捕鯨母船日新丸の建造にまつわるあれこれ
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天翔 @Tensyofleet

捕鯨母船日新丸(初代)。日本初の新造捕鯨母船が竣工に至るまでには、紆余曲折があったことがよく知られている。 まあそういうことにしておこう。 twitter.com/Tensyofleet/st…

2022-03-16 21:28:27
天翔 @Tensyofleet

捕鯨母船日新丸(初代)。昭和11年(1936年)の完成当時、垂線間長163メートル、総トン数16,764トン、排水量32,590トンの巨船を、起工から157日で進水させ、58日で艤装を完遂した川崎造船所はその偉業を称賛されたという。 pic.twitter.com/DXYp3uzJ9m

2017-03-27 22:00:09
天翔 @Tensyofleet

さて、本船の建造に関して伝わる逸話として、「主機を2基とするか1基とするかで揉めたが、最終的に社長の一声で1基となった」というものがある。揉めた理由としては、2基とすると主機のディーゼル機関が、あるいはスクリューの製造が南氷洋出漁に間に合わない、というもの。

2022-03-16 21:32:53
天翔 @Tensyofleet

一方で、日新丸を建造した川崎造船所では異なる理由が伝わっているようだ。日新丸の原型である"Sir James Clark Ross"より「速力を増したい」との船主の要求があり、原型の2軸を1軸に改造した、となっている。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/6uGLalITq8

2022-03-16 21:34:19
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天翔 @Tensyofleet

Sir James Clark Rossは、ノルウェーの船会社がイギリスのファーネス造船所に発注した捕鯨母船。本船の設計は捕鯨母船のタイプシップとなっており、その系譜は本邦の第二図南丸(初代)を始めとして、戦後にまで続いている。 pic.twitter.com/M1A7oAcuTN

2022-03-16 21:39:59
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天翔 @Tensyofleet

本船の機関はB&W単動4サイクル無気噴射6気筒ディーゼル機関1,900BHP2基2軸、満載時の速力は11ktらしい。 日新丸はMAN複動2サイクル無気噴射8気筒ディーゼル機関(D8Z60/90)6,000BHP1基1軸、公試における軽喫水の最高速力は14.5ktで、搭載量を勘案しても速力は増加しているようだ。 pic.twitter.com/3KGoB84RFk

2022-03-16 21:50:26
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天翔 @Tensyofleet

林兼の当時の社長である中部幾次郎の伝記には、主機2台では漁期に間に合わない旨が記されているが、速力云々については記述がない。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/MH9MUQFImK

2022-03-16 22:02:08
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天翔 @Tensyofleet

この逸話が事実かどうかは分からないが、少なくとも伝記の一ページとして拾っておきたいネタではあるのだろう。

2022-03-16 22:15:32
天翔 @Tensyofleet

それでは「速力を増したい」理由は何かというと、これもよく分からない。 昭和12(1937)年2月22日付で、海軍次官発農林次官宛に「捕鯨母船の最高速力を満載14kt以上とすることを考慮されたい」との文書が発出されているが、本船の竣工は前年の昭和11年9月末。

2022-03-16 22:27:48
天翔 @Tensyofleet

また、昭和4(1929)年6月に通達された海軍の優秀船保護政策で、やはり満載14kt以上の油槽船に優先的に海軍用重油の運搬割り当てを行うことになっているが、日新丸の能力的に満載14ktは難しそうだ。

2022-03-16 22:28:23
天翔 @Tensyofleet

速力を増加した意図としては、単純に捕鯨母船の運用にかかるものとするのが順当である気がする。漁場である南氷洋への往復か漁場内での移動か、あるいは南氷洋から欧州への鯨油輸送や漁閑期における北米からの重油輸送だろうか。 pic.twitter.com/cob359aWhL

2022-03-16 22:33:35
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