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永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

伊藤 毅『都市の空間史』yoshikawa-k.co.jp/book/b32957.ht… >宗教都市論を基軸に中世都市へのアプローチを試み、近世都市のあり方や都市の現代的な問題、建築と都市の関係を論及 pic.twitter.com/COEp0AKlci

2018-08-10 02:22:38
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伊藤毅『都市の空間史』吉川弘文館、2003年 古代の宮都と近世の城下町の間にあって、消極的にしか捉えられてこなかった中世都市に着目した都市史の名著。核を中心とした同心円構造をもつ「境内」と、軸線に沿って伸びる「町」という二つの類型から都市の空間原理を読み解く。 pic.twitter.com/AIyTj5PJK9

2021-04-23 22:56:26
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「境内」と「町」という空間類型についてはこちらの資料が参考になる↓ 伊藤毅「空間/類型 都市建築史の視点と方法」 ※pdf itolab.org/wp-content/upl… 「グリッド」は後から追加された類型。もちろん明確に区分できるものではないが、モデルとして非常に分かりやすい。 pic.twitter.com/1Qy7QGmv5w

2021-04-23 23:09:54
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寺院を中核とした「境内」空間は、さらに閉鎖領域の内部である「寺内」と、その周辺=「寺辺」に分かれる。中世の寺院には、「境内」が「寺内」領域と概ね一致するようなもの(寺内町など)と、「寺内」を超えた広がりを持つもの(五山系寺院など)が存在する。

2021-04-23 23:15:42
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「境内」には、寺院だけでなく塔頭や職人・商人の居所、耕地などが存在し、閉鎖的世界を成している。中世寺院の権力は、この領域への権断権・課役権に支えられていた。それゆえ、柵や堀によってその境界を明示することは、単なる防衛上の問題以上の意味合いを持っていた。

2021-04-23 23:21:44
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「境内」は第一には寺院とその周辺領域を指すが、伊藤氏はこれを都市の理念型として一般化する。すなわち、ヒエラルキーに基づく閉鎖的な空間。この見方からは、武士の館とその周辺に散在する被官・家中屋敷、田地なども「境内」的な空間として見なせる。

2021-04-23 23:27:30
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もう一つの空間類型である「町」は、軸となる道を中心とした空間で、市場や港町に典型的に見出される。建築的には、「境内」に特徴的な屋敷(非接道型建築)とは異なり、町屋(接道型建築)が中心となる。これを説明した三章は屏風絵や絵巻物が資料として用いられており面白い。

2021-04-23 23:33:54
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「境内」/「町」論以外にも、中近世の都市と寺院に関する論考がいくつか。特に寺町については重点的に言及されており、京都・大坂の寺町と江戸の寺町の違いや近世権力の空間的な寺院統制など勉強になる点が多い。

2021-04-23 23:37:49
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かっちりした研究とコラムのような記事が混在している点は少し気になる。特に後半で述べられる「住みこなし」や国際性、災害などのトピックは明らかにテーマの大きさに比して紙幅が足りていないように思えた(おそらく後続のシリーズ『伝統都市』や『危機の都市史』のトピック)。

2021-04-23 23:43:45
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無理矢理自分の関心に引き付けると、寺社が「境内」的な空間を作る一方で、参道という軸を中心に形成される門前町は「町」的な空間と言え、両者の結びつき方あるいはコンフリクトが気になる。この本で言うと「京都本国寺門前相論一件」あたりの話が近いか。 #参道研究会 pic.twitter.com/sg5d4i7fzO

2021-04-23 23:53:04
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