大包三日と子ども達・3

きりはら🕯🌙 @kirihara_novel

ふふ、ほんに。さ、ちいもおいで。新しい浴衣を仕立てておいた。うぶのように甚平では嫌だと言うから、父上がお手配くださったぞ？ほんと？本当だ。春は母の日と父の日に頑張ってくれたし、このところうぶの面倒もちゃんと見ているからな。さ、母上に着付けてもらえ。ちいくんの浴衣は父上と同じ、黒。

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柄は色とりどりの蝶。幼子らしく兵児帯で結べば、ちいくんは大喜びで跳ねる。ははうえ、ははうえ、ちいかっこいいですか？ああ、かっこいいぞ？ちちうえみたいに？ふふ、そうだなあ。ちいは父上にそっくりだから。わーい！と鶯丸や三条に見せに走っていくのを見送る。…俺にとって1番は、

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そなただからな？背の君。逞しい背中にそっと縋って呟けば、当然だ、と答えが返ってきて。ああ、幸せだと思う。お前にも仕立ててある。今宵は夏祭りに出かけよう。あなや…。嬉しい驚きばかりだと、三日月は背中にそのままぎゅっと抱きついた。 #大包三日 #大包三日ファミリー

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ちちうえ！ちちうえ！こんどはあっち！！連隊戦の合間。夏休みをもらった大包三日ファミリー。ちい包平が願った、大包平父上との海水浴である。これがいい！と飛びついた浮き輪に入り、父上に引っ張ってもらっている。波に揺られて時折煽られそうになるが、そんな時はちゃんと父上が浮き輪ごと

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ちいくんを抱き寄せて守ってくれる。眩しい太陽の下で大好きな父上に遊んでもらえてちいくんは嬉しくてたまらない。あっちか？沖は危ないからな。流されたら大変だから駄目だ。ええ…。不満顔のちいくんに、父上は笑う。もう少し大きくならないとな。それに、流されたらもう母上やうぶに会えなくなる

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かもしれないぞ？そう言ったら、ちいくんはぶんぶんと首を横に振った。それはいやです！そんなことは考えただけでも泣いてしまいそうだ。そうだろう？さ、そろそろ浜に戻ろう。母上が冷たい飲み物を用意してくれているぞ。浜辺でうぶちゃんと待っている三日月母上が手を振っているのが見える。

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ははうえ！！ちいくんは懸命に手を振り返し、バタ足を始めた。少し父上に教えてもらったのだ。父上はちいくんがひっくり返らないように浮き輪にそっと手を添えるだけにしてちいくんが自力で浜へ向かうのを見守った。さすが大包平の写し、幼子とは思えない脚力がある。これは後で三日月に教えようと

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どこか満足げな父上。ははうえ！浮き輪を父上に取ってもらい、ちいくんは濡れた身体のまま母上に飛びついた。湯浴みの後ならタオルで受け止めるが、ここは海だ。母上は海水と砂でべしょべしょのちい包平をしっかり抱きとめてくれた。父上と海で遊んで楽しかったか？はい！よきかなよきかな。

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疲れて眠った子ども達を日陰に休ませて、その近くで並んで座る。触れた肩が熱い。何となく手に触れたらしっかりと繋がれてしまった。なんだ、妬いてるのか。ふふ、そうかもしれん。そなたらがあんまり楽しそうだったゆえ。妬く必要がどこにある。俺はお前しか見てないだろう。…さらっと言うでない…。

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そんな可愛い顔を見せるな、夜まで待てなくなるだろう。…あほう。大包平はチラリと振り返って子ども達がまだ寝ているのを確かめると、三日月を抱き寄せて腕の中に閉じ込めて唇を塞いだ。熱い夏はもう少し続きそうだ。 #大包三日 #大包三日ファミリー