抜ける冷たさを思い出しながら冷えるのを待つのも悪くない。

2022-07-15 21:32:43
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Day16.錆び #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-16 21:19:09
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しばらく使わないうちにすっかり錆び付いてしまった言葉を見つけた。うまく使いこなせない言葉、昔は使っていたのに使わなくなった言葉、いつの間にか忘れていた言葉もある。ふと、ひとつ拾い上げて丁寧に錆を落としてみる。なんだか照れ臭くて伝えられなかったこの言葉も、今の私なら言えるだろうか。

2022-07-16 21:18:25
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Day17.その名前 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-17 21:37:59
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寄宿舎の消灯時間を過ぎたいつもの時間にいつもの場所で待ち合わせをするのが、2人の暗黙の了解になっていた。飽きずにたわいもない話をするのが楽しくて、お互いに教え合ったことといえば名前だけ。その名前の先になにがあるかなんて今は知りたくなくて、今日もまた朝には忘れるような話を繰り返す。

2022-07-17 21:37:01
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Day18.群青 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-18 21:26:55
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日が沈む時にすべてが黄金に染まるように、日が昇る時にはすべてが群青に染まる。夜明け前の砂浜で朝を待ちながらそんな話を思い出す。この海にたくさんの青を教わった青春時代には知らなかった、濃紺の夜にひとり。ふと白みはじめた世界に意識を戻せば、そこには僕の知る青をすべて重ねたような群青。

2022-07-18 21:26:22
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Day19.氷 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-19 21:48:41
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話に花が咲いた時、その花を氷柱に入れて凍らせる「花氷」を作ってもらったことがある。楽しい思い出を鮮やかなまま閉じ込めて美しく仕上げられたそれは、どれだけ見ていても飽きない。あれから久々に再会した友人と花氷を眺めながら話しはじめれば、じわりと溶けだした氷の横でまた話に花が咲いた。

2022-07-19 21:48:06
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Day20.入道雲 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-20 21:28:03
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入道雲を作るには技術と経験が必要だ。大気の状態や空気の質を読みながらうまく気流にのせないと大きく育たないので、慣れないうちはなかなか難しい。毎年、夏には各地で職人たちが競い合って入道雲を作っているが、今年の一番はまだ決まらない。残り短い夏、さらに技術を磨いて挑む必要がありそうだ。

2022-07-20 21:27:34
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Day21.短夜 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-21 21:17:36
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夏の夜の短さを惜しむのは人間だけではない。夜の時間が限られると、人ではないモノたちの活動時間も減ることになるからだ。なかなか沈まない夕日を待ち続け、ようやくやってきた夜に逢瀬を重ねてもすぐに朝はやってくる。朝の光にさらわれる愛しい人を見送って、夜の住人は今日も短夜を待っている。

2022-07-21 21:17:10
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Day22.メッセージ #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-22 21:21:59
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人づてに手渡された封筒には僕の名前とメッセージが書かれていた。「私を思い出した時に読んでね」と書かれた筆跡は紛れもなく君のもの。だけど、その封筒の中身を僕はまだ読んだことがない。おそらくもう会えない君のことを、思い出す日なんて来ない。今までだって一度も忘れたことはないんだから。

2022-07-22 21:21:38
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Day23.ひまわり #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-23 21:42:42
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夏空の下で笑う君を見て、ひまわりみたいだと思った。太陽のような憧れの存在を真っ直ぐに見つめながら追いかける姿は眩しくて、羨ましくて。例えるならば僕は海。ひまわりの君がいる場所までは、寄せては返す波では近づけないけれど。せめて日差しに負けず咲く君に、波音のエールが届きますように。

2022-07-23 21:42:18
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Day24.絶叫 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-24 21:30:08
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夏になるとニンゲンたちがやってきては勝手に怖がって絶叫して帰るので、住人たちからの苦情が絶えない。注意喚起の内容を掲示しようと思ったが、ニンゲンは暗闇で文字が読めないらしいので音声で伝えることにした。しかし、最後まで聞かずに再びの絶叫。ニンゲンたちとわかりあうのは難しそうだ。

2022-07-24 21:29:38
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Day25.キラキラ #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-25 21:21:08
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夢の端っこを捕まえたと思ったら、いつの間にか逃げられてしまった。心地よくて楽しくて、もっと見ていたい夢だったのに。目が覚めてしまえばだんだんと遠ざかっていく夢の記憶は簡単には思い出せなくて。思わず握りしめたままだった手をそっと開くと、キラキラと輝く夢の欠片が朝日に消えていった。

2022-07-25 21:20:40
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Day26.標本 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-26 21:38:16
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探していた鉱石の標本を手に入れた。さまざまな形と色の鉱石が並んでいるが、名前の記載はない。ドキドキしながらガラスを外して蝋燭の火を近づけると、赤い石の中で炎が揺れる。次に水を近づければ青い石の中で気泡が揺れた。眠る魔法の鉱石たちを一つひとつ目覚めさせるには少し時間がかかりそうだ。

2022-07-26 21:37:53
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Day27.水鉄砲 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-27 21:23:01
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水鉄砲が子どもの水遊びのおもちゃだと思ったら大間違いだ。いわゆる「あやかし」と呼ばれるものに遭いやすい身としては、中にご神水や塩水を入れておいて護身用に持ち歩くのに重宝している。見た目は悪いがないよりはいい。ただ、室内で使う場合は的確に狙いを定めないと後片付けが大変なのが難点だ。

2022-07-27 21:22:22
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Day28.しゅわしゅわ #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-28 21:21:10
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仕事帰りに行きつけのバーでお任せをオーダーしたら、意外なものが出てきた。「どうして?」とマスターに聞いても「たまにはいいかと思いまして」と微笑まれるだけ。赤いさくらんぼ、白いアイス、鮮やかなグリーンのソーダに思わず笑ってストローに口をつけると、しゅわしゅわと懐かしい味が広がった。

2022-07-28 21:20:36
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Day29.揃える #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-29 21:13:53
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手元のカードを揃えるだけのゲームに真剣になる日が来るとは思わなかった。この勝負に勝てたら告白しようと決めた途端、まさかこんなに長引くなんて。ついに相手の手札は残り二枚。反応を伺いながらカードに指をかける。お互いにポーカーフェイスは得意だけれど、今日こそは本音を暴いてみせるから。

2022-07-29 21:13:27
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Day30.貼紙 #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-30 21:21:52
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店の外に「夏の音、入荷しました」という貼紙があった。中に入ってみると、ところ狭しと小瓶が並べてある。不思議に思っていると店主がその小瓶にはさまざまな「音」が入っているのだと教えてくれた。お試しにともらったひとつをさっそく家で開けてみると、小瓶から溢れてきたのは涼やかな「夏の音」。

2022-07-30 21:21:11
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Day31.夏祭り #文披31題 #twnovel #マイクロノベル #140字小説 twitter.com/Fictionarys/st…

2022-07-31 21:22:45
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気づいたらどこかの夏祭りにいた。浴衣姿でお面をつけた人々が鬼灯のような形の灯りを手にして賑やかに行き交う姿は、少し不思議ではあるが不気味さはない。櫓(やぐら)のある広場からは祭り囃子が聞こえ、屋台からはいい香りが漂ってくる。朝には忘れてしまうと知りながら迷い込む、或る夏の夜の夢。

2022-07-31 21:22:04
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綺想編纂館では、日常にふと映り込む綺想を遊び心と織り交ぜて編纂しています。紳士・淑女の皆様の心の琴線に少しでも触れたら幸いです。過去の物語への感想も大歓迎。お気軽にお声掛けください。 【近況:3/10「そこの路地入ったとこ文庫」参加予定です!】 編纂者:朧(おぼろ)