ドイツ人、面白いことをやってみる。 漢検ドリルでわからない言葉があれば、その言葉を使って140字小説を書く。お勉強するドイツ人。 さて今日のお題は:「荘厳」(そうごん) よかったら君もやろう。 dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%8D%98…
2020-09-20 22:01:38俺が愛した彼女は荘厳な和風の屋敷に住んでいた。上品でナイーブな箱入り娘。両親に今まで束縛されて生きていたのだから、自由を知らないのは仕方がない。 しかし今夜、それは変わる。俺は彼女にプロポーズするのだから。 車の中から彼女が住む屋敷を見上げる。 助手席に置いた斧を掴み、車を降りた。
2020-09-21 08:10:34「ついたよ」 車を止めて、婚約者の彼に言う。彼は無言のまま答えない。緊張しているみたい。 下唇を噛んで、車から降りる。ヘッドライトに荘厳な教会が照らし出されている。 深夜の結婚――ロマンチックすぎる。 助手席の彼を抱き起こす。結婚に必要な部分しか持ってきてない彼の身体は軽かった。
2020-09-21 09:18:55@FakeTopology まさしく荘厳。 木造ながら神秘的な頼もしさを持つ空間に身も心も厳かになりながら私は用を足し終えた。途端、「ご利用ありがとうございました」の電子音声と共に世界は元の暗闇に戻った。環境汚染が進み人類が亜空間を住まいとした現在、このVRトイレだけが古き良き日本を味わえる唯一の場所だった。
2020-09-21 09:05:58@FakeTopology 突然暗転した視界が、徐々に回復していく。 「目が覚めたか」 低い声が辺りに反響する。 俺は顔を上げ頭を降った。ぼやける視界に映ったのは、まず巨大なエンタシスの白い柱。光輝くステンドグラスの前に、まるで神のごとく荘厳な雰囲気を纏う壮年の男がそこにいた。 ぞく、と背筋が震える。
2020-09-21 07:04:03@FakeTopology パチパチとかがり火がはぜる。足先から痺れる冷たさが襲う。 なぜこんな時期に? と常々思うが、たきぎ能は真冬の雪の夜に行うもの。 暗闇に浮かぶ舞台が、受け継がれてきた伝統が。 一手、二手と舞うたびに神がかり、祈りを昇華させる。 荘厳とはまさにこの事。
2020-09-21 10:55:28@FakeTopology 荘厳というよりもカラフルで艶やか。 木造の迷路のような水上楼閣は渡り廊下で繋がっている。よく磨かれた漆のようなつやに、梁を彩る原色の複雑な紋様。 河の碧さに、山々の緑、空の青。行き交う人々の民俗衣装。 全てが混然としているが不思議とそれは一体であった
2020-09-21 07:20:01