(抜粋①)『関東大震災時の朝鮮人虐殺とその後～虐殺の国家責任と民衆責任～』山田昭次、創史社、2011.9.1

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(抜粋)『関東大震災時の朝鮮人虐殺とその後～虐殺の国家責任と民衆責任～』山田昭次、創史社、2011.9.1 (p.26)　大阪近辺の紡績業は、朝鮮、沖縄、被差別部落の女性を標的にして募集した。 (p.28)　企業が未熟練労働者の雇用を日本人から低賃金の朝鮮人の雇用に替えることによって pic.twitter.com/plwSCxYD1u

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不況を乗り切ろうとした結果、日本人未熟練労働者が在日朝鮮人労働者に反感を抱く事態が発生した。 　「資本家から見て当時の朝鮮人は第一に、日本人よりも力が強い、それから何といっても勤勉なんですよ。日本人よりも安い賃金でよく働く。」

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日本人労働者は、朝鮮人に対して「親近感はもっていなかった。なぜならば、朝鮮人労働者のおかれた実情、被圧迫民族の苦しみに大部分の日本の労働者のあいだでも、そのころプロレタリア的連帯感がなく、工場でも朝鮮人労働者は日本人労働者に『鮮人』といって侮蔑の念でみられていた」。

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(p.45)　日本の労働者階級は、朝鮮の労働大衆の抑圧者の一方である。自分たち日本人の労働運動は朝鮮人のそれより高い水準にあると思い込んだ傲慢さが現れていた。 (p.48)　東京の第四回メーデーに際して、警視庁は、「植民地の解放」をスローガンとして掲げることを許可しなかった。

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(P.53)　東京や横浜では「内鮮融和」という名の朝鮮人同化を目的とした疑似朝鮮人犠牲者追悼集会が盛んに開催された(後述)。 (P.54)　朝鮮人の民族解放志向を体制内改良を餌にして日本の植民地支配体制に閉じ込める、いわゆる「内鮮融和」の実現が相愛会の任務だった。

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(P.67)　在日朝鮮人運動が発展し、まがりなりにも日本人の社会主義者や労働者にも朝鮮人との連帯志向が発生し、朝鮮に対する植民地支配の廃棄が1923年５月１日の東京のメーデーのスローガンとして掲げられようとする事態にまでに達した状況に対する危機感が官憲にあった。nhk.jp/p/ts/46GRNGJ8Y…

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(P.67)　民衆は官憲が流した情報だからこそ、これを間違いない情報と信じたのである。民衆は官憲が朝鮮人虐殺を公認したと思い、虐殺を自慢する事態も現れた。 　「天下晴れての人殺しだから、剛毅なものでサア」。 「みな戒厳令下だから、朝鮮人を捕らえれば金鵄勲章を貰えると思い込んでいた」。

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９月１日から10日までに戒厳司令官の管轄下に入った軍隊の兵員数は約５万２千人に達した。軍隊によって殺害された者の人数は、中国人200名、朝鮮人57～60名、日本人23～25名、合計280～285名であり、その期間は９月１日から５日にわたった。 pic.twitter.com/UvDMNmA24J

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(P.78)　９月５日に臨時震災救護事務局警備部に各方面の官憲が集まった。 　第一に決まったのは、朝鮮人虐殺事件の報じ方だった。９月５日になっても、官憲は朝鮮人の暴行という事実をつかんではいなかった。国家責任の明白さを避けるために、朝鮮人暴行の事実をこれから探そうというのである。

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しかし朝鮮人暴行の事実の発見が不可能らしいことがわかっていたから、噂を利用しても、朝鮮人暴行という虚構をでっち上げて、朝鮮人虐殺の国家責任を隠すことがここに決定された。 　ロシア革命の結果、共産主義に脅えている外国に朝鮮人暴動の実在を信じさせるために、朝鮮人暴動の背後に日本人、

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朝鮮人の社会主義者がいたという宣伝をすることを次のように決めた。 　「海外宣伝は特に赤化日本人及び赤化鮮人が背後に暴行を扇動したる事実ありたることを宣伝することに努むること」。 pic.twitter.com/D4dL7KeVB7

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自警団による朝鮮人虐殺事件の新聞報道が解禁になった10月20日に司法省は朝鮮人の犯罪という虚構を発表した。 　この声明は、朝鮮人虐殺が起こった原因は不逞鮮人がいたからだといって、虐殺を引き起こした責任を朝鮮人に押し付けて、朝鮮人暴動という誤認情報を流した日本国家の責任を否認するもので

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あり、９月５日に臨時震災救護事務局警備部に集まった各方面の官憲の会議で決定された筋書き通りになっている。 　司法省発表による朝鮮人の「犯罪」の信憑性を分析すると、姓名不明の人数は85～86名にも達する。しかも判決も下っていない容疑者を犯罪人と決めつける法違反処置を行っている。

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司法省が言う朝鮮人の「犯罪」は、日本国家の責任を免責にするためにでっち上げた創作物だった。 (P.87)　朝鮮人を虐殺した自警団員の一部を形式的に裁判にかけて法治国家としての責任を果たしたように見せかけるのが、国家責任免責の第二の手段だった。 pic.twitter.com/kxyU2DhkPd

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臨時震災救護事務局警備部司法委員会は、９月11日に朝鮮人を殺傷した自警団を検挙する方針を次のように決定した。 　一、騒擾に加わりたる全員を検挙することなく、検挙の範囲を顕著なるもののみに限定すること。 　二、警察権に反抗の実あるものの検挙は厳正なるべきこと。

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10月下旬には、官憲の誤認情報流布責任を棚上げした自警団員検挙に抗議し、自警団員の免罪を要求する関東自警同盟が結成されて、活動を展開した。 　 　この頃の新聞紙面には「悪自警団」、「暴行自警団」、「不良自警団」といった用語が流行した。

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多くの新聞は自警団員のみに朝鮮人虐殺の責任を負わせようとする日本国家の政策に追従した。 　負傷事件を除いた殺害事件に対する地裁判決のみを取り上げて整理したのが、表12である。 　(1)　自警団員が警察署・警察分署・巡査派出所・警察のトラックなどを襲撃して、収容されていた朝鮮人を殺害した

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被告の実刑率は高い。朝鮮人虐殺よりお上に対する反抗がけしからんというのが、官憲の考えだった。 　(2)　通常の朝鮮人虐殺事件被告の実刑率はわずかに16.5%で、大部分は執行猶予になった。刑罰も最高で３年以上４年以内である。検事も実態を検証する気がなかったようだ。

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朝鮮人虐殺は情状酌量するという司法委員会の方針は裁判で貫徹された。 　(3)　日本人虐殺事件の実刑率は最も高く、59.3%であり、刑罰も重く、最高刑は懲役５年以上である。 　控訴審まで争った事例９件を整理したのが表13である。朝鮮人を虐殺した被告や日本人を虐殺した被告は減刑されて pic.twitter.com/mx25O81wlf

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すべて執行猶予となり、警察を襲撃して朝鮮人を虐殺した被告は19名中、16名が執行猶予となった。 　上告審まで争った４件を整理したのが表14である。藤岡事件では、第一審で実刑を言い渡された被告は25名が上告審ではわずか９名に減少した。 pic.twitter.com/Lz1x9O8F1c

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これと対照的なのは福田村事件の裁判である。大一審判決では実刑を言い渡された被告は８名で、控訴審判決では実刑を言い渡された被告は１名減少したのみであり、上告審では実刑を言い渡された被告は１名も減少しなかった。最も刑罰が重い被告は10年の懲役を言い渡された。

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残酷さという点では福田村事件と変わらない熊谷事件の裁判では被告35名中、第一審と控訴審で34名が執行猶予になった。日本人を殺害した場合と、朝鮮人を殺害した場合とは、刑罰の科し方がこれほども違った。 　裁判は朝鮮人虐殺に対する官憲の責任を明白にすることを極力避けた。

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官憲を証人として出廷を求めた弁護士の要求を拒否したのは浦和地裁のみではない。前橋地裁も、水戸地裁も拒否した。 (p.96)　裁判が重要視して実刑を多く科した被告は、朝鮮人を殺害するために警察を襲撃した被告と日本人を殺害した被告であって、朝鮮人を虐殺した被告の多くは執行猶予となり、

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実刑を科された被告は少数であった。裁判は、朝鮮人虐殺の罪を裁くように見えて、実はそれは日本国家が負うべき自己の責任を回避して自己保身を図るものでしかなかった。 (p.98)　朝鮮人を虐殺した軍人は一人も裁判にかけられず、処罰されなかった。

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警察側は朝鮮人の遺体を隠したり、遺体の引渡しを拒否するなど、朝鮮人有志の実態調査を妨害した。 　朝鮮人留学生たちは「東京地方罹災朝鮮人救済会」を結成したが、警視庁より、虐殺という名称が不穏当を理由にして、不許可をもって圧力が加えられた。

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治安当局の方針が、余りに厳しいので、日本の官公庁や、新聞言論機関までが、これに応じて、非協力的で、意識的に妨害をした。 　朝鮮人虐殺状況についての朝鮮人の調査に対する警察の妨害は極めて高圧的だった。 (p.102)　慰問班が調査に当たりぶつかった最大の困難は、官憲の朝鮮人遺体の隠蔽だった pic.twitter.com/1Et1sf9zoS

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警視庁内鮮課は「未だ行衛不明のものもあり、且つ遺族でなければ遺骨を渡し難し」と言って、遺骨引き渡しを拒否した。警視庁は、荒川の旧四ツ木橋付近の河川敷に埋められた大量の朝鮮人遺体も持ち去った。 　この事件は、９月４日夜から５日未明にかけて南葛労働会と純労働組合の労働者10名を殺害した

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亀戸事件と関係があった。警察側は遺族や関係者に労働者たちの骨が埋まっていたと思われる四ツ木橋の現場に近づくことも許さなかった。ところが、その翌日の14日午後１時から四ツ木橋付近の現場に亀戸・寺島両警察署の警官60名が警戒線を張る中で、人夫に変装した警官19名が死体を掘り返し、いずれかに

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持ち去った。 　旧四ツ木橋付近の河原では９月１日の夜から民衆による朝鮮人虐殺が始まり、軍隊は機関銃で朝鮮人を殺した。朝鮮人の死体をトラックに積んで持ってきたこともあった。軍隊は虐殺した死体を河川敷を掘って作った穴に埋めた。発覚を恐れた警察は遺体を二度にわたって掘り返し運び去った。

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(p.118)　官憲は事件直後の事実偽造の発言に止まらず事実偽造の歴史書を編纂・刊行した。 ●警視庁編・刊『大正大震火災誌』1925 ●神奈川県警警察部編・刊『大正大震火災誌』1926 ●西坂勝人『神奈川県下の大震災と警察』警友社、1926 ●吉川光貞『関東大震災の治安回顧』法務府特別審査局、1926

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官憲側が編纂した歴史書は、朝鮮人虐殺のすべての原因や責任を朝鮮人自身や日本人民衆におしつけ、官憲の責任は徹底的に隠した。官憲はそうすることで朝鮮人を虐殺した国家の事後責任を一層重くして来た。

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(p.124)　社会主義者たちは官憲から弾圧されたのみならず、自警団に参加した民衆からも迫害を受けた。 　民衆にも自警団に参加した多数派以外に、朝鮮人を自警団から守った者や、あるいは少なくとも朝鮮人虐殺に同調しなかった少数派もいた。こうした異なった行動への分岐点は何だったのか。 pic.twitter.com/O3FimU98Ad

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(p.127)　成立過程から見た自警団の４つのタイプ 第１のタイプは夜警団として出発したものが、朝鮮人暴動デマに接して自警団に変わったタイプ。 　「東京市牛込区十三ケ町の人々は、町の入口に出張して、警護の任に当たった。町会や、青年団の成立している町では、それらの幹部が夜警をすすめた

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のであったが、そういう機関のない所では、全く誰の布令もなかったので、自発的に起こったのであった。１日の夜は、単に夜警にとどまっていたが、２日の朝になると、いろいろな流言が勢力をえて来た。これ以来、各町では、町内の入口に臨時の関所を造った。通る人々を検問し、怪しき人々を捕らえようと

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云うのであった。」 第２のタイプは警察が流布した朝鮮人暴動の誤認情報を聞いて、民衆が最初から朝鮮人対策の自警団を組織したタイプである。誰が指揮するともなく各自棍棒・竹槍を携帯して警固に出かけた。

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第３のタイプは官憲の命令で自警団が結成されたタイプである。典型的なのは、埼玉県の香坂昌康内務部長が９月２日に内務省の指令を受けて県下町村に自警団の結成を命じ、３日に県下に一斉に自警団が結成された。 　埼玉県内務部長が在郷軍人分会、消防隊、青年団で自警団の結成を命じたのは、

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この３団体に属する者は組織訓練を経ているので、自警団として機能を発揮できると考えたからであろう。矢澤康裕は埼玉県の場合、シベリア出兵への参加者や朝鮮に対する植民地支配に参加した体験を持っている在郷軍人がいることに注目した。

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帝国在郷軍人会は、1910年11月３日に発足し、町村内の帝国在郷軍人組織である在郷軍人分会は町村の指導ではなく、軍の統制に従うようになった。軍事的体験を持つ在郷軍人たちは朝鮮人虐殺に能動的役割を果たしたであろう。 　「そこいら辺のウゾウムゾウがやったのではなく、在郷軍人がやったのだ。

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土地ッ子ではないということだ。」 　第４のタイプは、関東大震災の数年前に警察署がその下請けの治安組織として、町会や町村単位に地域の有力者を媒介にして民衆を組み込んで成立した「安全組合」「保安組合」「自警組合」「自警団」などというさまざまな名称の団体が、震災時に専ら朝鮮人対策を任務

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とした自警団に転化したタイプである。 　東京市品川区の場合、町会に併置し会長を以て組長とし、町内会を家屋の接近状態を基礎に数部に分かち、これに部長を置き部員を毎日交替に当番とし、受持部内に付き犯罪、変災危害等生ずる警察事項を警察と連絡する保安防備の官民共同作業であった。

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神奈川県では震災１年前から「自警団」「自衛自警組合」「自警組合」といった団体が警察署長の呼びかけで各警察署の管内ごとに組織された。それは地域有力者を媒介にして在郷軍人会、青年団を中心に地域住民を取り込んだものだった。大震災が起こると、これらの組織がそのまま自警団の機能を果たした。

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こうした警察の民衆の取込み政策は、1917年のロシア革命や1918年の米騒動などによる民衆の変化に対する危機感から発したものだった。 　(p.134)　大震災後の騒動も収まり始めた９月下旬になると、自警団に動員された民衆と自警団を設立した地域有力者の間に対立が生じた。

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新聞への投書には、自警団結成を主導したのが家主や、もの持ちであったことがうかがえる。　 　「相談会とは名のみ。実は、少数の家持ち、もの持ち、ならびにそれらのお先棒によって、すでに決定されていたのである。かれ等少数のいわゆる勢力家ににらまれることは、これ等多数の無産者達にとって、

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どんなに薄気味悪く感じられるかも知れないのだ。」 　1923年９月21日付『報知新聞』にも「自警団」と題する投書が掲載された。これも自警団を主導する地主や家主に対する「店子階級」の不満が述べられていた。 　「この辺に介在盤踞(ばんきょ=勢力を張る)一部資産階級、その多くは地主とか家主という

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人達ですが、それが先に立って夜警番所に出るよう、戸毎に駆り出しするのです。毎日徒食している資産階級の人達が、左程必要も感じない夜警に、いわば資産階級の自家擁護のために、店子階級の吾々を駆使するという、いわゆる番犬扱いは心外に堪えませぬ」

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「昼の仕事にさわり、日雇い稼ぎ人が、碌々かせげぬようのことのないよう、夜番の必要大ありだという家主や地主のふところ手連中が、一と工夫やってくれ、たのむ」 　11月６日付『東京日日新聞』埼玉版によれば、 「所沢町では震災後十月になって全町各区のいわゆる旦那衆なるものが保安組合を組織し

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借家借地人を勝手に組合員に加入せしめ、毎夜午後８時から翌朝午前５時まで各区６名づつ強請的に招集し自町内を巡回せしめており、いづれもその処置について泣き寝入りの姿になっている」 　自警団や保安組合の主導権を握っているのは家主や地主の「旦那衆」であり、彼らが職人や日雇いの借家人や

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借地人たちを自警団に組織したのであった。 　熊谷で検挙された被告の職業は、職人、雑業層が51%、その他は小商人層である。本庄では、前者層が65%。職人、雑業層には店子が多かったのであろう。 　「軍隊から銃を貸してもらい、村の旦那衆から酒をふるまってもらいながら一匹も殺さないとあっては誠に

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村落の地域では、村の有力者が自警団を組織したということだが、経済的な実態から言うと、それは在村地主とか、自作農上層なのだろう。 　工場地帯については、工場主と労働組合の幹部が自警団を組織した。向島では、労働組合で締め付けているところの幹部たちが、工場の付近に自分らの住宅があり、

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この地域と工場を守るのだと称して、資本家と一緒になって自警団を編成した」 (p.138)　自警団が組織されたのは関東だけではない。東北地方・中部地方にも自警団が組織された。 　日本はアジアの文明開化の先進国という優越意識から生まれた民族差別意識と、独立の陰謀を謀る恐るべき不逞鮮人という pic.twitter.com/fCPHGdIdy6

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