ナカニシヤ出版, 2012
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永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

神田孝治『観光空間の生産と地理的想像力』ナカニシヤ出版, 2012 近現代日本の観光地、とりわけ「南国」として表象された場所におけるイメージの形成と変遷を扱う。場所への語りと観光という実践とが、時にコンフリクトを生みながら場所の「神話」を構築、あるいは解体する様子がよく描かれている。 pic.twitter.com/9NFcLTuo4U

2021-08-03 14:21:17
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この本のキーワードは「他所」。観光地はしばしば、日常から遠く離れた世界としてイメージされる。そしてその他所イメージは、リゾート地としての肯定的なものになることもあれば、「遅れた地域」という差別的なまなざしと結びつくこともある。

2021-08-03 14:27:27
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

両者は相反する別個のものではなく、むしろ「異質であるからこそ魅力的」という表裏一体のかたちで表れる(オリエンタリズム)。さらに、土地に対する「処女地」という表現や、観光地に歓楽街が形成される例が示す通り、他所イメージの形成はジェンダー的な非対称性も深く関わる。

2021-08-03 14:34:07
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

個別のトピックとしては、第3章で扱われる台湾の事例が面白かった。日本統治期の台湾では3つの国立公園が選定されたが、その評価をめぐっては、「日本を代表する風景」なのか「台湾を代表する風景」なのかという対立軸が存在した。準拠集団のスケールによって風景の評価軸は容易に変わる。

2021-08-03 14:36:53
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

国立公園制度発足に深く関わった田村剛は、”日本を代表する風景として”阿里山の山岳風景を高く評価する。一方、史蹟名勝記念物調査会から国立公園選定に携わった早坂一郎(台北帝大)は、ケッペンの気候区分という科学的言説を持ち出しつつ、熱帯的植生こそが台湾の風景として相応しいと主張した。

2021-08-03 14:45:22
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

ただし、これは第一回台湾国立公園委員会での議論における対立軸であり、実際は田村も早坂が着目する以前から台湾の熱帯的風景を評価していた模様。結局のところ、阿里山は「日本的」なる地として国立公園に選定され、「内地桜」が植樹されるなどナショナリズム的な風景整備が行われていく。

2021-08-03 14:56:05
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

そのほかの事例研究は、白浜、和歌山、熊野、沖縄、与論。基本的にはバトラーの観光地発展段階説に則りながらイメージの変化を追う、という構成。白浜や与論に見られるように、恋愛の場としての場所神話は「奔放な性」というマイナスイメージに転じやすく、観光客と現地住民の対立に至る可能性も。

2021-08-03 15:05:39
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まとめたひと
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

人文地理学・都市社会史/好きなもの→まち歩き,地図,京都,社寺,空間論,民俗学,建築史,GIS/ツイまとめタグ→#地図で見る日本,#参道研究会/現在の研究テーマは近代京都の社寺境内露店/詳しくはブログへ↓

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