ドラマの『銭ゲバ』は傑作
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阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

自分の悪癖で今さら『銭ゲバ』ドラマ第一話見た。風太郎のオリジンで明確な復讐対象(醜い傷をつけた親父─原作だと醜いのは自然の采配─、三國家)を設定したのには唸った、面白い。そして具体的になったが為に近所の親切な兄ちゃんは善性否定の踏み絵として何度も撲殺された

2021-02-05 15:25:58
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

椎名桔平の演じる銭ゲバの親父、蒲郡健蔵が怪物染みていてよかった。具象の中にも、世界を創りたもうた残酷な神の属性を見出せる。

2021-02-05 15:34:38
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

#銭ゲバ 3話まで 椎名桔平が演じる蒲郡健蔵、滅茶苦茶ひどい人間なんだけど、原作の蒲郡兼三と違って一種の仙人染みた雰囲気がある。原作の親父は只のたかりのカス野郎だけど、ドラマの親父はそのカス野郎の下馬評に甘んじる潔さがある気がする。それでいて、

2021-02-06 01:16:23
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

妻を愛していた昔日とそれを虐げた時の流れを受け入れている感覚もある。親父が原作に出た秋遊之助の役目を果たすのか…?

2021-02-06 01:16:23
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

第四話 私情に滾る、宮川大輔演じる荻野刑事は好きだな。原作の田所刑事が嫌いな分。

2021-02-06 02:06:44
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

第五話 『銭ゲバ』に群馬県庁が出てる。三國造船本社として

2021-02-06 02:09:52
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

『銭ゲバ』第五話、個人的に完全に原作超えしてる。 たった一話で、恵まれた境遇から抜け出て日雇いの人生を尊んだ(気になった)社長、余命間近の風太郎にシンパシーと敬意を抱いて社長暗殺の後に心中を遂げる似た生涯を歩んだ青年と銭ゲバの逆と裏を登場させ殺した事で銭ゲバを不可逆の状態にした

2021-02-06 02:56:55
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

緑と茜の立場も逆転する。全てを失えばそこから生きる意義とゆとりを得て美しく咲く緑は茫然自失となり、生まれつきの身体故に緑に全てを奪われてきた茜は復讐の快楽に身を委ねる。

2021-02-06 02:59:56
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

今気づいたけど、ドラマの『銭ゲバ』は顔─特に目と歯─のアップが多いのは勿論、鏡面に映る顔、ガラス越しの顔の描写も極めて多い。すると顔はキャラクター一個の物ではなく彼らが生きる社会に於けるペルソナにもなる。そして互いの人物のコミュニケーションと、その歪さ、冷酷さが浮き彫りになる

2021-02-06 03:04:39
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

第六話 蓄財の後、風太郎は母の墓前で金の使い道が無いと慟哭。健蔵に10億を渡し死ねと宣い、母に似たホームレスを金で救おうとして彼女を殺してしまい、復讐のために作ったケーキを弄び緑への復讐を遂げようとして、新たな屈辱を植え付けられる。ハムレットを演じていた緑は彼への憎悪を表明する

2021-02-06 05:04:12
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

結局、力を持った風太郎はそれによって無力を悟る。金を持っても母は生き返らない。10億渡しても父はすぐに死んでくれない。マカロンケーキ(このシーンが素晴らしいのだ)を打ち砕いても新たな屈辱を感じるだけ、金で人は救えない。今まで血を流して得てきた金の力はこんなものか、こちらも虚しくなる

2021-02-06 05:04:12
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

第七話…復讐編 夕食を食べながら殺人を自供する風太郎と三國姉妹の様は、一種の耽美ですらある。風太郎は茜に興味を抱いていないと断言するシーンも残酷だが美しい。殺人鬼を「父権」に戴いて成り立つ三國家の悲劇はそのまま、昔日恐れた父を再現し克服するかのようだ。

2021-02-06 05:22:19
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

逃走していた同棲していたホールレスの好好爺が自分を金で警察に売ろうとする回想で改めて、格子の織り成す縞の影を抱いて「銭ゲバ」の初心を取り戻す風太郎。弟の復讐に燃えながら、結局妻子の為に風太郎に頭を下げ、心の弟を金で埋められその金で生き長らえる矛盾と苦悩に道路で絶叫する荻野刑事

2021-02-06 05:22:19
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

そして、一心同体、互いに醜い外れものとして成りだけでも支えあってきた茜の縊死とその亡骸を椅子から眺める風太郎と開放されたドアの前で慟哭する緑。然しその緑は、彼の故郷に降り立ちその怒りと欲の根元を見つけ、健三に死を懇願するほどの理解を示していた。そしてその健三も

2021-02-06 05:22:19
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

金で自分を敬い出した地元の連中を軽蔑するのだった

2021-02-06 05:22:20
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

銭で幸せになる復讐が遂げられないなら、逆に知り尽くしている銭による苦しみを与える復讐を遂げればよいのだ、その気づきは今は辛い

2021-02-06 05:25:14
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

第八話 ざっと言えば、荻野、緑、父親とかの風太郎の敵はそれぞれに彼を理解して、或いは彼に同情し、或いは哀悼し愛しさえして恨みを乗り越えるのだけれど、風太郎と親しかった─母親と同じことを言っていた─伊豆屋の人達が彼と同格以下の「銭ゲバ」に堕ちて貶め、憎悪する

2021-02-06 06:36:20
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

すると、風太郎は罪の重さを美化せずに受け入れざるを得ず、そして自分の醜悪さを見せつけられるともう生きる道は本当に人間の心を失くして金に従うマシーンの生き方しかない。 そして、風太郎は繊細すぎたから死を選んだのだろう

2021-02-06 07:24:16
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

最終回 全身にダイナマイトを巻き付け、辛い時に行く海辺の小屋での自裁を決意した風太郎。爆破までの束の間に、柱に刻み付けた誓いを目にしながら夢想した(であろう)物は、今まで出会った風太郎を傷つけた人、風太郎に傷つけられた人が銘々に悩みを持ちながらも幸福に暮らしている世界だった。

2021-02-06 08:02:57
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

自分はこれを見て風太郎が銭ゲバの存在しない、より良い世界を創るデミウルゴスになろうとしているのだと感じた。そして、風太郎の死後(風太郎が伊豆屋に喜捨した2000万もその一環だろう)の社会は彼の夢想ほど暖かではなくとも、彼が囚われた社会観念よりは冷酷ではなかった。個人的に風太郎は

2021-02-06 08:02:58
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

その社会の二律背反を恐れて、自己の回りの世界を一色に塗り潰そうとしたのだろう。そして、その過程で流した血の重みに耐えかねて最早グレーには戻れず、死んだ。然し、その死の間際には銭ゲバでもなく聖人でもないグレーの状況を受け入れつつ、それでもできる限り他者に優しく生きようとする意志が

2021-02-06 08:02:58
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

芽生えていたのではないか。そのグレーでいきる意志が最後の風太郎の断罪ではなかったか?我々は風太郎が提示したグレーの世界でそれでもよく生きる気力を持たねばなるまい。 然し、そのメッセージを原作だと良くも悪くも極端な父親や刑事に負わせ、それを貫徹させた想像力はスゴい

2021-02-06 08:02:58
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

「理想の世界」の演出は今までの反射光や屈折光、回転世界や顔のアップが用いられない普通のドラマみたいなある意味退屈な演出であったけど、その退屈さがより良き世界なのなら、今までの世界が、少なくともその「銭ゲバ」を産んだ側面が如何に歪なのか我々に想像させる。

2021-02-06 08:10:01
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

因みに臨終間際の風太郎の火を消し止めようとする狂態はそのグレーの世界のより良い部分に目を向けていれば、自分も変われる、善い生き方を誰かと出来るみたいな希望を見いだしたが故のものだったのだろうか。然し、今までの罪悪感や悪行がその復活を許さなかった

2021-02-06 20:04:08
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

『銭ゲバ』の主人公を演じた松山ケンイチ、凄く美形なんだけど1~5話の時の目つきの険しさや、歯を剥き出しして嗤う時の凶暴さとか見るともう原作の蒲郡風太郎にしか見えない。6~9話の方になると幾らか顔の険は和らぐんだけど悲しさが滲み出てこれも風太郎みが強い。適役だったと思う

2021-02-07 05:18:44
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

松ケンはイケメンなんだけど、成り上がっている時は本当にギラついていて、険のあり過ぎる様子だったからあの顔ならどうにかなったとは思いづらい。 原作の怒りと悲しみをそれぞれ別の眼で表現する演出でなく、時間経過でその両面を表現させる松ケンや制作陣の表現力と勇気に脱帽

2021-02-07 05:25:25
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

『銭ゲバ』は話が暗いけど妙な高揚感もあって、ドラマだと閉塞した世界の持つ映像的な美がそれを担っているんだよね。映像がいい

2021-02-07 07:36:27
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

>RT 『銭ゲバ』原作だと、RTした人の意見の通り「埋める」事で悪を隠蔽するからそれが只管内面的な苦悩や神への問いにならざるを得ない。然し、ドラマだと「埋める」代わりに反射や屈折に代表される歪曲したリアリズムを以て悪を隠蔽する。すると悪は内面にこびりつくと同時に社会に蟠りを残し twitter.com/R0noFIFdiKiJjA…

2021-02-06 08:43:22
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

それに触れた人間に傷を負わせる。媒体の関係もあろうが敢えて原作の主題である個人的宗教感情を、社会に共有させる悪を問題にしたコミュニケーションの軋轢による苦悩で代替してそれが原作の方に見劣りしない位の問題意識のビビッドさを持っているのは驚異的だと思う。結局、身近な個人の愛に帰結する

2021-02-06 08:43:22
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

のも、そらお手軽な答えではないかも知れないけど、フィクション的には極めて誠実な物で意外と最終回を見たら勇気が湧いてきた。 …後、ドラマの『銭ゲバ』脚本、演出、主演陣の演技どれをとってもハイクオリティで普通に薦められる

2021-02-06 08:43:23
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

正直に言えば…今まで人生で見たドラマの中でもベストに近いと思うし映像も、脚本も日本のドラマ史上に残るドラマだと思う『銭ゲバ』は。すべての話に数度は必ず印象的なシーンがあるのは、全く惰性で作られてなかったからだと思う。 5話の札束を投げるシーン、6話の母の墓前で

2021-02-07 04:38:54
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

泣くシーンの無機質さ、ケーキを拳で崩すシーンの醜怪さ7話の殺人を食卓で自供するシーンの悍ましさ、荻野刑事が金が詰まったケースを抱えながら路上で慟哭するシーン、8話の満足にアルファベットも言えない風太郎を見る緑の顔との交差、ホテルで伊豆屋の面々に対する友情が崩れる愉悦を怒りに一変

2021-02-07 04:38:55
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ) @R0noFIFdiKiJjA4

させるシーン、父との対話、最終回の新聞の切り取りに酒を組む椎名桔平、フラッシュバックする「幸せ」の文字とその不可逆性を身を挺して教える導火線… 思いつくだけでこれだけある。

2021-02-07 04:38:55