277機関とは「どの自創作作品」や「どの時代」にも属さず、罪を犯した者に罰や猶予を与えたりする存在【機関者】と呼ばれている者達が所属している場所である。その機関者でもある灰田は、ある日を境に「チームを結成する」と上司たちに宣言し、一人で行動し始め、様々な部署から機関者に声をかけて行動に入り始めた。 ――灰田や追野よりも二つも早く所属し、三つの名で呼ばれる機関者・追跡者が灰田チームに入るまでのお話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
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伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

挑戦者でもあるレコード会社の社員は大声で「おい、これはどういう事だ!!」と司会者に向かって言うと「どういう事も何も、最後はちょっと趣向を変えましてね。ソレから聞こえる大量の曲の中に、一曲だけ新曲が混ざっていますので、ソレを当てて頂ければ大丈夫です」と返す。

2019-11-27 20:29:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

大音量な上に沢山の音楽が流れるヘッドフォンから、新曲を聞き出して答えよ。 ――解るか、そんなもの!! と投げ出してしまいたい気持ちになるものの、正解しないといけない、という気の焦りが生じる中で「兎も角、ここは集中して曲を聞き出して見せる」と思い、精神を集中させる。#Rhapsody277

2019-11-28 18:41:49
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――ダメだ、ここで間違ったら…何かが起きそうな予感がしてならない!! しかし、それと同時に自分の耳が何時までもつのかという不安にも駆られてしまう。 ――兎も角、集中だ集中…!

2019-11-28 18:44:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

大音量で沢山の曲が流れてはいるが、どれもこれも単純な曲ばかりだ。 だとすれば、単純な曲以外をなるべく耳に入れないように聞けばいいだけの事。 そう思い、更に神経を集中させ音楽を聴き、遂に答えであろう楽曲を聞き出し声高らかに解答を言い放つ。

2019-11-28 18:49:44
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

すると会場は一気に静まり、司会者も黙ったまま挑戦者を見つめている。 ――正解なのか、不正解なのか?どっちなんだ、早く言ってくれ!! 冷や汗がタラリと流れ落ちたのと同時に、挑戦者の座られている椅子の下がバッと開くと、司会者は言った。 「残念ですが、不正解です」

2019-11-28 18:56:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――ハッ!?!!?!!? 目が覚めた、という表現をしていいものなのだろうか? しかし、この目で見たのは椅子に座られたまま一気に暗闇の真下へと落とされたのが最後の光景だったハズ。 ――だが、俺は今、職場のデスクに居る…。ならば、あの出来事は夢だった、とでも言うのだろうか? #Rhapsody277

2019-11-28 23:13:34
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――いいや、あの場所には社長が居たハズだ。だとすれば…。 兎も角、俺は椅子から立ち上がって社長が居るであろう部屋へ向かい、扉にノックをし「失礼します、社長」と言いながら入る。 「あぁ、お前か?」

2019-11-28 23:16:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

しかし、声の主は社長ではなかった。俺は直ぐに頭を上げてデスクの方を見ると、見覚えのある顔をした男があるファイルを手に持ちながら立っていた。 「よぉ、悪と名の付くレコード会社の社員さん」 「君は――」

2019-11-28 23:18:53
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「会ったのはこれで2回目だけど、名前は言ってなかったから実質初めまして、だよな。俺の名は灰田だ、以後お見知りおきをってヤツだな」 そうだ、あの夢だが現実だったか分からない場所で出会ったプリンを思わせるようなツートンヘアーの男が、何故、ココに居る?

2019-11-28 23:23:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ココは小さな小さなレコード兼アーティストプロダクション会社、だが、小さい割には妙に大きい場所で借りを作ってしまってさぁ大変。自分らで作るにも限界で、元々居た人達を次々と辞めさせ、次第には所属するアーティストにすらもせびる始末…。俺達が目を光らせない、訳がない」

2019-11-28 23:26:37
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

俺の疑問も気にせず、灰田という男は口上を語るかのように話を続ける。 「しかし、お偉方は重い腰を中々上げないのだから「困ったものだ」と言ったのを耳にしたある機関者は、他の所から機関者を取り繕って一時的にバンドグループを結成。ライブハウスで演奏を披露した所、あッという間に大人気」

2019-11-28 23:30:55
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そして、それを目にした男はバンドグループに言ったのです「我々の事務所でもっと大々的に活動されてはいかがでしょうか?!」ってね」 ベベンと、何処からか三味線の音が聞こえたかと思って後ろを向いてしまうが、聞き間違いかと思い、再び前を向くと先ほどまで居た灰田は姿を消していた。

2019-11-28 23:34:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――まさか、これも夢じゃあ、ないよな…? 安堵の息を吐いて頭を上げると、目の前に星が見え、俺は驚いてしまう。 「残念、残念、そりゃ残念。俺と会ってイントロクエスチョンズに参加して沢山の音楽を聴いたのも、アンタらがこれから俺達に罪を罰せられるのも、全て現実だよ」

2019-11-28 23:38:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「一体、俺が何を罰せられると言うんだ?!」 「それはさっき俺が言っただろう、二度は言わないぜ」 「それよりも、社長は何処に行ったんだよ?!」 「あぁ、あのヒトなら、もう罰せられてるよ。別の機関者にね」 「なんだと?」 「口では言いたくないな~、何せ、あのミヨシノさんが相手してるから」

2019-11-28 23:41:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

一体、どんな目にあっていると言うんだ?――という疑問が思わず顔に出たのを見た灰田は耳元で教えてやった。 「じゃあ、今回は特別に教えてやるよ。あのヒトを罰してるミヨシノっていう機関者の罰し方ていうのがな――」

2019-11-28 23:44:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ピー音が入っていそうな事をサラリと言う灰田に俺は驚きを隠せなかったが、当の灰田も言い終えた後に「だから言いたくなかったんだよな~、ミヨシノさんの罰し方ァ」と頭を掻く。 「まぁ、どっちにしたってアンタが何処まで逃げて隠れようとも無駄だ。アンタを罰するのは、何せあのお方たちだからな」

2019-11-28 23:46:42
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田は舞台の袖に引っ込むように距離を取ると、目の前に現れたのは見覚えのある三人組。 「俺の名は忘れたが、他人からは三つの名で呼ばれている。チェイス、チェイサー、追跡者……呼び方は自由だが、今はどうでもいいだろう」 「な、なぜアナタ方がココに居るんですか」

2019-11-28 23:49:06
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「何故って、そりゃオメェ、今までから今にかけての状況から考えて分かるだろ?」 「ま、まさかアナタ方も、ですか」 ドラム担当のロディは「気づくのおせーよ」と言いながらツバを吐き捨てると、隣にいたギター担当のブライトンは「まぁまぁ、僕達が罰するんですから」と言い宥める。

2019-11-28 23:51:53
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――これ以上、この場に居たら俺は本当に終わってしまいそうだ。 四人の目を盗んで社長室を抜け出して会社を走りながら逃げて行ったのだが、目の前には渋い橙色の髪色の男――Pursuitのメインボーカルでもある追跡者がニヤリと口角を上げて俺を見て言った。 「俺の速足、なめるなよ」

2019-11-28 23:56:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

例のレコード会社の社長と社員は追跡者達によって処罰された、やり方の内容を聞いたお偉方からは賛否両論な言葉を投げられたが、最終的にはやり遂げたと言う事で落ち着く方向になって行ったらしい。 #Rhapsody277

2019-11-29 19:53:02
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

一方で、バンドグループとしてのPursuitは休止を発表すると、ファンたちからは落胆の声が聞こえたが、そこはリーダーでもある追跡者が「クククククク……休むだけさ、また、ココで俺達の演奏が聞こえた時は、何時もと変わらずにいてくれや」と言い、最後のライブを執り行ったという。

2019-11-29 19:55:34
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そんな日々が通り過ぎた中、追跡者の手には1枚の紙を掴んだまま、ある部屋へ向かっていると、向こうから見覚えのある藤色髪の機関者が通り過ぎて行くのかと思えば、向こうも追跡者に気づき声をかける。 「行って、しまわれますのね」 「あぁ、約束しちまったからなァ」

2019-11-29 19:59:54
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そう、ですの…」 「まぁ、灰田の所に居ても、俺は、お前の事は忘れはしないぜ」 ――その言葉を、少しでも早くに聞きたかったのに…。遅すぎますわよ、チェイス。 ミヨシノはそんなことを口には出さず、代わりに「では、私はこれで失礼しますわ」と言い、追跡者の元を去って行った。

2019-11-29 20:04:57
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

目的の部屋へ辿り着いた追跡者は、ノックもせずに部屋へ入ると「お待ちしてましたよ、チェイス、さん」と未だに慣れない敬語で話す灰田が迎い入れに来て、その後へ続くように「よ、ようこそ!」と分厚い丸眼鏡をかけた機関者も勢いよく挨拶をする。 #Rhapsody277

2019-11-30 19:45:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「灰田は解るとして、そちらさんは?」 「は、はじめまして。私、追野と言います、ハイぃ…」 「成程な、これからよろしく頼むわ」 「こっ、こちらこそ、よろしくお願いします」 挨拶も互いに済ませ、追跡者は改めて灰田に書類を渡しながらに言う。

2019-11-30 19:48:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「今日から、俺も灰田チームの仲間入りなんだ。経歴の上下関係なく、だぜ」 もう片方の手を差し出す姿に、今まであったモノが吹っ切れ、何時もの調子で追跡者の書類を受け取りながら灰田は空いている片手を握って言う。 「あぁ、これからも、よろしく頼むぜ。チェイス!」 【Rhapsody277 追跡者編 完】

2019-11-30 19:54:11
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#Rhapsody277 次回予告的コーナー 灰田「チェイスよ、一言いいですかね」 追跡者「なんだ、灰田」 灰田「ミヨシノさんとは、どういう関係なんです??」 追跡者「は?」 追野「それ、私も気になってました…!!」 追跡者「いや、どういう関係って、なぁ。読んでもらった通りだと思うぜ?」

2019-11-30 19:58:49
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追野「いやいや、あの件はどう読んでも色々と考えてしまいますよ!(赤面)」 追跡者「色々、ねぇ…」 灰田「んで、あの後どうしたんです?」 追跡者「そりゃあ、オメェ、あの後どうしたって…(ピー音)…って所だな」 追野(話を聞いて赤面状態で退場の図) twitter.com/5jyouTsukito/s…

2019-11-30 20:01:47
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「おかえりなさい、チェイス」 最近よく耳にする声だ、俺の居る部屋にはいつも機関者が先に居て、こんな風に声をかけてくる。 「アァ…、いま帰った」 上着を脱いでソファに向かって適当に投げるようとすると、直ぐにあの機関者は「いけませんわよ、仕事着なのに」と言いながら脱がす。#Rhapsody277

2019-11-19 19:57:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田「なんか、すげぇな…」 追跡者「クククククク……、まぁ、俺の事よりも、明日からは誰の話かって言うのを離さなければ、次が進まんだろうに」 灰田「だよなっ!次は髪の毛がモコモコな、あの機関者が登場するぜ!」 追跡者「名前言ってねぇけど、まぁ、解るヤツは解るだろ?」To be continued…

2019-11-30 20:04:31
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

本日のお絵かき:しつこく、つきまとい、罪を下す者。 pic.twitter.com/k8CkRNm0Te

2018-10-01 19:40:15
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まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。