第171回深夜の真剣140字60分一本勝負

夜ヶ咲 @yorugasaki

口から溢れた泡ぶくが極彩色の魚となって散った。 #140字小説 #深夜の真剣140字60分一本勝負 （@140onewrite） pic.twitter.com/Rqciibn1JQ

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そすぅ @paralyzed_fish

手持ちが足りなくて、200円の熱帯魚は買えなかった。仕方なく168円の熱帯魚を買って帰った。餌をやると寄ってきて、それ以外は知らんぷりで現金なやつだった。 前より狭く感じる店で水槽を眺める。ポケットには適当に突っ込んだ千円札。手ぶらで店を出た。 空っぽの水槽はそのままにしておきたかった。

たこすけ🐙skebはじめました @28NYUpHzVVLvW6z

③百六十八円 #深夜の真剣140字60分一本勝負 ( @140onewrite ) pic.twitter.com/QeVf3oGZVv

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烏蜥蜴 @cornixiv

あの日白い煙が昇った空を見上げていた。幼馴染と村を出て、一緒に魔物を倒して旅をした。いつか名を馳せる事を夢見て。故郷の香りを感じる君の隣はいつも暖かかった。君がいたから道に迷わなかった。余所者と罵る、背後の刃が襲い来るあの時までは。暖かさを失った北の海は凍え死にそうだった。

砂織 @OnlyformeSuna

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite) #140字小説 pic.twitter.com/ukthuCY5wU

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秋月蓮華 @akirenge

ポケットの中には百六十八円、ペットボトル飲料でも買おうと自販機にお金を入れる。飲料を手に取れば空に影が差す。見上げた。 「夏だなー」 いつからだろうか。空に巨大な熱帯魚が泳ぐようになった。アロワナ？　だったっけ。誰かが上に乗って空を衝く白旗を掲げている。 こいのぼりみたいだった。

ゆきやまイマ＠鶏林書笈 @keirin_syokyu

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題： ①熱帯魚 ②空を衝く白旗 ③百六十八円 #木槿国の物語 白旗は源氏ですね。 pic.twitter.com/YYBX9eWAhm

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TAKA001 @001TAKA

防衛大学校名物の棒倒しが始まる。 青空を衝く白旗のように、垂直に立てた丸太の上で大隊総長は待機。猿みたいにつかまって、敵の攻撃に備える。 号令が鳴り橙色の集団が凶暴な熱帯魚のように襲いかかる。ほんの数十秒で引きずり落とされた彼は、片方が百六十八円のコンタクトレンズと名誉を無くした。

てい @orztee

熱帯魚が人間になりたいと言うから、購入費・百六十八円を返す条件で人間にしてやった。美しい人間の女性になった熱帯魚は、すぐにお金を揃えて来た。小銭を置いて立ち去る彼女を追いかけて、ぼくは白旗を掲げて見せた。彼女が鼻で笑うので、ぼくは泣きながら魔法を解いた。道に、熱帯魚が跳ねている。 pic.twitter.com/aLN0rdvHIk

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智子(藍) @fd7chu

和やかな雰囲気のシーズンエンドパーティ会場。テーブル間を泳ぐドレス。美しい笑顔はあざとさと紙一重。瓶ビールを注ぐ指先まで神経を行き渡らせる所作。大会に華を添えるRQ。メカニックの自分とは無関係、水槽内の熱帯魚を眺めるような感覚。視線が交錯し不意に気づく息苦しさ。ここは硝子の内側だ。

ケンタシノリ＠童話＆小説書き屋さん @kentasinori

夏休みのある日、小学生の陽太は算数や国語のドリルを終わらせると、水そうで飼っている熱帯魚をじっと観察しようとノートを開いた。熱帯魚の観察は、自由研究のテーマにうってつけである。 陽太は、新しいエサを買おうと自分の財布を出した。しかし、財布に入っていたのは百六十八円だけであった。

あすか（オタク名sutella） @kagikiri0321

中学生の頃放課後によく通った店があった。路地の先の薄暗い場所にぽつんと立っていた怪しい店、店名は熱帯魚の名前だった気がするが覚えていないし確認する術も無い。環境の変化で今では全て水の中。ただ、あそこはもう営業していないだろう。水平線に空へ伸びるいつか沈みそうな白い旗が揺れている。

RAY/※※※ @growler_ray

雲の上の存在にずーっと付きまとわれて、好き好きを伝えられて随分経った。見下してるのかと邪険に扱って久しいのに、それでも君は諦めてくれない 「降参したいなら、私に聞こえるようにね」 そうか、なら空を衝く白旗を上げて、君への降参を伝えるとしようか。そうしたらこの旗伝って、降りてくれる？

ポッキー(山口絢子)@低浮上多し🙇 @sorapoky

勤務先の熱帯魚コーナーによく来るお爺さんと、帰りが一緒になった。財布を落とした。百六十八円貸してくれないか。端数が気になったが、顔も合わすことだし、と二百円貸した。それきり、彼は店に現れなかった。百六十八円で、お気に入りの場所を失くすんは寂しいで、と歯の抜けた笑顔に話してみたい。