橘屋あれん
@jyuna01
個展 -空想旅行- 「 #旅人のスーベニア」 2020,11/26-30 @lupopo_cafe --------------------------- #空想の旅へいこう2 中編小説 『 好日来来と夢路をたどる 』 (こうじつくやくやとゆめじをたどる) ---------------------------- 以下ツリーにて本文公開します 🔽 pic.twitter.com/FCqmyFb9U1
2020-08-01 20:35:52
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#旅人のスーベニア #小説 『 好日来来と夢路をたどる 』 奇異ﾉ國には人型の白兎と帽子職人が住んでいた。現世とは離れた異世界。 そこに、別の世界からの旅人が不慮の事故で流れ着く。 違う世界線の物語が交差するとき、嵐が巻き起こる。 pic.twitter.com/PE8rDwiHbr
2020-08-01 20:45:40
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#旅人のスーベニア #小説 序 澪標のおぼろげなる影 大風吹きなば 船は傾き 海の渦の手牽きあり うきたり浜辺に ２足の靴並ぶ pic.twitter.com/lCy9IJLHkg
2020-08-01 20:49:09
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#旅人のスーベニア #小説 Falling down, Falling down. " Unknown " 本文1🔽 kakuyomu.jp/works/11773540…
2020-08-01 20:52:16
橘屋あれん
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#旅人のスーベニア ＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 昨日、オンフルールから大型船で出港した。 港が見えなくなってからほどなくして、天候が悪化したとの報があったと思えば、船が天と地を違えたように大きな揺れを起こした。 季節外れの嵐とは！ pic.twitter.com/WabMBjj1r8
2020-08-10 21:25:05
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＃旅人のスーベニア ＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 僕はといえば手すりに掴まり、船の甲板で様子を伺っていた。 服の裾が右往左往に体にまとわりついては、離れんばかりに暴れている。顔に当たる風に口を塞がれそうになる。帽子はおろか、体ごと風に攫われる心地がした。
2020-08-10 21:34:46
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＃旅人のスーベニア ＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 初めて体感する「嵐」にやや興奮していた。 鶴首にも見える幾重にも連なる、凱旋門より高い波の荒れ狂う様に、この世の果てと云われている海界を見ているのだろうかと。 何度も寄せる波がぶつかる度に、船が大きく揺れる。 pic.twitter.com/GJRHbrd6Ry
2020-08-10 21:38:07
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 快晴の浜。 雲ひとつない。 波打ち際に、か細く痩せた桜の木が満開になっている。 季節は三月だというのに、ここは日差しが強い。 風はさほど強くないが、時折砂を巻き上げて、 チラチラと金色の粒が舞う。 pic.twitter.com/HtVnYP1DGD
2020-08-16 12:09:30
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 「ここは、どこですか」 「勝手に来てどこかと問うのだね。 どこに向かうんだい、きみは」 「どうしてここに来たのかは、わからない」 「されば、どこへ行こうとそこが終。 こっちなら、昼の浜。 あっちなら、夜の森。 奇異なる國へ来たのが運の尽」
2020-08-16 12:32:27
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個展 -空想旅行- 「 #旅人のスーベニア」 2020,11/26-30 @lupopo_cafe --------------------------- #空想の旅へいこう2 中編小説 『 #好日来来と夢路をたどる 』 章２・striped gown 公開します ▽ kakuyomu.jp/works/11773540… pic.twitter.com/BZLwk776Zw
2020-08-16 19:00:00
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#小説 ＃好日来来と夢路をたどる まぶしいほどの日の光が差しこむ庭園の、 バラのアーチの下を歩いている。 いつもの光景 あまい香り この庭は懐かしい気持ちになる。 しかしながら、なにが懐かしいのかわからない。 首から下げた懐中時計の時を示す針は 方位磁石のように、ぐるぐると回っている。 pic.twitter.com/GwdOvdvLxa
2020-08-16 21:04:46
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 上座より卓上に飛び乗り、テーブルクロスの上を滑り、 客人のいる下座の端まで勢いをつけて、目前に躍り出た。 「お初に御目に掛かります。 私はアルフォデル・コキノ。 茶会へようこそ！ 待ち人来たらず、午後三時すぎ。 貴方の来訪を祝って、祝月見茶会をしよう」 pic.twitter.com/2ciVg9sTkS
2020-08-20 20:51:48
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 足元にある、カップのソーサーの端を強く踏んだ。 その反動でカップが宙に浮いたのを右手に取る。 客人の瞳の青に、一瞬で我に返る。 森の緑が映り込むほど、澄んだ瞳をしている。 「貴方の名は」 「僕はノアール」
2020-08-20 20:54:52
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 「我々は、この奇異國に住まう者で、 御覧の通り、毎日、夜の森で茶会をしている。 空をご覧よ。 どうだい、月が泣いているのが見えるかい？ あの雫とそこに混ざる月の欠片を集めて、茶を煎れるのさ 」 pic.twitter.com/K646GDmzRg
2020-08-22 12:33:48
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個展 -空想旅行- 「 #旅人のスーベニア」 2020,11/26-30 @lupopo_cafe --------------------------- #空想の旅へいこう2 中編小説 『 #好日来来と夢路をたどる 』 章３．Unbeknownst to me 公開します ▽ kakuyomu.jp/works/11773540… pic.twitter.com/WmfOAExw3a
2020-08-22 12:45:21
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＃旅人のスーベニア ＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる パリの郊外。 集落から外れた森の奥深くで、 雨に洗われ息絶えそうだった僕を拾った魔女がいた。 それはまだ、僕がただの毛の塊の黒猫だった時の話。 pic.twitter.com/iOJoBYmJbs
2020-09-04 21:46:58
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 「ずいぶんハイカラな都からお越しで。 聴いているだけで愉快爽快」 コキノは頭上から生えた二本の白く長い兎耳を、 こちらにパタパタと傾けながら、口を挟むことなく、 僕の話を聞いていた。 pic.twitter.com/VDBMFiALyV
2020-09-04 23:16:11
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 「帽子屋、砂糖が足りない。一寸くれないか」 コキノは振り返って声をかけた。 帽子屋と呼ばれたその人は、ふっと笑って、 ようやく脚を下げて体を起こし、 ポットに手を伸ばした。 pic.twitter.com/iKxQMEEMAy
2020-09-04 23:18:32
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 立ち上る煙は少し紫がかって見えるようだった。 「此の着ている服も俺が仕立てた。心配には及ばない」 目線を合わせるように、僕の顔を覗き込んでくる。 僕は静かに、はいと返事した。 pic.twitter.com/rKYQy7q14o
2020-09-05 00:26:19
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 今の僕には旅に必要なものが何もない。 魔除けの眼鏡、シャツ、スーツ、靴、帽子、 そして旅行鞄も。あるのはこの身だけ。 「お前さんは白兎と身丈幅があまり変わらないようだ、代わりを借りるとよい」 隣に立っているコキノがまん丸の目を細めて ほほ笑んだ。 pic.twitter.com/xR5pJ5Dew1
2020-09-05 00:29:36
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個展 -空想旅行- 「 #旅人のスーベニア」 2020,11/26-30 @lupopo_cafe --------------------------- #空想の旅へいこう2 中編小説 ＃小説 『 #好日来来と夢路をたどる 』 章４．winter gown 公開します ▽ kakuyomu.jp/works/11773540… pic.twitter.com/b04R4wWElI
2020-09-06 18:39:47
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＃小説 ＃好日来来と夢路をたどる 食事が済んだことを確認し、私の気に入りを渡した。 客人が選んだ着物が深い藍染めで、袴は濃い灰色。 それに合わせ、羽織は白基調に鮮やかな紅椿に青海波梅の模様のあるきれいな生地の訪問用を貸す。 午前九時五十七分。我々は家を後にした。 pic.twitter.com/g60C3RR119
2020-09-13 00:43:22
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