はじまり
即興で書き出したらなにかはじまってしまったおはなし

.@hurt_nor 夜のかみさまが月に恋をし、輝きを称える文をしたためた、ところが月が謙遜し、それは太陽のおかげですと返したものだからさぁ大変!
2022-02-15 23:31:37
月の心にいるのは太陽なのか、自分の居場所はないのかと、夜のかみさまは思いあまって太陽を食べてしまいます ばっくんちょ 意外とほかほかしてておいしかったので、かみさまは気持ちよくなって寝てしまいまして、世界は真っ暗闇に包まれたのです
2022-02-16 19:45:21
夜のかみさまがふと目を覚ますと、真っ暗な世界でさめざめと月の泣く声がします あの美しいかんばせはどこにいってしまったのかと、辺りを見回したかみさまは、ああ己が太陽を食べてしまったのだった、と思い至りました
2022-02-16 19:47:46
あまりにきれいな声で月が泣くものですから、しばらくかみさまはそれに聴きいってしまいました それからはたと我に返り、えっちらおっちらと飲み込んでしまった太陽を外に出してやります
2022-02-16 19:49:18
太陽もいきなりのことでびっくり、しばらくぼんやり光っておりましたが、しばらくするとこちらも正気を取り戻して空にのぼってゆきました 夜明けに気付いた月もそのかんばせを上げまして、またうっすらと輝き出します
2022-02-16 19:51:40
かくして世界は夜明けを迎え、夜のかみさまも反省して、半日だけの月との時間を楽しみに仕事に勤しむようになりました ただし時々またぞろ癇癪を起こすもので、世界の片隅ではたまに極夜や白夜があるのだそうです おしまい
2022-02-16 19:53:45即興与太神話はたぶんこれが初回↓↓

これは前回の即興与太話 twitter.com/cocas_gottani/…
2022-02-16 20:25:08
はじめ、神には百の腕があり、その創造のわざは当然ながら人知を超えたものであった。神はしばらく自分一人で世界をこねこねしていたが、やがて飽きた。代わりに世界を作るものを造ればいいとひらめいたので、創造の性質を宿した腕をちょっと分け与えて人間をいくつか生んだ。二本腕の誕生である。
2021-03-02 22:32:22
はじめ、神には百の腕があり、その創造のわざは当然ながら人知を超えたものであった。神はしばらく自分一人で世界をこねこねしていたが、やがて飽きた。代わりに世界を作るものを造ればいいとひらめいたので、創造の性質を宿した腕をちょっと分け与えて人間をいくつか生んだ。二本腕の誕生である。
2021-03-02 22:32:22
二本腕が宿した創造のわざは、当たり前だが、神の百よりちょっと減った多数の腕にはかなわなかった。が、神はその辺も加味して人間が繁殖できるようにしておいたので、二本腕は人海戦術でもりもりと世界を作っていった。かくして人間は世界において創造のわざをふるっているのであるとか、ないとか。
2021-03-02 22:37:46
そんな調子で、神は自分の一部を組み込みつつ数多の存在を世界にぽいぽいとし、世界は多様な生命にあふれた。いろいろパーツをなくしていったので、だんだん神は姿なきものになっていって、いまはなんだかよくわからない存在として記憶と伝承に世界に引きこもっている。おしまい。
2021-03-02 22:42:24