米軍春日原住宅地区(福岡県春日市・大野城市)の遺構である「USウォーター標石」について。
0
タケ @take_all_a

福岡空港(福岡市)が米軍の板付基地だった頃、同基地南側の福岡県春日市から大野城市にかけて、米兵とその家族や軍属が暮らす春日原(かすがばる)住宅地区が広がっていた。写真はその当時の遺構である「USウォーター標石」。2022年10月撮影。 pic.twitter.com/VPqvkW3Nze

2022-12-13 22:27:57
拡大
タケ @take_all_a

私がUSウォーター標石の存在を知ったのは、2022年秋に大野城心のふるさと館(福岡県大野城市)で開催された「板付基地展」だ。 pic.twitter.com/htpxlG39tn

2022-12-13 22:30:42
拡大
拡大
拡大
拡大
タケ @take_all_a

会場に展示された「板付基地・軍需工場地域の変遷 板付飛行場時代(〜1972)」の地図に、USウォーター標石の写真と位置が示されていた。ただ、当時の水道管が現存するのか、どこからどこに流れていたのかといった詳細な情報は無し。 pic.twitter.com/kWyVXoFbtE

2022-12-13 22:33:26
拡大
拡大
タケ @take_all_a

米軍春日原住宅地区の遺構として主に知られているのは、大野城駅前の木製電柱と、春日市・大野城市内に点在するオフベースハウス(住宅地区の外に建設された米軍ハウス)のふたつ。USウォーター標石なるものは、板付基地の歴史に詳しい人達の間でも把握されていなかった。 pic.twitter.com/8DauSuJJXB

2022-12-13 22:35:18
拡大
拡大
タケ @take_all_a

というわけで、前掲の地図からGoogleマップのストリートビューで標石の正確な位置を確認し、後日現地を訪れた次第である(赤丸内が標石)。なお、USウォーター標石とは「板付基地展」における表記であり、ネットを検索しても他の使用例は見つからなかった。 pic.twitter.com/7s6K8xGhjq

2022-12-13 22:39:50
拡大
拡大
タケ @take_all_a

所在地は福岡県大野城市東大利3-1。Googleマップ goo.gl/maps/xJYZ8MVeM…

2022-12-13 22:40:37
タケ @take_all_a

米軍が駐留した昭和20年代と返還後の現在の地図。今昔マップのキャプチャに加筆。左:1952・S27発行の地形図、右:最新の地理院地図。左図の「福岡精工所」は軍需工場でここも米軍が接収した。 この画面のURL ktgis.net/kjmapw/kjmapw.… pic.twitter.com/Iru1kaPTL1

2022-12-13 22:41:56
拡大
タケ @take_all_a

では標石を詳しく見てみよう。四角柱の側面のうち、一面にだけ「(U) S 370M」と刻まれているが、過去に車が接触したのか、U の字を含む上部が欠けて全体的に傾いている。ガードレールはその後の設置だろう。 pic.twitter.com/EszDrAwmFk

2022-12-13 22:45:23
拡大
拡大
タケ @take_all_a

上面には十字型の矢印と W の文字。W は water の頭文字と判断して間違いあるまい。 pic.twitter.com/4edqphFn7g

2022-12-13 22:47:13
拡大
タケ @take_all_a

矢印は標石がある道路と微妙に角度がズレるが、一般的に水道管を敷設するなら道路下なので、このズレは施工精度の低さか接触事故の影響と思われる。横を流れる細い水路は御笠川の支流で、おそらく周辺が農地だった昔の名残。 pic.twitter.com/P0nGdPj29L

2022-12-13 22:51:04
拡大
拡大
タケ @take_all_a

矢印は水流の向きか? しかし、そうだとすると春日原住宅地区とは逆方向に流れたことになるのが解せない。あるいは「370M」という距離の起点方向(起点が何かは不明)を示すのかもしれない。

2022-12-13 22:57:26
タケ @take_all_a

そこで、マピオンの計測機能で標石から矢印方向の道沿いに370mを計ったところ、御笠川の対岸に行き当たったものの、今昔マップで確認すると少なくとも1969・S44までその辺は農地で、取水堰らしき施設も見当たらない。 pic.twitter.com/YhSWxTxy82

2022-12-13 22:58:43
拡大
タケ @take_all_a

この道路を矢印と反対方向に辿ると大野城市の瓦田浄水場があるが、米軍駐留当時は地図に浄水場らしき表記は無し。何かのポイントから370mの位置を意味すると思うが… 中継ポンプの類いだろうか。

2022-12-13 23:00:57
タケ @take_all_a

それと、この水道管が米軍進駐後の敷設かどうかは分からない。春日原住宅地区は、戦時中の陸軍造兵廠や民間軍需工場の土地を米軍が接収して設置された。よって、軍需工場用の既設水道管も米軍が接収し、新たにUS名義の標石を設置した可能性はあり得る。 pic.twitter.com/8Z5sHf75V5

2022-12-13 23:03:47
拡大
拡大
タケ @take_all_a

以下は余談。USウォーター標石付近の路面に「大野城トレイル 往還とにぎわいルート」と記されたプレートを見つけた。 pic.twitter.com/R0ot7R7ioX

2022-12-13 23:22:08
拡大
タケ @take_all_a

見学中、この道路はけっこう昔から存在するのだろうな、と周囲の状況から推測はしていた。で、後日調べたところ、博多と天領日田(大分県日田市)を結ぶ日田街道(太宰府往還)だと判明。まさか江戸時代の街道だったとは。 pic.twitter.com/g0YXorA6qD

2022-12-13 23:25:43
拡大
拡大
タケ @take_all_a

今昔マップのキャプチャに加筆。左:1929・S4年発行の地形図、右:最新の地理院地図。標石の地点は街道沿いに立地する大野村白木原地区の南端にあたる。 この画面のURL ktgis.net/kjmapw/kjmapw.… pic.twitter.com/2weif2IDHs

2022-12-13 23:28:36
拡大
タケ @take_all_a

関連サイト:大野城市 > 大野城トレイルマップ city.onojo.fukuoka.jp/s061/020/010/0…

2022-12-13 23:29:59
0
まとめたひと
タケ @take_all_a

福岡県を中心に、建築・団地・土木・産業遺産などについて、ツイッターにつぶやいたことをまとめています。個人サイトの方は放置中。