(抜粋②) 『臨床精神薬理』第25巻第４号 Apr. 2022

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

その主座は約40兆個と見積もられている常在細菌叢である。近年、マイクロバイオータの定着が脳の発達には重要であることが示唆されており、腸内細菌叢が中枢神経系に及ぼす影響と、精神疾患におけるその役割の可能性が注目されている。 　近年の系統的レビューおよびメタ解析においては、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

精神疾患患者では腸内細菌叢の多様性または豊富さが低下していることが報告され、統合失調症では抗炎症性の酪酸産生菌が少なく、炎症誘発性の細菌属が多いことが示された。統合失調症患者では健常対照群に比べてルミノコッカス属とロゼブリア属の相対的な存在量が有意に低く、グラム陰性嫌気性菌である

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

ベイロネラ属が有意に高いことが分かった。さらに、頭部MRIデータを解析した結果、統合失調症では、いくつかの脳領域において、灰白質体積と局所均一性が健常対照群に比べて有意に低下していることがわかった。精神疾患における腸脳相関が重要な役割を果たしていることを示している。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

6. 統合失調症と悪性腫瘍 　統合失調症患者は身体状態に罹患していることを診断されていない人が多く存在すると予測される。この原因は受診の遅れもあるし患者自身が症状を訴えないこともあるかもしれない。こうしたデータを見るとがんに関して統合失調症患者が罹患しにくいということは真実ではなく、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

別の因子によってそう見えているだけなのかもしれない。一方で肺がんに関してのメタ解析では、統合失調症患者は肺がんの罹患率は対照群と同等であるとの報告があり、この報告では喫煙を補正していない研究も含んでいる。他のメタ解析では統合失調症は一部のがん(女性ではぼうこうがんと乳がん、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

男性では大腸がん)に罹患する可能性が高いとも報告されている。いずれにせよ死亡率でみると統合失調症患者は多くのがんで高い。気がかりなのは抗精神病薬との関係である。一部の抗精神病薬を使用している場合に、わずかではあるが乳がんへの罹患率が上昇することが報告されており、プロラクチン上昇

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

との関連が疑われている。ただ、患者の第一度血族ではがんの発生率が低いとの報告があり、もしかしたら統合失調症患者はがんに罹患しにくい体質を持っている可能性は現時点でも否定はできないのかもしない。しかし、発症してしまえば死亡率が高いことは確認しておく必要があり、早期発見や予防、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

治療へのアクセスが重要である。こうしてみると、がんへの罹患も統合失調症患者の平均余命を短くする因子であり、特に罹患後の行動特性が影響している可能性がある。 　利益相反 : 大日本住友製薬　📃

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

(抜粋₆)　『臨床精神薬理』第25巻第４号 Apr. 2022 pp.371-376, 「統合失調症の自殺および向精神薬との関係」井上佳祐・河西千秋 　統合失調症患者の自殺を予測することは困難であると、しばしば言われてきた。統合失調症患者で自殺未遂した者は、気分障害患者と比べて、前回の自殺企図から１年以上 pic.twitter.com/8HJ0gaHuVA

拡大

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

経っている者が多いことなどから、自殺が突発的に生じたように治療者に感じさせるのかもしれない。実際に、統合失調症に罹患していた自殺者のうち約80%が自殺直前まで規則的に通院していたという報告もある。 Ⅱ. 統合失調症患者における自殺の疫学 　世界保健機関の多国間共同研究では、精神科病院に

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

入院していて自殺で亡くなった患者の19.9%、一般住民のうち自殺で亡くなった者の10.6%が、統合失調症に罹患していたと報告されている。統合失調症患者の生涯を通じた自殺企図歴は、Luらのメタアナリシスでは26.8%(95%信頼区間 : 22.1-31.9%)と報告されている。1970年代は統合失調症患者の約10%は

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

自殺によって死亡するという研究報告が多かったが、2000年代に入り、自殺で死亡する統合失調症患者は約5%という報告が増えていった。2005年に行われたPalmerらのメタアナリシスでは、4.9%(95%信頼区間 : 4.3-5.6%)とされている。自殺者全体の男女比率は、世界各国の報告では概ね３：１とされているが、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

統合失調症患者では概ね２：１と、女性の比率が比較的高いと報告されている。 Ⅲ. 統合失調症患者における自殺の特徴 　統合失調症患者の自殺の危険因子は、自殺未遂歴、自殺の家族歴、発症初期、入院直後、退院直後、抑うつ症状、薬物乱用、絶望感、そして孤立や衝動性といった、一般的なものに加え、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

特異的なものとして、急性期、反復する症状再燃、退院時に病状が十分に改善していないこと、病識の獲得、病状が悪化することへの恐れ、治療に対する過剰な依存・不信・敵意、そして顕著な陽性症状などが、報告されている。 　統合失調症患者の自殺の保護因子は、危険因子に比べると報告が少ないが、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

治療に対するアドヒアランス、同居家族がいること、社会的支援、自殺企図手段の制限、適切な薬物療法などが報告されている。 　希死念慮が目立たない統合失調症患者であっても、精神症状が悪化した際には、自殺の危険性も高くなっていると考えるべきであろう。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

統合失調症患者の多くが抑うつ症状を有することが知られているが、抑うつ症状は統合失調症患者の自殺の危険性を高めることがわかっている。前駆期においては、特に抑うつ症状を呈しやすく、統合失調症ではなく気分障害と診断されることもあり、また、罪業感を伴うため自殺の危険性が高い。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

急性期においては、幻覚や妄想に対して、二次的に自責や罪業念慮が生じて抑うつ的になることがあり、急性期を過ぎた後も、抑うつ状態、精神病後抑うつを来す。抑うつ気分、易疲労性や睡眠過剰等の症状、病識の出現が自殺と関連する可能性がある。また、精神病後抑うつが寛解した後の慢性期には、

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

抑うつ気分を伴う病像の変動が出現すること、他に、精神病エピソードの前駆症状として抑うつ症状を認めることがある。 Ⅳ. 抗精神病薬による統合失調症患者の自殺の危険性への影響 　アカシジアは、不安や焦燥を来すことが多いことから、自殺の危険性を高めると言われている。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

抗精神病薬により、幻覚・妄想などの急性期症状が改善して、現実に直面化する目覚め現象(awakenings)によって、混乱、抑うつ、不安や絶望感が生じ、自殺を惹起することがあると言われている。この目覚め現象は、非定型抗精神病薬による賦活や認知機能改善効果と表裏一体のものだと言われることがあるが

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

実際には、統合失調症の病理との区別は難しい。 　副作用の発現時には、抗精神病薬の減量、および変薬が望ましい。アカシジアも含め副作用の予防には、各抗精神病薬の副作用プロファイルを勘案して薬物を選択することが必要である。患者の不安が先に立ってそもそも抗精神病薬の服用をやめてしまっては

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

元も子もない。その副作用が、医療者からすればよく見られるもの、あるいは軽症と判断されるものであったとしても、患者自身にとっては自殺に至るほどの不安や焦燥を抱えてしまう可能性があることを医療者側は認識すべきであろう。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

Ⅴ. 統合失調症患者の自殺予防 　まずは、精神科医を含む医療者が自殺の危険因子と保護因子について知悉することが重要である。 　自殺手段の選択には、そのアクセス性と利便性が関与する。入院患者の自殺を防ぐためには、病院施設の安全管理が重要となる。家族支援も重要である。家族は、患者のケアに

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

対する負担や、孤独を感じていることが多く、家族に対する心理教育を行うことも重要である。 　Hawtonらは、抑うつ症状は陽性症状よりも自殺との関わりが強いと報告している。河西らは、統合失調症が思春期・青年期に好発することや、慢性の経過をたどりやすいこと、また、コミュニケーション障害と

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

生活障害といった症候によって、患者の自己実現や社会参加が阻害され、患者が「慢性的な自己不全感」を抱えていることも自殺と密接なものと考え、自殺の動機として、「メンタルヘルス上の問題」が多いことを自殺未遂者の調査から指摘した。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

4. 抗精神病薬、その他の抗精神薬 　定型抗精神病薬による自殺予防効果については、肯定的な報告も否定的な報告もあり見解が一致していない。また、その報告のほとんどが、後方視的、無作為化していないなどの問題があった。 　非定型抗精神病薬のうちclozapineが統合失調症患者に対して最も良好な

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

自殺予防効果のエビデンスを有している。Clozapineの持つ良好な自殺予防効果は、clozapineが抑うつ症状の改善効果に優れていることによるのではないかとNakajimaらは推察する。 　臨床の現場において、現時点では、自殺予防を目的として統合失調症患者に抗うつ薬を使うことは現時点では勧められない。

花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

統合失調症患者の自殺予防のためには、薬剤の選択以上に、副作用やアドヒアランスに注意をすることが重要である。　📃