第189回深夜の真剣140字60分一本勝負

阿茶羅果いずみ @goldeneyelake

ラジャスタンでは風に砂が飛び 人々の肌は乾き 原色の衣服はまとわりついて鮮やかだ 砂漠を往くにはきっと誰もが 武者震いして信念を灯すだろう しゃなり、しゃなり、と遠くを眼差して 化粧した象の神輿に揺られ 額のジュェルがゆらゆらと揺すられ 私は未来の乾杯するグラスの音を 空耳のお囃子に聴く

夜ヶ咲 @yorugasaki

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らん @amagi_ran

私は決してこの場所から動けない。何年も空を仰ぎ見続けた私は『私』でしかない。でもそれでいい。その分深く根を張り決して揺らがない。私は道しるべの樹。旅人が木陰で休み、彼方の土地の話を聞かせてくれ、渡り鳥が羽を休め、見知らぬ空を歌う。#twnovel　私は皆の自由を糧に今日も枝葉を伸ばす。

RAY/※※※ @growler_ray

息を切らし、どうにか待ち合わせ場所の海岸へとやってくる。一年に一度のイベント、初日の出をこの目に焼き付けに 地平線の果てから陽炎が姿を見せて、目をくらませる瞬間。その一瞬の中に私は色んなものを見る。去年のこと、これからしたいこと、とにかく色々と さて、今年はどれだけ叶えられるかな？

みずの しまこ @samidaress

白湯を愛飲している私に「ただの湯だろ？」と彼は言い放った。健康にいいことばかりだし、不純物が入っていないから口当たりも優しいのだと熱弁すれば「どうせ俺は不純だし優しくもない」と不機嫌そうに炭酸を飲んでいる。そのボトルを奪い取り口をつけてやった私も、白湯のようにはなれないのだろう。

太陽や月など @as1mind1soul

川岸を下る冬の散歩道。足を止めて顔を上げれば、深々と降る雪と共に空までもが迫り来る感覚に見舞われた。暗い曇天の重力に戦慄が走る。しかし圧倒されて身動きできず、強い拘束から逃れられない。謂れなき罪の念が心身に充満仕掛かったとき、足下の柔らかな雪のキルティングに安堵して歩みに戻った。

Z.P.M @ArcOkimuy

海の道をドライブしたことがある。前後左右がすべて水だ。車というよりモーターボート。一年のち、同じルートを通ると決まり、期待に胸を膨らませていた。ところが両側には街灯と柵ができていて残念なことに道路以外の何ものにも見えないではないか。気がついた。あの時は工事中で未完成だったと。 pic.twitter.com/HBquv6mOtx

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ケンタシノリ＠童話＆小説書き屋さん @kentasinori

「てへへ、またやっちゃった」 竜馬は、この日の朝もお布団にでっかいおねしょの地図を描いてしまいました。どうやら、夢の中で豪快に水中へ飛び込んだのがいけなかったようです。 「おねしょぐらい、気にしなくても大丈夫だぞ」 姉のおとめも、竜馬のおねしょを気にすることなく優しく接しています。 pic.twitter.com/a0aNA69qKQ

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安津 るり @Ruri__anzu

僕の目に彼女はいつも自由に見えた。だって彼女はどんな事があっても、笑顔を絶やすことがなかったから。引っ込み思案な僕には眩しくて、直視なんかできっこなかった。 けれど本当は、学校という束の間の安寧を喜んでいただけだと知る事になる。 『彼女は○○で帰らぬ人となりました』

三上クコ @mikami_kuko

一四〇字。約一四秒で終わる世界の時空はいつも歪んでいる。一四秒で刹那しか進んでいない世界もあれば、数千年進む世界もある。共通するのは世界が終わる時間と、創造する時間。一週間なんて悠長なことは言ってられない。真夜中の六〇分に全てを懸ける。世界が終わった後でも、忘れられないために。 pic.twitter.com/v2V0eMM1GT

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Pingu　novel @ckpingu_nvl

翌日は雪晴れで、せっかく作った雪だるまが傾きかけていた。左目は泣いているようで、左手は私に差し伸べていた。たまらず、ギュッと抱きしめる。昨日はあんなにふんわり包んでくれたのに、今日は氷のように硬い。「さよなら」「昨日までの優しさは？」黙って去る。また来年、命日に降る雪を待つから。

てい @orztee

「ここでは自由にしてください」と書かれた看板があった。だだっ広い、所々にベンチが置いてあるばかりの草地に囲いがしてある、その入口に。自由を謳歌しに来たらしい人の姿が点々と見えた。歌ったり走ったり歩いたり寝転がったり談笑したり。楽しそうだなと踏み入り気づく。誰もが浮かない顔だった。

れんが @xLEZ7vRmyC82HvW

「海に行こう」 その一言で私達は車に揺られている。何で彼がそんな提案をしたのかわからない。今は冬で、あと少しで明日が来る時間で、外は雨が降っていた。 隣にいる彼は無言で、雨音とラジオの砂嵐だけが車に響いていた。 海へ行く目的も一緒にいる意味も分からないまま、私達は海へ向かっていた。

夏見 有 @you_natsumi

草木も眠る深い夜、綺羅星たちは僕らを歓迎した。ぼろけた木製の廊下を滑るように進み、羨望と悲哀と身を焦がす恋情を帯びた教室に入る。 わざと机に腰かける君に僕は言う。 「触れても、いいか」 「私で良ければ、幾らでもどうぞ」 悪戯な笑みを浮かべ僕の手を取る。そのまま僕らはその刹那を重ねた。

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

「今までごめん、君はもう自由だ」あなたはそう言って部屋の鍵を開けた。随分と長かった。私は早足で扉へ向かい、あなたの手を掴んで室内に引きずりこむ。驚くあなたは知らないだろうが、この部屋には外への抜け道も隠し扉もある。私はとっくに自由だった。こんな茶番に囚われていたのは、あなただけ。

五月 @may_sidem

@140onewrite #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/26mo7cEDvE

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ゆきやまイマ＠鶏林書笈 @keirin_syokyu

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite 正月らしいお話をと思ったら何故か除目が浮かびました（苦笑）。 古今東西、勤め人の関心事は人事ですね。 pic.twitter.com/2Sq9xk3nU5

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秋月蓮華 @akirenge

「自由と言われても何をしていいやらとなるんだが」 「じゃあ最近あった面白かったことは？」 現代の魔法使いとそのマネージャーは話していた。 夜、魔法を使う仕事は今は休憩中である。 「……見ていた漫才大会が面白かった」 「貴方が笑うところ見てみたいようなみたくないような」 「どっちだ」

春野ゆき @710_ambassador

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite 🐯謹賀新年🎍 今宵もご開催ありがとうございますっ！ お題フリーにつき【こたつ】 いま焦がれて止まない暖房器具！ ジャンケンで負けた方が買い出しや補給に出る。冬あるあるでございます☃️ ほのぼの小話🐌｢こたつむりの生態について｣ pic.twitter.com/SdlmdPEf9d

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石森みさお@140字小説 @330_ishimori

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) お題:自由お題 #twnovel #140字小説 twitter.com/330_ishimori/s… pic.twitter.com/nF6HfiOA9J

石森みさお@140字小説 @330_ishimori

こんにちは、初めてお手紙書きます。百年前の遺物の紙とペン、思いきって使ってみました。電脳テレパス感情直結世代の僕ら、AIが暴走した今は交信断絶。僕もコンパートメントから出る勇気がありませんが、時間はだけはあるので文字、学びました。この手紙は紙飛行機にでもしようかな。それじゃ、また。

2022-01-08 22:57:56

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