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倉田結 @kurata_s8h

#抹額で当たり屋曦澄 敵の術で視界を奪われた事で江澄は舌打ちした。 強い光を受けたせいで目が眩み、頭の芯がくらりと揺れる。目を開けても閉じても明滅しか捉えられない事実に苛立ちと鬱陶しさを覚え、紫電がそれに呼応するかのようにばちりと音を立てた時だ。 「江宗主、目を閉じていてください」

倉田結 @kurata_s8h

肩に何かが触れるのと同時に、藍曦臣の静かな声が耳に滑り込んできた。 どうせ神経を耳に集中させろと言うのだろう。 「貴方に言われずとも分かっている」 目を閉じて耳を澄まし、周りの気配を読めばある程度は動ける。防戦主体になるのは面白くないが仕方ない。 「藍宗主、貴方は敵を……、っ」

倉田結 @kurata_s8h

閉じた瞼の上に何かがあてがわれ思わず片手でそれに触れる。どうやら布のようだ。しかもやたら手触りが良い。かなり上等の布だと察しが付く。流石は姑蘇藍氏といったところか。 「先程の術には仕掛けがあると報告を受けております。咄嗟に目を開けてしまわぬよう、しばしこれを巻いておいてください」

倉田結 @kurata_s8h

そう言いながら手早く江澄に目隠しを施すと、ぴたりと曦臣が隣に寄り添い並び立つ気配がする。 「江宗主。どうかこのまま私をそばに」 「……それ程までに厄介な仕掛けが？」 「幻覚を引き起こす、と」 確かにそれは面倒だと、江澄が曦臣の申し出を受けると何故か手を握られた。 「……藍宗主？」

倉田結 @kurata_s8h

「江宗主、…いいえ、晩吟。これが済んだら折り入ってお話があるのです。どうかお時間を」 何故わざわざ手を握ってまでそんな事を頼むのかと怪訝に思いつつも、これ以上時間を無駄にしたくなくて江澄は再びは頷いた。 「分かりました。あとで必ず」 「ああ、晩吟…！ありがとうございます」

倉田結 @kurata_s8h

どこか陶酔しているかのような喜びに満ちた声を上げる曦臣を不思議に思ったが、やはり時間が惜しくて江澄はそれを深く考える事はせずに敵を討つ事を優先させた。 まさか敵の術以上に厄介な事態が己の身に起きていたとは、この時の江澄には知る由もなかった。

倉田結 @kurata_s8h

……っていう感じで始まる曦澄。ただし力尽きたので続かないです。冒頭のみです。 あ！もちろん江澄がされた目隠しの布の正体は兄上の抹額です！