き
@kirihara_novel
そうして幼子達が再会に盛り上がっているところに燭台切が戻ってきた。大包平に何やら耳打ちして、大包平も何度か頷き、小声で返している。チビ助、お前が前から会いたがっていた御仁がこの奥にいる。初月と手を繋いで、行っておいで。おく？そうだ。心配はいらない。俺や母上も後ろでちゃんと見てる。
2020-12-21 16:37:14
き
@kirihara_novel
係のお姉さんが、手を消毒してね？と子ども用に用意された消毒液をちいさなちいさな手にシュッとしてくれる。ちゅちゅたい！小さなことでも歓声があがるのが微笑ましい。ういちゃん、おててつないで？ちいとあっちにいくよ？あい！…あーしゃ…。心細げに三日月かかさまを振り返ると、ちゃんと後ろから
2020-12-21 18:05:00
き
@kirihara_novel
見ておるよ、ちい包平と行っておいで？と優しく三日月が微笑むのに安心して頷く。ちいちゃ！いこ！いこう！ちい包平と初月が揃って踏み入れたそこは、まるで絵本の世界のようで。あたたかそうな内装に、キラキラとオーナメントが輝く大きなクリスマスツリー。そして正面には…。さんたさんだ！！
2020-12-21 18:05:01
き
@kirihara_novel
赤い服を着た、おひげのおじいさん。ちいくんもういちゃんも、何度も読み聞かせをおねだりした絵本で見たサンタさんがそこにいて。こんにちは、ちいくん、ういちゃん。サンタさんは優しい笑顔と声でちいくん達を手招きしてくれた。今はハグはしてあげられないけれど、とサンタさんは赤いリボンの端を
2020-12-22 12:14:53
き
@kirihara_novel
それぞれに持たせて、サンタさんももう片方を持った。ほら、繋がってるね？はい！あい！素直な返事が微笑ましく、背後で見守る大包平達も笑顔である。ちいくんもういちゃんもとてもいいこだね。ちいとういちゃんのおなまえどうしてしってるの？そりゃあサンタさんだからさ。いいこのことはすぐわかる。
2020-12-22 12:14:53
き
@kirihara_novel
すごい！さんたさんすごい！ういちゃんもゆっくり話してくれるから理解はできているらしい。いいこだと褒められてることはわかったようだ。あのね、さんたさん。ちい、いつもぷれぜんとをもらうから、あっておれいがいいたかったのです。そうかい。嬉しいよ、ちいくん。くりすますもまたあえますか？
2020-12-22 18:02:13
き
@kirihara_novel
それは難しいなあ。だって世界中の子どもたちにプレゼントを配るのはみんなが寝ている時間と決められているからね。いいこは夜に寝るだろう？クリスマスの夜はどうしても会えないから、今日会いに来たんだ。だからちいがおきたらぷれぜんとがおいてあるの？そうだよ？いいこが寝ている間に
2020-12-22 18:02:13
き
@kirihara_novel
配っているからね。ちいくんはサンタさんをじっと見つめていたが、納得したのか頷いた。ういちゃん、さんたさんはくりすますあえないんだって。ういちゃんもちいもいいこだから。う？でもきょうあえたから、よかったね！あい！わかってないだろうにと思うが、初月が返事をしたのでちいは満足らしい。
2020-12-22 18:02:14
き
@kirihara_novel
あ！うぶ！ちいくんは慌てて三日月母上に抱っこされているうぶちゃんのところに走ってきた。ちい？どうしたのだ。うぶも！うぶもいいこだから、さんたさんにあわせてあげるのです！はっはっはっ。さようか。ではうぶをさんた殿の近くまで連れて行くから、あとは頼むぞ、ちい。はい！うぶは母上にそっと
2020-12-22 18:02:14
き
@kirihara_novel
床に降ろされて、ちいくんから渡されたリボンをぎゅっと握った。さんたさん、ちいのおとうとなの！うぶもいいこでしょう？そうだね、うぶちゃんもいいこだな。何もわかっていないうぶちゃんだけど、兄上が隣で支えてくれて、優しそうなおひげのおじいさんが笑っているので嬉しそうに笑った。
2020-12-22 18:02:15
き
@kirihara_novel
またあえますか？ちいくんは最後に聞いた。サンタさんは笑う。会えるかもしれないし、会えないかもしれない。でもちいくんがサンタさんを思ってくれていることを、サンタさんは知っているよ。大きくなっても、今日のことを覚えていてくれるかい？はい！ありがとう。とても楽しかったよ。ちいも！
2020-12-23 18:05:04
き
@kirihara_novel
ちいもたのしかった！ありがとうございました！！あいやと！ちいくんがお礼を言うので、ういちゃんもありがとうを伝える。さあ、時間だぞ、チビ助ども。大包平父上がちいくんとうぶちゃんを抱き上げ、燭台切ととさまがういちゃんを抱き上げた。ばいばい！さんたさん！ばばーい！サンタさんと
2020-12-23 18:05:04
き
@kirihara_novel
係のお姉さんに見送られ、一行は外に出た。ちちうえ！さんたさんにあえました！さんたさんすごい！ちいのこともうぶのこともしってた！ういちゃんのことも！そうだな、すごいな。興奮冷めやらぬちいくんの頭を大包平父上の大きな手が撫でてくれる。うぶも何やら興奮しておるなあ。三日月母上もうぶが
2020-12-23 18:05:04
き
@kirihara_novel
何かご機嫌でお話をしているのをだっこして見守っている。さんたしゃ！あーしゃ！さんたしゃ！うんうん、さんた殿がいたなあ、初月。賑やかに外に出たら、雪が降っていて。わあ！ゆき！ちいくんの火照ったほっぺに、雪の妖精が降りてきたようで。何だか俺達まで魔法にかけられたようだなあと
2020-12-23 18:05:05
き
@kirihara_novel
三日月母上が笑って。クリスマスは魔法がたくさんらしいからね！と燭台切が言って。子ども達は早めのクリスマスプレゼントをもらったのだった。 （続きは支部で🎅）
2020-12-23 18:05:05