鳩原と勝負した結果がコレかよ!
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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「つまり、花宮さんは僕達のプレイをここまで全部予測してたってこと?」 「そうだよ!遅いよロボ!」 「でも、トモヤのおかげで打つ前にカップの氷に気付けたし、今度こそEXレーザーで直接入れれば問題ないんじゃない?」 は? 「あんな邪魔され方したのに、いけるのかロボ!?」 は? 「うん、別に」

2022-12-30 06:27:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「むしろ無駄な力が抜けていい感じだよ。ありがとう、トモヤ」 鳩原は再びアイアンを構えた。極限の集中が再び始まる。 》集中力(コンセントレーション)再解放!《 ウソだろ…?連続使用できんのかよ。 …80%…100% 空気が限界を超えて張り詰める。 …120% EXレーザー!!

2022-12-30 06:31:28
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

レーザービームが超速で放物線を描く。 ゴルフは得意レベルのオレでも本能で解った。 これは、入る。 球は超長距離シュートのように着地することなく直接カップへと吸い込まれていった。

2022-12-30 06:33:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

終わった…何もかも終わった…… 上のジジイ共に死ぬほど責められるだろうし、オレへの期待は消え去り確実に今のポジションを失うだろう。 そして何より、オレは確実にあの人を失う。 オレがその場にへたり込むと今吉さんは突然笑い出した。 「わっはは!わっはははは!おもろいもん見せてもろたわ」

2022-12-30 06:36:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「いやぁ、惜しかったなぁ。花宮なかなか善戦しとって手に汗握ったわー。ええ退屈凌ぎやった」 退屈凌ぎ…? この男…マジで何考えてやがんだ?自分の人生かかった勝負だったんだぞ? それとも、最初から…?ハナからオレを選ぶ気なんてなかったのか…?   「あのー」

2022-12-30 06:39:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「何でもう終わった感じなんですか?花宮さんの番ですよ」 鳩原が真顔でオレに詰め寄ってきた。 「はぁ?お前は3打で入れて、オレは次で4打目。勝負はもう…」 「お互いホールアウトするまでやらないと気持ち悪いじゃないですか」 「はぁ…」 オレは渋々パットを構え、残り30cmの距離を転がした。

2022-12-30 06:42:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「あと、もう一ついいですか?」 「まだ何かあんのかよ」 「あなた、さっきトモヤのことバカって言いましたよね。訂正してもらっていいですか」 鳩原がさらに異常な圧でオレに詰め寄ってきた。 オレはコイツがゴルフ界の大御所・ドン大熊を池に沈めた噂を思い出した。谷底に沈められる…!

2022-12-30 06:45:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「すまんの、コイツ勝負事となると、ちょおっと熱くなるとこあんねん。許したってや」 「ぐえっ」 今吉さんがオレの頭を腰が真っ二つになるくらいに押し下げた。 「そうだよ、そこはオレ全然気にしてないから!」 中田が割って入る。 「オレが許せないのはズルの数々の方だよ!」

2022-12-30 06:48:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「不利な条件でロボはよくやったと思うよ」 「不利…?不利だったのは花宮さんの方じゃないかな」 「え…?」 「僕達は二人で戦ってたけど、花宮さんはずっと一人で戦ってたから」

2022-12-30 06:51:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「じゃあ、勝負の結果は報告させてもらいます」 「好きにしろよ」 負けた。負けた。負けた…! 何だよ、勝敗の決め手は友情とでも言いてぇのかよ…!天才のくせにイイコぶりやがって…! そうだよ!オレにはねぇよ、んなもん! クソッ…クソッ…クソッ…!

2022-12-30 06:57:30
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

花宮は鳩原呂羽人に負けた。 ワシの転職が決定した。いうことや。 結局、ただの退屈しのぎにしかならんかった。 …でも、なのに、だとしたら、 この落胆とも違う気持ちは何なんやろ。

2022-12-30 07:03:00
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

勝敗報告の電話を切った鳩原がワシの方を見た。 「その関西弁…もしかして地元の人ですか?」 「…せやで」 「じゃあ、秘書さんも…あそこの揚げパン、一度くらい食べたことあるんじゃないですか?」 花宮がハッとした顔でこちらを向いた。 「…小さいときにな。よお覚えてへんけど」 「そうですか、」

2022-12-30 07:10:00
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

「じゃあ、今度お二人で食べてみてください」 終始表情がなかった鳩原が、ほんの少しだけ表情を緩めた。

2022-12-30 07:15:00

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ほな、ワシは明日、青峰と話まとめてくるわ」 デスクでPCに向かっている今吉さんは、オレの心中を察しているのかいないのか、淡々と言った。完全にオレから興味を失ったようだ。 「そうですか。オレも明日はアンタの後任に会って話をしてきます」 ホテルの部屋に沈黙が流れた。

2022-12-30 21:00:00
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

勝てば官軍、負ければ賊軍。世の中、結果が全てや。 「ほな、ワシは明日、青峰と話まとめてくるわ」 花宮は負けた。ワシは結果に従うだけ。ワシの人生は勝ち馬にのるだけ。今まで通りや。 「そうですか。オレも明日はアンタの後任に会って話をしてきます」 ワシは思わずタイピングする手を止めた。

2022-12-30 21:05:16
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「そもそも、花宮なら別に秘書なんていらんとちゃう?」 今吉さんは何事もなかったかのように沈黙を破った。軽い調子にイライラする。 「アンタにはもう関係ねぇだろ」 「それもそやな。新しい人と頑張ってな」 ベッドに寝転がっているオレからは今吉の表情は見えない。

2022-12-30 21:05:30
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

もうそんなん決めとんの?いつから決めてたん?それ誰やの?オマエほんまに勝つ気あったん? 「そもそも、花宮なら別に秘書なんていらんとちゃう?」 色々聞きたいことはあったが、ワシの口から出たのはこれだけやった。 「アンタにはもう関係ねぇだろ」 …それもそうや。もう口出しする権利はない。

2022-12-30 21:06:19
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

つか、今日も同じベッドで寝んのかよ…

2022-12-30 21:10:00

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「いらっしゃい、花宮」 瀬戸は以前と変わらぬ様子でオレを招き入れた。タワマンっつーほどではねぇが、そこそこの高さのマンションの一室。洒落たドアの先は男一人暮らすには広すぎる部屋だった。オレ達に会う時間もねぇくらいここ何年かは仕事にのめり込んでたみてぇだからな。高給取りなんだろう。

2022-12-31 11:30:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「久しぶりだな、健太郎。お前、社会人になってから付き合い悪くなったろ、いつぶりだっ「山崎の結婚式ぶりだよ」 出た。瀬戸のカブせてくる癖。カブせられたのはムカつくが、オレは少し懐かしい気持ちになった。 「お互い記憶力は良い方だろ、そういうのやめようぜ。木吉から軽く聞いたよ」

2022-12-31 11:33:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オレのところに来たってことは、今吉さんの後任をオレに頼みたいって話だろ」 瀬戸は先回りして自分から言ってきた。お前ら本当に友達だったのかよ…つか、木吉口軽ッ! 「ああ、お前は優秀な奴だし、お前なら今吉さんの代わりを任せられると思ってな」 「……座ってよ。ゆっくり話そう」

2022-12-31 11:36:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「お前、料理なんかできたんだな」 「一人暮らしするようになってから覚えたんだ」 慣れた手つきでパスタの具を切っていく瀬戸をオレは食卓から見ていた。 「手伝うことあるか?」 「いいよ、花宮のメシまずいし」 「オイ」 「合宿のときは大変なことになったよね。古橋は喜んで食べてたけど」

2022-12-31 11:42:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「今日は人ん家だし別にサプリメントは入れねぇよ」 「それもそうか…じゃあ、ちょっとこっち来て手伝ってよ」 外からの光が入るカウンターキッチンでは、瀬戸の持つ包丁が光を反射し輝いて見えた。

2022-12-31 11:45:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

さやえんどうの筋を取っていたオレは、隣で瀬戸がベーコンを切る手を止めたのを感じた。 「…花宮はさ、本当は今吉さんにいてほしんだろ」 「っ…」 「けど、これ以上引き止める方法が思いつかなくて、妥協してオレに声を掛けた。違うか?」 「健太郎、オレはお前を…」 「バカだな、花宮は」

2022-12-31 11:48:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「あ?今何つった?」 「バカだって言ったんだよ。その方法なら花宮はもう知ってるだろ」 「方法…?」 「まだわからないのか?」 瀬戸はこっちを向いて嘲るように微笑んだ。 「また死の淵を彷徨えばいい」

2022-12-31 11:51:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「7年前だってあの人はお前を助けにわざわざ大阪から飛んできたんだ。そして、その後は意識不明のお前を甲斐甲斐しく世話した。花宮が危ないとあれば、今吉さんは無視できない」 「今のあの人は…オレにそこまでの興味はねぇと…思う」 「本当かな?」 瀬戸はオレの胸ポケットに手を入れた。

2022-12-31 11:54:00
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

「アンタがさっきから何度も見てるソレ、何なんだ?」 青峰がワシのスマホを覗き込んできた。 「位置情報アプリ…?なんか落としたのかよ?」 「…そんなところやな」

2022-12-31 11:57:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オイ、返せよ!」 瀬戸はオレのポケットから蜘蛛のネクタイピンを掠め、起用に指で回転させた。 「今だってこれで花宮がオレのところにいるのを知ってヤキモキしてるんじゃないかな」 「いいから返せ」 瀬戸は嫌な笑い方をしてオレの胸元にピンを戻した。 「……」 「じゃあ、試してみる?」

2022-12-31 11:57:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「これから大怪我を偽装するってことか?」 「違うよ、もっと簡単な方法」 瀬戸は手元の包丁に目を落とした。

2022-12-31 12:00:32
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

健太郎がオレの腹に軽く包丁を突き立てる。 「今、ここで。オレが花宮を刺してあげようか?」

2022-12-31 12:03:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

……!? 「はぁ!? お前っ…「ちょとしたケガじゃ意味ねぇし、刺しどころによっては死ぬこともあるだろうな。お互い賭けだね」 「何が賭けだよ。バカなこと言うな。オレが死んだらお前は殺人犯になるしで何も良いことねぇだろうが」 瀬戸の目は冗談に見えなくて、逃げてぇのに身体が硬って動けなかった。

2022-12-31 12:06:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「そうかな?」 包丁の先がオレの腹に軽くめり込む。 「オレは花宮を殺したいと思ってるよ」

2022-12-31 12:09:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「だから、これはwin-winの提案だ」 健太郎が…オレを…? 「何言ってんだよ…お前に恨まれる覚えなんかねぇし…それにオレ達…「そうだな。かつての親友で相棒だ」 瀬戸がオレの肩を掴んだ。身体が固定され、いつでも刺せる姿勢だ。 「でも、お前は今吉を選んだ。そんな花宮、オレはいらねぇんだよ」

2022-12-31 12:12:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「後任?代わり?あんまりバカにするなよ。オレは花宮が幸せならOKな古橋とは違うんだ。プライドってもんがある。オレはお前の二番や保険になる気はねぇんだ。今吉を待ち続けるお前の隣にいるなんて気が狂いそうだ」 「健太郎、オレはっ…「なんで今吉なんだよ!」 瀬戸はオレの言葉を遮り叫んだ。

2022-12-31 12:15:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オレだって一緒に会社やろうって誘っただろ!何であの人なんだよ…あんなちょっと勘のいいだけの凡人…オレの方が頭も良いし…もっといい花宮の手足になれる!」 「だから、健太郎…「オレだって花宮のことは理解できる!オレだって…オレだって…」 瀬戸は包丁を落とし、その場に崩れ落ちた。

2022-12-31 12:18:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「中学生の頃お前に会ってたら、きっと誰より早くお前を見つけた……」 「……」 「なんでなんだよ…」 「……健太郎、」 瀬戸の肩に触れようとしたら、乱暴に振り払われた。瀬戸は項垂れたまま言った。 「帰ってくれ。二度とオレの前に現れるな」 ……。 オレは息を吐き、立ち上がった。

2022-12-31 12:21:30
意識のない秘書今吉bot @Entry2Win

「なあ、青峰。条件があるんやけど…」

2022-12-31 12:30:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

二度とオレの前に現れるな、か…… オレを殺したがってる奴なんざいくらでもいるが、健太郎がそっち側に回るなんて考えたこともなかった…

2022-12-31 13:00:31
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

健太郎に7年も…いや、もっと前からか?あんな想いをさせていたこと、オレは少しも気付いていなかった。 アイツはオレにとって一番の親友で…それじゃダメなのか? …… だが、瀬戸の言ったことは真実だ。

2022-12-31 13:05:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

『ええ顔してるやん』 『いつも、そういう顔してたらいいのに』 『ちゃうちゃう、さっきの顔や』 『素で見せた方』 『自分、ごっつい悪い顔してたで』 『その顔の方が何倍もイキイキしとる』  オレはオレを見つけて肯定してくれたあの人じゃなきゃダメなんだ。

2022-12-31 13:10:30
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

“今吉さんにはお前の気持ちを伝えればいいだろ” 木吉の言うことを聞くのは癪に触る。 だが、今は何も持たないオレのままぶつかるしかねぇ。

2022-12-31 13:15:00
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

その夜、今吉さんは帰ってこなかった。

2023-01-01 00:01:44

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

あれから8年か…… twitter.com/Entry2Hurt/sta…

2023-01-01 00:20:21
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

オレが10年間“妖怪”と恐れていた先輩は オレが今まで潰してきた奴らと同じ── ただの人間だった。

2015-01-01 00:01:02
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

ホテルの部屋で夜中仕事をしながら待っていたが、年が明け朝になった。 スマホを見る。メッセージは来てねぇ。デスクの上を再度見る。書き置きもねぇ。 フロントであの人を見てないか聞きに行ってみるか。オレはデスクから立ち上がった。 グシャッ。 何か紙のようなものを踏んだ。レシートか?

2023-01-01 07:00:44
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

それを拾い上げた。 「メモだ…」 〈青峰と話して明日アメリカ発つことなったから、荷物まとめたいし、先大阪帰るわ。花宮はゆっくりしてきー〉 ……明日!? …って今日じゃねぇか!!

2023-01-01 07:05:00