「統合失調症における糖脂質代謝障害の発症リスクに対する生物学的脆弱性と抗精神病薬治療の影響」久住一郎
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調節がVTFのリスクを低下させるために重要であることを示している。  現時点では、抗精神病薬そのものの薬理作用でVTFが誘起されるのか、あるいは抗精神病薬のもつ鎮静作用などが引き起こす能動性の低下などを介した間接的な影響に留まるのかという課題については十分な解明がなされていない。

2022-04-04 14:57:46
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1972年にはSukovが身体拘束中の症例の不動と下肢の外傷が血栓症発症の誘因と考えられるという報告をしている。その後、2000年頃から、身体拘束中の精神疾患患者にVTFが発症したという報告が増加している。また、Hemらや長嶺の報告では、数日間の身体拘束でPTEが発症しており、短期間の拘束でもVTEが

2022-04-04 15:03:39
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発症する可能性があることを示唆している。中村らの報告では、Dダイマー異常群で下肢の運動時間が短く、静止時間が長い傾向にあった。また特にDダイマーが極端に上昇していた症例ではこの傾向が顕著に認められていた。このことから、行動制限による運動量減少、静止時間増加に伴って、血栓形成が

2022-04-04 15:08:58
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促進される可能性が示された。  抗精神病薬を服用している患者には、早期離床、積極的な運動を奨励することが望ましい。また、VTFの原因である血栓が下肢の静脈で形成されることが多いことを鑑みると、体位変換、足の背屈運動や下肢の挙上、下肢マッサージなど、特に下肢の静脈のうっ血を予防する

2022-04-04 15:12:33
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ような措置を積極的に行うことが重要である。さらに、身体拘束を要する患者においては、身体拘束の早期の解除を目指す他にも、特に下肢の身体拘束を最小限に留めるように配慮することが求められる。また、弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫法を行うことでリスクの減少を図ることも必要である。

2022-04-04 15:16:19
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ただし注意が必要であり、既に血栓の形成が疑われる場合にはこれらの着用前に循環器内科医へのコンサルトを行い、判断を仰ぐことが必要である。  また、薬剤の予防的投与に関して、精神科領域で使用可能と思われる薬剤として低用量未分画ヘパリンがある。8時間から12時間ごとに未分画ヘパリン5000

2022-04-04 15:22:25
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単位の皮下注射を行う方法であり、活性化トロンボプラスチン時間(APTT)を延長させないように使用し、少なくとも十分に歩行可能となるまで継続する。他の選択肢として、用量調節未分画ヘパリン、用量調節warfarin、Xa阻害薬が挙げられるが、モニタリングの必要性や副作用への対処などについて精神科に

2022-04-04 15:27:43
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おける身体的治療技能の一般的水準を超えていると考えられる。いずれを使用するにせよ、患者の身体状態による出血リスクや転倒などの外傷リスクを評価し、十分に注意した上で使用することが必要である。  予防とともにVTFの早期の診断も重要である。このためには常にVTFに関して念頭に置き、

2022-04-04 15:31:51
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Wellsスコアなどを用いてDVTの臨床的確率を推定することが必要である。Wellsスコアで低・中確率であればDダイマーによる除外診断を行う。これでDダイマー陽性の場合や高確率の場合には画像診断による確定診断を行う。下肢静脈超音波検査が最も推奨され、他の検査としては造影CT検査、肺動脈造影などが

2022-04-04 15:37:21
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挙げられる。しかし、医療機関によってはこれらの検査を施行できず、判断するにあたりDダイマーを参考にする比重が大きくならざるを得ない状況もある。阿部らは、臨床的にDVTが疑われ、測定されたDダイマー(正常値 : 0.5μg/mL未満)が異常値を示した186例に対して、超音波検査や造影CT検査等を施行

2022-04-04 15:42:44
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することによりDVTの有無を確認し、感度と特異度を最適化した3.0(感度91.7%、特異度78.2%)という値を導いており、状況に応じてこれを参考にすることも有用であると思われる。  VTFが薬剤により誘起されたと考えられる場合、薬剤の中止が原則となる。また、同時に抗血栓療法を開始する。

2022-04-04 15:47:47
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抗血栓療法で使用される薬剤や施行される手術としては、(1)抗凝固薬、(2)抗血小板薬、(3)血栓溶解薬、(4)外科的血栓摘出術等が挙げられる。実際には循環器内科医等に相談・依頼して治療を行うことになる。「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」も参照する。📃

2022-04-04 15:53:52
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(抜粋₃) 『臨床精神薬理』第25巻第4号 Apr. 2022 pp.405-411, 「統合失調症と呼吸器疾患 : 薬理学的視点を中心に」堀輝  統合失調症患者は、喫煙率が高いこと、食行動の特性などから嚥下機能障害を来しやすい。また抗精神病薬やその他の併用薬によって嚥下機能が低下しやすい。 pic.twitter.com/UVzBq260dS

2022-04-04 16:06:03
拡大
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実際に、統合失調症患者では肺炎やCOPD、COVID-19罹患率が高いことが知られている。  Ⅷ. 統合失調症とCOVID-19について  COVID-19の病態は、肺炎を契機とする重症呼吸不全が主である。精神疾患患者は、喫煙率が高いことや住居状況、貧困、閉鎖的環境(閉鎖病棟)、ヘルスケアができないことなどから

2022-04-04 16:12:30
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COVID-19に感染しやすいと報告がなされている。また、最近診断された統合失調症患者のCOVID-19感染リスクのオッズ比は9.89にもなると報告されている。精神疾患患者は、COVID-19感染に伴い重篤な合併症を呈しやすいという報告がある一方で、抗精神病薬がCOVID-19に対して予防的に働き治療に用いられる

2022-04-04 16:16:42
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のではないかという報告もあり意見の一致を見ていない。また、COVID-19パンデミックは、精神病性障害患者の精神症状を悪化させるという報告がある。  統合失調症患者のCOVID-19感染下では以下の点について配慮する必要がある。

2022-04-04 16:28:19
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内服継続を確認するとともに、病院への継続通院を支援することが必要になる。メディアの情報で不安が高まると結果として精神症状悪化につながる可能性もあるので注意が必要となる。家族内で再発の兆候を把握し、速めに対処できるようにすることも大事となる。余暇活動の充実や運動も必要である。📃

2022-04-04 16:28:19