思考整理のためのメモです
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sakumad @sakumad2003

博物館の定義に必要だと思われる幾つかのキーワードを書き出してみよう。まずは今の博物館法に入っているキーワードから 資料:今の日本の博物館法だと、モノに限られてる書き方に、動物園とか植物園とかに適合できるよう拡張している。

2021-02-27 12:32:44
sakumad @sakumad2003

でも天文館やプラネタリウムはカバーしきれないし、現象を見せたい科学館、エコミュージアムのように生態や暮らしを見せるコンセプトのミュージアム、デジタルアートを扱うところはどうするか。ミュージアムは「実物と記録、その持続性や再現性を保障する環境までを含めて保全する」というところか。

2021-02-27 12:32:44
sakumad @sakumad2003

収集と保管 博物館はミッションの達成のために必要な資料を収集し保管する。収集と保管には周辺領域も含め、調査や記録、研究が伴わなければならない。これらを伴わない資料は正当に価値づけることが困難であり、博物館の体系的なコレクションに位置付けることが難しい。

2021-02-27 12:43:17
sakumad @sakumad2003

博物館は長期に持続的にコレクションを保全するための基盤や計画を持たねばならない。国や地方政府、地域社会は博物館を持続的なものにするための支援をするよう要請される。一方、博物館は社会の期待に応えるため、そのコレクションの価値を律し、高める努力が必要だ。

2021-02-27 12:43:17
sakumad @sakumad2003

展示 現行法にある展示は従来通りの展示室をイメージしている。でもVRもあれば、最近では収蔵庫を見せてしまう展示も触れる展示もある。資料へのアクセスを多様に提供する、ということで良いのかもしれない。データベースも含め、利用形態は多様だ。

2021-02-27 13:03:15
sakumad @sakumad2003

現行法には「教育的配慮のもとに」展示という修飾がつく。ここには少し啓蒙的な匂いがしてしまう。どのような文脈でその資料をみる「べき」なのかは議論のあるところ。ただ、例えばこの化石は研究史上どんな意味があるのか、その時代の他の生き物などなど何も配慮なく見せられても価値は分かりにくい。

2021-02-27 13:03:16
sakumad @sakumad2003

自然史博物館には生物学や地学、進化や生態といったことの体系、見方、考え方を伝えるというようなミッションもある。自由なアクセスと、ミッションに基づいたメッセージとしての展示構成の両立を図る必要があるのだろう。

2021-02-27 13:03:16
sakumad @sakumad2003

展示とともに博物館が一般公衆の利用のために提供するものは「教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業」で、この部分は図書館法と全く同一。社会教育法の下だから、ということもできるが、市民科学やアマチュア研究の推進は博物館の本来使命だ、と主張することも可能かと。

2021-02-27 14:40:09
sakumad @sakumad2003

教育事業と、この「教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業」はよく一緒にされるけど、なんというかベクトルの向きが逆なんですよ。こちらは利用者の内発的活動。

2021-02-27 14:42:47
sakumad @sakumad2003

そしてそのあとに「資料に関する調査研究をする」が続く。この資料に関するという限定をどう捉えるかが重要。資料の来歴や保存手法の研究など資料そのものに関する研究に限定するのか、資料の位置づけ、未収蔵の資料研究まで含むのか。当然後者でないと地域の中の研究機関として生きてこない。

2021-02-27 14:52:10
sakumad @sakumad2003

現実には資料そのものの研究に限定しても研究条件十分出ない場合も多いが。。

2021-02-27 14:53:28
sakumad @sakumad2003

現行法ではそのあとに設置主体などの限定条件がつくんだけど、この限定条件のために国立博物館が博物館法の博物館じゃなかったりしてしまうので意味がわからない。法人または、その一部の運営および経営面で独立とみなせる組織を指定すればいいんじゃないのかなぁ。

2021-02-27 14:59:10
sakumad @sakumad2003

さて、それ以上にもの集めれば何でも博物館かって言うと、そうではないだろうと思う。 公共的存在であること、公的福祉に寄与する使命を持っていること、の2点が重要なように思う。このあたりの博物館の目的的なことは博物館法には何も触れられていない。以下詳述。

2021-02-27 15:03:17
sakumad @sakumad2003

公共的存在、ってのは公立博物館とかそういうことでなくて、個人設立だろうと会社が作った博物館だろうと、皆の場所になっており、皆にとって大事な場所だということ。誰でも受け入れる。オーナーの気に入った人だけに見せるとか、お得意様だけに見せるVIPルームとかじゃない。誰にでも開かれた場所。

2021-02-27 15:14:30
sakumad @sakumad2003

公共の福祉に寄与する使命というのは非常に幅が広い。今の人でなくて百年後の人々のために、というのも答えだし、いまは広くは理解されていないけれどこの地域の伝統を残すための博物館など当然あるだろう。ただ集めりゃ博物館でなく、この博物館を作ることで世の中をこうしたいというビジョンは必要。

2021-02-27 15:14:31
sakumad @sakumad2003

一方でそれが公共の福祉に明らかに反する使命(例えば白人至上主義とか軍国主義復活みたいなわかりやすいやつだったら簡単だけど)を持つ存在であれば、法で位置づけて活動を支援するような対象にはできない。2つ前に書いた公共的存在であるためにも公共の福祉への寄与は重要。

2021-02-27 15:14:31
sakumad @sakumad2003

博物館が公共の福祉に寄与する存在だっていうののずっと展開した先に2019年ICOM京都大会で提案された、新たな博物館の定義案がある。artlogue.org/node/8541

2021-02-27 15:25:05
sakumad @sakumad2003

包摂的、民主化を促す、対話の場、開かれた公明正大な存在であり、人間の尊厳と社会正義、世界全体の平等と地球全体の幸福に寄与する、などなど。すべて公共的な場であり、公共の福祉に寄与する存在であることが根本だと思う。それは美術館だろうと、動物園だろうと、民俗資料館も自然史博物館も同じ。

2021-02-27 15:25:05
sakumad @sakumad2003

公共の福祉の目的の一つに、博物館や利用者を取り巻く地域社会の持続性の向上、持続的発展が入ることは疑いの余地はないと思う。結局文化観光などもそのサブメニューのひとつなんだと思う。

2021-02-27 15:39:58
sakumad @sakumad2003

以上途中スレッド切れちゃったりフォークしてたりするかもしれないけど、一連のつぶやきはICOMのMDPP2のためのインプットのためだったり、博物館法改正に向けての、思考整理だったりします。ご批判、ご意見あれば、適宜。

2021-02-27 15:41:31
sakumad @sakumad2003

@7257Yoshiya いやもちろんそうだと思いますよ。そしてそれも含めて戦後社会教育の啓蒙的側面なんだと思います。でもその一方でレクリエーションという語もはいってるという。

2021-02-27 15:43:25
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まとめたひと
sakumad @sakumad2003

とある大阪の自然史系博物館学芸員