1.『バベル-17』サミュエル・ R・ディレイニー 著 岡部 宏之訳。詩人のリドラは、インベーダーとの戦闘のさなか発信される謎の信号が、バベル-17というひとつの言語だと気づく。「家」という概念のない言語体系の者に「家族」を説明するにはどうするか、という問いは、今でもいろんな形で考える。
2019-06-09 08:52:202.『愛に時間を』ロバート・A・ハインライン著 矢野徹訳。生きることに飽きた最長老ラザルスの思い出話と新たな冒険の物語。長命種と短命種(普通の人間)の切ない愛情。虹についてあらゆる情報を説明できるのに、虹そのものを感じることができないコンピューターミネルヴァ。家族と愛を問いかける連作。
2019-06-09 09:08:473.『大誘拐』天藤真著。嘗めてた老人が実はとんでもなかったシリーズ。大地主のばぁちゃんを誘拐して身代金を要求したのはいいけれど、気がついたら立場が、あれ?!嘗めてたジジィは大概マッチョだけど、ばぁちゃんは頭脳派だった。ばぁちゃんの真意は?ジメジメ感がなくてただただ痛快なのが好き。
2019-06-09 09:23:324.『海の底』有川浩著。初期自衛隊三部作のひとつ。突如海底から現れた怪物は人間を捕食する超巨大ザリガニだった。対抗する警察、自衛隊、米軍。その海の底には、被害を逃れた子供たちと自衛官が乗る潜水艦がいた。警察や自衛隊の苦しい立場がリアルで重いけれど、それだけに「知る」意味は大きい。
2019-06-09 09:38:065.『クリスタル・シンガー』アン・マキャフリイ著 浅羽莢子訳。歌手になる道を断念したキラシャンドラが、その歌声でクリスタルを切り出す「シンガー」を目指す。キラはかなり性格のきついヒロインだけど、運と技能と体力のすべてが必要なクリスタル歌いは、そうでもなきゃやってけない感じ。
2019-06-09 10:05:176.『鉄鼠の檻』京極夏彦著。時々無性に読みたくなる京極堂シリーズの中でたぶん一番好きなのがこれ。わりと判りやすいミステリーになってるのと、禅宗の解説が好きなのかもしれない。見立ての事件になってるのも楽しい要因。内容忘れてる巻もあるけど、これは覚えてる方かなぁ。何度か再読してます。
2019-06-09 19:02:187.『空飛ぶ広報室』有川浩著。同じ自衛隊ものとして初期の三部作と比べると、圧倒的に明るくて読みやすい。自衛隊に多大な偏見を持つテレビディレクター稲葉が「普通の常識」の罠に陥る読者を代弁してくれる。ブルーインパルスへの道を閉ざされた失意の空井の成長が、別の道筋を教えてくれる。
2019-06-09 19:24:038.『指輪物語』J・R・R・トールキン著 瀬田貞二訳。指輪の仲間というのは、実はそれぞれ皆違う立場で、目的も方向性も違っていたりして、その時々で自分のやるべき事を信念をもって行っていて、その上で最終的に目的が達成できればいいなぁという仲間なんだって、最近になって気が付きましたよ。
2019-06-09 20:04:469.『ノーストリリア』コードウェイナー・スミス著 浅倉久志訳。世界は力強く人々は美しく気高いけれど、主だって描かれるのはマイノリティと虐げられた存在。あの選別と救いを有りかもしれないとちょっとでも思ってしまうのは、「逃げ」だし、完全に人類補完機構の罠なんだろうなって思う。
2019-06-09 20:43:2310.『プリンセス・トヨトミ』万城目学著。公民で習ったはずの会計検査院というお仕事を、この小説で初めてきちんと理解しましたよ。リアルに生活するこの世界の、特定の地域に隠された別の世界があるというのは凄くワクワクするし、その地域に生まれ育てなかったことは滅茶苦茶悔しいのです。
2019-06-09 20:59:2211.『百器徒然袋―雨』京極夏彦著。京極シリーズの中では榎木津が一番お気に入りでして、そのエキセントリックさ、意味の分からなさ、剣呑さ、チートさの全てが好きなので彼がほぼ主役のこれと『~―風』は非常に好きなのです。これだけ短編なのに京極堂も嫌々ながらきっちり仕事してますしね。
2019-06-09 21:23:53こないだの「本棚」で出さなかったヤツで揃えようかと思ってたんですが、やっぱり好きなのが本棚の前面にあるので、ダブるけどいいやと思い直しましたよ。
2019-06-09 19:39:09