✄------------ 自分の考え方に気づく ------------✄ 前掲書第1章 pp.82-84 ストレスについての考え方を変えるには、まず、いま現在のあなたのストレスについての考え方が、日常生活にどのようなかたちで表れているかに気づくことです。
2016-03-22 17:12:51わたしたちはふだん、自分の考え方が生活にどのような影響をもたらしているかに気づいていません。というのも、考え方の背後にある思い込みが、あまりにも深く染みついているからです。
2016-03-22 17:16:05ストレスについての考え方も、まさか自分で「選択」したものだとは思わず、世の中に対する正当な評価としか思えません。ストレスについて自分がどう考えているかはよくわかっていたとしても、その考え方が自分の思考や、感情や、行動にどのような影響を与えているかまでは、なかなか気づきません。
2016-03-22 17:20:05この状態を「マインドセット・ブラインドネス」と呼びます。これを解決するには、「マインドセット・マインドフルネス」の練習が役立ちます。 つまり、ストレスについてのこれまでの考え方が、自分の生活にどのような影響を与えているかに注目してみるのです。
2016-03-22 17:25:20ストレスについての自分の考え方に気づくには、ストレスを感じた時に自分がどう思い、どんなことを言っているかに注意してみましょう。
2016-03-22 17:29:33マインドセットというのは色眼鏡みたいなもので、ストレスを感じるたびに思うことや口ぐせがきっと見つかるはずです。声に出して、あるいは心の中で、どんなことを言っているでしょうか?
2016-03-22 17:30:34そんなストレスについてのお決まりの考え方のせいで、自分がどんな気分になっているかに注目してみましょう。 やる気が出ますか? ひらめきが生まれますか? それともどっと疲れを感じますか? 途方に暮れてしまいますか? そんな自分や日々の暮らしを、どう思いますか?
2016-03-22 17:35:29ストレスについてのあなたの考え方は、あなたが他人のストレスに対してどう反応するかにも影響します。周りの人がストレスを感じている時、自分がどんなことを感じたり、言ったり、したりするかに注意してみましょう。
2016-03-22 17:39:41周りの人がストレスで愚痴をこぼしているのを聞くと、嫌な気分になりますか? それとも「まあ、落ち着いて」「そんなにイライラしないほうがいいよ」などと声をかけるでしょうか? ひどく疲れた様子の人には、なるべく近寄らないようにしていますか?
2016-03-22 17:45:03それとも相手が愚痴をこぼしたら、自分も思い切り愚痴をこぼしてやろうと思うでしょうか? まるでどちらの生活の方がストレスが多いか、競い合っているみたいに。
2016-03-22 17:47:20自分がどんな行動をしているかに気づいたら、そのせいでどんな影響が生じているかに注目してみましょう。自分の健康状態や、周囲の人たちとの関係に、どんな影響が表れているでしょうか?
2016-03-22 17:50:13マインドセットを探し始めると、そこらじゅうに見つかります。メディアの報道にも、他人の身の上話にも、ストレスについての考え方がにじみ出ています。コマーシャルにしても、ストレスを和らげる効果をうたって、さまざまな商品を売りつけようとしています。
2016-03-22 17:58:15マインドセット・マインドフルネスの練習をするのに必要なのは、好奇心だけです。あなた自身や周りの人たちのストレスについての思い込みが、あなたの感情やストレスへの対処の仕方に、どのように影響するかがわかってきます。
2016-03-22 18:03:52そのうえで、あまり役に立たない思い込みはなるべく捨て、もっとポジティブな考え方を行動に移す方法を学んでいきます。 ストレスについてもっとも役に立つ考え方は、フレキシブルな考え方であって、白か黒かの両極端な考え方ではない、とクラムは言います。
2016-03-22 18:09:29何でもかんでもポジティブにとらえようとするよりも、ストレスを感じた時に自分の考え方を意識的にポジティブに変えた方が、ずっと自身が湧いてくるはずだと、クラムは考えています。
2016-03-22 18:12:42本当の意味で重要なマインドセット・シフトは、ストレスについてもっとバランスの取れた考え方ができるようになることです。そうすれば、ストレスに対する恐怖が減り、対処できる自信が湧いてきます。そしてストレスをうまく利用して、人生としっかり向き合っていけるようになります。p.86
2016-03-22 18:15:57✄------------ 「ストレスは役に立つ」と思うと実際にそうなる ------------✄前掲書pp.54-57 クラムもやはり「ストレスをポジティブにとらえている人は、あまりつらい経験をしたことがないのではないか」と疑ってみました。
2016-03-23 17:43:04ところが実際にデータを調べてみると、ストレスについての人々の考え方と、実際に経験したストレスの強さには、相関関係はほとんどなかったのです。
2016-03-23 17:47:34また、過去1年間に強いストレスを感じた出来事が多かった人ほど、ストレスについての考え方がネガティブになっているかというと、そのような関連性もほとんど見られませんでした。
2016-03-23 17:48:23つまり、ストレスをポジティブにとらえている人たちも、決して苦しみのない人生を送っているわけではなかったのです。さらにクラムの研究によって、ストレスをポジティブに考えられるかどうかは、過去1年間に感じたストレスの大小とは関係のないこともわかりました。
2016-03-23 17:53:03楽観的な人は悲観的な人より長生きすることもわかっています。もしかしたらこの楽観主義が、人々をストレスの害から守っているのかもしれません。クラムはその可能性も考えてみました。
2016-03-23 18:00:17すると、「ストレスにはよい効果がある」と思っている人たちには、どちらかといえば楽観的な傾向があるとはいえ、関連性は小さかったのです。
2016-03-23 18:00:49じつは楽観主義のほかにも、ストレスについてのポジティブな考え方との関連性がもっと大きい、ふたつの性格的な特徴があることがわかりました。それは、「マインドフルネス」と「不安定な状況に耐えられる力」です。
2016-03-23 18:03:26しかし、クラムの分析によって、それらの3つの特徴のいずれも、ストレスマインドセットが、健康や、幸福感や、仕事の生産性に効果をもたらす説明にはならないことが、明らかになりました。
2016-03-23 18:05:45ストレスについての考え方には、その人の性格の特徴やそれまでの人生経験が多少は反映されているとしても、ストレスマインドセットが健康や幸福感にもたらす効果を説明することはできません。
2016-03-23 18:08:08しかしクラムの研究は、もっと確実性の高い可能性を示しています。 それは、ストレスマインドセットが強力なのは、考え方だけでなく行動にも影響を及ぼすからだ、ということです。
2016-03-23 18:10:24「ストレスは害になる」と考えている人は、ストレスは避けるべきだと考えます。そうすると、ストレスを感じたとたんに「逃げなければ」「ストレスを減らさなければ」と思ってしまいます。
2016-03-23 18:12:33﹅ストレスに向き合おうとせず、ストレスの原因についてなるべく考えないようにする。 ﹅ストレスの原因に対処しようとせず、ストレスを紛らわそうとする。
2016-03-23 18:19:25﹅ストレスを紛らわすために酒などに逃げたり、依存したりする。 ﹅ストレスの原因となっている人間関係や役割や目標に対して、努力したり、意識を向けたりするのをやめる。
2016-03-23 18:19:59それとは反対に、「ストレスには役に立つ点もある」と考えている人の多くは、ストレスに対して積極的に対処すると答え、たとえば次のような行動を取ります。
2016-03-23 18:21:45﹅強いストレスを感じる出来事が起きた事実を受け止め、現実として認識する。 ﹅ストレスの原因に対処する方法をしっかりと考える。 ﹅情報やサポートやアドバイスを求める。
2016-03-23 18:24:16﹅ストレスの原因を克服するか、取り除くか、変化を起こすための対策を講じる。 ﹅困難な状況をなるべくポジティブに考え、成長する機会としてとらえることで、その状況において最善を尽くす。
2016-03-23 18:27:00このようにストレスへの対処の仕方が異なると、結果には大きな違いが表れます。困難な問題を避けたり否定したりせずに、正面から向き合えば、ストレスの多い経験に対処する能力をつちかうことができます。人生の試練を乗り越える自信もついてきます。
2016-03-23 18:32:32困った時には相談し、助け合う仲間もできます。自分でどうにかできる問題には、手遅れになる前にしっかりと対処できるようになります。どうにもできない状況は、成長するための機会として受け止められるようになります。
2016-03-23 18:35:32多くのマインドセットと同様に、「ストレスは役に立つ」と思っていると、現実にそのとおりになっていくのです。
2016-03-23 18:37:17[ミントのサムネイル用] 抜粋②『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』 twitter.com/chokusenhikaem… pic.twitter.com/SeYxqDw7so
2021-10-12 01:30:25✄--------- マインドセット(思い込み)を変える介入実験 ---------✄ 前掲書pp.57-72
2016-03-23 18:54:34グレゴリー・ウォルトンが介入のターゲットとして選んだのは、健康や成功の妨げとなることが研究によって明らかになっている考え方…たとえば「知能は生まれつき決まっており、発達させることはできない」という思い込みなどです。
2016-03-23 18:55:40ウォルトンが考案する介入実験は、そうした思い込みに対して別の考え方を提示し、参加者がその新しい考え方を取り入れられるように導きます。 こんな感じです。「これまで考えたこともなかったかもしれませんが、じつはこんな考え方もあります。あなた自身にも当てはまるでしょうか?」
2016-03-23 18:59:56「もし自分だけが浮いているような感じがしても、それは君だけじゃない。新しい環境に入ったばかりの時は、ほとんどの人はそう感じるものだから。でも時間がたてば、そういう感覚はいつのまにかなくなる。」
2016-03-23 19:06:34ウォルトンが「社会的帰属」を研究の中心テーマに選んだのは、学校や職場をはじめとする大事な場所で、自分だけが浮いているように感じている人が多いことを認識していたからです。
2016-03-23 19:09:16けれども、みんなそんなことを平気で話したりはしません。だからほとんどの人は、周囲に溶け込めないのは自分だけだと思ってしまいます。 自分だけが浮いているように感じると、ものごとの受け止め方にも影響が出てきます。
2016-03-23 19:12:34周りの人たちとの会話や、ちょっとした失敗や誤解など、ほとんどありとあらゆることが、自分が実際に周囲から浮いている証拠のように思えてしまうのです。
2016-03-23 19:14:50自分だけが周りから浮いていると思い込んでしまうと、「詐欺師症候群」(自分は実力のないペテン師だと、いつかみんなにバレてしまうにちがいない)や、典型的な強迫観念(みんな、わたしは失敗すると思っている)や、
2016-03-23 19:19:03セルフ・ハンディキャッピング(どうせ無理に決まっている)など、さまざまな否定的な心理状態を生み出します。 そのような心理状態は、チャレンジを避ける、問題を隠す、フィードバックを無視する、支えとなる人間関係を築こうとしないなど、自己破壊的な行動につながる恐れがあります。
2016-03-23 19:21:30自己破壊的な行動を取っていると、失敗や孤立を招くリスクが高くなり、ますます実際に自分が周囲から浮いている証拠としか思えなくなります。まさに思い込みが現実になってしまうわけです。
2016-03-23 19:24:12介入実験のはじめに、ウォルトンは3年生と4年生を対象としたアンケート調査の結果から、入学時の経験を振り返ったコメントを引用して1年生たちに読ませました。それらのコメントはどれも「誰もが社会的帰属の問題で悩むが、その問題は時間とともに解決する」というメッセージを伝えるものでした。
2016-03-23 19:32:351年生たちがアンケート調査の先輩たちのコメントを読み終えると、実験の担当者が、こんどは1年生たちにエッセイを書くように指示しました。自分たちが大学に入って経験したことは、先輩たちの体験談とどれくらい似ているか考えて、書いてみるのです。
2016-03-23 19:36:221年生たちがエッセイを書き終えると、実験の担当者が新たに説明を始めました。「じつはいま大学では、来年の新入生オリエンテーションのために、案内用のビデオを作成しています。ビデオの目的は、大学生活を送るための心構えを新入生たちに伝えることです。
2016-03-23 19:39:47そこでぜひみなさんにも、いま書いたエッセイをビデオカメラの前で読んでもらい、案内用ビデオに登場してほしいのですが、いかがですか?」 「みなさんもご存知のとおり、どんな生活が待っているかまったくわからずに新しい環境に飛び込むのは、けっこう大変です。
2016-03-23 19:42:56