『 #Rhapsody277 』は、伍条の自創作内に登場する「277機関」という機関の機関者 灰田がメインなお話となるもので、277機関自体は「自創作内ではフリーダムで、何処の作品にも属していない」方々でもあります。 twitter.com/5jyouTsukito/s…
2019-10-01 23:17:05277機関灰田チームのメンバー全員の名前が決まりましたので、改訂版として上げときますね。 pic.twitter.com/HTNAJZpXVA
2018-09-03 21:46:23277機関――それは俺たち機関者らが働いている場所の名称だ。 おっと、自己紹介がまだったな。俺の名は灰田、偶にハイテンション(さん・野郎等)と呼ばれてたりする時もある。 という話はさておき、277機関というのは一体何をする場所なのか?っていうのを、今から軽く説明しようと思う。 #Rhapsody277
2019-10-01 22:46:08主な活動としては「誰かが罪が行われたり、犯した時に現れ、その罪の内容と重さで、処刑したり猶予を与えて償う機会を与えたり」するのが俺達「機関者」の役目だ。 しかし、それ自体は覚えれば誰だって出来る事だし、所詮は何もない者達が現れては処罰を下す訳だから、単純と言えば単純だ。
2019-10-01 22:50:41しかし、俺は「単純作業は嫌い」な存在であるからして、仕事はこなすが「あっさりすぎるのゴメンだ」と、お偉方に言い捨てた後に言い捨てた勢いが余って「俺は俺のやり方で仕事をするし、アンタらじゃ思いつかない事をして、革命を起こしてやる!」と豪語したのだから、さぁ大変!という話になる訳だ。
2019-10-01 22:54:52幸いにも、俺自身は仕事の成績上では悪くなかったから、その後の待遇自体はそこまで塩らしいものではなかったものの、他の機関者達の視線が以前よりも増してしまったのは言うまでもない事実だ。 ――あんだけの事を言ったからには、何か、してやらんとイカンが…。何がいいだろうか?
2019-10-01 22:58:30そんなことを考えながら、何気なく街を歩いていると、1枚のポスターに5人の人間が集まって、キメた表情で写真に写っていたのを見て「コレだァ!!」と、頭に電球が灯ったような閃きで、俺は仕事場へ戻った。
2019-10-01 23:02:40そして、機関者達顔写真が載っているファイルを約半日かけて閲覧し、全てを見終える頃にはある程度の数をおさえつけいたのが、現在の灰田チームである。 無論、俺が目につけた全ての機関者が居る訳ではない。 初っ端から断られた者も居れば、返事を待つ者、直ぐに快諾してくれた者、正に様々だ。
2019-10-01 23:05:16でも、俺は前々から思っていた。 これだけの人数が居るんだ、俺みたいなヤツ…人間で言う所の個性っていうのを持っている機関者は、絶対にいる筈だ!――と。
2019-10-01 23:06:38……おっと、話が長くなってしまったな。 要するに、俺が今から話すのは「灰田チームが出来るまで+α」って言う感じだな。 何故最後に「+α」が付くのかと言うのは…、簡単な話「寄り道話もあるから」としか言いようがないからである。 だが、それも含めての話になるという事だけは確かなのは事実だ。
2019-10-01 23:09:22基本的には俺がメインな所になるし、記憶違いな事も話し出すかもしれん。 もしかすると、誰かが入ってきて話出すことも考えられる。 そういう意味でも、この話が長くなる可能性は大いに考えられるからな、眠たくなったら寝てもいいし、好きな所から読んでくれても構わない。
2019-10-01 23:12:30……まぁ、細々と色々喋っちまったが、最後に一言だけ言わせてくれ。 「そこんところ、よろしく頼みますわ」
2019-10-01 23:13:33俺が最初にファイルを見て真っ先に入ったのが追野、という機関者だった。 前髪が何だか特徴的で、ひと昔前の丸くて目が全然見えないガラス眼鏡をかけているが、服装自体は俺よりも遥かに真面目に見える。 #Rhapsody277 twitter.com/5jyouTsukito/s…
2019-10-02 20:20:45――けれど、俺の目で見る限りでは…面白そうな機関者の予感がする。 仄かな期待を抱きつつも、俺は追野を探し機関中を数日かけて探し回ったのだが、これが中々見つからない。 ――一体、何処にいるんだよ? そんなことを思っていた矢先に、急に仕事が舞い込むんだからせわしないったらありゃしない訳だ。
2019-10-02 20:24:32いくら俺達の見た目が真っ黒で、個性が弱いと言ったって、標的に会う人らにとってはどう映るのかは分からない。 たとえ現場へ向かう足や時を急かそうとしても、俺は自分の姿が見えるもので身なりはある程度整えてから向かっているし、外へ出る前は忘れ物が無いか確認はするのだ。 #Rhapsody277
2019-10-03 18:58:34「今日も決まってるぜ、俺、仕事はちゃんとやれよ」 まるで合言葉のように自分を言いきかせながら、機関の扉を開けて外へ出ると、その目に広がるのは、何処か懐かしさを感じさせるような建物と人々が歩いている光景。 ――ありゃ、これは随分と時代が遡りすぎなんじゃねぇの??
2019-10-03 19:04:22――ここは本当に壱ノ笠なのでしょうか…?時代が遡っているというのは聞いてますが、いくらなんでもムカシすぎはしませんかねぇ…。 フレームが丸く、瓶底ガラスみたいに出来ている眼鏡のせいで一見視界が見えづらく、灰色の髪は前髪が特徴的で、服装は真面目な機関者。 それが追野だ。#Rhapsody277
2019-10-04 19:56:11煉瓦やコンクリート建築物があるのは、あくまで中央区やその周辺までて、そこから一歩外れた途端、一気にのどかな田舎風景が垣間見える。 追野は上着のポケットから取り出したメモ帳を開き、改めて標的が居る目的地名を確認し、その場所へ向かって遅いながらも走ってゆくのであった。
2019-10-04 20:07:44――えぇと、確か…ここの筈なのですが…。 キョロキョロと辺りを見渡しつつも目的地に向かう追野ではあるものの、一向に目的地に辿り着かず仕舞いなのだから、先ほどから気ばかり焦ってしまう始末だ。 ――もしかして、私は今、ムカシの壱ノ笠で迷っている…と言う事なのでしょうか…? #Rhapsody277
2019-10-05 19:53:25今一度、上着のポケットからメモ帳を取り出し、表紙に折りたたんで挟んでいる地図を見て、追野は驚愕してしまう。 ――この地図、現在の壱ノ笠の地図でしたぁ!!! 「あわわ……どどどど、しましょうあぁぁぁらららああぁぁ――」
2019-10-05 19:56:38プチパニックで、自分の口から何を言い出しているのかさえ分からずな状態になって数分経った頃、急に自分の耳から何か別の音が入った追野は、急に耳を澄ませ始める。 ――…今、何か、音が聞こえたような…?
2019-10-05 19:59:23俺が聞いた話では「ムカシの壱ノ笠に向かった機関者が居り、標的が行く所まではよかったものの、途中で道に迷ってしまった」ということだ。 ――機関者って、大抵の場合で標的の所には直ぐ行けるもんだと思ったんだが…。俺の思い過ごしか?? #Rhapsody277
2019-10-06 20:51:53標的に罰を下す、大半の機関者達はそれしか念頭がないものだから、余計な事は考えないし、考える事すらも億劫だというのは、かつての俺がそうだったから。 改めて一人のペースで壱ノ笠を歩いてみると、今まで見えなかったような所まで見える気がするし、むしろ楽しく思えて仕方がない。
2019-10-06 20:56:30――きっと、人間にもこういう気持ちを持ったヤツが一杯居て、日々を過ごしているんだろうな…。 そう思いながら歩いていると、自身の右目から例の反応を感じ取った灰田は仕事モードに切り替えつつも、例の標的が居るであろう場所に向かうのであった。
2019-10-06 20:58:35灰田の視界を捉えたのは、この時代に罪を犯した者。 何時の時代に行っても人間っていうのは、そういう存在らしい。が、それ自体はごく一部の人間で、大半の人間たちは日常の中に過ごしているのだから、本当、何とも言えんよなぁ――と、俺は思う訳だ。 「見つけたぜ、標的さん?」 #Rhapsody277
2019-10-07 18:41:04「お前は誰なんだよ?!ってか、なんだその頭はよぉ!!」 「俺は灰田って言うんだ、偶に人からは『ハイテンションさん』なんて呼ばれてたりするんだけどな」 「はぁ?なーに言ってんだお前??」 「細かいことはいいや、所でお前、その手に持ってる袋はなんだ?」
2019-10-07 18:44:20少々薄汚い格好をした男の手に持たれているのは、明らかに何かが入っている袋だが、当の男は「お、俺の生活必需品だよ!文句あるのか?!」と怒鳴り散らすような声で返す。 「成程――」 「分かったなら、俺はさっさと通らせてくれよ。アンタが前に居たら我が家に行けねぇだろ?」
2019-10-07 18:47:21耳から聞こえる音を頼りに、追野は舗装されていない道を歩いていた時だ。徐々に人の会話らしき声が聞こえ、歩く足を緩めた途端、何処かで見たことがあるような人が間の道から現れたのだ。 しかし、向こうは追野に気づく事もなく、慌てた様子で走っている。 #Rhapsody277
2019-10-08 19:57:21追野は疑問に思いながらも、その後を追おうとした途端、更に別の者も向かって行く姿も目撃したのだから、益々どういう事だと思ってしまう。 ――いまの人、私の眼鏡が大丈夫ならば…暗い灰色パーカーを着ていたような気がしたけど…。
2019-10-08 20:02:24灰田が…というよりも、本来仕留めるべき機関者があの男を追う訳を話そう。 あの男は「窃盗を犯した人間だから」だ、現にあの男の手に持っている袋の中身は、何処かで盗んで来たと思われる「お金」というモノが入っているという話はココへ来る前に聞かされていた。#Rhapsody277
2019-10-09 21:00:16そういう事は未然に防いでやりたいのが本音の一つでもあるが…、生憎、俺達機関者はそういう事が既に起こした者に対して処罰を下すという機能しかないと言っても過言ではない。 ――罪を犯した者には罰が下される。 それは、何時の時代へ行っても変わりはしない、普遍的な定義であると、俺は思う訳だ。
2019-10-09 21:03:21男は路地裏の道を走って逃げていたものの、無我夢中だったせいで行き止まりの道へ行きあたってしまい、戻ろうとして振り返ってみれば「行き止まりみたいだな、標的さん?」という声と共に居たのは、金と茶の派手な髪色に、人の目ではない右目を持つ男がそこに立っていたのである。
2019-10-09 21:07:39灰田の所持している鎌そのものは、スポンジ製の刃で持ち手もそこまで長くなく、全体的には小ぶりな印象を受けるモノだが、今は違う。 両手で持たれている鎌は今、刃も持ち手も灰田と同じくらいの大きさに変わっているのだ。#Rhapsody277
2019-10-10 18:48:02「行き止まりだ、逃げ場はないぜ窃盗犯さん?」 灰田をはじめ機関者たちの姿はまるで、死を誘うような存在にも似ているという話も耳には入るが、彼らはあくまで機関者だ。 「や、やめてくれ!俺はまだこんな所でくたばりたくはないんだよ!!」
2019-10-10 18:54:54その姿に怯える男を目に、灰田は両手に持っている鎌を振り上げながらに言う。 「俺の仕事は、アンタらみたいな者達をこれ以上野放しにしない事だ。つまり、見逃しはナシだ。言っておくが、俺が本気出したらなぁ、お前が何処まで逃げようともサイゴまで追いかけるんだぜ?」
2019-10-10 18:58:29追野が音を頼りに目的地にたどり着いた頃には、先ほど目撃した機関者が持っている鎌で追っていた男に処罰を下し終えた後だった。 ――金と茶の派手な髪色…、この方はもしやっ! 上着のポケットから再びメモ帳を取り出し、慌てた様子でページを開いていた時である。#Rhapsody277
2019-10-11 18:38:01「お前か、迷子の機関者っていうのは?」 低い声で問われた追野が顔を上げてみると、そこに居たのは丁度見つけたページの写真に写っている同一機関者で、写真の横には灰田という名前と、簡略的な調査結果が記されている。 「は、はい…」
2019-10-11 18:44:34「随分と、おっちょこちょいなんだな」 「よく、言われます…」 それ以降、特に大した会話もなく、灰田は追野を見ながらに聞いた。 「一つ聞くが、絆創膏、持ってないか?」 「絆創膏、ですか?」 「本音を言えば、星の形をした絆創膏が欲しい所だが…。生憎、手元分がねぇんだ」
2019-10-11 18:48:47話では聞いていた、この機関者は「仕事モード」になると右目に貼られている星型絆創膏が剥がれ朽ちた時は標的は逃げられないし、逃しはしない――と。 追野は慌てた様子で上着のポケットから救急セットを取り出し、蓋を開けて一般的な絆創膏を差し出しながらに言う。
2019-10-11 18:54:39「あの、星の形をしたはないのですが…、これは大丈夫でしょうか…?」 少し驚いたような表情を浮かべる灰田だが「あんがとさん」と礼を言い、絆創膏を右目に貼る様子を見ていた追野は思ってしまう。 ――絆創膏を渡す指先が僅かながらに震えていたなんて、こんなこと、今までなった事がないのに…。
2019-10-11 18:58:47例の迷子の機関者こそが、俺の探していた追野だと言う事に気づいたのは、機関に帰って星型絆創膏を貼り直そうとして、トイレに入ってすぐの鏡に映る自分の姿を見た時の事だった。 「しまった、あの時に聞けばよかったな…」#Rhapsody277
2019-10-12 20:04:13そんな独り言を呟きながら、応急処置として貼ってあった絆創膏を剥がそうとした時であった。 「よぉ、灰田じゃねぇか」 渋い橙色でボサボサ髪に、目元には入れ墨みたいに三本線が入っている男が入り、灰田の後ろで用をたしはじめる。 「チェイスか、そっちはどうなんだ?」
2019-10-12 20:07:40「ククククク……別に、俺は何時ものように仕事はこなしてるさ」 「成程ねぇ――」 「それよりも灰田ァ、お前、右目が丸見えだぜ」 「それを今、コレで貼ろうとしてたんだよ」 「星型の絆創膏か、前々から思っていたが、それ、かなり特殊すぎるよなァ?」 「正に、俺専用の特注品みたいなモノさ」
2019-10-12 20:10:40互いに用をたし終えてトイレに出ると、特に何事も無く二人は互いに反対方向へ向かおうとした時だ。 「そういやァ、お前、最近、お偉方に随分な事を言ったらしいな?」 「なんだ、もう知ってたのか」 「ココは広いようで狭いんだ、噂なんて直ぐに伝わるもんだぜ」 「確かにな!」
2019-10-12 20:13:38――まだ、あの時渡した手が震えている。今まで、こんな風になった事なかったのに…。 あの後、上司に今回の件を報告すると「あー、やっぱり迷子になっちゃった上に、あの灰田が罰したという訳か…」一瞬だけしかめっ面を浮かべてて、渋々理解したような雰囲気で返された形となった。#Rhapsody277
2019-10-13 21:01:03「まぁ、今回は他の機関者の代理で頼んでしまったから、こっちにも非があるけれども…。次からは、慌てず迷わず、だよ」 「は、はい…」 上司の居るデスクを後にし、自身のデスクへ戻り椅子に着席するのと同時に、やはり自分の駄目さ加減が露見したな、という思いの溜息が出てしまう。
2019-10-13 21:08:13――灰田さん、噂では聞いていたけれど…。あの鎌裁きと言い、仕事に対する本気は見習わないといけないよなぁ。 「あっれー、追野ちゃんじゃないのぉ~」と、同じ部署に所属する、喋りに訛りがある機関者に声をかけられても気づかず、追野は益々深い溜息をついてしまう様子。
2019-10-13 21:11:34「追野ちゃぁ~ん?」 横で手を上下に動かしたのが目に入った追野はようやくその事に気づき「す、すみません!!」と大きな声と共に頭を下げる。 「いいのいいの~、それよりも追野ちゃん、なんかすごい溜息ついてたけど、大丈夫?」 「はい、大丈夫、で、です…」 「そぉう?ならいいけど…」
2019-10-13 21:13:52「ご心配、ありがとうございます、では、私は次がありますので」 そう言いながら、追野はその場を小走りで去って行ったのである。
2019-10-13 21:16:10――277機関は狭いようで広い、か…。確かに、チェイスの言う通りだな。追野という機関者がすぐに見つかるとは限らないし、仮に見つけたとしても、最初の出会い方が印象としてあまりよろしくないのも事実。次に会ったとしても、きっと仲良くお話は出来る可能性は低いだろう。#Rhapsody277
2019-10-14 18:38:17灰田の中で様々な思いが混ざりあい、自分でも最早「何が何だか分からない」と匙を投げだしたくなるような気持ちが芽生えそうになるものの、確信的に解っているのは「諦めたくない」という思いだけは誰よりも強いと言う事だった。
2019-10-14 18:41:19