主缶に水管缶、主機に蒸気タービンを搭載「せざるを得なかった」理由
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天翔 @Tensyofleet

戦時標準船用、甲50型蒸気タービン。戦標2TLの主機である。三菱広島では終戦までに6基が製作されたとの資料がある。 pic.twitter.com/WrzJ64eFuz

2018-05-14 23:24:50
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天翔 @Tensyofleet

回想によれば、タービンの減速歯車室のフランジ面、要するに歯車カバーの合わせ面だろうが、これを加工する機械がないので動員学生がタガネではつり、ヤスリをかけ、何度もすり合わせを行って加工したという。

2018-05-14 23:29:45
天翔 @Tensyofleet

蒸気タービン装備という結果からだけではなく、なぜそれを選定した(あるいは「せざるを得なかった」)かという経過を見ないと、本邦戦標船の評価は難しいように思う。

2018-05-14 23:31:48
天翔 @Tensyofleet

甲50型蒸気タービンと減速装置の図面。二気筒に比して効率に劣る単気筒タービンと、過去に採用例のないロックドトレーン式減速装置を使用することになった理由が、当時の事情を示唆するものになるだろう。 pic.twitter.com/1toev78G7x

2018-05-14 23:50:17
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天翔 @Tensyofleet

戦時標準船用、22号水管缶。三菱広島で終戦までに制作された23基のうち、第一号の完成式の写真。 pic.twitter.com/eGc8PGaaRF

2018-05-15 23:21:51
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天翔 @Tensyofleet

22号は三胴型片袖式の水管ボイラで、戦時標準船2A型の一部と第三次戦時標準船の各型に搭載されたもの。位置づけとしては、「円缶の製造が困難になったため急遽制定された」もの。

2018-05-15 23:24:22
天翔 @Tensyofleet

こちらが円缶で、戦標1C、2TMに搭載された3号缶。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/NYXtlS0rSf

2018-05-15 23:30:55
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天翔 @Tensyofleet

こちらもなぜ円缶を諦め、戦前日本商船でわずかに十数隻しか搭載例のない国産水管缶(大水管缶及び輸入缶除く)を製造した(あるいは「せざるを得なかった」)のは、先の蒸気タービンと同じ背景。すなわち、当時の日本の限界を示すもの。

2018-05-15 23:40:12
天翔 @Tensyofleet

戦後に色々文句を言われてしまう戦標2Aさん。。。 pic.twitter.com/UD1fCTlIp6

2018-05-16 23:43:15
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天翔 @Tensyofleet

戦標甲25型蒸気タービン(経済1,800/最大2,500shp)と減速装置の略図。甲25型は戦標2A型(6,600総トン,11,200載貨重量トン)のほか、3D型や青函連絡船用車両渡船であるW型(第八青函丸以降)にも搭載されている。 pic.twitter.com/87bPf1e5Vt

2018-05-18 22:16:20
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天翔 @Tensyofleet

1935(昭和10年)に建造された、とある蒸気タービン船の機関室。船名は屏東丸(大阪商船)、この4,460総トンの貨客船の機関出力は最大3,600shp。特殊な例を除けば、蒸気タービンで最大2,500shpというのはほぼ下限の規模。 pic.twitter.com/eKriQVnRUJ

2018-05-18 22:27:55
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天翔 @Tensyofleet

戦時造船史(小野塚一郎)には、内燃機関以外で限られた鋼材の量からできるだけ多くの発生馬力を得るためタービン化・水管缶化を進めたこと、円缶用の缶板の製造に制約があるので使用が比較的少ない水管缶を主力とすることが記されている。

2018-05-18 22:41:02
天翔 @Tensyofleet

計画造船発足時の調査で、最も不足を来すとされたのは主機械と主汽缶であった。ここで往復動機関の生産拡充に向かわなかったのは、発生馬力に比して消費する資材が多いと考えられたためであった。

2018-05-18 22:43:26
天翔 @Tensyofleet

なお、同書の第二次戦時標準船の項には、主機は蒸気消費量20%の増大をしのんで単筒タービンを、汽缶は水管缶を採用する方針、となっている。

2018-05-18 22:44:13
天翔 @Tensyofleet

日本が爪に火を灯しながら第二次戦時標準船を竣工させ始めたちょうどその頃、アメリカではビクトリー船が同様に竣工しつつあった(1944年2月~)。ビクトリー船は7,200総トン、10,600載貨重量トンと戦標2Aに近い数字だが、主機は蒸気タービン6,000shpである。 pic.twitter.com/MseluA598o

2018-05-18 22:56:24
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天翔 @Tensyofleet

忘れてましたが、甲25型は丁型海防艦も積んでましたね。。。昭和造船史の配置図を見るに、減速ギヤはちょっと異なるようですが。 twitter.com/Tensyofleet/st…

2018-05-18 23:01:37
天翔 @Tensyofleet

戦時造船史にはまた、『二二号缶のような鈍重なもので水管缶と円缶の中間をいくような設計も行われた』とある。鈍重な、とはどういう意味だろうか。 twitter.com/Tensyofleet/st…

2018-05-18 23:07:23
天翔 @Tensyofleet

多分こういうことかなあ、と思う。自動給水装置があれば解決する問題のような気がするが、こういう設計にせざるを得なかった、ということなのだろう。 pic.twitter.com/KZgxsIEvdg

2018-05-18 23:13:48
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天翔 @Tensyofleet

このグラフのうち、戦標缶各種の方は同じ著者の別の論文に数字が載っている。「危険水面」の考え方や、戦標缶についての記述もある。 ci.nii.ac.jp/naid/110003879… pic.twitter.com/SbncqpGVB7

2018-05-19 13:01:03
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天翔 @Tensyofleet

運よく戦後まで生き延びた戦標船、効率が悪いので主機を換装したいが、何分造りと寿命がアレでナニな船に対する費用対効果を考えるとそうもできず、小手先の改造で色々頭を捻ることになる。なお、減速ギヤに関しては「根本的にどうにかしないと無理」という結論らしい。 pic.twitter.com/YSBpnQeqnT

2018-05-19 20:03:22
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天翔 @Tensyofleet

この表から分かることは、戦標2Aをまともな缶と機関に換装すれば、消費燃料が3割近く減少するほど効率が改善するということですな。。。

2018-05-19 20:12:41