第5章、高校~間接的に「生まれ」で隔離する制度
0
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

抜粋② 『教育格差~階層・地域・学歴』松岡亮二著、筑摩書房、2019.7.10. 第5章、高校~間接的に「生まれ」で隔離する制度  生徒を「学力」によって異なる学校に選別するのが高校受験だ。  学力などを基準にして生徒を異なる教育プログラムに振り分けることをトラッキング(tracking)と呼ぶ。 pic.twitter.com/lHrZqgduAc

2022-01-13 19:49:58
拡大
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

陸上競技場のトラックと同様、特定のプログラムに入るとカリキュラム、教師からの期待、生徒文化などによって社会化され、それぞれが大きく制限された進路に向かって行くことになる。

2022-01-13 19:49:58
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

学校単位のトラッキング…高校間に大きな学力格差がある垂直的なランキング構造。入学難易度を示す偏差値序列による高校ランク。学校間の学力差が大きく、学校内のそれは小さくなる。  各学校の進路実績によって生徒は自らの未来を思い描く。

2022-01-13 19:49:59
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

この「予期的社会化」は中学校卒業前の、進学することが決まった時点で起こる。  SESと学力に強い関連があるので、学力選抜によるトラッキングを行うと、間接的にSESによって生徒を隔離することになる。生徒をSESによって異なる学校空間に送り込む選別…社会経済的背景による分離政策を行っている。

2022-01-13 19:49:59
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

義務教育課程で「生まれ」による学力格差を埋めないままの「能力」選別は、SESによる分離(隔離)を制度として行っていることになる。  進学校の生徒はSESも相当に上位なので、進学校を「勉強できるから」「頭がいいから」と能力主義的(メリトクラティック)な観点だけで理解するのは不適切なのだ。

2022-01-13 19:50:00
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

p.217 「アルバイトをする」生徒の割合は0%が多いので、平均の割合が高い山型の正規分布ではない。最小値の0%が全体の31%、1~10%未満は39%、10%以上25%未満で17%である。「アルバイトしている同級生がいる」実感を得られるのが4人に1人(25%)以上だとすると、14%の学校が該当し、最大値は50%だ。

2022-01-13 20:00:33
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「アルバイトなんてありえない」学校から「高1の夏休み前からアルバイトも現実的な選択肢」の学校まである。これは制度的に作られた学校ランク・学校SESと無縁ではない。アルバイトをする生徒が0%の学校の偏差値の平均は57と高く、4人に1人以上がアルバイトをしている学校の偏差値は41と明らかに低い

2022-01-13 20:05:08
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

同様に、学校SESでも偏差値換算で57と37という大きな差がある。  トラッキングによって似た「生まれ」と学力の生徒が毎年入学することで、各学校では「(生徒)文化」や「伝統」と呼ばれるものが受け継がれる。学校の雰囲気や進学実績が毎年(他校との比較において)大きく変わらないのは、生徒のSES層が

2022-01-13 20:09:29
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

似ているからだと考えられる。各学校の生徒の集団的特徴は「生まれ」と無縁ではない。  教師の生徒に対する期待(「教員期待(teachers' expectations)」)は制度的に作られた学校間SES格差によって異なる。

2022-01-13 20:13:25
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

トラッキングによってSESと学力の学校間格差を作り出すことは、中退があり得る前提で教師が生徒と関わる学校(教育困難校・課題集中校)を制度的に作っていることを意味する。「底辺校」はSESが低いことに留意すべきである。家庭で困難を抱えた生徒たちが、学力を向上させることなく制度的に

2022-01-13 20:14:03
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

教育が困難な課題を抱えた「中退がふつうにあり得る」学校に集められて、中退した先輩がロールモデルになったりする。  高校入学後3ヶ月の時点で確認できることだが、進学校は通学可能範囲の「生まれ」の「上澄み」で構成されていて、「底辺校」と揶揄される学校の生徒の多くは

2022-01-13 20:14:45
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

恵まれない「生まれ」だ。SESという視点でデータを見なければ、これらの学校間格差は「学力偏差値」の高低で説明されてしまうことになる。それは「能力」の過大評価に他ならない。  日本の高校制度は現存する不平等を再生産する機能を持っているといえる。

2022-01-13 20:17:29
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

SESという初期条件が、進学期待という生徒に内在化された志向と学校の規範を介して、学習行動を左右していると解釈できる。   第6章、凡庸な教育格差社会~国際比較で浮かび上がる日本の特徴 p.232 PISAを実施しているOECDの報告書では、公平性(equity)とは教育結果が同じということではなく、

2022-01-13 20:23:06
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

SESなど本人が選べない条件によって結果が異ならないことであると定義されている。生徒の「生まれ(SES)」が学力や大学進学などの指標と関連していない状態であれば公平ということになるが、そんな社会は地球上には存在しない。根底にあるのが文化・教育的資源の偏りであることも世界中で共通している。

2022-01-13 20:26:22
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

実質的な身分のくびきから人々を解き放った社会は、少なくとも国際調査の対象国・地域については存在しない。これは、人類が未だに生を享けたすべての人達の潜在可能性を具現化するような社会を作り上げることができていないことを意味する。

2022-01-13 20:29:43
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

職業教育を含む高等教育進学率そのものが高ければ、親学歴が低くても進学する個人も多くなり、相対的な格差は小さく示されることになる。すべての国の文脈で意味のある学歴の定義は難しく、どこで切り分けるかによって国別比較による印象は簡単に変わってしまう。

2022-01-13 20:35:38
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

日本の義務教育は国際的には「平等的」な制度として知られている。特に低SESの児童は未就学段階であまり学習刺激を受けていない分の伸びしろがあるので学校教育効果が大きく、先頭集団に追いつけないまでも平均に近づくことはできるだろう。

2022-01-13 20:39:43
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

PISAの読解力・数学・科学の3分野で日本の平均値は高い。ただし、それをそのまま教育実践・政策・制度だけの結果として読むのであれば、それは過大評価だ。TIMSS調査でも同じだが、上位ランクの常連である東アジアの国・地域は、アメリカなどと比べて該当国の第一言語を話さない移民の割合が低い。

2022-01-13 20:43:22
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

アメリカのように所得格差が大きい国は、貧困によって困難を抱えている生徒・学校が多い。学校の外で腹を空かせ、治安の悪さに怯える生徒の「能力」が低いことは教育制度の帰結ではない。学校教育は経済システムの中に埋め込まれているので、経済格差が大きい社会では、その格差が生徒の学習に与える

2022-01-13 20:47:01
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

影響を乗り越えるのはより困難になる。 p.241 PISAの報告書は、SESが国内下位25%であっても認知能力が国内上位25%である生徒のことをレジリエント(困難・苦境から立ち直る)生徒("Nationally resilient studenys")と定義している。低SESによる困難さ(下位25%)に打ち勝ち高い学力(上位25%)を獲得した

2022-01-13 20:53:50
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

レジリエント生徒の割合が高ければ「生まれ」の影響力が少ない社会と解釈できるが、OECD平均は11.3%で、日本は11.6%とそう変わらない。SESが下位25%の生徒100人のうち、約12人だけが学力上位25%に入っているのだ。格差が大きくいことで知られるアメリカは11.3%、フィンランドでも14.1%に過ぎない。

2022-01-13 20:58:16
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

これらは、どのような社会であっても相対的な格差を埋めることが難しいことを意味している。教育行政だけではなく税の再配分を含めてどれだけ平等主義的にしても、SESによって15歳時点の学力格差が明確に存在するのだ。

2022-01-13 21:02:09
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

なお、この調査時点では、日本は1学年あたり約120万人なので、SESが下位25%であってもそのうち11.6%…約3.5万人は学力が上位25%(偏差値だとだいたい57より上)である。「低SESだけど高学力」な例は、相対的には少なくても、絶対数ではそれなりに存在することになる。

2022-01-13 21:05:55
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「どんな家庭環境でも本人次第で成功できる」という例を意図的に探すのは、他の大多数を無視すれば難しくない。同じSESが下位25%で学力が上位25%に入らなかった26万5000人に触れずに高学力となった3.5万人だけに焦点を合わせれば、日本はどんな家庭に生まれても高学力になる機会のある国と解釈できる。

2022-01-13 21:11:17
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

わかりやすく偏差値に換算してみよう。SES偏差値40以下(100人いたとき下位の16人)が学力偏差値60以上(100人のうち学力が上から順に16人)である割合は約6%だ。SESが下位16%というのはだいたい「子どもの貧困」層と合致する。このうち学力偏差値60以上の生徒は100人のうち6人である。

2022-01-13 21:16:28
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

一方、SES偏差値が60以上の層からは100人のうち約28人が学力偏差値60以上だ。1学年120万人としてSESが下位16%で学力偏差値60以上の生徒は1.2万人…ある程度の規模の数なので、同じ低SESで学力偏差値60未満の18万人を無視すれば、日本は「誰にでも機会が開かれている国」であると思い込むことができる。

2022-01-13 21:20:55
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

日本は、調査時点では相対的な(通学している)移民割合も低く、それはすなわち母語が日本語一つであるという、アメリカなどと比べて教育制度として負荷の低い状態だ。しかしそれでも家庭や学校外学習の差を打ち消すほどではなく、SESによる学力格差が他国と変わらない程度であるのが現実だ。

2022-01-13 21:24:46
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

日本の義務教育は「公平性」に重きを置き、高校教育は制度として「公立」を重視する。義務教育の小中学校と高校では、教育の価値軸が大きく異なるのだ。この世界的には特異な急激な価値の転換が何を意味するのか、国際的な観点から検討しよう。

2022-01-15 15:25:30
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

小中学校でも学校間格差はあるが、どこに住むかは個人の「自由」であり、経済状態などを考慮した選択の違いにより結果的に近隣間でSES格差が生じる。政策によって意図的に起きているわけではなとい、現実に存在する分離状態だ。この分離を制度的に推し進めるのが高校受験である。

2022-01-15 15:26:34
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

日本では国際的に平凡な水準のSESによる学力格差のまま、教育選抜を行う。結果として、この制度による分離によって、学校間でSESの大きな格差が作り出されている。日本は義務教育段階で比較的小さかった学校間SES格差を、制度的な分離政策によって国際平均水準まで拡大していると解釈できる。

2022-01-15 15:27:06
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

その特殊性に無自覚になりがちな制度の一つが、高校階層構造(偏差値ランキング)だ。日本は制度的に学力とSESが低い生徒を集めて課題が集中した教育困難校を作り、そんな「底辺校」の生徒たちは、教師たちから学業成績については諦められている。国際比較するとその異様さが浮かび上がる。

2022-01-15 15:27:38
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

一方で、国際ランキングの「よい結果」には喜びすぎないほうがいい。なにしろ日本はアメリカなどと比べて教育制度として負荷が低い国なのだ。競争で「日本」が勝利したところで、それは「制度」のまっとうな評価にはならない。

2022-01-15 15:28:08
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

第七章、私たちはどのような社会を生きたいのか  この日本社会において、「生まれ」は人生の可能性を大きく制限している。出発点の格差は消えることなく持続する。この意味を敷衍するためにライフコース(人生の軌跡)研究を紹介しよう。

2022-01-15 15:48:06
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

出身家庭のSES(社会的背景)、教育達成、初職(はじめて就いた職)、現職という4つのライフステージ間で格差は縮小しない。すなわち、SESが教育達成に、教育達成が初職に、初職が現職に影響を与える「格差の連鎖・蓄積」が起きている。

2022-01-15 15:48:33
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「生まれ」というスタートラインの差はそのまま次のライフステージに持ち込まれているのだ。概念図のように、出身家庭のSES(社会的背景)と教育達成の関係は平行移動である。格差はそのまま少なくとも平均的には大きく拡大も縮小もせずに変わらない。 pic.twitter.com/OaFpNWRiSx

2022-01-15 15:49:13
拡大
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

日本社会では20代前半で大半の人々の最終学歴が確定し、大学ランク(学校歴)を含む学歴によって就業機会格差があり、初職は現職と関連することになる。初期の格差は縮小しない。同じ機会を与えただけでは差は縮小しない。

2022-01-15 15:50:35
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

低SES層が平均的集団、ましてや先頭集団に追いつくには平等な機会を越えた相当に意図的な介入が必要となるのだ。 p.256 建設的な議論のための4カ条 教育は誰もが何らかの実体験を持っているので自説を持ちやすい。大半の教育論はその性質から完全な肯定も否定もできない。

2022-01-15 15:55:52
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

価値・目標・機能の自覚化 学校現場における教育実践、それに地方自治体や国の教育政策や制度設計において、全員の機会の「平等」と個人の選択の「自由」は相反するケーが多い。

2022-01-18 08:24:18
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「平等」を重視する場合、教育目標は「公平(equity)」で、教育に期待される機能は「平等化」となる。一方、「自由」に軸を置くのであれば目標は「優秀さ(excellence)」・「効率(efficiency)」の追求となり、教育機能は「差異化」となる。

2022-01-18 08:24:19
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

どちらを重視するのか、という観点に自覚的であることは、教育実践・政策・制度の実態を理解し、対策を提案する際に大きな手助けとなる。  本人の「能力」に従ってグループ分けする習熟度別学習は、この2つの軸を理解する際にうってつけの教育実践例だ。

2022-01-21 14:55:42
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

小学校低学年の学級内で習熟度別学習を行うことは、「個人」の「能力」に合った「効率」的な実践であるので、より「優秀さ・効率」を目指していることになるし、「差異化」を志向している。ただ、現実として「生まれ」によって「能力」格差があるので、高SESの児童は似たSESの同級生と、

2022-01-21 14:55:43
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

より発展的な学習をすることになる。比較的低SES家庭出身である児童たちは(平均的には)小学校入学時点で「能力」が低いので、同じ学級内であっても下位グループに集められる可能性が高い。さらに、「能力」とは別にSESの低さそのものによって、下位グループに振り分けられることもあり得る。

2022-01-21 14:55:43
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

これらのことに自覚的でなく単にグループ分けした場合は、「優秀さ・効率」を目指すことで「差異化」が進み、「生まれ」と結果の相関が強まる。すなわち、「公平性」が崩されることになっても不思議ではない。

2022-01-21 14:55:44
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

高校トラッキングはまったくの別プログラムに選抜する制度で、これも「優秀さ・効率」を重視した「差異化」制度だ。「生まれ」によって「能力」と「選択」の格差がある以上、「自由」を重視し「優秀さ・効率」を追求すると、結果として分離(差異化)が促進されることになる。すなわち、格差が拡大する。

2022-01-21 14:55:44
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

一般的には、「能力」に基づくトラッキングを行なうとSESによる学力格差が拡大する。国際比較研究の結果は、教育制度を「みんな」が共通の教育を受ける単線から、異なる進路に向かうトラックのある複線にする時期が低年齢であるほど格差が大きくなることを示唆している。

2022-01-21 15:32:58
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「平等」なのか「自由」なのか、どちらに軸足を置くのか自覚することが重要だ。一つの実践・政策・制度では、どちらかを重視すると、一方を軽視することになる。どちらに進んでも誰かの可能性が失われる。

2022-01-21 15:32:58
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

あらゆる政策・制度を論じる際に、学校教育の役割を意識することは避けられない。学校教育の役割を後退させる…市場原理主義的な「小さな政府」のように「小さな学校」を志向するのか、それとも、役割を拡大し「大きな学校」とするのか、価値判断が求められる。

2022-01-21 15:32:59
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

教育制度によって構造化された時間を縮小し、児童・生徒の選択の「自由」を尊重するのが「小さな学校」だ。部活動や補習・宿題の廃止論などは典型例で、学校にいる時間を減らし、家庭の中に学校(の課題)が入り込んでくることを「自由」の侵害としている。

2022-01-21 15:32:59
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

もし単純に公教育の役割を縮小するのであれば、「生まれ」は現在よりも直接的に子に引き継がれことになり、厳密な身分社会に近づくことを意味する。事実、2002年に土曜が休日になったことにより、SESによる中学3年生の学習時間と高校1年生の読解力の格差が拡大したと解釈できる研究結果がある。

2022-01-21 15:33:00
花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

「小さな学校」による個人の「自由」の拡大によって「差異化」が進み、結果の「公平性」が脅かされることになるのだ。同様に、学習を徹底的に個別化すれば、初期の「能力」と親の子育てパターンにSES格差があるので、学校の「平等化」機能は弱まり、格差は拡大すると考えられる。

2022-01-21 15:33:00