二月三月に書いた#twnovel を中心に
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みお @miobott

#twnovel 腕に重さを覚えてみれば、そこに月が寄りかかっておりました。「いつの間に」と呆れる私に「いいじゃないですか、この時期はどこもかしこも満開で私一人乗ったくらいじゃ枝も折れまい」この季節、月は桜に乗って南から北へと、随分気楽な旅をするのです。 pic.twitter.com/shz8GhuT0E

2018-03-29 22:13:02
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花弁のように転がり落ちた月の雫 pic.twitter.com/w8qFKFry5F

2018-03-29 22:03:49
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どれだけ焦がれても、けして手の届かない人 pic.twitter.com/e2p0AEtPmk

2018-03-29 21:51:33
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#twnovel 「私も貴方も桜に狂わされた頃を覚えていて?」振り返ると庭には巨大なしだれの桜がみえた。彼女が庭に桜など植えるわけがない。植えられるはずもない。彼女は桜吹雪に手を伸ばす。 「貴方は山賊、私はその戦利品、貴方は私を殺し」 私は鬼になったのです。と、彼女の指先が私の喉を貫いた。 pic.twitter.com/vaaIYMt9AN

2018-03-24 22:50:35
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#twnovel 桜は不気味で仕方が無いの。と、ある婦人の言葉である。彼女は桜の季節になると人が違ったように暴れるため主治医である私が毎朝呼ばれ、彼女に薬を投与する。その繰り返しだ。何十年経ったろうか「覚えている?」彼女は私に囁く、彼女の気の触れたその夜に。私は何かを思い出そうであった。 pic.twitter.com/xGf1w81MCb

2018-03-24 22:50:34
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みお @miobott

#twnovel 春の風がなぜ暖かくなるかご存じ? と、木蓮が笑った。知らぬと答えれば彼女達は一斉に蕾を天へと向ける。まるでそれは無数のキャンドルが宙に向かって灯るようだ。 「私達が火を灯すのです」 途端、空気に生ぬるいものが混じり、日差しは一段と強くなった。 pic.twitter.com/Vf4muugnAi

2018-03-24 22:31:50
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みお @miobott

#twnovel ある日、私は空を飛んだ。飛んでみれば、あれほど熱望していた空はただ暗く寒い。眼下には人の営む色がある、音があり、温度がある。空には音もない、温度もない、声も、優しさも、何もかも! 「貴方はそんな空を求めたのでしょう?」 冷たい手が私の腕を掴み、私の悲鳴は夜の静寂に消えた。 pic.twitter.com/ZxbgfnmiIs

2018-03-20 23:13:07
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みお @miobott

#twnovel 彼は浮気な男だ。美しい女の合間を行ったり来たり、一人の所に留まることをしない。今日もまた、美しく綻んだ娘の側で甘い言葉を囁いたと思えば、すぐに袂を払って去って行く。「恋をするには春は短すぎるので」気障に笑う彼は緑の衣をまとうメジロ。彼に縋って春の花が泣く。 pic.twitter.com/E6UIRIdljP

2018-03-18 19:28:06
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みお @miobott

#twnovel 小ぶりな花の多い春にあって、木蓮は大きく大きく白く咲く。それは春を呼ぶ巨大な団扇のようだ。と、友は意地悪く笑う。その声が聞こえたのかどうか、木蓮の花は不気味に花を大きく開き「せめて扇子とお呼び下さい」と、我らを睨む。なるほど彼女の花言葉は「高潔」である。 pic.twitter.com/zM9REhf45D

2018-03-18 18:45:25
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みお @miobott

#twnovel メジロは毎日春を訪ねて花へ花へ、飛ぶ回る。赤色の絨毯を踏みしめ覗きこみ、春の気配を感じ取る。メジロに焦がれる花はなすがまま。彼が飛び去れば、花は春の涙のように花を落とす。 pic.twitter.com/s4T4KFdWqC

2018-03-18 18:23:59
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みお @miobott

#twnovel 春は天から降りて来る。それはまるで花の梯子のようなもの。春の女神に恋したメジロは、梯子を昇って天を目指すが密の甘さに心奪われて、毎年女神に出会えず春を終える。 pic.twitter.com/7qLzliid09

2018-03-18 18:14:07
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みお @miobott

#魔女集会で会いましょう 冬の森に住む魔女は、ある日森の入口で弱っ人の子を拾いあげた。魔女の心臓は雪の結晶、血は氷柱。彼女に近づけば皆凍る。彼女の母も恋人も皆皆死んだ。 この子もやがて死ぬだろう。 諦めながらの半信半疑、数百年振りのほんの気紛れに、彼女は子供に冷たいスープを与えた。

2018-02-12 22:24:57
みお @miobott

少年はかつて、冬の森で拾われた。弱い体を理由に人間の両親に捨てられたのだ。死にかけの彼を拾ったのは、冷たい感情しか持ち合わせないと噂の氷の魔女である。 数百年もの間孤独に生きたその人は、懸命に少年の面倒を見てくれたものらしい。 少年はやがて息を吹き返し、そうして彼は大人になった。

2018-02-12 22:24:57
みお @miobott

魔女の側で暮らすうちに、彼の足は凍って落ちた。魔女の看病を受ける裏で、彼は別の魔女の元へ。その魔女に腕と目を与える代わりに、彼は化け物の腕と足を得た。それを見た魔女は嘆く。「お前は人間を捨てて別の生き物になるつもりですか」 「ええ」青年となった彼は笑う。 「貴女の側にいられるなら」

2018-02-12 22:24:58
みお @miobott

化け物だ。と誰かがいった。 殺される。と誰かが悲鳴をあげた。 「ほらお母さん」 全身化け物の姿となった男が魔女の冷たい体を引き寄せ抱きしめる。「人は僕を見て怯える」魔女は氷の指で彼の頬を撫でた。「ええ私ではなく」 彼は魔女の流す氷の涙を手で受け止める。 「貴女の孤独を分かち合いたい」

2018-02-12 22:24:58
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まとめたひと
みお @miobott

食べたり飲んだり書いたり。 書籍化📖 「上島さんの思い出晩ごはん」「極彩色の食卓シリーズ」「深川花街たつみ屋のお料理番」「彼女は食べて除霊する」 ヘッダーは@moshio_tsumuriさんthx お仕事依頼等は m.miobott@gmail.comまでお気軽に。 BOOTHで同人誌通販もしてます。