打ち合わせ一切なしのリレー小説まとめ
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和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 守りたい。他の誰でもない。アスカさんの笑顔を……。 「まぁ、いずれにせよ、プロトに装甲をつける必要もあるし、武装も必要だ。しばらくは従来型を使いたまえ」 ゴホンと咳払いをすると、グリグリ博士は出ていった。続いて、お医者さんも出ていって下さい残ったのは、アスカさんだけ。

2021-06-02 20:43:14
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「心配、させないで……」 泣きだしそうに顔を歪ませ、アスカさんが僕の胸を拳で軽く叩く。 「奈倉くんになにかあったら私、どうしたらいいのよ」 とん、とん、抗議するように僕を叩く手は酷く弱々しい。いつものアスカさんからは想像できなほどに。 「すみません、でした」 こんなに彼女が心配して

2021-06-02 20:48:51
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L るのは、やはり後遺症の事があるからだろうか。パワードスーツによる後遺症、少なくとも、僕は聞いたことがない。でも、博士はそのせいでアスカさんはスーツを着れなくなり、装着者から外れたと言っていた。 それは、一体何なのだろう。 「ねえ、奈倉くん。やめても、いいのよ?」 静かに、ハッキリと

2021-06-02 22:04:55
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 彼女は訊ねた。 「メガネ怪人からこの世界を守るのは大事だけど、それで奈倉くんが死んだらなんにもならないんだから」 これはアスカさんの本音なんだろうか。あれほど彼女はメガネ怪人を憎んでいるのに。 「それにまた、大事な人を失うのはイヤ」 「アスカさん?」 僕の問いかけで彼女がはっと顔を

2021-06-02 23:07:09
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そらす。それでも、真っ直ぐにアスカさんを見つめる。 「アスカさん、教えて下さい。後遺症の事も、アスカさんが戦う理由も」 かなり動揺しているのか、何か言おうとしては口をつぐみ、また開くのを何度か繰り返した。最後に大きく息を吸い込むと、その大きな瞳で僕を見つめ返してきた。 「わかったわ

2021-06-02 23:29:39
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 全部話す」 泣きそうな顔で、アスカさんが口を開いた。 「恋人がスーツの暴走で死んだ、か……」 口に運ぼうとした缶ビールはもう空になっていた。少し考えて冷蔵庫から2本目を取り出す。アスカさんから聞いた話はいろいろな意味でショックだった。彼女の付き合っていた人がいたのも、スーツの話も。

2021-06-02 23:39:54
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 恋人とコンビを組んでいたアスカさんは、当時もサポートとして活躍していた。そして、その恋人の着用していたのは、プロトと同時期に並行開発されていた、いわば、もう1つのプロト。 それは、スーツ自体の能力を強化していった僕のプロトと違い、搭載されたAIで常に最適な動きをする。人の限界を考えず

2021-06-03 22:16:52
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi に設計されたそれは彼の体を蝕んでいき、あげく暴走。彼は死亡した。アスカさんは周囲の反対を聞かずにそれを着て拒絶され、いまでは激しい後遺症が残っている。 アスカさんと恋人だった彼、そして課長は同期なのらしい。だから課長はあんなにアスカさんを心配していたんだ。 「でもそのプロと僕の

2021-06-03 22:24:32
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L プロトは別物。件のプロトは開発を即刻中止され、スーツは廃棄されたはず。代わりに、僕のプロトをベースに、各種機能の強化を行ったのが現在普及しているタイプ。これに、着用者にあわせてチューンされたものが、支給されている。 プロトも、チューンをされてくるだろう。あとは、その力を使いこなせ

2021-06-03 22:40:29
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ばいいだけ。そのはず、だ。 一週間でプロトが僕専用のスーツとして完成した。 「ほれ、動いてみろ」 「はい」 今日は最初から演習場で、更衣室で着替えさせてもらえたのでそれだけは安心だった。なにしろ、今回は。 無言で不安げに立っているアスカさんに目を向ける。僕になにかあったら困ると彼女は

2021-06-03 22:54:30
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L その後も抗議を続けていた。 アスカさんの後遺症、それは精神的なもの。常に、誰かが死ぬ。親しい誰かが。そんな妄想に取り憑かれ、ならばせめて自分がその代わりにと動く、自己犠牲の心。身体は治っても、心は治らない。癒す方法はたった一つ。諸悪の根源たるメガジョの撲滅しかない。怪人メガーネを

2021-06-03 23:01:55
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 倒すしか。 「大丈夫ですよ、アスカさん。前回とは違い、パワーは抑えてありますから」 「でも!」 「大丈夫ですから」 僕って思われているな、なんて思うのは違うのはわかっているが、それだけ彼女にとって僕が大事な人間になっているのは嬉しい。 テストはSクラスに模したロボットからはじまった。

2021-06-03 23:06:23
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L メガネのレンズを模したのか、巨大な盾を両手に構え、一歩また一歩と近づいてくる巨体。 いよいよ、新生プロトの実力が露わとなる。 ロボットに向かって走り込み、同時にグラスランサー改めくださいグラスジャベリンを真っ直ぐ、ロボットに向かって突き立てる。 スーツのパワーをセーブしてるため、盾

2021-06-04 22:26:26
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi が重い。けれど難なくグラスジャベリンはそれを打ち砕き、ロボットへ届く。 「ギ!」 声とも軋みともつかない音とともにロボットの腹に深々とグラスジャベリンが突き刺さった。 「次!」 グラスジャベリンを振れば、破壊されたロボットが転がっていった。僕の合図で新たなロボットが出てくる。

2021-06-04 22:35:29
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 今度は二体。一体が僕と同じように槍、というか薙刀(おそらく、これもメガネのつるがモデル)のようなものを突き出してきて、その後ろからもう一体が銃(こちらは銃口がメガネ型)を乱射してくる。コンビネーション抜群の動きだが、今の僕には止まって視える。ジャベリンを名前の通り投げつけると、腰

2021-06-05 21:32:22
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi に命中して1体が大破。もう1体が僕目掛けて銃を乱射してくるがそれも全部避ける。突然、目の前に現れた僕にロボットはパニックを起こしているようにみえた。 「遅い」 軽くブローを決めるだけでロボットが吹っ飛ぶ。まだこんなの、準備運動にしかならない。 「次」 今度出てきたのはSS級1体。頭部に

2021-06-05 21:44:28
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は大きなバイザー(メガネ型)がある。右手に剣、左手に盾を持った姿は、子供の頃に見た機動眼鏡ガメネムを思い出す。 ガネメムことロボットは、盾で身を守りながら剣を構えて突っ込んでくる。対する僕は、先程ジャベリンを投げてしまっており、近接装備が手元にない。ゆえに、ホルスターから突撃銃を

2021-06-05 22:13:48
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 取り出し、迎え撃つ。しかしさすがSS級と言うべきか、さっきまでのS級とは違い軽くかわされた。突き出されてくる剣を頭を下げて避け、そのままスライディングでその背後へと逃げる。すかさず先に倒したロボットに突き刺さっていたジャベリンを抜き、ガネメム目掛けて思いっきり投擲した!ガガガガガッ

2021-06-05 22:23:30
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 投げつけたジャベリンを、ガネメムは盾で弾こうとするが、逆に弾かれ、盾を失った上、後ろにふっ飛ばされる。 結果、二足歩行ロボットの弱点である股関節部分が隙だらけ。 突撃銃、いや、博士いわく寝ずに考えたらしい名前である『眼鏡銃』を弱点目掛け連射する。 ジタバタともがくガネメムだが、

2021-06-06 23:09:45
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 簡単に倒れた。 「チェック」 トドメに、腹へ拳を入れる。一瞬、ガネメムは体を起こしたが、すぐにバタリと動かなくなった。 「そこまで!」 博士の声がかかり、そちらを見る。 「え、僕はまだまだ大丈夫ですが?」 このぶんならきっと、SSS級だって倒せる。疲れも全く感じていない。 「バカもの!

2021-06-06 23:22:17
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L リミッターを入れてS級との連戦からのSS級で完勝ならもう充分じゃ!装備のデータも取れたしの」 みれば、研究員方がざわざわとモニタを見ながら話している。 「とにかく、この成果ならば問題ないわね。戦闘力も申し分ないし、リミッターは常時かけておくわよ」 アスカさんが、これだけは譲れないと目で

2021-06-07 11:00:37
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 僕を見ていた。 「ほれ、もう着替えろ」 「はい……」 不完全燃焼で若干の不満を抱えつつ、更衣室へ向かう。スーツを脱いだところで異変に気づいた。 「あ、れ……?」 酷い目眩でその場に膝をつく。なんだ、これ?スーツの副作用?でもリミッターは効いていたはず……?どうにか着替えは済ませたが、

2021-06-07 18:48:28
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 息切れが酷く、立ち上がることすらままならない。 それでもしばらく座り込んでいると、息切れも治まり身体のダルさはあるものの、何とか動けるようにはなった。 ーーこれが自分の限界を越えた力を使うという事か。もう一つのプロトのようにAIに動かされていたら間違いなく倒れていた。アスカさんの彼氏

2021-06-08 01:38:41
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi はどれだけの苦痛に耐えていたんだろう。 「奈倉くん、大丈夫?」 「あ、はい!」 外からいまにも泣きだしそうな声でアスカさんに呼ばれ、慌てて立ち上がる。 「すみません、ちょっと手間取っちゃって」 笑ってみせながら、アスカさんを促す。この人にいまの僕の状態を知られるわけにはいかない。

2021-06-08 02:00:41
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「ならいいんだけど…」 心配そうな顔をするアスカさんは、僕が、手足を動かして見せると、ようやく涙を拭いてくれた。その時、構内のサイレンが鳴り響いた。 『A地区に怪人出現!T1が対応しているが、劣勢のもよう。順次増援に向かえ!繰り返す…』 T1、課長のスーツの名前。 「先輩行きましょう!」

2021-06-08 08:05:58
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「でも」 いつものアスカさんらしく歯切れが悪い。 「課長が心配じゃないんですか?」 「心配よ!心配、だけど……」 僕を本当に出撃させて大丈夫か、といったところか。まだ身体から疲労は抜けていない。いまあれで出撃すればどうなるか不安はある。でも、課長のピンチなのだ。駆けつけなくてどうする

2021-06-08 18:26:37
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L それに、街にはたくさんの人がいる。怪人を放置すれば街に被害が出る。市民に被害が出る。怪我をする人もいるだろう。家族と離れ離れになる人もいるだろう。大切な人を失う人もいるだろう。そして、笑えなくなる。 皆の笑顔を守るのがヒーローだ。僕は、まだ未熟でダメダメだけど、ヒーローなんだ。

2021-06-09 02:01:10
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「行きましょう、アスカさん!課長を、街の人を救わなきゃ!僕なら大丈夫ですから」 「……そうだね」 力強く頷くと、弱々しいながらもアスカさんもうなずき返してくれた。 出動して僕が見たのは、――燃えさかる街だった。 「メガーネ」 SSS級とおぼしき1体を中心に、複数のメガネ怪人が暴れている。

2021-06-09 04:12:23
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L SSS級相手に課長が戦い、その周辺で他のヒーローが戦っているが、明らかに劣勢。数が違いすぎるのだ。戦いは数だ。とは誰のセリフか。個の力は強くとも、一人で十人以上と戦ってる状況は、誰の目から見ても時間の問題だ。 「行きます!」 銃をマシンガンモードに切り替え、怪人に向かって乱射する。

2021-06-09 12:56:13
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「メガーネ!」 雑魚はそれで次々と倒れていくが、どこからともなく湧いてきてキリがない。これはボスを倒すしかないのか? 「くそっ」 弾切れし、引き金を引いてもカチカチと軽い音がするばかり。銃を放り投げ、ボスめがけて走り出す。襲いかかってくる雑魚怪人を捌き、どうにか課長の元へたどり着い

2021-06-09 19:01:34
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L たときには、課長のスーツはボロボロで、ヘルメットは半分割れて、顔が見えていた。 「課長、後方へ!そのスーツでは……」 「いや、私が下がるわけにはいかん!」 どうみても満身創痍の課長。でも、強い言葉で戦い続ける事を宣言した。 「私が下がる事は出来ん!それが、上に立つ者の責務だ!」

2021-06-10 02:47:55
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 尊敬できる、とは思う。でも。 「すべてが終わった後始末をするのも上に立つものの責務です!だから、下がってください!」 はっ、と課長の表情が変わる。その隙に手を掴んで後方へぶん投げた。 「な、なにを……!」 飛んでいった課長に救護員が駆け寄る。 「あなたに死んでもらったら困るんですよ」

2021-06-10 03:52:43
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「ダメだ!ソイツは…!」 なおも叫んでいるが、既に満足に動ける状態ではないらしく救護員に無理矢理連れていかれた。 「奈倉君、援護は…」 サブマシンガンを持って現れたアスカさんの顔が怪人を見た瞬間に固まる。 ーさすがはSSS級か。 ジャベリンを取り出し攻撃しようとすると… 「だ、ダメ!

2021-06-10 11:12:06
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 逃げて!」 「大丈夫ですよ。アスカさんこそ下がって!」 向かってきた怪人の腕をジャベリンで受ける。重い。シミュレーションロボットとは段違いに重い。 「えっ!?」 怪人の眼鏡状のレンズに光が収束する。慌てて身体を避けた。次の瞬間。 ――チュン。 放たれたビームがその火線場のすべてを焼き払う。

2021-06-10 18:39:57
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ーーこれは、当たったらアウトだな。なら……! 怪人の、感情のない目。見た目だけはなんとなくプロトにも似ているが、そこを潰す。ジャベリンを構え直し、突きを繰り出す。 「ウォォォ!」 が、突撃してきた汎用スーツに無理矢理態勢を変えられ、攻撃はそれた。 横をみれば、課長だ。スーツを後方で交

2021-06-11 02:46:04
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 換してきたようだ。 「だからあなたは後方に下がっていろと……!」 「そんなことはできない!」 この、分からず屋が!しかし云い争う暇なく、怪人が第2波を撃とうとしていた。 「よけて!」 足を滑らせ怪人の背後へと回る。課長もすぐに飛び退いた。 ――チュン。 ビームで切れ目の入ったビルが、少し

2021-06-11 03:31:04
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ずつ傾き始めた。あまり長くは保たないだろう。 「アスカ君!退避命令だ!倉池君は、私と奈倉君で楽にさせる!」 ーー倉池? 知らない名前に戸惑う。そして、楽にさせる? なんだか、分からない言葉ばかりだが、考えてる余裕はない。メガーネとは二人がかりでやっと拮抗状態。メガーネもそう思ったのか

2021-06-11 12:22:55
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 一度、僕達から距離を取った。 どちらが先に手を出すか緊迫した状態。隣に立つ課長をうかがう。強気に振る舞っているが、もう立っているのもやっとという状態。やはりここは……。 「リミッター、解除」 僕の声が聞こえたのか、課長が勢いよくこちらを向いた。 「奈倉君、それはいけない!」 「一瞬で

2021-06-11 19:04:44
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 終わらせます!」 『LIMIT OFF 180…179』機械音声が限界時間のカウントを行う。もう止まれない。ジャベリンの柄を前にして全力で駆け出し、すれ違いざまに穂先を反転させ強烈な突きを繰り出す。必殺の一撃は確実に捉えた。だが、メガーネの持つ盾が阻んだ。 「奴のプロトシステムはまだ生きているのか

2021-06-12 02:14:34
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 課長が驚愕の声を上げる。プロとシステム?なんの話だ?しかし考える時間はなく、間髪入れずに回し蹴りを入れる。しかし、がっちりとメガーネに受け止められ、驚愕と共に反射的に飛び退いた。 「どういう!?」 模擬のロボットはリミッターなしで簡単に倒れた。模擬と実践が違うのはわかるが、違いすぎる

2021-06-12 02:32:55
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そうこうしているうちに、時間がくる。 『3…2…1、LIMIT ON』 カウント終了とともに一気に身体が重くなる。立つのがやっとだ。 動きが鈍くなった僕にメガーネが大剣を振り下ろす。ヤバいと思った次の瞬間、課長がメガーネにタックルをくらわせて剣の軌道を変えてギリ助かった。 「タイミングを考えろ

2021-06-12 09:13:39
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi やみくもに突っ込んではダメだ」 「はい」 どうにか立ち上がり、間合いをはかる。リミッターを解除できるのはせいぜいあと一回。次で終わらせなければ……負ける。 不意にメガーネの動きが止まる。収束していく光。レーザー発射直前なら無防備になるのか? 「いまだ!」 「はい!リミッター解除!」

2021-06-12 19:28:59
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 機械音声とともに、スーツの各部からスパークが生じる。スーツも限界が近い。 「行くぞ!」 一切の小細工を捨て、一点だけを見据える。身体の中心。動物で言えば正中線のど真ん中に真っ直ぐに突きを放つ。 後ろからは、課長が銃撃で援護をしてくれていて、メガーネの動きがわずかに遅れ、ジャベリンは

2021-06-12 21:22:04
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi その身体を貫いた。 「マコト……!」 悲痛な叫び声が聞こえ、振り返るとアスカさんが真っ青な顔で立っていた。その、注意が逸れた一瞬。 「ぐはっ……!」 メガーネの大剣が僕を袈裟切りにする。しかし奴もそこまでだったみたいで、僕を切りながらゆっくりと倒れていった。 「ああーっ!」 切られた

2021-06-12 21:31:02
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 瞬間から、膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れていく。 全てがスローモーションに感じる中、スーツのリミッターが、切られながらも、正常に再可動した事を伝える電子音声だけがいやに大きく聴こえた。 〜〜〜〜 気づいたら、真っ白な天井が視界にあった。ゆっくり首を横に動かすと、同じように白いシーツ

2021-06-12 22:00:29
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 横たわる課長が見えた。 「目が覚めたか?」 読んでいた書類を伏せ、僕に声をかけてくれる。 「あ、はい」 ここは?と考えかけて、すぐに病院だと気づいた。 「お互い、スーツのおかげで命拾いしたな。見た目は派手だがそれだけだ」 おそるおそる起き上がり、かかる布団をはぐる。肩から腹下にかけて

2021-06-12 22:06:02
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ざっくりと、大きく結われている。昔に観た、宇宙海賊のようだ。 「傷はヒーローにとっての勲章などと思うな。戦いで負傷した証に過ぎん。我々の勲章はただ一つ。市民の日常。それだけだ」 いつになく真剣な課長の顔は歴戦の戦士というに相応しく、ヒーローの、強く、少し悲しげな姿はそのものだった

2021-06-13 11:12:34
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi とはいえ、脚をつられては少し間抜けだが。 「動けるならアスカくんに連絡してやれ。少し前まで泣き喚いて大変だったんだぞ」 「え?」 「寝ずに奈倉君の傍についていたからな。寝てこいと一旦、帰らせた。元気な声を聞かせれやれば安心するだろう」 「そうします!……うっ」 携帯を掴み、勢いよく

2021-06-13 17:39:12
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 立ち上がろうとして、痛みに声が漏れる。僕も重症には違いないのだ。壁伝いに歩き部屋を出ようとした時、課長に呼び止められた。 「奈倉君。アスカ君には、気に病むことはない。全ての責任は私にある。倉池君のプロト暴走によるメガーネ化も。そう伝えてくれ」 え?と振り返ろうとするも、その前にアス

2021-06-13 17:44:19
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi カさんが姿を現した。 「奈倉くん、気がついたのね……!」 「えっ、あっ、……うっ」 抱きつかれ、嬉しいやら痛いやら大変だ。 「目が覚めなかったらどうしようかと思って心配したのよ!」 「……すみません」 僕になにかあればアスカさんが取り乱すのはわかっていた。なのに気遣えなかった自分が悔し

2021-06-13 17:51:13
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まとめたひと
霧内杳/眼鏡のさきっぽ@アカウントお引っ越し @kiriutiharuka03

アカウントお引っ越し。こちらのアカウントは2月10日をもって停止します。今までのご愛顧、ありがとうございました。新しいアカウントも霧内杳/眼鏡のさきっぽです。凍結怖いので申し訳ないですがこれで探してください。新しいアカウントでも仲良くしてくださると嬉しいです。