お題10 自分だけ知ってればいい(大さに)

「ふん、可愛げのない女だ!」 失礼な役人共が主に向かって捨て台詞を吐いて踵を返す。 主は顔色一つ変えずに役人共を見送る。心なしか瞳に悲しげな色が浮かんでいるのに気づき、俺は主の肩に手を置いた。 「気にすることはない。お前の可愛らしさは俺だけが知っていれば良いのだから」
2023-09-14 23:29:53お題9 うつくしい古傷(般若さに)

主人の小指の付け根のぐるりと巻くような古傷、まるで指輪みたいだ。 そんなに良いもんじゃないよ、只の昔のヘマの跡だと云うが、へえそうかい、あんたに跡を残す事の出来たこいつには少々妬けるな、俺も残して良いかい?と小指を噛んでやる。 別の場所にしてよ、頭上から消え入りそうな声がかかった。
2023-05-13 20:53:18お題8 躾はしっかりとお願いします(源氏さに)
さにわを兄者と共用したい弟

140字SS100本ノック (げんじさに) 若干センシティブなので画像で 夜だしまあいいか~!!! pic.twitter.com/mIEcxVCHu8
2023-04-22 23:11:09
お題7 こっち見てよ(燭さに)
僕っこ本丸、なんか書けば書くほどハッピーエンドから遠ざかっていってない??

「僕の事が好き?勘違いだよ」 違うよ、本当に、好きなのに、なんで、 「君はまだ恋に恋してるだけだ」 どんな顔をしてそんなこと言ってるの? 「刀なんかと一緒になるべきじゃない……ツ」 飛び掛かるようにスーツの胸元を掴んた。 「みっちゃん、こっち見てよ!ちゃんとぼくの目を見て言ってよ……」
2023-04-18 22:03:27お題6 多分上手く笑えていない。(へしさに)

演練場で主に軽々しく話しかけてきた男。 この後お茶でもどうですか、だと?主が困っているのが分からないのか、身の程もわきまえずに馴れ馴れしい。 主にそろそろお時間です、と声をかけるとホッとした表情で相手の男に別れを告げ、こちらへ戻ってきた。 「どうしたの、長谷部…怖い顔してるけど」
2023-04-15 22:47:13お題5 君の居ない春に眠る(うぐさに)

頬をふにゅ、と突付かれて目を開くとむくれた顔の主が飛び込む。 居眠りしてないで相手しろ、と俺の首に手を回すのを引き寄せ囁く。 もう少し、このままで。 春はこうして、この桜の下でふたりで眠るのも悪くないと。 頬に桜の花弁が落ち、目を覚ました。 「……そうか、もう主はいないのだったな」
2023-04-06 00:06:43お題4 君の傍(大さに、観察本丸の鶯目線)

執務室。道場。厩。畑。 大広間に、縁側、厨。 それから…… 「何だ、いじけているのか?」 「違うよ馬鹿」 「馬鹿と言う方が馬鹿だ!」 本丸のどこに居ても、大包平の傍にはいつも主が居るのを俺は知っている。 カメラを向けると顔を赤らめた大包平が更に声を荒げた。 「何見てるんだ鶯丸!」
2023-04-01 15:35:27お題3 未送信メール(燭さに)
僕っ子本丸、告白すらしないルート

遺品整理中、主が一番最初に持った端末を見つけた。 もう使えないのに、何故か後生大事にしていたそれにそっと触れると、 「刀紋確認。起動します」 合成音声と共に画面が光り、未送信メールフォルダが開く。 『みっちゃん、ずっと好きだよ』 「……できれば、生きているうちに聞きたかったかな」
2023-03-30 21:26:58
百本ノックの3つめに数えてもいい?いいよ~ これはメールと通話くらいしか出来ないような旧式キッズケータイ、システム的にももう使えないのに後生大事に持ってるのはつまり… さにわの秘密のフォルダとかのパスが刀帳番号とかいうあるあるをやりたかった、字数の関係で違う表現になったけど
2023-03-30 23:37:57お題2 目を閉じて、三秒(大さに)

近侍と一緒に訪れた万屋街。 突然の轟音と共に現れた遡行軍。 逃げ惑う人々、指揮をとる審神者、立ち向かう男士達。 一般の人々を避難誘導しようと動く私の進路は敵に塞がれた。頭上に刃が振り落とされようとする。 「目を閉じていろ!……邪魔だ!」 三秒後、目を開くと頼もしい近侍の背中が見えた。
2023-03-26 19:44:09お題1 日常崩壊寸前(古備前さに)

敵襲を受け、本丸の屋根へ駆け上がった私はあまりの高さに足が震えた。あんなに訓練したのに。 「主!」 呼び声に顔を上げると敵を斬り伏せる二振りが真下へ駆け寄るのが見えた。 「大丈夫だ、訓練通りにやれ!…鶯丸!」 「心得た。主、来い」 すっと腕が差し出される。 「案ずるな。必ず受け止める」
2023-03-20 21:27:48