いつもの本丸で他所の本丸の加州清光を一時預かるお話。いつもの本丸に生息する多種多様様々なカップリングをふくみます。あと創作審神者が喋るし出張ります。
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せーは @seiha_rnb

いつもの本丸に一時保護的な目的でやってきた別の本丸の加州清光(被虐待個体)の話をつらつらとつなげていきます。 twitter.com/seiha_rnb/stat…

2020-09-07 21:56:11
せーは @seiha_rnb

いつもの本丸の話、どれからしよう…

2020-09-04 00:18:55
せーは @seiha_rnb

「それで主、聞く価値がある言い訳を用意してるんだろうな?」 普段意識してか軽めに放たれている男の、低い氷点下の声色はどこまでも肝を冷やさせてくる。 唇の端は笑みを浮かべているが金色の目は声色より更に冷たい。 人形の様に整った無駄に良い顔と相まって普通に怖い。

2020-09-07 22:23:04
せーは @seiha_rnb

慣れてなければ失禁しても不思議はない圧を感じながら、彼の主たる審神者は引きつった笑みを浮かべた。 「いやあ、売り言葉に買い言葉で、つい」 「へえ」 凍てついた声に一瞬笑みが乗る。嘲りに近い色の笑いだったが。 「つい、で諸々の問題抱えた他所の刀剣の一時保護を引き受けたのか、きみは」

2020-09-07 22:23:05
せーは @seiha_rnb

「だってー……」 「だってじゃない。幼子みたいな言動をしても通じないからな、清光ならともかく」 近侍で初期刀の加州清光は審神者に甘い。 今回も同行していた彼に許可を取ってから、本丸ナンバー2のこの白い男に許可を取りに来たのだが、当然のごとく猛吹雪の出迎えを受ける羽目になっている。

2020-09-07 22:23:05
せーは @seiha_rnb

「うちの防衛機構は万が一の外敵を確実に排除するためのもので、外敵をわざわざ寄せて処理する為の罠じゃない。この前も言ったはずだがもう忘れたのか?全く、きみから記憶力や頭の回転を取ったら狂気以外に何が残るっていうんだ」 「仮にも主にここまでの罵詈雑言投げるのひどすぎない?」

2020-09-07 22:23:06
せーは @seiha_rnb

他所の本丸の鶴丸国永にここまで口が悪い個体がいるだろうか……と深刻な素振りで腕を組む審神者に、真白な神は変わらず冷然とした視線を向けた。 「現在進行系で呪われてる他所のものを本丸内に入れろと言われた防衛機構の根幹を任されたものとして俺は当然の反応をしてると思うが、文句があるか?」

2020-09-07 22:23:06
せーは @seiha_rnb

「文句は無いデス。でももう引き受けちゃったからね。覆らないよ」 怯えた仕草の割に反省の色が薄い審神者の言葉に鶴丸は深くため息を付いた。 「そもそも『こういうの』は政府の仕事だろうが。政府にだって対霊部隊や対策位あるだろうに……保護を請け負ったなら最後までやってほしいもんだな」

2020-09-08 00:36:21
せーは @seiha_rnb

「今回の件で政府が請け負ったのは件の本丸解体後の男士の強制破壊・刀解処分を行わず保護観察処分にするって事だけらしいからなぁ」 「審神者の離反密告の見返りに、か? 安いのか温情があるのか微妙な所だな」 「まぁ、本来は順当に処分が下る筈だったんだよねぇ。裏切り者は処理されてさ」

2020-09-08 00:36:21
せーは @seiha_rnb

「だが、順当に行かなかったからこそこんな事になってるんだろ」 「まったくねぇ」 ――ことの始まりは一月ほど前、とある本丸が内部告発を受けた事に遡る。 詳細は省くがそこの審神者は正気を失い、刀剣男士を抱えたまま歴史修正主義に転向しようとしたらしい。 報告によると虐待も確認されている。

2020-09-08 00:36:21
せーは @seiha_rnb

耐えかねたのか、危機感を抱いたのか一振りの男士が政府に審神者の造反を訴えた。 しかし事態を把握した政府の部隊と、政府からの依頼を請け負った本丸の部隊が突入した頃には刀剣男士の半数は刀解され、残っていたものには肉体的精神的な損傷が多く見受けられた。 審神者はその場で処分されたという。

2020-09-08 00:36:22
せーは @seiha_rnb

「……ここまでは、よくあるとまでは言わないが珍しくもない事態なんだけど」 「よりによって呪術師出の審神者が狂乱の後にうっかり怨霊化したと」 「だそうでーす」 「それに狙われてる男士を保護しきれないからここの防衛機構で払ってほしいと」 「……そのとおりでーす」 「きみなぁ……」

2020-09-08 00:36:22
せーは @seiha_rnb

ため息と共に鶴丸が冷えた表情を崩し、代わりに苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。 「いくら呪術師出とはいえただの死にたて化けたてな怨霊如き政府が抱えてる部隊が祓えないわけないだろ?」 「わかってる……明らかに「そこにやたら外敵対策が硬い本丸があるだろ押し付けたろ」ってノリだった」

2020-09-08 01:20:54
せーは @seiha_rnb

「わかっているなら……」 「でもたかがこの程度の怨霊を祓えないなら散々組み上げた防壁もたかが知れてるって事ですねカッコワライみたいな!嘲笑を受けて黙っていられず…!」 「だから安い挑発に乗るなっていうんだ、きみは」 二度目だぞ、と鶴丸が麗しい顔を顰めてもう一度ため息をつく。

2020-09-08 01:20:54
せーは @seiha_rnb

「俺達の本丸の各種対策は記録もまとめて、出した成果もまとめて報告は随時上げてる。それで政府の出した要求値は満たしている筈だろう。外部から悪意あるものと紐付けされてる者を容れるなんて、無駄にリスクを抱え込むような真似だぞこれは」 「うわあ、人情味のかけらもない…」 「お陰様でな」

2020-09-08 01:20:55
せーは @seiha_rnb

「でももうやると言ってしまったのでやってもらうしか無いんだよなぁ」 「俺は安易に約束も契約もするなってこの前言った筈だが?」 「ハイ、カッとなって忘れました!ごめんなさいね!」 「反省の色が本当に無いんだよなきみは。子供みたいに開き直るな反省しろ反省したら発明以外に脳機能を使え」

2020-09-08 01:20:56
せーは @seiha_rnb

自棄になり気勢を上げても情け容赦なく叩き落された審神者は、うめいて両手を上げた。 「でも対価として新規座標の優先使用許可と他にもちょっと報酬と、あとリスク面で渋られてた術式の使用許可は取ってきたからそれでなんとか!」 「……」 挙げられた対価を吟味するように鶴丸は一瞬目を伏せた。

2020-09-08 01:20:56
せーは @seiha_rnb

思考を巡らす鶴丸の瞳が一瞬薄い金色の光を零す。 「……収支は合わせる。受けたものを断ると信用が落ちるから、それも避けたい、か」 だからこそ受けたくないんだが、と続けて鶴丸国永は大きく息を吐いた。 「……仕方ない、やる以上本丸に被害を出さないよう、早々に片付ける」

2020-09-08 01:20:56
せーは @seiha_rnb

漸くの許諾に審神者はほっと息をついた。 この本丸の鶴丸国永は、本刀が言っていた通り防衛機構の根幹システムを運営している。 その管理と権限を全委任している以上、主である審神者といえどこの刀の意見を無視出来ないので許可は必須だったのだ。 「……それにしても、」

2020-09-08 01:20:57
せーは @seiha_rnb

「……『加州清光』なんだからちょっとは甘い判定でるかと思ったんだけどな……」 ぼやいた審神者に鶴丸がゆるく肩を竦める。 ふ、と張り詰めていた空気が緩んだ。 「俺は別に『加州清光』だから好きって訳じゃ無いぜ?俺のあの子が愛しいだけだ」 「私に惚気けると暴れたくなるのでやめなさい」

2020-09-08 01:20:57
せーは @seiha_rnb

「で、その相手はどうしてる?」 「ンー」 審神者は肩からかけた白衣のポケットから懐中時計を引っ張り出した。 「うん、もう来る筈だから、ゲートで山姥切に待機してもらってるよ。流石に許可無しで中には入れないって」 「……」 審神者が帰還してこの話を持ち出してから、既に数刻は経っている。

2020-09-08 01:20:58
せーは @seiha_rnb

「……つまり俺の説得にかかる時間を見越して到着の時間を決め打ちしてたって事か」 「まぁ、俺とお前との付き合いも長いものだし?」 にんまり笑う審神者に鶴丸は呆れたように眉を上げる。 きみ、そういうところはもっと日々に役立たせてくれ、と呟くと鶴丸は袂から端末を取り出し、指を走らせた。

2020-09-08 01:20:58
せーは @seiha_rnb

きょうはここまで。 他所の清光は次回以降出てきます、多分。

2020-09-08 01:21:32
せーは @seiha_rnb

―― その部屋には、昼日中とは思えないほど熱っぽく湿った空気が満ちていた。 衣擦れの音が微かに響き、くすくす、と楽しげでどこか熱を帯びた笑い声がその湿った空気を揺らす。 「あ、兄者っ」 朗々と響く普段の声からは全く想像も出来ないような、当惑した声で悲鳴を上げたのは膝丸だった。

2020-09-08 23:50:18
せーは @seiha_rnb

そう。この部屋は彼ら『三振り』の私室……更に正確に言うなら寝室であり、現在進行系で更にプライベートな空間になろうとしているところである。 「このような早い時間からの戯れはあまり感心できない……っ」 早々に泣きが入った弟刀を下敷きにして体重をかけながら、上機嫌に髭切が笑う。

2020-09-08 23:50:19
せーは @seiha_rnb

「えぇ? だって今日はいちにち暇なんだよ、僕たち三振りとも。……ねえ、大包平」 髭切は更に体を寄せ、膝丸の更に下にいる恋人に問いかける。 実質二振り分の体重を受けながらも眉を顰めるだけだった赤髪の美丈夫は、盛大に溜息をついて髭切を見上げた。 「いや……俺は膝丸に賛成なんだが……」

2020-09-08 23:50:19
せーは @seiha_rnb

その言葉に、きょとんと髭切は鼈甲飴のような目を瞬かせた。その答えをまったく想像もしていなかった、とでも言うように。 「ええー」 不満そうに尖ったその唇に大きな手のひらが軽く触れる。 そっと押されてしぶしぶと僅かに身を離す髭切。完全に二振りの体に挟まれていた膝丸はほっと息をついた。

2020-09-08 23:50:20
せーは @seiha_rnb

「というか、あまりに退廃が過ぎないか? 折角の休日だというのに昼日中から……」 大包平が口にしたのは彼らしいまっとうな正論だが、それを言うには既に些か『退廃が過ぎる』体勢ではある。 それを承知の上な髭切に引く気は無いようで、膝丸越しに伸ばした手で大包平の浴衣の襟元を掴んだ。

2020-09-08 23:50:20
せーは @seiha_rnb

こら、と窘められても聞く耳を持たない様子で、髭切は笑いながら大包平の浴衣を乱す。 殆ど目の前ではだけられた恋刀の素肌に、膝丸の頬が真っ赤に染まった。 「兄者ッ」 「ね、いいじゃない二振りとも。たのしいよ?」 「あ、兄者が楽しいだけでは……」 「うそ」

2020-09-08 23:50:21
せーは @seiha_rnb

弟の反論をまるで名のごとく切り捨てて、髭切は艶やかに笑った。 「お前もたのしいでしょう?」 爛々と輝く金色。まさしく獅子の如き目だった。 膝丸は射竦められたかのように視線を逸らし、色々と諦めた様子で大包平が深く息をつく。 「うんうん、いいこだね。それじゃ……っ、あ、……?」

2020-09-08 23:50:21
せーは @seiha_rnb

恋刀と弟をまんまと押し切ることに成功し、楽しげな笑みを浮かべていた髭切の表情がその瞬間、唐突に強張った。不自然にその体を静止させる髭切に、残り二振りも怪訝そうな表情を浮かべる。 「……兄者?」 「髭切、どうした?」 「………………。んん……」

2020-09-08 23:50:22
せーは @seiha_rnb

暫くの沈黙の後、完全に脱力しきった様子で髭切は体を倒した。そのままごろり、と横に転がって二振りの上から体を退かし、転がったまま億劫そうに手を伸ばしてそこに放置されていた端末に指を引っ掛けた。 髭切の指先で起動した端末は、空間に映像を結んで即座に無機質な文字列を表示させる。

2020-09-08 23:50:22
せーは @seiha_rnb

そこには緊急事態の文字と、各序列……本丸内の役職者への指示が示されている。 曰く。 『序列十位髭切――第二種警戒体制に移行。追加指示があるまで待機。』 「……成程」 つまらなそうに突っ伏している髭切の頭をぽんぽん、と撫でて大包平は膝丸ごと身を起こした。

2020-09-08 23:50:22
せーは @seiha_rnb

当然ではあるが、『待機』は休暇ではない。 どんな指示にも即座に対応することが求められる。 故に。 「お預けだな、暫く」 「いいところだったんだけど……仕方ないかぁ」 国永の馬鹿、と小さく罵ってから髭切は仰向けになり、ぱたぱたと手のひらで自分を仰いでいた弟を見上げてにんまり笑う。

2020-09-08 23:50:23
せーは @seiha_rnb

「残念だったねぇ、弟?」 「……っ兄者!」 膝丸が顔を赤くして叫ぶ頃には、部屋に満ちていたどこか淫靡な空気は霧散していた。

2020-09-08 23:50:23
せーは @seiha_rnb

―― 保護されてからずっと担当をしてくれた政府の職員曰く、これから自分は一定期間どこぞの本丸に送られる、らしい。 正直、全然意味がわからなかった。 いや、細かい説明は受けたのだけど、どうにも重たい倦怠感がまとわり付き、頭がぼんやりしていて半分も理解できなかったというのが正しい。

2020-09-10 02:18:27
せーは @seiha_rnb

窓すら無い箱の様な部屋から漸く出されたと思えば厳重に警備を固められた門の前で待たされ、漸く転移した先でも小さな部屋に入れられこうして更に待たされている。 とはいえ、本体が抜けないだけで体を拘束されている訳でもなく、どこからも怒鳴り声や悲鳴が聞こえないから随分と気は楽ではあった。

2020-09-10 02:18:27
せーは @seiha_rnb

そうしているとどこか見覚えのある狐が頭の上に器用に盆を載せてやってきた。 自分の本丸では、いつの間にか姿を見せなくなった管狐だ。 狐は盆を差し出しながら口を開いた。 「加州清光様、ようこそいらっしゃいました。お部屋にご案内する前に検査がございますのでまずはこのお茶を飲んでください」

2020-09-10 02:18:28
せーは @seiha_rnb

盆の上の器には琥珀色の液体が満たされている。 持ち上げ、匂いを嗅いでみた。僅かに甘い香りがする。 「何? 毒?」 「滅相もございません、睡眠薬です。これからの検査は意識があるまま行うとやや苦痛を伴うとの事なので、眠っている間に済ませます」 麻酔の様なものですね、と管狐。

2020-09-10 02:18:28
せーは @seiha_rnb

「……そう」 正直、これから何をされるのだろうと不安に思ったが、それでも今までより悪くなる事は無いだろうと思い直した。 ここは政府との関わりが深い本丸らしい、と聞いている。どうしてかはよくわからなかったが、現在自分が抱えている問題を解決するために、連れてこられたのだという。

2020-09-10 02:18:29
せーは @seiha_rnb

はっきりと分かっていることは一つだ。 ここでの日々を無事に終えなければ、生き延びた他の仲間に会うことは出来ない。 当然、自分を助けてくれた彼にも。 「……飲めばいいんだよね」 口をつけて温度を確かめ、一気に呷る。 不味くは無いが、鼈甲飴を弱い酒に薄く溶かしたような、変な味だった。

2020-09-10 02:18:29
せーは @seiha_rnb

くらり、と意識が酩酊したかのようにゆらぎ、そのまますとん、と落ちていく。 深く、深く、落ちていく中で誰かが自分を呼ぶ声を聞いた気がして体が震えた。 しかしそれもすぐに遠ざかり、落ちて、落ちて――。 そうして目を開けたら、視界は真っ赤に染まっていた。

2020-09-10 02:18:30
せーは @seiha_rnb

「……!?」 視界一面の赤。一瞬、嫌な光景が脳裏に過ぎってパニックを起こしかけるが、強烈な違和感を覚える。 本当に、目に映る全てが赤い。そこで漸く気づいた。 体全体に微かな圧を感じる。振った頭を追い、髪がゆらりと広がっていく。――まるで水の中を漂うように。

2020-09-11 05:39:23
せーは @seiha_rnb

呼吸は苦しくないから気づかなかった。 まだ理解が追いつかないが、どうやら透明感のある赤い液体の中に入れられているようだ。視線の先には赤く染まった天井らしきものが見える。 手を伸ばせば、透明な硬いなにかに手のひらがあたった。 どうやら透明な容器の中らしい。 『ああ、起きたか』

2020-09-11 05:39:23
せーは @seiha_rnb

すこしくぐもった……聞き慣れた声が聞こえて、ひょこりと声の主がこちらを覗き込んだ。 「薬研……?」 赤く染まってはいるが、それは確かに見慣れた顔で涙が出そうになる。 違う、自分が知っている薬研藤四郎とは別の刀剣男士だ。 それでも、わけのわからない状況で見知った顔があるのに安堵した。

2020-09-11 05:39:23
せーは @seiha_rnb

『ううん、薬が足りなかったかもしれんな。予定じゃあ全部取り除いたくらいで起きる筈だったんだが。悪いな』 苦笑した短刀は穏やかな声色でそう言った。 首を振ると、そうか、と頷く仕草は記憶と重なるようでどこか剥離している。 自分が知る彼のこんなに穏やかな様子を見た記憶は、殆どない。

2020-09-11 05:39:24
せーは @seiha_rnb

『予定工程はほぼ終了したから、あとはこの液体を抜くだけだ。肺腑やらから取り除くときちょっと苦しいかもしれんが堪えてくれよ』 そう言って彼は視界から見えなくなり、……それからのことはあまり考えたくない。 控えめに言って、『ちょっと苦しい』では済まなかった事だけは間違いなかった。

2020-09-11 05:39:24
せーは @seiha_rnb

容器から起き上がると、薬研は体が無事に動くか、みたいないくつかの質問をしてそれを端末に入力していた。 ここに来る前から政府で着せられていた白い服は不思議と濡れた感じはなかったものの、着替えを渡されて着替えるよう促された。 よく見れば内番用の着物だった。新品のようで、懐かしくなる。

2020-09-12 11:49:34
せーは @seiha_rnb

薄い板のような端末を懐にしまうと薬研はこちらに笑いかけてきた。 「これからあんたに説明と案内をする奴らが来るからあとは指示に従ってくれ。……もうちょい不自由はするかもだが、……なに、そう長くは続かせんさ」 ゆっくり言い含めるような、落ち着かせるような声色だった。

2020-09-12 11:49:34
せーは @seiha_rnb

「うん、大丈夫。……ありがとね」 「いや、ろくにしてやれることがなくてすまんな。また様子を見に来る」 ……そんなに、不安そうな顔をしていただろうか。 薬研はそう言うと肩をぽんと叩いて部屋から出ていった。 誰かが来る前に着替えておいたほうがいいかもしれない。渡された内番着に袖を通す。

2020-09-12 11:49:35
せーは @seiha_rnb

のろのろとした着替えが終わったあたりで、外から入っていいかと声が掛かる。 「どうぞ」 呼びかけに応えると入ってきたのは二振りの刀剣男士だった。銀髪で青い目に白と青の服の青年に赤と黒の混じった髪に鋭い目つきの、ぼろぼろの格好の男。 どちらも刀を帯びているから、少し身が竦んだ。

2020-09-12 11:49:35
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せーは @seiha_rnb

羽衣馬晴波@成人済 文と短歌*BL色恋二次創作 猫と日常 ⛔カプ雑食・混沌・諸々注意⚠ 刀*沖田組他・独自設定本丸 FGO*授と新茶 メギド*祖51,63 tist*🌹 2.5*観/呟 生涯推*触手 F*19歳以上推奨 RT多。 短歌企画 @seiha_tanka_ アイコン 友人カエル氏