たとえばテーラー展開は、田崎さんのノートにも丁寧に解説されていますが、動画だとヨビノリたくみさんのものがあります。 youtube.com/watch?v=qzd5iX… youtube.com
2021-03-24 12:56:02なお量子力学で用いる線形代数の最小限の解説は、教科書の付録に付けてあります。またフーリエ級数やフーリエ変換の解説も付録でしてあります。
2021-03-24 13:08:00また長谷川浩司さんの「線形代数[改訂版]」(日本評論社)は、量子力学に向けて線形代数を学ぶ教科書としても評判が良かったので、ご紹介をしておきます。 nippyo.co.jp/shop/book/6704…
2021-03-24 13:13:27量子力学で出てくるユニタリー行列は、実行列である回転行列の複素数的な拡張であることが知られています。そこから直観的なイメージを持つのが楽だろうと思います。2次元実ベクトル空間に図のようにx軸y軸を入れて、対応する正規直交基底をいれれば、ベクトルは成分を縦に並べた行列で書けます。 pic.twitter.com/Eihg0WcnFW
2021-03-25 10:32:52量子力学ではエルミート行列が物理量に対応していると考えると、とても便利です。でもエルミート行列のイメージをまだ持てていない初学者の物理学徒もいるでしょう。実は、ベクトル空間の射影という操作を考えるとエルミート行列はわかりやすいと思います。
2021-03-29 04:56:186月に出る量子力学の教科書ですが、複素数も含めた線形代数の知識は前提になっております。例えばよく使うのが、正方行列のトレースです。定義は下記のようになっており、特に2次元複素正方行列に対しては簡単に2つの対角成分の和で書けています。 pic.twitter.com/MHi54ubnJf
2021-04-04 06:49:21前提知識の力学ですが初歩的なことで良く、ニュートン方程式が正準方程式に書き換えられるくらいの知識だけでそれ以上に古典解析力学の詳しい知識は要りません。運動量ベクトル、軌道角運動量ベクトル、エネルギー保存則や調和振動子や電磁場中の荷電粒子(特に一様磁場中)を知っていれば足ります。
2021-04-04 08:23:32電磁気学の前提知識は、磁気モーメントベクトル、電磁ポテンシャルと電場磁場との関係、ゲージ変換くらいで基本的には足ります。
2021-04-04 08:23:57射影行列がよくわからない方は、具体例で馴染んでみてください。2次元複素ベクトル空間の元である単位ベクトルから下記のように2次元行列を作ると、それは射影行列になります。そしてそれはエルミート行列でもあり、またトレースをとれば1になります。 pic.twitter.com/qbAvkByDS2
2021-04-04 13:39:57射影行列がよくわからない方は、具体例で馴染んでみてください。2次元複素ベクトル空間の元である単位ベクトルから下記のように2次元行列を作ると、それは射影行列になります。そしてそれはエルミート行列でもあり、またトレースをとれば1になります。 pic.twitter.com/qbAvkByDS2
2021-04-04 13:39:57「射影行列」と呼ばれる理由は、元のベクトルと直交する他のベクトルを考え、その2つのベクトルの重ね合わせにこの行列をかけてやると分かります。結果は元のベクトルに比例する部分だけが生き残ります。つまりベクトルの矢へ垂直に光を当てた時にできる影の部分が取り出せるイメージだからです。 pic.twitter.com/e7jyDQyAdz
2021-04-04 13:43:40この「射影」という性質は、同じ行列を2回かけても1回だけかけた結果と同じになるという式でも表現されるわけです。1回目で既に影の部分を取り出しているので、2回目でも変わらずに同じ影の部分が残るためです。 pic.twitter.com/a0iLQ4LbZn
2021-04-04 13:45:50そして面白いことに、この射影行列自体をベクトルと見直し、複数の射影行列に実係数をかけて、その線形和をとることで任意の2次元のエルミート行列が作れます。つまりエルミート行列は、射影行列が張る実ベクトル空間の元だったわけです。 pic.twitter.com/Sn6NWrFAho
2021-04-04 13:48:39エルミート行列の集合は実ベクトル空間ですから、それには正規直交基底があります。その例は、下記の単位行列と3つのパウリ行列から作ることができます。この4つの行列は、自明にエルミート行列であることはわかりますよね。 pic.twitter.com/C8QmgCnxhX
2021-04-04 13:50:19そして下記のように、2次元エルミート行列と4次元実ベクトルを対応させましょう。 pic.twitter.com/MlKlfpIY9O
2021-04-04 13:51:23これらを基底ベクトルと思えば、任意の2次元エルミート行列は、下記のような4次元実ベクトルに対応します。 pic.twitter.com/rq3y5Yn3n0
2021-04-04 13:52:34すると行列の積のトレースが、ちょうど実ベクトル空間の内積になっていることがわかります。このような対応を知っておくことで、射影行列やエルミート行列のイメージが掴みやすくなるかと思います。 pic.twitter.com/QiI5f2V3hc
2021-04-04 13:53:57トレースを使うと、正方複素行列に内積を下記の様に自然に入れることもできます。 pic.twitter.com/6xlegIhtdX
2021-04-06 11:57:31トレースを使うと、正方複素行列に内積を下記の様に自然に入れることもできます。 pic.twitter.com/6xlegIhtdX
2021-04-06 11:57:31このことから、2次元正方複素行列は、4次元複素ベクトルへ対応させることも自然です。そして複素ベクトルの自然な内積こそが、行列の積のトレースで入れた内積に一致するわけです。こういう対応を知っておくのも量子力学では有用です。 pic.twitter.com/ssNsl4F45C
2021-04-06 11:59:31ですから例えば、正方複素行列Aとそのエルミート共役行列との積のトレースが零ならば、その行列Aは零行列であることも成り立ちます。この性質も量子力学ではよく使うので、覚えておいてください。 pic.twitter.com/b5BwQFgvyO
2021-04-06 12:02:48この複素行列のトレースが内積やノルムを与える話ですが、一番簡単な応用の1つが「ある物理量の分散がない純粋状態は、その物理量の固有状態である」という定理の証明です。 pic.twitter.com/RQAMxuP0jS
2021-04-07 06:56:12たとえばエルミート行列Bに対応する物理量を考え、ある純粋状態で下記のように行列Aを置きましょう。するとBの分散はトレースで計算できます。 pic.twitter.com/W1iShsXS7T
2021-04-07 06:57:56するとBの分散が消えるという条件は、今の状態がBの固有状態であるということと等価であることが、一発でわかってしまいます。とても便利です。 pic.twitter.com/TuCd1YLZGD
2021-04-07 06:59:28この結果は密度行列で与えられる一般の量子状態の場合にも自然に拡張することもできます。この辺りは教科書の演習問題に出しました。
2021-04-07 07:00:32この線形代数の定理ですが、量子力学や量子情報理論ではメチャクチャ便利です。是非証明をして納得をしておいてください。出てくるベクトルの本数がベクトル空間の次元より大きくても小さくても、成り立っています。 pic.twitter.com/l7As3vBfkC
2021-04-10 09:51:26この線形代数の定理ですが、量子力学や量子情報理論ではメチャクチャ便利です。是非証明をして納得をしておいてください。出てくるベクトルの本数がベクトル空間の次元より大きくても小さくても、成り立っています。 pic.twitter.com/l7As3vBfkC
2021-04-10 09:51:26この証明のアイデアは、ある意味直観的で簡単です。考えている2つのベクトルの集合から、シュミット直交化法などを使って、それぞれで正規直交基底ベクトルを作れば良いのです。
2021-04-10 09:55:40空間次元と本数が一致する場合は、その作られたその2つの正規直交基底において、それぞれから2つ選んだ基底ベクトルの内積を行列的に並べることで、ユニタリー行列Uが作れます。そしてそのUこそが、元のベクトル集合の片方を他方に写像する、欲しかったユニタリー行列になっています。
2021-04-10 09:58:33ベクトル空間の次元よりベクトルの本数が少なくても、適当な本数のベクトルを勝手に加えれば、空間次元と一致させられて、先の構成法からUの存在が保証されるわけです。
2021-04-10 10:00:11ベクトル空間の次元よりベクトルの本数が多い場合は、そのベクトルから適当に空間次元と同じ本数を選んで、先の構成法を使えば、同様にUの存在が言えます。最初に選ばれなかった残りのベクトル同士の内積も、このUできちんと保存していることは確かめられます。
2021-04-10 10:01:56このユニタリー行列の存在定理の幾何学的イメージは、実ベクトル空間での直交行列に対する定理のものと同じです。 pic.twitter.com/rtiVO3nFxz
2021-04-10 10:03:27図のように、ベクトルの長さ(またはノルム)と内積の関係が一致する2つのベクトルから成る集合(プライム無しと有りの組)があります。 pic.twitter.com/F3MloUNpP7
2021-04-10 10:04:49すると直観的には明らかに、ある角度の回転行列でそれぞれのベクトルを回せば、ノルムや内積の関係を壊さずに写像できることがわかりますね。 pic.twitter.com/g42Nzd377t
2021-04-10 10:06:38つまり、この場合は直交行列である回転行列が双方のベクトルの集合の元を繋ぐ行列として存在していることが分かるわけです。 pic.twitter.com/LlSbsK269s
2021-04-10 10:07:52この例では2本のベクトルを写像するようになってますが、この本数は1本でも3本以上でもOKです。ある1つの直交行列Rが存在して、各ベクトルとv'(j)=Rv(j)のように繋いでいるわけです。先のユニタリー行列の定理は、この直交行列の定理の複素数的な拡張になっています。
2021-04-10 10:10:28指数関数の引数に純虚数を代入したときの、有名なオイラーの公式も量子力学ではよく使います。 pic.twitter.com/RczUPYUAqR
2021-04-10 12:17:15指数関数の引数に純虚数を代入したときの、有名なオイラーの公式も量子力学ではよく使います。 pic.twitter.com/RczUPYUAqR
2021-04-10 12:17:15例えば三角関数と指数関数のテーラー展開(マクローリン展開)を使えば、この証明は具体的にできます。確かめてみてください。 pic.twitter.com/CwNzaYIMqc
2021-04-10 12:18:35量子力学では2乗すると単位行列Iになる行列Aがよく出てきます。パウリ行列はその例ですね。行列Aに角度θをかけて、それを三角関数に代入すると、cosxの偶関数性とsinxの奇関数性も使えば、下記のような公式が確かめられます。 pic.twitter.com/h7wPBAEZaD
2021-04-10 12:21:58これから2乗すると単位行列になる行列Aに対して、行列に拡張されたオイラー公式も作れます。量子力学ではよく使うので、これも確かめておいてください。 pic.twitter.com/T7URy413aO
2021-04-10 12:23:23またこのオイラーの公式は、量子力学で役立つ別の見方ができます。 pic.twitter.com/gImRLg3MEu
2021-04-10 13:03:09この純虚数が代入された指数関数は、量子力学では位相因子と呼ばれており、その絶対値は必ず1になります。 pic.twitter.com/UEQfIMRNVB
2021-04-10 13:04:27波動関数や状態ベクトルの表示には、この位相因子の自由度が常にあり、この位相因子は物理量の観測確率などには影響を与えません。
2021-04-10 13:05:47位相因子が複素数ですが、この複素数を1×1正方行列とみなすと、ユニタリー行列の最も簡単な例にもなっています。 pic.twitter.com/DwhAGAZyzJ
2021-04-10 13:07:29この位相因子を使えば任意の複素数zの極表示を作ることもできます。まずzの大きさを表す実数Rを定義します。このRは1×1エルミート行列とも見なせます。そしてzにRの逆をかけることで位相因子Uを定義できます。そうすると複素数(1×1複素行列)zに対する極表示としてz=RUという関係を得るわけです。 pic.twitter.com/azsZ6mN28j
2021-04-10 13:11:16何故わざわざ複素数を1×1行列と書いたかというと、先の極座標表示は任意のN×N複素行列Cに対しても拡張できるからです。CからN×Nエルミート行列RとN×Nユニタリー行列Uを下記のように定義してやれば、C=RUといつでも書けます。これも量子力学で使いますので、確認しておいて下さい。 pic.twitter.com/QlAmicyP24
2021-04-10 13:14:14@threewells3131 対称性と保存則は扱いますが、場の理論は紙面の関係で入らないため、ネーターの定理は出てきませんし、予備知識としても要りません。
2021-04-05 03:55:17