2020年9月8日
いつもの本丸で他所の本丸の加州清光を一時預かるお話。いつもの本丸に生息する多種多様様々なカップリングをふくみます。あと創作審神者が喋るし出張ります。
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せーは @seiha_rnb

自分の本体は先程まで入っていた容器の横、テーブルの上にあるものの、今は一時的に封印処置がしてある、らしい。 どちらも本丸にいた事がない、知らない男士だ。ただ、銀髪の方は少し顔に見覚えがある気がした。 そう、一度だけ顔を見たことがある仲間に、似ているような。 「……山姥切……?」

2020-09-12 11:49:35
せーは @seiha_rnb

思わず口からこぼれた言葉に、銀髪の男は微かに眉を顰めたが、次の瞬間には唇を薄く釣り上げた。 「……如何にも、俺は『山姥切』長義」 「えっと、……あんたも山姥切……?」 「……。まあ、あえてきみにそこの講釈を垂れる気は無い、かな。詳しくはいつか別の俺に会ったときにその俺に聞くと良い」

2020-09-12 11:49:36
せーは @seiha_rnb

『山姥切長義』の言葉に、名乗りもしない隣の男は眉を吊り上げて肩を竦めた。こちらには視線を向けてもこない。 それじゃあ説明を始めるよ、と言うと、山姥切は徐に壁面に触れた。 ぱっと部屋の照明が落ち、次いで壁に映し出されたのは青と白の二重丸に目をつけたような奇妙な面をつけた人物だった。

2020-09-12 11:49:36
せーは @seiha_rnb

『やあ、僕審神者です! よろしくね! うふふ!』 甲高いような、嗄れた様な声が響いた。 審神者。この本丸における、主。 カラフルで笑顔を形作っているとわかるものなのに無機質で不気味な面からは面の奥の表情は読み取れない。 思わず唾を飲み込むと、隣から溜息が聞こえた。

2020-09-13 03:01:15
せーは @seiha_rnb

「……すまないね、ちょっと待って欲しい」 山姥切長義はそう言ってこちらに微かに微笑んでから、画面を睨みつけた。 「主。巫山戯るのはよした方がいいんじゃないかな?」 『えっ、うそ外してる?』 流麗な眉をぎゅっと寄せた山姥切長義の苦言に、画面に映し出された審神者が慌てた様子を見せる。

2020-09-13 03:01:15
せーは @seiha_rnb

そんな頓狂な声を出していても貼り付けた笑顔をした面の顔は変わらないから少し怖い。 「とても。ほら御覧、完全に怯えている顔だよ。なんで今日に限ってそんな面をつけているのかな」 『かわいいキャラものお面なら和むかな……と』 「いつものより百倍は不気味だから止めてくれないかな」

2020-09-13 03:01:16
せーは @seiha_rnb

そうかー……自信作だったんだけどな……という声とともに、審神者を名乗る者は画面から外れて見えなくなった。 「……悪かったね、変な審神者で」 「え、いや、……ちょっと驚いたけど」 『はいお待たせー』 画面に戻ってきた自称審神者の面は、顔の上半分だけを隠すような白狐の面に変わっていた。

2020-09-13 03:01:16
せーは @seiha_rnb

声もやや軽いが普通の、青年の声になっている。……先程の変な声は何だったんだろう? 『うん、それじゃあ改めて。ご紹介に預かった……わけじゃないけど私がこの本丸の審神者だよ。今回、政府からきみの一時預かりを請け負ったものでもある』 短い間だけどよろしく、と彼は笑みを浮かべた。

2020-09-13 03:01:17
せーは @seiha_rnb

なお清光に無駄に恐怖を与えていたお面はこれ(声も変声器がついている) pic.twitter.com/3LuCvrXPq3

2020-09-13 03:02:26
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せーは @seiha_rnb

『そちらに直接顔を出せなくてすまないね、きびしーやつから許可が下りなくて。画面越しだけど許して欲しい』 「あ、うん……大丈夫」 よく見るとその審神者は奇妙な服装をしていた。 黒地に派手な赤い花の着物の肩に先程の薬研や政府で顔を出してきた人間が着ていたような白衣をかけている。

2020-09-14 01:15:02
せーは @seiha_rnb

首を傾げる仕草や口調、顔を半ば隠す面もあり、どこか年齢不詳だった。 口元や首の皮膚などを見れば若いのだろうか?あまり人間の見た目で年齢がわかるほど、この身を得てから人間を知らないできた事に気付く。 『……さて、詳細は政府のヒトから聞いたかな』 「あ、ええと。聞いたんだけど……」

2020-09-14 01:15:03
せーは @seiha_rnb

正直よくわかっていない、と正直に口にすると審神者は成程、と笑顔で頷く。 『えーと、まず。先日君は■■国元第■■■■■本丸から政府に保護されました。理由は君を呼び起こした審神者が、刀剣男士の許可の無い私的利用、虐待、挙げ句に歴史修正主義者への造反を他でもない男士に告発されたから』

2020-09-14 01:15:03
せーは @seiha_rnb

「……うん」 重々承知の事実だ。それでも、この事実を改めて突きつけられた事は、ただ辛かった。 『規定に従い審神者は処分され、本丸は解体され、きみたち刀剣達は保護された。ここまではいいかな』 「……そこまでは、大丈夫」 どうしても声が落ちる。

2020-09-14 01:15:04
せーは @seiha_rnb

自分たちが過ごしたあの本丸に、あまり良い思い出は無いけれど、もうあの場所が無くて、主も居ないという現実はまるで寄る辺を失ったようだった。 いや、まるでなどの比喩ではなく、事実寄る辺など殆ど失っているのだ。 自分は審神者を失った刀剣男士で、それでも今ここに存在してしまっている。

2020-09-14 01:15:04
せーは @seiha_rnb

際限なく落ち込んでしまいそうな気持ちを、頭を振る事で切り替える。 自分がまだ刀解もされず、こうして意思を持って存在しているのはそう願ったものがいるからだ。 だから、ずっとうつむいてはいられない。 『……』 上げた視線の先で目があった他所の本丸の審神者は、ゆるりと微笑んだ。

2020-09-14 01:15:04
せーは @seiha_rnb

『……君の主が残した呪詛と、彼自身が化した霊が少々厄介でね。そういうのの対処に向いている設備があるここで君の保護をする事にこの度決まったわけだ』 「……それも、聞いた」 『おや、記憶の整理もついたかな。もう状況は把握していると見ていいね』 頷くと、審神者はそのまま言葉を続けた。

2020-09-14 01:15:05
せーは @seiha_rnb

『諸々の対処はこちらでするから君はただうちの本丸で数日過ごせばいいだけだ。君達の信頼を裏切った亡霊などと君が相対する必要も、その価値もない』 そういう審神者の目に、憤りのようなものが浮かんだ気がした。声にも、怒りのようなものが微かに宿る。 ……理由が分からなくて、首を傾げた。

2020-09-14 01:15:05
せーは @seiha_rnb

彼が、審神者が怒るような事が今までの話の中であっただろうか。 首を傾げていると、ごほん、と画面の向こうで審神者が咳払いをして表情を笑みに戻す。 『うん、警備上の問題もあって自由に動き回る事は出来ないけれど、さっきも言ったように難しい事は何もないから安心してくれたらいいよ』

2020-09-14 01:15:06
せーは @seiha_rnb

政府にいた時と同じく行動は制限される、ということらしい。 ここは随分と厳重な本丸なのだな、とぼんやり思ったが冷静に考えれば自分が警戒されているのだろう、と気付く。 ……それもそうだ、主が離反して処分された本丸の刀剣男士を、真っ当な審神者が警戒しないはずもない。

2020-09-17 06:24:44
せーは @seiha_rnb

とはいえ、主は任務に熱心な方ではなかったから、自分達の練度はあまり高くない。 今ここにいる銀色と黒色をした二振りの男士だけを相手にしたとしても、今の自分だけでなく本丸の一部隊でも間違いなく敵わないだろう。 正直心配には及ばないとは思うが、文句を言える立場でもないので黙って頷いた。

2020-09-17 06:24:45
せーは @seiha_rnb

『体調が悪かったり、ものが足りなかったり、他に不都合があったらそっちの彼に声をかけてくれ。君がいる間は側につけておくから』 そっちの、と話を振られてだるそうに壁にもたれていた黒髪に紅が混じった脇差がちらりと視線を向けて来た。 鋭い目だが険は無い。ただ、面倒そうに見られただけだ。

2020-09-17 06:24:45
せーは @seiha_rnb

「俺も君が滞在する部屋の隣に泊まり込む予定だよ。概ね君の世話担当は俺達と思ってくれればいいかな」 山姥切長義がにっこりと微笑んだ。 こちらにも悪意や尖った気配は感じないが、特別の好意も同情も見えない。 綺麗だけど少し冷たい、甘さのない笑顔だ。 ……見張り、ということだろうか。

2020-09-17 06:24:46
せーは @seiha_rnb

『うん、説明はこのくらいか。さて……』 画面の向こうの審神者はそう言って一度言葉を途切れさせ、ちらりと左右を見てから頷いた。 『この度は我々の呼びかけに応えてくれた君や君の仲間たちにはすまないことをした。組織の一員として、審神者の一人として本当に申し訳なく思っているよ』

2020-09-19 01:35:11
せーは @seiha_rnb

その声は、今までと異なり随分と重たく、思わず息を飲んだ。……その内容にも。 『私は政府直轄の職員というわけではないけれど……同じ様に君達の力を借り受け戦線に加わるものとして、審神者として、もう詫びることの出来ない不心得な元同僚に変わりお詫び申し上げる』 「え、」

2020-09-19 01:35:11
せーは @seiha_rnb

そう言って深々と頭を下げる審神者に、頭の中が一瞬で真っ白になる。 『恥を知れと言っても当人はもう死んでこの世のものでは無いし、危険すぎて直接謝らせる事も出来ないのも……すまないと思ってるよ』 「そんな、あの、俺は」 大丈夫、と言いかけた喉が震えて声がうまく出なかった。

2020-09-19 01:35:12
せーは @seiha_rnb

喉がきゅう、と絞まるような感覚に細く息を吐く。 此処に至って漸く、自分達の主だった自分達に彼が行っていたことは、それだけ酷かったのだと思い知らされた気がした。 そんな様子を見てか、気遣わしげに審神者が言葉を続けた。 『……まぁ、謝って済むものでもないし、取り返しもつかないのだけど』

2020-09-19 01:35:12
せーは @seiha_rnb

苦々しい笑みがその画面越しの唇に浮かぶ。 『だから今回の件、君は許さなくても良い。政府に反逆する事以外なら、してくれて構わない。……まぁ、今まで通りの顕現を続けるなら新しい主に仕えるか、政府の所持刀になるかだとは思うけど』 顕現を解いて、苦しみから離れる事も選択には入るという。

2020-09-19 01:35:13
せーは @seiha_rnb

それは、たしかに随分と魅力的ではあった。 自分が救われたのでなかったら、助けられても結局その道を選んでいたかもしれない。 「……」 『此処で君の処置が終わるまで、時間は暫くあるから気持ちを整理すると良いよ。……どんな選択になっても、もう誰も君達を責めたりはしないとも』

2020-09-19 01:35:13
せーは @seiha_rnb

少なくとも俺は責めない、と厳しい表情と言葉で結んでから、審神者はもう一回へらりと笑む。 『此処はカウンセリング施設じゃないから、あまり君の心の傷には対処出来ないかもしれないが……少しは君の心が落ち着くよう願っているよ』 それじゃあねと審神者が手を振り、そして映像は唐突に途切れた。

2020-09-19 01:35:14
せーは @seiha_rnb

思わず、呆然と立ち尽くしてしまう。 あれも審神者。政府の施設でいろいろな審神者がいるのだと話半分には聞いていたけれど、本当に衝撃だった。 あんなふうに画面越しとはいえしっかり視線を向けて審神者と会話したのは、顕現して始めてだったかもしれない。

2020-09-19 01:35:14
せーは @seiha_rnb

「……大丈夫かい?」 銀髪の青年、山姥切長義が少しだけ目を和らげて問いかけてきたのに何度か頷く。 「……そうか。まぁ、なんにせよ結論を急ぐ必要は無いんじゃないかな。どうしたい、とかは別れた君の仲間の刀剣達にあってからでも遅くはないよ」 「……うん、うん。そう……だよね」

2020-09-19 01:35:15
せーは @seiha_rnb

「とりあえず今日は部屋で休むと良いよ。……案内するからおいで」 頷くと、山姥切長義はほらきみも、ともう一振りの男士を促す。 未だ名乗らない彼は、くあ、と欠伸をして壁から背を離すと気怠そうな視線を向けてきた。 「んだよ、終わったか」 「はいはい、お待たせ。じゃあ、行こうか」

2020-09-19 01:35:15
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まとめたひと
せーは @seiha_rnb

羽衣馬晴波@成人済 文と短歌*BL色恋二次創作 猫と日常 ⛔カプ雑食・混沌・諸々注意⚠ 刀*沖田組他・独自設定本丸 FGO*授と新茶 メギド*祖51,63 tist*🌹 2.5*観/呟 生涯推*触手 F*19歳以上推奨 RT多。 短歌企画 @seiha_tanka_ アイコン 友人カエル氏

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