米はお年寄りが多く消費していて、若い人は消費していないと言う、イメージがないですか? それは、誤りです。 GHQからパン食を教えられた60代・70代以上が米を消費しておらず、米飯給食で米を食べた40代以下の方が米を消費しています。
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遠田大亮 @DaisukeEnta

【米食の減少要因と世代間の違い】主食用米の国内消費量の動向について農水省「食料需給表」に依拠して推移を見てみると1963年の1118万トンを最大に翌年から今日までほぼ一貫して減少傾向にある。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/HOEvKDne0N

2022-10-30 09:24:19
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遠田大亮 @DaisukeEnta

これに対して一人あたりの供給熱量がピークを向かえる70年代初めまでは、野菜・果実や牛乳、肉類、魚介類等の供給量が急速に増える。従って当時までの米消費量の減少要因としては、敗戦直後の米・穀物の偏食から脱皮し、所得向上による食料消費の多様化にあると理解されている。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/Zye6UvHEbK

2022-10-30 14:35:11
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遠田大亮 @DaisukeEnta

また、小麦食の増大をめぐっては、学校給食でのパン食導入や「キッチンカー」(料理講習車)による小麦粉料理の普及など、戦後の「アメリカ小麦戦略」や欧米食生活を模範とした旧厚生省の栄養改善運動の政策的影響を指摘する見解もある(異論もある)。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/R1vbrCUVxc

2022-10-31 05:51:01
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遠田大亮 @DaisukeEnta

但し1976年以降になって学校給食に米飯が導入され文部科学省「米飯給食実施状況調査」によれば完全給食を実施している小中学校等の米飯給食実施普及率は80年代初めには9割に達した。そして米飯給食の週平均実施回数では86年に2回、2007年には3回を超え、18年には3.5回に至る。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/SI3HsWxvTB

2022-10-31 06:12:19
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遠田大亮 @DaisukeEnta

また80年に農政審議会が「日本型食生活」の見直しを提唱し83年に「食生活ガイドライン」が策定され、その後に農水省や系統農協を中心に米消費拡大運動が展開されてきた。それにも関わらず米の消費は2000年代に入っても減少し続けている。それは何に起因するのであろうか。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/yK22nVGH5g

2022-10-31 06:23:47
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遠田大亮 @DaisukeEnta

これまで、家庭での米の購入(内食)の減少要因については「食の簡便化」志向が強い単身世帯や共稼ぎ世帯の増大等で説明されている。但し「食の簡便化」志向は「食の外部化」要因を説明し得ても、中食・外食をも含む米消費量全体の減少問題を解いた事にはならない。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/yeosEQo35N

2022-10-31 16:57:28
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遠田大亮 @DaisukeEnta

その意味で近年における米消費の減少傾向の背景については詳細に検討した文献に乏しく曖昧な理解にさらされている。そこで本書は主として厚生労働省「国民健康・栄養調査」の公表統計に依拠して、2000年以降の米消費減少の特徴、年齢階層別動向等との関連において検討する。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/mYjyKzQk4u

2022-10-31 18:34:14
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遠田大亮 @DaisukeEnta

【中高年世代で米飯が激減】食料消費の内容は世代別で大きく異なる。図は米食の年齢階層別摂取量の推移を基準年次の20代摂取量=100とし相対指数でグラフ化した。図によれば90年代後半の米類の摂取量は10代後半では横ばい気味であるものの他の年齢階層では全て減少傾向にある。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/U6yiYxPKFI

2022-11-01 07:34:10
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遠田大亮 @DaisukeEnta

その中でも、95年では10代後半の摂取量を上回っていた50-60代の減少度合いが特に大きい。そして01年以降では、10代後半を除いて、20代以上の各世代では引き続き減少傾向が続く。世代別の減少度合いは、20・30代<40代<50代<70代以上<60代の不等式で表す事ができる。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/CbLcZddwJJ

2022-11-01 18:06:24
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遠田大亮 @DaisukeEnta

60代および70代以上では、2018/2001年対比で△24%△20%と顕著である。これに対して10代後半の摂取量は01年以降では上下に大きく変動しながらも、01〜18年の推移を鳥瞰すれば、やや上昇の傾向にある。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/vywLzUm566

2022-11-01 18:18:18
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遠田大亮 @DaisukeEnta

以上の結界、08年頃を境に、それ以降の20・30代と中高年世代の米摂取量は逆転し、10代後半をも含めてその世代間格差が拡大してきている。具体的には08年時点では、20代以上層における世代間格差がほとんどなくなり、最大摂取量の10代後半とでは22%の格差であった。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/WiKfSvT11k

2022-11-02 08:06:30
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遠田大亮 @DaisukeEnta

それが18年時点になると、最小の70歳以上の摂取量は20代に比べて16%少なく、10代後半とはその約3分の2に過ぎない。そして20代以上層の減少度合いは、特に09年頃から加速している様に見える。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/wU9B8fNT1E

2022-11-02 08:16:26
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遠田大亮 @DaisukeEnta

いま、09/01と17/09の各8年間の減少率で対比すると、20代以上層平均で前者の△6.6%に対して後者は△8.6%、50代以上層平均では△9.3%に対して△12.7%といずれも09年以降の減少率が大きい。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/y9E6kL56Ve

2022-11-02 08:21:10
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遠田大亮 @DaisukeEnta

ここで、食料消費の動向を年齢階層別に見てみると、01年以降では、特に中高年世代の米消費が激減している。従って同時期以降の国民一人あたり平均ひいては国内全体の米消費量の減少は、中高年層が主導している事になる。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/KJitakTOrQ

2022-11-03 09:09:07
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遠田大亮 @DaisukeEnta

特に60代以上の米消費の減少には、同世代における16・17年までの小麦食品の消費増に加えて、肉類消費の急増が大きく影響している。これに対して20・30代では、小麦類消費の横ばい、ないし減少傾向のもとで、肉類消費では50代以上層よりも、その増加率がやや低い。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/rJrldx8b4V

2022-11-03 19:44:26
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遠田大亮 @DaisukeEnta

この事が中高年層とは対照的に同世代における01年以降の米消費量を横ばいないし微減に留まらせていると理解できる。さらに米麦類消費の動向を性別に検討してみると2000年頃以降の国内米消費量の減少傾向には60代以上層の男性と40代以上層の女性の米消費減が大きく寄与している。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/OSI5Qe0FDe

2022-11-04 07:30:38
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遠田大亮 @DaisukeEnta

一方、16・17年までの国内小麦食の増大傾向を牽引してきた主体は男女とも60代以上層であった。また2010年頃から、摂取量が増加している肉類・乳類・豆類について、細品目別に見てみると、具体的な増加品目は、豚肉・鶏肉や乳製品、納豆などである。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/ujlhYNcGbv

2022-11-04 12:56:09
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遠田大亮 @DaisukeEnta

このような食物消費の多様化は魚介類や米消費の減少と強く関係しており、その傾向が顕著な世代は米消費の減少度合いが大きい60代以上層であった。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/Tikg1VpsgR

2022-11-05 07:47:07
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遠田大亮 @DaisukeEnta

以上、要約すれば、国内米消費の減少は2010年頃までの「少食化」とそれ以降の肉類消費の増大や食料消費の多様化に起因するのだが、世代的には60歳以上層によって主導されている。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/83NtWfO7cb

2022-11-05 08:22:12
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そして、60代以上における米消費が大幅に減少した要因は、その肉類消費の増大や食料消費の多様化が顕著であり、加えて米食と競合する小麦消費が最近まで増大傾向にあった事に求められるのである。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/SpaD65fXji

2022-11-06 09:50:30
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遠田大亮 @DaisukeEnta

【まとめー米食の中食化は中高年世帯が主導】米消費形態の世帯主世代別特徴に関して、まず穀類購入(内食)において世帯主50代以上の中高年世帯では40代以下層に比べて米の購入割合が高くてパンが低いのだが2000年以降の動向では米購入の減少の一方でパン購入が増加している。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/TGKHLmNbLo

2022-11-06 10:35:42
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遠田大亮 @DaisukeEnta

また、同世帯の中食(調理食品)及び中食化は増大・上昇しているのだが、主食的調理食品のうち「米食品」よりも「調理パン」「その他」の増大が顕著である。そして、外食においては「すし・和食」の支出割合が低下傾向にある。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/h2iYvC6ciB

2022-11-07 07:29:17
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遠田大亮 @DaisukeEnta

このことから中高年世帯から主食全体に占める米食の減少度合いが大きく、そこには代替関係にある「パン」「調理パン」の購入増大が影響していると指摘できる。この点は、国民健康・栄養調査における中高年世代の一人あたり米類摂取量の減少や小麦類摂取量の増大傾向と符号する。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/FeTMAWaXGx

2022-11-08 07:31:47
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そして近年の中高年者では中食では米食が増えているのだが、その増大分を内食・外食での米食減少量が相殺して大きく上回り、その結界、「一人あたり食品摂取量」において米摂取量の激減となって現れていると理解される。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/kRutEd0rL8

2022-11-09 08:02:43
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遠田大亮 @DaisukeEnta

以上のように、食料購入支出の世帯主年齢階層別の分析によれば、近年の米消費の中食化は中高年層が主導しており、共稼ぎ世帯率が上昇している世帯主20・30代の世帯ではない。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/6utVln97zp

2022-11-10 07:05:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

いずれの世帯主世代においても米消費の中食化は共稼ぎ世帯の増加とは無関係である。また、国内米消費の減少主体は共稼ぎ率が最も上昇した30代以下層ではなく60代以上層である。従って、米消費の減少及び中食化の主要因を共稼ぎ世帯の増加に求める通説的な理解は誤謬と思われる。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/2Qi5VVTcaH

2022-11-11 16:57:48
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そして米消費の減少要因は中高年世帯で顕著な食料消費品目の多様化や主食における米食嗜好の低下(小麦食・肉食嗜好の向上)等に求めるべきである。また、中高年世帯の米食中食化の背景としては中高年者自身の事情(親介護による家事の省力化、食の簡便化志向)が推察される。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/Q8mFNxbkOB

2022-11-12 09:43:41
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遠田大亮 @DaisukeEnta

パン食の定着に関して興味深いアンケート結果がある。未就学・小中学時に主にパン食であった回答者割合について年齢階層別示した図によれば、学校給食で主にパン給食が普及していた50・60代以上では予想されるように、小学校就学中の昼食のパン食割合は4割以上と高い。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/VlVvlw6ZFh

2022-11-13 08:52:14
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遠田大亮 @DaisukeEnta

反対に米飯給食が支配的になる30代以下層では1割以下に低下する。但し40代以下層では既に未就学時から朝食はパン食であった回答者の割合が3分の1以上を占め50代においても小中学時には3割を超えていた。これに対し60代以上では未就学小学時のパン朝食は2割以下に留まっている。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/8YQc9wl9Mk

2022-11-13 09:06:46
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遠田大亮 @DaisukeEnta

この様な朝食の状況からみて、50代の3〜4割にとってパンは主食品として少年時代には定着していたと言える。そして50・60代のパン給食世代が家族を持ったとき、その子弟(40代以下層)の4割前後は未就学・小中学校の朝食がパン食になるほど、その主食化が強化された。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/NZF3X5oeSC

2022-11-13 09:17:07
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遠田大亮 @DaisukeEnta

要するにパン給食で嗜好強化された親世代が子弟世代にパン食を普及した事になる。仮に米飯給食が導入されなければ、50代の3割強で既に小学時に朝食・昼食ともパン食となっている状況が40代以下層に継承され、米消費の減少を一層促進したかもしれない。米食の変容と展望青柳斉 pic.twitter.com/VpOFNcltFf

2022-11-13 09:23:47
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まとめたひと
遠田大亮 @DaisukeEnta

農業、農政、農協等“農”に関してのツィートが多いです。 (個人的には)GHQの占領政策や押し付けられた憲法を金科玉条としたままでは、日本農業はもっと衰退すると考えています。 山形県農協中央会勤務。農協監査士。明治大学法学部卒。山形県酒田市出身。 過去のツィートは、以下↓のまとめサイト(min.t)からどうぞ。