⚽晴道2

泥あんこ @V4v7mV9cKzIIWs9

⚽晴道、選手時代。 あしや選手、太りやすい体質なのでカロリー計算や栄養士が決めた献立をオフシーズンでも徹底的に守るタイプなんですが、それでも時々体重増えてしまうことあって体重計に乗りながら頭抱えることがある。

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道「……2kg太ってる」 道の背後から体重計を覗き込む晴。めっちゃ密着してるけど、通常営業なのでチームメイトも気にしない。 晴「おまえの身長ならほぼ誤差では？トレーニングで筋肉ついたんじゃないですか？」 道「…………これ以上筋肉つけると走れなくなるゆえ管理しておりましたのに……」

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どよーんとなる道。ふと、改めて体重計のメモリをみれば、はりが動いている。え、こんなに増減する？？ 晴「……（必死に笑いこらえてる）」 道「……せーめー殿」 晴「な、なんでしょう（ぷるぷる」 道「…………あなた、今、どこに足を乗せていますか？」 晴「体重計ですね（ぷるぷる」

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道「せぇぇぇめぇぇぇぇ！！！！！」 晴「あっはっはっはっ！！！気付くの遅すぎませんかおまえ！！！！」 道の体重が増えたかに見せかけて、晴が後ろでこっそり足を乗せていたというオチ。 チームメイトA「まぁたあいつら騒いでんな」 チームメイトB「いちゃつくんなら寮でやれよもう」

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あべ選手の場合。 晴「……」 道「……なんで、あれだけ食べて痩せるんですか」 晴「なんででしょうねぇ……いや、むしろチームの栄養士から体重増やすように言われてるんで、痩せるとまずいんですよ」 道「なるほど、先月も体重落としてましたから怒られ確定ですな」 晴「やだーー！！」

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あべ選手は筋肉つきにくいのもあるけど、間食（メロンパン）が多いので筋肉つくよりも運動量により痩せる。なのでよく栄養士から怒られる。 練習後 晴「なんか今日は肉まん食べたい気分です」 道「だめです。栄養士からあなたに間食させるなとお達しを受けたので、今日は寄り道せずに帰りまする」

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なんで儂まで栄養士から注意を受けねばならんのです？と思いながらも、やだやだ肉まん食べたいメロンパン食べたいとごねるあべ選手を引きずって寮に帰るあしや選手。 ファン感の恒例企画「ファンは見た」にて「あしや選手が肉まん食べたいと言うあべ選手を引きずって帰ってる姿を見ました」と言われる

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ファン感恒例「ファンは見た！」 「あしや選手があべ選手を引きずって帰るところをみた」 「メロンパン買うってただこねてるあべ選手を引きずって帰ってるあしや選手ママ」 「あべ選手のお世話お疲れ様ですあしやママ」 道「誰がママや！！！」 晴「（笑いすぎて腹筋痛い）」

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司会「この企画、だいたいあしや選手とあべ選手はセット目撃ですね」 進行役ベテラン選手「だいたいあしやとあべは寮でも一緒にいますからね。あべへの注意はあしやにもしておくと、守られるのでついあしやに頼っちゃう」 司会「なるほど、だからママ」 道「好き好んで世話をやいておりませぬ！！」

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同じ寮の選手「そういって、お風呂上がりあべさんの髪の毛、乾かしてあげてますよね？」 道「あれは、こやつがドライヤーもかけずに放置するから……！！」 進行役ベテラン選手「ママか」 同じ寮の選手「ママですやん」 道「ママちゃうわ！！！！」 晴「（笑いすぎて声がでない）」

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晴「確かに私は道の世話になってます。朝練前に起こしてくれたり、シャンプーの詰め替えやってくれたり」 進行役ベテラン選手「あしや、甘やかすのよくないと思う」 同じ寮の選手「やりすぎだと思います」 晴「ですが！このチームで道に世話やかれない人がいますか？何かと世話やかれてるのでは？」

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進行役ベテラン選手「……確かに俺もあしやからドリンク補充とかやってもらったことある……」 同じ寮の選手「僕もスパイクの手入れの仕方とかいろいろ教えてもらって……」 晴「（どや顔）」 進行役ベテラン選手「まま……」 同じ寮の選手「あしやママ……」 道「ママ言うな！！」

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サポスレで「あしやママ公認になった」「ママはママだった」とか書かれる。

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あしや選手とあべ選手、同期でU-18で一緒なのもあって最初からニコイチ扱いされて、最初は（あしや選手が）不服だったんだけど、元が世話焼きなせいでついついあべ選手の世話を焼いてしまい、最初のファン感で観念してあべ選手（白タキシード）とペアルック（ウエディングドレス）で出る。

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走り込みによって鍛えられたごっつい足をさらして徒競走に出るし、ファンの前にあべ選手をお姫様抱っこでやってくるので、ファン感は大いに盛り上がった。 それで味をしめたのか、あしや選手はファン感は必ず女装するようになった。特に好評だったのは女子高生の時。

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「体のごつさを隠したら、普通に可愛いJK」「顔がええんよ」「ミニスカからのぞく足がごっっっつい」「そのごつさがいい」「脇のファスナーとめれんくて途中で止まってるのうけるwww」 JKあしやの時は、あべ選手もJKあべ（セーラー服の姿）になった。 「清楚美少女」「顔だけ見たら美少女」

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あしや選手がミニスカ+ブレザーでギャル系JKなのに対し、あべ選手は膝丈スカート+黒ストッキングで清楚系JKに扮した。どちらも足ごっつい。あべ選手は黒ストッキングで隠れてるようで、ごっついひふく筋が隠れてねぇ。 あべ選手はこれ以降は女装しなくなった。

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あしや選手がナースの時は白衣きて、あしや選手がCAの時は機長に。 「はいはいニコイチ」「ニコイチお前ら本当にニコイチ」「仲良しか」と言われる。

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や○っちFCにて や○っち「あべ選手、なんで最近ファン感で女装せぇへんの？」 晴「……思った以上に若いときの母親に似ててちょっと引いたというか」 や○っち「お母さん美人やもんなwwwwww」 あべ選手の母（元体操選手兼モデル）。とても美人。

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プロ選手の場合、契約期間は最長5年（18歳未満は3年）なので、晴道の契約更新時期になるとサポはそわそわする。残ってほしいけど、キャリアのために余所をみるのも大事だとわかってるので。でも残ってほしい。 「今年はニコイチ両方契約更新か…」「残ってほしい」「でもそろそろ海外視野も」

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あべ選手もあしや選手も年齢的に海外行くなら、そろそろ視野に入れておかなければという時期。チームとしては、確かに戦力流出するのはとても痛いけれど、日本を代表するような選手を両方抱え続けるのも金銭的に限度がある。若手も育てないといけない。

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あしや選手は3年契約、あべ選手は1年。明らかにあべ選手は海外視野だと思われる短期契約。 「せーめー、やっぱ短期か」 「元々海外からオファーあるような選手だったしな。むしろここまで残ってくれてありがたいレベル」 「あしやは海外行かないのかな？」

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道「……海外にいかれるので？」 晴「ええ、そろそろ頃合いかと思いまして。お前も来るでしょう？」 道「…………いえ、儂はまだこのチームに」 晴「そうですか」 あなたのように、海外チームからも注目が高く、皆から祝福されている訳でもないから。 そうは言えずに歯を食いしばった。

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あちらは、下部組織のころから注目されていた選手で、期待通りチームの司令塔として活躍し、日本代表としても成果をあげている。 それに年齢的にも海外に挑戦するとなれば、そろそろ視野に入れるべき時期だ。いや、まだ時間はある。3年後でも十分。 道「……先に進んでいることなど昔からではないか」

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地道にやっていけばいいが、若手も引っ張っていかねば。晴はあと1年しかいない。それまでにチームの司令塔になれる選手を育てなければ。晴は言葉が足りないところがあるから自分が。自分が動かなければ。 晴「お前がいるのなら、安心して海外にいけますね」 道「全く儂はチームの母ではありませぬぞ」

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3年。契約期間で若い司令塔を育てられたと思う。晴がいない2年間、できないところをフォローして、監督との緩衝材になって、チームメイトのメンタルケアにも目を向けて。ベテランとしてやれるだけやってきたはずだ。まだ、スタメンで呼んで貰えるくらいには、まだ、まだ一線に立てている。

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契約更新月の6ヶ月前から、他チームから打診があり、下位リーグではあるが海外のプロチームからも打診があった。 道「（……ま、晴のようにいきなりプレミアやAリーグから打診はないか）」 それでもいいと思った。やはり海外でプレイしたいという夢は、⚽選手を目指した頃からある。

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チームにも海外へ行きたいということは伝えている。あとは向こうと穏便に契約が進めばいいだけだと。そう思っていたのに。 怪我人が続出。レンタルや控えから引っ張ってきても足りない。実践投入が今回が初めてという若手ばかりの中で、チーム経営者から深く頭を下げられた。 「チームに残ってくれ」

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1年、1年だけチームに残ってほしい。このままでは、チームが成り立たない。そう頭を下げる経営者に、道は天をあおいだ。 道「……わかりました。残りましょう」

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助けてくれ、と請われてなお夢を追いかけられるほど短い期間をこのチームで過ごしている訳ではない。長い、そうとても長い期間、道はこのチームと共にあった。たくさんの先輩に支えられた。たくさんの裏方に支えられた。たくさんのサポーターに助けられた。 恩を返したい、と思ったから。

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……ーーきっと、この機会を逃せば海外でプレイをするという夢はかなり難しくなる。年齢的にも挑戦できるのは今年がぎりぎりと見てもいい。そこから1年。たった1年であっても、来年海外チームからのオファーがない可能性の方が高い。 嗚呼、結局あやつと差が開いたなぁ。

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1年後。チームはリーグ6位となり、若手ばかりのチームながら善戦できた。本当に大変だった。ほぼ毎回スタメン。スタメンに呼んでくれるのはありがたいが、如何せん若手のパワーに振り回されて大変疲れる。楽しい疲れだ。 「あしやがいてくれて良かった」「降格してもおかしくないのに良く頑張った」

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「さすがあしや」「あしやが海外見送ってくれたおかげだよ」 そう言ってくれるサポーターのおかげで、頑張った甲斐があるというもの。 「これであべ選手もいたら、上位に食い込めたかもしれませんね」 テレビで。何気ないテレビ番組で一言、キャスターの言葉で、全てががらっと変わった。

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「せーめーがいたら」「確かにせーめーがいたら、上位に食い込んでたかも」「ボールキープもせーめーがいたころに比べたら全然だもんな」 「やっぱり、ミスター○○はあべ選手ですね」 周囲の声が聞こえないように。動揺しないように。若手が不安に思わないように。道はただただ、薄く微笑んでいた。

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⚽晴道の、○○はチームの名前が入ると思っていただけたら…… （ミスターというのは、そのチームでずっとプレイしてる生え抜き選手のことで、チームの顔という扱い）（移ってきてずっと貢献してくれた選手でも言われることある）

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⚽晴道、選手時代編。 道は寮の自室に戻って、いつものようにテレビをつけた。スポーツニュースが流れていく。何年も続いている番組で、キャスターも司会も見慣れていた。以前インタビューを晴と一緒に受けたこともある。少しだけ懐かしさに頬をゆるめた。

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12年だ。チームに在籍して12年。プロになって12年だから、ずっと同じチームに在籍していることになる。時々レンタルで移籍することはあっても、あくまでレンタル。帰るチームがあってのことで、道は他のチームを知らない。ずっと、このチームのために戦ってきた。生え抜き選手である。

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晴もまた、生え抜き選手だった。途中で海外移籍したが、晴もずっとこのチームに在籍して戦っていた。だから、うん。そうだ。晴こそ、ミスター○○と呼ばれるに相応しいのだろう。MFで、チームの司令塔で、得点王にすら輝いたチームの明星ともいえる誇るべき選手。

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スポーツニュースが、野球の話から海外⚽リーグの話になる。プレミアの試合が映されて、晴がシュートを決めたシーンが流れる。 シュートをきめて、チームメイトに駆け寄る笑顔の晴。チームにいたころと全く変わらない笑顔に、道の心臓が痛んだ。 ……ーーどうして、こんなにも道が違うのだろうか。

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晴は素晴らしい選手だ。日々成長著しい若手が出てくる世界で、いまだに最優と称えられるほどの名選手。海外移籍してもその輝きは失われることなく、短命である⚽選手の引退年齢になっても進化するような奇跡のような存在。負けそうな時も諦めず走っていた。どんな時でも最後まで食らいついていた。

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ゴールに。勝利に貪欲だった。「もっと上をめざしたい」と海外移籍して、その移籍先でも実力を発揮し、今では世界一を争うチャンピオンリーグに出るようなチームで司令塔を務めるほどに。 ……ーーどうして儂はあの場にいないのだろう。いれないのだろう。

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国内最高のボランチと呼ばれても、結局は晴と比べられる。世界で戦う晴には敵わないと言われる。 どんなに技術を磨いても。誰よりも練習しても。どれだけチームのために身を費やしても。結局、儂は。 「…………晴に、勝てないのか」

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違う。晴とはポジションが違う。役割が違う。自分に求められるものは、司令塔を支える土台。縁の下の力持ちのようなもの。相手の攻撃を防ぐ守備的MF。攻撃や相手の出方を見てボールを蹴る攻撃的MFの晴とは違うものが求められている。 比べられて敵わないと言われるのは、自分の努力が足りないからだ。

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だから、晴と同じタイミングで海外に行けなかった。その後の海外行きを見送ったのは自分の意志だ。認められなかった訳ではない。あの時、間違いなく自分は実力を認められ、海外チームからの打診があった。今でも、当時とほぼ変わらないパフォーマンスを出せる自信がある。あるけれど。

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⚽選手の平均引退年齢は26歳。長くても30前後での引退が多い。広いフィールドを走り回る体力や、相手のブロックをはねのける力。ドリブルスピード。色んなものがどうしても衰えてくる。 気がつけば、引退年齢もとうにすぎた。 すぐに引退しかねないロートルを、欲しがる海外チームがいるだろうか。

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「…………仕方、あるまい」 運がなかった。そう自嘲する道の目には、ゴールを決めて嬉しそうにチームメイトにもみくちゃにされるかつてのライバルの姿が映っていた。 次の日、道はチームとの契約交渉で3年契約を結んだ。事実上の海外移籍の断念である。