小さく首を傾げて笑う姿が、日が差すように愛らしい。 「あなたが好きです、善逸さん。お兄ちゃんもそれは同じで、伊之助さんもきっと、少し違うけど変わらない。形がどうであろうといいじゃないですか。外面がどうであろうといい。あなたが教えてくれたんです」 鬼である私を、ただの少女と定義した。
2022-01-31 03:49:30「当然に愛され慈しまれることを、あの冬の日の後の私たちに一番初めに叩き込んだのはあなたでした」 「は、はは…。なんだかすごい、プロポーズ…」 「そうですよ。あなたは、以前は私にそれを言わせてもくれなかったから」 お兄ちゃん、後悔してるんですよ、と愛くるしい過日の少女が笑ってみせる。
2022-01-31 03:49:30「『求婚をするな』なんて。おかげで、善逸からの求愛が今世で聞けないのではないかって真っ青なの。おっかしいでしょう?それでいて、求婚されたいの?って訊いたら、『ぜひ俺から申し込みたい!』って言うの。でもそれ、私も同じなのよ」
2022-01-31 03:49:30それに。 「私たちに、先に溢れんばかりの愛をくれたのはあなただから」 どれだけ愛せばそれを返せるのかって、ふふ、今世では足りないのかもしれないわ。 「覚悟してくださいね」 あの日の少女は、力強い女性の顔で、頼もしくむん、と胸を張ってみせた。
2022-01-31 03:49:31「ねずこ!白無垢の見本帳面が来たんだ!ぜひ意見が聞きたい!」 「もう!当然ドレスの帳面もあるんでしょうね!」 「えっそれを誰が着るんだよ俺か?不細工と梅ちゃんが常々愛でてくださる俺なのか?」 「当然だろう?」 「ええ…?正気か…?」
2022-01-31 03:57:11「…ねずこなら、と思ったんだがなあ」 この家の家長は、仕方なさそうに苦く笑った。 「前線に立つのか」「いや、俺は宇随さんについてピーチクパーチク口先仕事よ。伊之助とは違ってこれから勉強させていただく立場よ。はあ、やだやだ」「まあ、その脚じゃなあ」
2022-01-31 17:33:51「何だよ、これでもいざというときには何とかするつもりだけど?」「知っているさ」 お前は本当に強いから。 たんじろうくんの記憶。
2022-01-31 17:33:51「おま、え」「お館様から手紙が来た。『フェアでない』…対等、公平ではない、とお考えになったらしい」「…悪かったよ」「こんな不随の俺だが、のけ者にしてくれるな、淋しいぞ」
2022-01-31 17:40:01でも前世から善逸君は童貞処女を貫いているんだな。 宇随さんの教えとして「絶対に体を許すな。すぐに見下されて鬼殺隊ごと骨の髄まで食われるぞ」 でも座敷牢に入るくらいはしてる。いい趣味の人に付き合った結果(ビジネス)
2022-01-31 17:40:02そもそも、善逸は鬼と人とをそこまで明確に区別できているわけではない。 誰かを殺すのが鬼で。 こんな奴死んでもいいと言うのが人だ。 遺族を悲しませるのが鬼で。 こんな奴いなくなっても誰も悲しまないと嗤うのが人だ。
2022-01-31 17:56:52「異常者」だと鬼舞辻は言った。 さもありなんと善逸は頷く。 しかし、その場所で善逸は、奇跡のような心根の人たちを見た。 奇跡を体現したような音を響かせる兄妹に出会った。 ならば、ああ、俺がそれを守ることができるならと、善逸は奮起せざるを得なかった。 美しいものは守られるべきものだ。
2022-01-31 18:00:52車道側どちらが歩くか問題 炭:エスコートの基本に忠実に車道側歩こうとする 善:その時々にだけど炭には前世の記憶に従って(炭の右から車が来るなら右歩く、左から何かが来そうなら左に立つ、みたいな)歩こうとする。かいがくとかではおとなしくエスコートされる(実際の護衛は善だけど表向き)
2022-02-01 18:24:21「お兄ちゃんが善逸さんのこと好きだからですか」 「違うよ」 「善逸さんがお兄ちゃんのこと好きだからですか」 「違うよ」 「お嫁さんにしたいって、言ってくださったじゃないですか」 「ごめんね」 「…もう『私が異形になっても花をくれる人』なんて私の大好きになれる人はあなた以外にいないのに」
2022-02-06 10:35:04「…ねずこなら、とおもったんだけどなあ」 「雷のお方、なぜ彼を私たちの元から引きはがすのです?」 「この体が生きているのが誰のおかげだと思っている。確かに才にはあふれているが、それと体の耐久力とではまた違うゆえな」 「質問に答えていただけますか」 「お前たちではだめだというだけだ」
2022-02-06 10:35:05「理由を知りたい」 「ではなぜいいと思った?これと決めた覡(かんなぎ)が一生を不随の、それも嫁のある男の傍で過ごすことを、俺が許すと思うたか?」 「それは…」
2022-02-06 10:35:05「これはお前らの傍に居らば早世する。早くに傍に召し上げるのはこちらとしてはいいのだがな、お前らにとってはそうではないと思うて云うているのだ」 「まるで感謝せよという」 「言うているのだ。そも、これがいつからこの生を言祝ぎ始めたか知っているか」 「…いいえ」
2022-02-06 10:35:06