第173回深夜の真剣140字60分一本勝負

烏蜥蜴 @cornixiv

仲のいい2人組を見ていた。南の遠い村出身で、柔らかな人柄から、やや排他的なこの町でも好意的な人はそれなりにいた。その1人が魔物に襲われて死んだと聞いた。噂をしていた連中はいい気味だと笑っていた。落ち込んでも空腹になる。そっと温かいミルクを出して、私は裏切らないから、とだけ言った。

夏見 有 @you_natsumi

ほんの少しの汚れもない真っ白い部屋の下三分の一に隙間なく描かれたカラフルな絵。数え切れないくらいたくさんの本とクレヨン。そしてわたし。 本を読むのも絵を描くのも楽しいけど、すればするほどわからなくなるの。 わたしはだあれ？ 壁の中のともだちも答えてくれないの。 ……さみしいなぁ。

烏蜥蜴 @cornixiv

牛乳をたくさん。卵も、砂糖もたくさん。全部合わせてちょっとボールがすごいことに。器にそそいで、せっせと蒸し器に並べて、出来たものを1つ、つまみ食い。バケツプリンなんて言うけれど、プリンを思う存分食べてもまだ冷蔵庫に残ってる。今夜冷やしてからもお楽しみ。明日はいくつ食べようか。

てい @orztee

いつも誰もいない、俺の秘密の場所に、見知らぬ少女がいた。追い出す訳にもいかず、黙って草の上に寝転ぶ。「星、見るなら隣、いい？」頷くと、彼女は隣に寝転んだ。頭上にはミルクを零した様な天の川。そこに、キラリと一筋の光が流れた。「今日のおみくじ大吉だったんだ」少女の弾む声に、頬が緩む。 pic.twitter.com/jewgGfeLvn

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TAKA001 @001TAKA

大吉・ミルクのカップル漫才、って何？午前中の演芸場なんざ、お客様どころか師匠方も誰もいないよ！ あんたら、空っぽの客席に向かってネタ披露して、楽屋に戻って柱ぁ見つめて「お先に勉強させて頂きました」。元気に声そろえて尚更いじらしいや。 席亭の俺は匂いで分かるんだ。売れるぜ、御両人っ！

夜野 影史 @YorunoKagefumi

初参加失礼致します お題：大吉 #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite pic.twitter.com/2WUkFjwFL7

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ケンタシノリ＠童話＆小説書き屋さん @kentasinori

大学の授業を終えた俺は、下宿先へ向かう途中にある喫茶店に入った。午後２時過ぎの店内には、ランチタイムを終えたこともあり、マスター以外の客は誰もいない。 マスターは、淹れたてのコーヒーを俺のいるテーブル席へ持ってきた。砂糖なしでミルクありなのが、俺が飲むコーヒーへのこだわりである。

まんごうがしゃ @ManGougasya

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite) #140字小説 お題／①誰もいない、②ミルク タイトル／ミルクの時間 pic.twitter.com/5plhKImbYG

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秋月蓮華 @akirenge

帰りに寄った神社で大吉を引いた。 そのまま私は家に帰った。誰もいない。 変だな、おばあちゃんはいるはずなのに、 ご近所さんもいない。 誰もいない。 落ち着いて冷蔵庫からアイスミルクコーヒーを取り出して飲んで改めて近所を探索。 誰もいない。 「大吉効果……？」 どうしよう。私以外、いない。

RAY/※※※ @growler_ray

小さな時から私を育んでくれた、実家の部屋。自分のもの全てが撤去されたそこは、見てるだけでも酷く寂しく思えてくる。 「行こ？」 「うん」 手を引かれ、私は去る。 もうあの部屋には誰もいない。けれど思い出だけは、確かに残ってる。 これから私たちが行く先も、きっとそうなってくれるはずだ。

ゆきやまイマ＠鶏林書笈 @keirin_syokyu

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題： ①誰もいない ②ミルク ③大吉 #木槿国の物語 pic.twitter.com/iK4ni3uChv

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れんが @xLEZ7vRmyC82HvW

誰もいない真夜中の神社にぼんやりと光が見え近づくと、おみくじの自動販売機があった。 試しに300円入れてみる。すぐに札が落ちてきた。 〈大凶〉 また300円を入れる。また入れる。入れる。入れる。 小銭を全てつぎ込んでようやく出た大吉にガッツポーズをする俺を、狐が呆れたように見守っていた。

🐧来 根来(きたり ねごろ)🐧 @kitari_negoro

#深夜の真剣140字60分一本勝負 ( @140onewrite) お題：①誰もいない　②ミルク　③大吉 久しぶりに参加してみた🐧 画像間違えたので再掲……ごめんなさい💦 pic.twitter.com/FXK9OabsRI

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Pingu　novel @ckpingu_nvl

今朝の情報番組の占いで、珍しく一位に輝いた。大吉もなかなかないので、「やった！」と飛び上がった瞬間、コップが傾いた。慌てて掴むも、中のミルクはカーペットに全て吸い込まれた。これで一位⁈固まる私を尻目に、アナウンサーが伝える。「ラッキーポイントは、誰もいない所もピカピカに！」

あすか（オタク名sutella） @kagikiri0321

みるく色のマフラーをたなびかせて訪れた誰もいない馴染みの神社、立て続けに彼にふられ、さすがにおかしいと思ってお参りに来たのだ。鳥居をくぐる瞬間の包み込むような変わらない風、そうだ御籤でも買おうと販売コーナーで百円玉を投げ込んで一つ手に取る。｢大吉か…。恋愛は…既に愛されてる…。｣

香-kyo- @74_oooo

ランドセルを放り投げ、雨上がりの誰もいない公園で声をひそめて名を呼んだ。 「ミルク…」 植え込みの陰に置いた段ボール箱は雨でぐちゃぐちゃだ。昨日この中の子猫の鳴き声に気付いて家に連れ帰ったけれど返して来いと怒られた。でももう一度お願いするんだ。 ベンチ下に小さく震える白を見つけた。

ポッキー(山口絢子)@低浮上多し🙇 @sorapoky

客は僕以外、誰もいない。ミルクティーを注文する。君と会わなくなって一年。紅茶派に変わった。珈琲好きの君は、夜中に突然電話をかけてきた。おみくじは大吉しか出たことないの。運の強い人だった。縁が切れ、自分の運は下降したかも。泣き出しそうな窓の外を見ながら、帰郷する旨を母にメールした。

三上クコ @mikami_kuko

『先に当たりを引いた方が勝ちな』帰り道に立ち寄ったコンビニで、当たり付きアイスを手に挑戦的に笑ったアイツ。俺も同じように笑って毎日同じアイスを買った。決着の前に俺達の財布の限界が来て、腹が捩れるぐらい笑った真夏の夕方。ふとあのミルク味が恋しくなったが、一人で買うのは違う気がした。 pic.twitter.com/aOCF764XUV

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Shu_Shu @shushu0141

パン、と払らわれた手がグラスに当たり、卓からミルクが零れ落ちた。 「もういい」 朝帰り。 悪びれる気もない口を遮った彼女の声は、清々しいほどに明るいもので、だから僕はそれ以上続ける言葉が思いつかない。 ドアが閉まる音と離別の声を聞きながら、明日からは誰もいない部屋に帰るのかと呟いた。

葵 惟 @LsfRim

雨の音で目が覚めた。 微かな光を頼りに壁時計を見ると、時刻は午前６時前。最悪だ。 とはいえ二度寝出来そうにない。観念してベッドを降り誰もいないリビングへと向かう。 少し前まで暮らしていた彼女の気配が、まだ微かに残っている。 「ああ、最悪だ……」 窓の向こう、更に雨音が強くなっていた。