Togetter/min.tを安心してお使い頂くためのガイドラインを公開しました。
西大陸北岸を支配する一大軍国ヴォストニア。 茨の森に囲まれた難攻不落の王国を支配する魔王と呼ばれた男には、亡き妹が残した半人半馬の双子の甥があった。
0
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

いばらの壁の向こうから~双子の王子の物語~ 【Prologue】魔王と王子と茨の壁 pic.twitter.com/Em4P9dUmnf

2021-04-07 23:07:55
拡大
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

【Ⅰ】 西大陸を横一文字に横断するエノク山脈…またの名を天帝の座と呼ばれたその山を境に南岸には数多の小国が存在していた。 集落程度の小国から古くから王都を持つ歴史ある王国まで、様々な国がひしめくようにその狭い地域に密集する。その様はさながら豪奢な敷物に密に描かれた文様のようだった。

2021-04-07 23:17:01
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

しかし反面、何人をも踏み入ることを許さぬ高き神の座を超えた北岸は全く違う様相を呈している。否、ほんの十数年前までは南岸と同じく小国が点在し、ある一つの大国を衛星のように囲むに過ぎなかった。

2021-04-07 23:22:13
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

しかし今や北岸は一つの大国がその大部分を手中に収め、手つかずの森や山裾の目の届かぬ場所に僅かな集落を残すのみとなっていた。 …大国の名はヴォストニア。 荒れ狂う北の大海を眼前に臨み、その周りをいばらの森が取り囲む難攻不落のその国を人々は畏怖と畏敬の念を以って「いばらの壁」と呼んだ。

2021-04-07 23:26:54
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

広大な北岸の大地は初めからヴォストニアの支配下にあったわけではない。 先にも述べたように、かつてこの地はアポネと呼ばれた大国がその大部分を支配下に置き、影響下にあった小国が衛星のようにその周りに点在しており、ヴォストニアとてその衛星国の一つに過ぎなかった。

2021-04-07 23:50:11
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

しかし十数年前、ヴォストニアの姫君・ジャネット王女がアポネの王に同盟の証に差し出されたことで状況は一変する。 弱腰の父王を廃し、ジャネットの兄である皇太子が自ら軍を動かし反旗を翻したのだ。 その若き王・エリックは恐るべき軍略を以って瞬く間に周辺国を制圧し、アポネすらをも飲み込んだ。 pic.twitter.com/kl0gnt56jI

2021-04-07 23:51:18
拡大
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

こうして数年のうちに北岸の覇権はアポネからヴォストニアへと移り、妹・ジャネット王妹を手中に取り戻し、大国アポネを打倒したエリック王は魔王の渾名と共にその威光を西大陸全土に轟かせることとなる。

2021-04-07 23:51:57
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

【Ⅱ】 夫であるアポネの王を失い、半ば奪われる形で祖国ヴォストニアに帰還したジャネットはしかし、その身にアポネの王の子を宿していた。 それを知ったエリックの怒りようは筆舌に尽くしがたく、怨敵を討ち果たしたはずのヴォストニアに再び不穏な空気が流れるまでにさほど時間はかからなかった。

2021-04-08 21:58:47
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

兼ねてより祖国を蹂躙されてきた怒りだけではない、アポネが他国に侵攻した際、同盟国として従軍したヴォストニア軍は宗主国であるアポネの為に多数の犠牲者を出した。 その犠牲者の中にはエリックが思いを寄せ、将来を誓った半馬身の女騎士も含まれていたのだ。

2021-04-08 22:02:45
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

言わば祖国を足蹴にし、愛する肉親と最愛なる者を奪ったアポネの王はエリックにとって八つ裂きにしても恨みが晴れぬ程の怨敵の中の怨敵だ。 如何に可愛い妹の子であろうとその血を国に残してなるものかとエリックは息巻き、その様に城中が揺れる。 そんな最中、ジャネットは双子の男児を産み落とした。

2021-04-08 22:07:13
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

生まれてきた双子の王子を見るや、エリックは言葉を失った。 ヴォストニア王家に流れる魔神の血は、受胎した星の周りや宿った星により生まれ来る子らの姿を変える。 …生まれてきた双子の王子は彼が愛した最愛の人と同じ半馬身。王家の血を色濃く受け継ぎ、その顔は彼自身によく似ていた。

2021-04-08 22:10:25
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

妹の腕の中で眠る幼い双子。 兄は聖王の星を持つ白の馬身、弟は軍神の星を持つ黒の馬身。 「生まれる腹を間違えやがって…この馬鹿共が」 幼い双子にそう一言笑って呟くと、それ以来エリックは二度とアポネへの恨み言を口にすることはなかった。

2021-04-08 22:16:38
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

こうして双子の王子はヴォストニア王家の子と認められ、国中の期待と祝福の中、優しい母と偉大な伯父に愛されすくすくと成長していった。 偉大な王の下、この祝福された大国は永く幸せを留めるだろう。 広大な国に住む誰もがその未来を確信していた。 pic.twitter.com/GLCSlOyVw5

2021-04-08 22:21:45
拡大
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

【Ⅲ】 しかしそれから数年後、非情の時は突然訪れた。 王宮で行われる定例の夜会の最中、ジャネットは突如意識を失って倒れたのだ。 その場に居合わせた者たちの必死の処置により一命を取り留めたものの母の体は人知れず、そしてもう手の施しようもないほど病魔に蝕まれていることを王子達は知った。

2021-04-13 21:22:59
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

残された時間は極僅か。 それでも最期の時まで祖国で愛する家族の元、懸命に命を繋いだ王妹・ジャネットはそれから半年ほどの後、二人の最愛の子らを兄・エリックに託し、静かに世を去った。 亡き妹の思いに応えるべく、エリックは残された双子の王子を我が子とし、自らが彼らの父になることを決めた。 pic.twitter.com/PwP1DOmiw6

2021-04-13 21:29:20
拡大
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

こうして国王である伯父・エリックに養子として迎えられた双子の王子は兄・リチャードは皇太子に、弟・アンジェロはゆくゆくは王国軍大元帥になるべく、国を支える二本の柱として伯父と城の者たちの元で生きてゆくこととなった。 そして、さらに時は流れ―――

2021-04-13 21:36:16
0
まとめたひと
セーリュー@Daz垢 @SeiryuD

人外率高めの作品作るおばさんのアカウント。作品以外は毒呟き多め。たまに大人向けの作品載せるので18歳以上になったらフォローしてね!Twitter小説「いばらの壁の向こうから〜双子の王子の物語〜」連載中。アーカイヴ→min.togetter.com/id/SeiryuD

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?