インハイ終わった後のどこかの日曜。訳あって妹ちゃん1人になるからリョーちんが「練習見に来るか?」って体育館連れてくる。どうせ流川だけだろって思ったら、スタメン+木暮+マネ2人居て驚くリョ。花道にリハビリは?って聞いたらボール触る位ならいいらしく来たら皆いた。3年ズは勉強の合間に来て
2023-01-05 17:00:16て、晴子は兄の様子見に彩子は学校に用事があって先生に鍵借りに来てた。意図せず集まったメンバーを見上げるリョの後ろからひょっこり顔を出す妹。事情を説明すると「宮城アンナです。いつもリョーちゃんがお世話になってます」と頭を下げる。メンバーに囲まれて怖がるかと思いきや「おっきいね!!」
2023-01-05 17:09:04と目を輝かせる。 「リョーちゃん1番チビじゃん」 「うっせっ!他がデカすぎんだよ」 「1番大っきい人ってあれでしょ!ダンナ!」 「!!」 「で、赤い髪がハナミチ、隣の人がルカワ!」 「おい」 「眼鏡の人がコグレさん?で…」 三井を指さして 「ミツイヒサシ」 「なんで俺だけフルネームなんだ」
2023-01-05 17:17:54「だって、リョーちゃんいじめたから…」 「「ッ?!!!」」 絶句する三井とリョ。2人を他所にゲラゲラ笑う花道。 「ねぇ、お姉さん達どっちがアヤちゃん?」 「え?」 「リョーちゃんがね、綺麗な人がいるって言ってたの。2人とも綺麗だからどっちかなって」 「ふふ、ありがとう。私よ」って笑う彩子
2023-01-05 17:24:49晴子が挨拶すると「ハルちゃんね」と笑う妹。女子が盛り上がってる中でゴリが咳払いをして練習を始める。妹もお手伝いしながら見学。合間にゴリに肩車してもらったり木暮や花道にバスケを教えて貰ったり腕立てする三井の背中に乗ったりとはしゃぐ妹を見つめるリョ。掃除して帰りに三井が妹に
2023-01-05 17:38:23「あー……その。悪かったな兄ちゃんに怪我させて」 「それはもういいよ。だってリョーちゃんすごく楽しそうにバスケしてるから。インハイ終わっちゃたけど、皆がみっちゃんが居てくれたから戦えたんでしょ」 その言葉に三井が肘ついて妹と目線を合わせて頭を優しく撫でる。
2023-01-05 17:46:23「兄ちゃんが、宮城が居てくれたから俺達は戦えたんだ。ありがとな」 「ちょっと三井さーん、ウチの妹に手ぇ出さないでくれますぅー?」 「バッ!!お前な?!」 「アンナ帰るぞー」 「はーい」 ばいばいと手を振り並んで歩く。 「リョーちゃん」 「ん?」 「良かったね」 「んー、まぁそうだな」
2023-01-05 18:32:31何が良かったのかは言わずとも、伝わってる2人。 「今日、楽しかったか?」 「んー?そうだなぁ」 考える素振りをしながら、リョの手を握って 「すっごく楽しかった」 って笑うアンナ。 握った手をブランコみたいに振りながら、足取り軽く帰路に着く。 そんな宮城兄妹の話。
2023-01-05 18:41:08リョは弟だけど、兄でもあるからアンナの前ではずっとお兄ちゃんしてる。アンナはソーちゃんの前で弟やってたリョを覚えてるから、リョがずっと気負ってるのを知ってる。だから、メンバーの前で楽しそうに笑ったり怒ったりしてるのを見て「息がしやすい場所」があって良かったと安堵してる。
2023-01-05 21:12:06アンナの中でソーちゃんの事は永遠にお兄ちゃんなんだけど、だんだん朧気になる思い出を掻き集めて悲しくなるより、今一緒に生きてるリョとの家族の思い出を沢山作る方が、ソーちゃんも喜んでくれるだろうなって思ってる。
2023-01-05 21:18:33アンナ、湘北スタメンは初めましてなんだけど、ヤスの事は知ってるから仲良しだと良い。 「ヤスくんこれ持ってー」 「はいはい。いいよ」 「こらっ、自分で持てって!ヤスも甘やかすなよ」 って学校帰りにアンナ真ん中で帰ってる。
2023-01-05 23:18:02帰宅。帰り道宮城兄妹の事ずっと考えてた。アンナが結婚する時バージンロードを歩くのはリョだよね。仮にアが23の時リョが28だとして、選手としてノリに乗ってる時に妹の為に準備も資金も用意して頼むぜ、って結婚相手の胸を叩くんだよ。式では一切泣かないけど、終わった後に大泣きしてるんだよ…
2023-01-06 01:23:16例えば、結婚相手がヤスとか信頼できる相手なら早々にアンナをよろしくなってなるんだけど。仮に三だった場合、最後の最後まで反対するし暴れるし事ある毎に別れさせようとする(笑)でも、いざ結婚したら事ある毎に三と会ってる。あと三もリョに会いに行ってる。そして喧嘩して帰ってくる。
2023-01-06 01:29:48家族写真の話。 ※映画時リョ17歳(高2)、アンナ13歳(中1)、4歳差と仮定。 リョの小中高の入学と小中の卒業の時の家族写真は3人(アが絶対に撮りたいと言うのでしぶしぶ。リョは仏頂面)対してアンナの小中の入学卒業の写真はいつも母と2人。高校卒業前に渡米が決まり、アルバムを見てその事に気づく。
2023-01-28 03:42:37山王戦の後から母とのわだかまりも和らぎ、以前よりも格段に会話が増えた。ダイニングテーブルには兄だけでなく父の写真も飾られ、母がよく笑うようになった。家族の潤滑油だった妹は更に我儘が増え、あれこれと家族でしたい事を話すようになった。家族に残された側だった自分が家族を残して離れる事の
2023-01-28 04:01:06事実を突きつけられて否が応にも罪悪感を覚えた。別に死に別れる訳ではない。あの妹がいるなら大丈夫。そう思うのに、残された母と妹の事が急に心配になった。母に返した兄のリストバンドは改めて母から手渡された。「一緒に夢を叶えなさい」そう言った母は穏やかに笑っていた。自分ばかりが貰っている
2023-01-28 04:17:29家族としての何か目に見えないものを貰っている。そんな気がしてリビングの部屋を漁り、出てきたのがアルバムだった。小学校の卒業式、中学の入学式、自分は仏頂面で愛想がなく、対して妹はいつも笑顔だった。母の表情は心なしか硬い。ぎこちなく歪な形で形成された「家族」という関係性が見て取れた。
2023-01-28 04:29:01隣にある妹の卒業写真。2人で寄り添って撮られたそれは笑顔なのに寂しさが滲むようだった。 「…行ったことねぇもんな。アンナの卒業式」 妹が中学を卒業する時、自分はアメリカで帰国できるかどうかも分からない。そもそも向こうでやっていけるのか、期待と不安で先を見通す余裕もない。
2023-01-28 04:38:16「あー……仕方ねぇな」 そう言ってアルバムを閉じる。 運動着に着替えて外に出た。 ※※ 「ヤスくんなんで写真撮ってんの?」 「学校の卒業アルバム用だよ。部活の様子を撮って先生に提出するんだ」 「へー!あれ?私写ったらダメじゃん」 「いいんだ。これは部誌の分だから」 「ふーん?」
2023-01-28 05:09:10首を傾げるアンナを他所に晴子と彩子がアンナを真ん中に寄り添う。 「じゃ、女子3人。綺麗に撮って貰おう?」 「いいの?アヤちゃん」 「いいの!ハイ、チーズ」 「は?なんでアンナが写ってんだよ」 「ヤスくんとアヤちゃんがいいって言ったもーん」 咄嗟に彩子の後ろに隠れる。彩子がリョを窘めると
2023-01-28 05:22:07その隙にアンナがヤスのカメラを借りて写真を撮り始めた。 「お前!」 「いいじゃん。部活の写真でしょ?ヤスくん副部長じゃん。写らなきゃおかしいでしょ?ハナミチ!ルカワ!1on1やってー!勝ったらハルちゃんとツーショット!」 「なぬっ!」 「えっ!」 「……」 「アンナ!」
2023-01-28 05:30:50「リョーちゃんもやるよね?勝ったらアヤちゃんとツーショット♡」 ニヤニヤと腹の立つ顔で煽る妹にお前そんな顔どこで覚えてきたんだと言いそうになって、自分と花道とここには居ない三井の顔が思い浮かぶ。 「クソっ!!やってやんよ!!」 ヤケクソで参加するリョを彩子とヤスが笑いながら見送る。
2023-01-28 05:39:32アンナが持つカメラとは別に安西先生が用意していたカメラをヤスが取り出した。 「それ、去年もやったわね」 「うん。先生からの餞別だから。沢山撮っておきたいんだ」 「じゃあ、アンタも行ってきなさい。写真は皆で撮るものよ?」 「ウチのマネージャーは格好良いなぁ」 コートで言い合う声がした。
2023-01-28 06:19:52卒業式も終わり、渡米の準備もあらかた終わった日の夜。リビングで寛ぐ妹に差し出した。 「ん」 「なに?」 「アルバム。部誌のやつ」 それだけ言って部屋に戻る。 「おかーさん!アルバムだって!」 「卒業アルバム?」 「ううん、部誌だって。あれ?2冊?」 1冊は卒業生の入部~引退までのもの。
2023-01-28 06:54:29もう1冊を開けて、アンナが固まった。 「え?!なんで…」 高2のインハイ後にリョに連れられて初めて部活を見学してから約1年。すっかり顔馴染みになった兄の部活仲間。練習の合間に撮られたアンナと部員達の写真はあの場所がリョにとってどんな場所だったかを伝えてきた。 「同じ顔してる」 「え!」
2023-01-28 07:27:57唇を少し尖らせたその顔に兄達の影が重なって母が目を細めた。 「はっず!!もぉ!なんでこんな写真いっぱいあるの?!」 そこではたと気付く。なぜこんなにも自分や兄の写真が沢山あるのか。お遊びで色んな人が撮った筈のこれを誰が集めてアルバムにしたのか。 「お母さ…」 「アンナ」 最後のページ
2023-01-28 11:25:13「これ、机に飾ろうか」 その1枚の写真を取り出す。 「うん。それ私も好き」 卒業式の看板の前での写真。家族3人が並ぶそこへ現れた友人達。突然の事に驚きながらも彼らと共に撮ったその写真には笑顔が溢れていた。 「1番賑やかな家族写真じゃん」 今までない卒業式の写真だとアンナが嬉しそうに笑った
2023-01-28 18:40:22