さんごの語る怖い話。
0
さんご🐟さん @_sango_sun

「あ、雪降ってきたね!イシュガルドだと、ずっと降ってるから珍しくないけど、こっちだと降らないから珍しいよね。 雪といえば、こんなお話があるの知ってる? イシュガルドの貧民街に、家族もいないひとりぼっちの男の子がいたんだ。 貧しいけど心優しい子でね。でもさみしがりやさんだったんだ。」

2020-02-18 10:22:50
さんご🐟さん @_sango_sun

「男の子は、よく雪だるまを作って遊んでた。名前をつけたりしてね。とっても可愛がってたんだ。 それを見てた雪の神様が、その雪だるまに命を吹き込んであげたんだ。 すると、なんと雪だるまが真白な髪に真白な肌の美しい女の子になったんだ」

2020-02-18 10:22:51
さんご🐟さん @_sango_sun

「男の子はすっごい喜んだよ!お友達がお話ししてくれるようになったから! でもね。女の子はちっとも笑わなかったんだ。お話はしてくれるけど、全く笑わない、お人形みたいな子だったの。なぜなら、その子の心臓は氷でできていたから。 それでも男の子は、一緒にいてくれるだけで幸せだったんだ。」

2020-02-18 10:22:52
さんご🐟さん @_sango_sun

「冬のある日。すごい吹雪でね。家も何もない男の子と女の子は、建物の影で凍えてたんだ。女の子の肌も凍りついちゃってね。それを見た男の子は、自分の体を盾にして、女の子を吹雪から守ったんだ。女の子は氷でできてるから、寒くなかったのにね。 男の子は寒さで手足が傷んでも、女の子を守った。」

2020-02-18 10:22:52
さんご🐟さん @_sango_sun

「それを見た女の子は、そこではじめて微笑んだの。そして男の子に、『もう大丈夫よ。やさしくしてくれてありがとう。あたたかい気持ちをくれてありがとう。』そう言って、眠ってしまった。 女の子の心臓は氷でできている。あたたかい気持ちを知って、自分の熱で心臓が溶けてしまったんだ。」

2020-02-18 10:22:53
さんご🐟さん @_sango_sun

「男の子はとても悲しんだよ。すっごく泣いた。その涙も凍っていく。そして、男の子は大事な友達を助けるため、自分の心臓をあげることにしたんだ。 …女の子が再び目を覚ましたとき、目の前にいたのは寒さで髪も肌も真っ白になってしまった男の子の亡骸。そして、自分の中に脈打つあたたかい心臓。」

2020-02-18 10:22:53
さんご🐟さん @_sango_sun

「それ以来、女の子は、男の子にあげる心臓を探して歩いているんだよ。 ほら、ちょうど聞こえてこない?吹雪の合間から。 女の子の泣き声が。」

2020-02-18 10:22:53