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TaisukeS @MC_Shinse

そろそろ有益なことを呟かなければという使命感に駆られ、クルマに関することを... まずは皆さん大好き「カーボン」について、正しい呼称はCFRPつまり炭素(カーボン)繊維で補強した”プラスチック” あくまでプラスチックであるということが重要です 何故かというと。。。続く

2022-02-05 23:29:08
TaisukeS @MC_Shinse

よく我々の謳い文句で「カーボンは鉄の5倍強い!」なんて言いますが、とんでもない誇張広告! ここで重要なのが樹脂材料に含まれる炭素繊維の割合(Vf,Fiber Volume Ratio)で大体6割程度、確かに炭素繊維の強度は鋼材の5倍でも、この時点で炭素が持つ強度剛性に6掛けしたものになってしまいます

2022-02-05 23:29:09
TaisukeS @MC_Shinse

さらに悪いことに、この炭素は細長い糸なので持つ強度は基本的に糸が並んでいる”ある1方向”の強度なので、他の方向には強度が全くありません。 (パスタをイメージしてください引張っても絶対にちぎれませんが曲げればポキっと) そこで一般的には炭素繊維を様々な方向に向けることで十分な強度を得ます

2022-02-05 23:29:09
TaisukeS @MC_Shinse

もちろんここでも材料としての”ある1方向”への強度は落ち、結果的には鉄材と変わらないくらいの強度となります  モータースポーツでは直行2方向の繊維を織物にした材料を様々な方向に配向して使用されます。最外表面に使用される織物カーボン繊維、これが車体に輝くカーボン柄の正体です。

2022-02-05 23:29:09
TaisukeS @MC_Shinse

1枚目が一方向に並べられた”UD”材と呼ばれるもの (Uni-direction) 2枚目は2方向の繊維を織物上にしたもの 航空機や構造材料にはUD材を多く使用し 成形の細かい自動車部品には綾織や平織のCFRPをもちいることが多い pic.twitter.com/bqdVkT2DTe

2022-02-05 23:35:45
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TaisukeS @MC_Shinse

目を凝らしてみると2つの直行する方向に炭素繊維が並んでいることが分かります 画像上下では織込む際の一束の繊維数が異なり 主に剛性が変わります 下のCFが有利 これは粗く編んだ羊毛のニットと細かく編みこんだツイードをイメージすれば同じ繊維でも異なる織り方が持つ剛性の違いがわかりやすい pic.twitter.com/gqDUYzNoBr

2022-02-05 23:45:06
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TaisukeS @MC_Shinse

ちなみにさっきから”ある1方向”の強度剛性と言ってますが、これがCFRPの設計をおこなうえで肝 設計者は必要な方向に必要な強度剛性を調整できるのです。 対して最近よく聞く”フォージド”カーボン、正しくはチョップドカーボンですが、これは短い繊維がランダム方向なので強度剛性は等方向になります

2022-02-06 00:00:44
TaisukeS @MC_Shinse

F1マシンに目を凝らしてみれば数種類以上の織り方のカーボンファイバーが使われていることが分かります どこの部分にどのプリプレグが使用されているか観察してみればどの強度方向?剛性を優先?耐衝撃性?を求めて設計したのか、違った視点で2022年の新車を見れること間違いなし! #f1jp

2022-02-06 00:00:45
TaisukeS @MC_Shinse

皆さんはいわゆる”ドライ”カーボンと”ウェット”カーボンの違いがわかりますか? 先ほどのツイートで勘のいい方はわかると思いますが このVfが異なります。 ドライの場合は数気圧で圧力をかけ樹脂を引き抜きながら成形するためVfは上がります。つまり強度/重量面で有利で、その価格を除けばドライが正義

2022-02-06 00:10:50
TaisukeS @MC_Shinse

カーボンボンネットやウイング等、市販車向けの部品が流通してますが、全部が全部F1みたいなプリプレグ製法ではなく、ウェットもあれば真空引き製法もあるので、ご注意を。 実際CFRPの一種ではあるので騙しているわけではないですが、重量面と価格面で天地の差があるので

2022-02-06 00:16:20
TaisukeS @MC_Shinse

ちなみにマクラーレンのモノコックや高級車向けのCFルーフはRTM製法を使用していてこれは プリプレグ製法並みのVfと強度剛性を、生産サイクルを高めることで低価格を目指したいいとこどりの製法なんです。

2022-02-06 00:23:27