コンピューターサイエンスのお話なのだ 1. 停止問題 2. P≠NP予想 3. ラッセルのパラドックス 4. ゲーデルの第一不完全性定理 続きを読む
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(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@DoctorArai ええ、ラッセル集合は、集合と呼んできましたが、実際には集合としては存在してませんの。 ああでも、今グーグル先生にお尋ねしたら、少ししかヒットしませんでしたから、あまり一般的な呼称ではないかもしれませんわ

2019-10-16 01:05:17
院生のスナネコ @sandcat_lab

@DoctorArai @K9MmU7qClO9irZ3 公理から出発した数学の限界点がここにあると聞いたことがあるのだ… ある公理から全ての数学が導けるのではないかという野望が潰えた有名な例らしいのだ

2019-10-16 00:47:00
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@sandcat_lab @DoctorArai 確かに、真である命題が全て証明できるような公理系は(まともな方法では)作れませんわ。これは、ゲーデルの不完全性定理から分かることですから、今回のラッセルのパラドックスとはすこし違う話題ですけど、自己言及が関わっているという共通点がありますわね

2019-10-16 01:24:20
院生のスナネコ @sandcat_lab

@K9MmU7qClO9irZ3 @DoctorArai そういえば、演算子の交換関係の分だけの不確定さが残るっていう不確定性原理と何かしらの関係はあるのです? アレもきちんと選べば両方とも真の値をとるけど、下手だとしんの値を取れなくなるのです

2019-10-16 01:41:55
元東大限界博士のアライさん @DoctorArai

@sandcat_lab @K9MmU7qClO9irZ3 全然関係なさそうだけど関係あったらすごい面白いのだ

2019-10-16 01:48:05
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@sandcat_lab @DoctorArai 不確定性原理は、また別のトピックだと思いますわ。あちらはとくに自己言及はからんでいなかったと思いますの。 ただ、『理性の限界』という本で、不確定性と不完全性、それに不可能性が並んで取り上げられていたことはありますわ。

2019-10-16 01:59:15
フジイさん(物理) @physics_arai

@DoctorArai @sandcat_lab @K9MmU7qClO9irZ3 横から失礼しますのだ 不確定性は数学の不完全性から生じるものではないと思うのだ… 確かにざっくり言ったら現実を数学で模型化した結果要請される不確定性だしなんとなく類似性がある気がするとは思うのだが、アレは実際に現実を上手く予言しているしそもそもあの不確定性があるのが真なのだ…

2019-10-16 01:55:38
元東大限界博士のアライさん @DoctorArai

@physics_arai @sandcat_lab @K9MmU7qClO9irZ3 フジイさんに同意なのだ。あのツイートをみてアライさんは弱測定のことを思い出して思考が飛んだのだ

2019-10-16 01:58:20
フジイさん(物理) @physics_arai

@DoctorArai @sandcat_lab @K9MmU7qClO9irZ3 弱測定についてフジイさんが正確に理解してるか微妙なのだが、逆にあいつのおかげで数学が要請する不確定性が現実とマッチしてることの支持になってるんだと思うのだ ここまでの論でひとつ残った可能性としては、数学が孕む不完全性がなんと現実にもそれと対応する関係を持っていて…とかなのだが

2019-10-16 02:04:37
フジイさん(物理) @physics_arai

@DoctorArai @sandcat_lab @K9MmU7qClO9irZ3 それよりは現象を予言するためだけなら不完全性は無視できる程度にしか寄与しないとかそもそも別の話(多分これだと思う)の方が自然な気がするのだ(あくまでお気持ち)

2019-10-16 02:06:17
院生のスナネコ @sandcat_lab

@physics_arai @DoctorArai @K9MmU7qClO9irZ3 やっぱりそういう事なのですね(´ω`) シュワルツの不等式と繋がってたら面白いなーとは思ったのですが… あくまでボクは化学専攻なので、妄想の範囲でしかなかったのだ…

2019-10-16 02:00:11
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@sandcat_lab @physics_arai @DoctorArai 不確定性原理は、シュワルツの不等式を用いて証明されますから、繋がってないこともないですわよ

2019-10-16 02:03:25
院生のスナネコ @sandcat_lab

@K9MmU7qClO9irZ3 @physics_arai @DoctorArai シュワルツの不等式が不完全性にも関わってこないかなーというのが妄想なのだ

2019-10-16 02:10:39
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@sandcat_lab うーん、わたくしは、その2つに関係はあまりないと思いますわ……。 不完全性はどちらかというと、自然数論とかの話ですの

2019-10-16 02:16:18
フジイさん(物理) @physics_arai

@K9MmU7qClO9irZ3 @sandcat_lab @DoctorArai シュワルツの不等式は関係あると思うのだ!(というか大ありなのだ) が、フジイさんシュワルツの不等式と不完全性の関係に明るくないからアレなのだが、彼を使って証明される命題はその否定も示されうるのだ…? あと仮にそうだとして固有値の不確定性と真偽の不確定性は対応付けていいのだろうかのだ

2019-10-16 02:11:21
🔞逆レイさん(逆レイプが怖かったアラ亻さん) @male_rape_arai

@K9MmU7qClO9irZ3 アラ亻さんド文系だけど面白かったのだ! 自分でヒゲ剃らない人のヒゲだけ剃る床屋さんは自らのヒゲを剃るだろうか ってやつ思い出したのだ

2019-10-16 01:30:24
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@male_rape_arai 面白いと言ってくれて、とても嬉しいですわ! ええ、それも自己言及によるパラドックスの1つですわね。無限や自己言及は、パラドックスをいっぱい生み出しますの

2019-10-16 01:35:08
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

では、今夜は不完全性定理のお話をしてみますの。しばしの間、お付き合いくださいまし。

2019-10-19 00:30:26
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

不完全性定理という言葉を聞いたことはあると思いますの。 まず言っておきたいのが、不完全性定理は理性の限界や数学の限界を示した定理ではないということですわ。 この定理は「ある条件を満たす論理体系は、こういう性質を持っている」と主張してますの。 不完全性定理を濫用したら、お説教ですわ!

2019-10-19 00:35:37
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

「ある条件」というのは、3つありますの。 1つ目は、自然数の計算ができ、数学的帰納法が使えること。 2つ目は、矛盾が生まれないこと。 3つ目は、公理を列挙することができること。 以上の3つですわ。

2019-10-19 00:44:06
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

「こういう性質」とは、 その論理体系の中で、証明も否定の証明もできない主張が存在する という性質ですの。 ここで重要なのは、"その論理体系の中で"ということですわ。 その論理体系の外であれば、証明できるかもしれませんの。

2019-10-19 00:48:27
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

さて、存在すると書きましたが、この「その論理体系の中で、証明も否定の証明もできない主張」は、具体的に構成できますの。 それは、 「この文は体系内では証明できない」 という主張ですわ。 ええ、不完全性定理にも、自己言及が大きく関わっていますの。

2019-10-19 00:53:17
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

しかし、ここで問題が発生しますわ。最初に言った通り、不完全性定理は論理体系についての定理ですの。 ですから、「この文は体系内では証明できない」という主張を、論理式で表す必要があるのですが……。 不完全性定理の対象となる論理体系には、指示代名詞に相当するものがありませんの。

2019-10-19 00:56:23
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

そこで登場するのが、ゲーデル数というアイデアですわ。 不完全性定理を証明したゲーデルさんは、論理式を自然数で表す手法を考えましたの。 論理式を自然数で表すと、何が嬉しいのでしょう? ここで、不完全性定理が要請している条件を思い出してほしいのですわ。

2019-10-19 01:01:18
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

不完全性定理の対象となる論理体系では、自然数が扱えますの。 そして、論理式は自然数で表せると分かりましたわ。 これにより、論理式についての主張を、自然数についての主張に書き直せますわ。 そして、自然数についての主張は論理式で書けますわ。

2019-10-19 01:07:39
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

つまり、論理式についての主張が論理式で書けますの! さらに、論理式とそれを表す自然数は、あくまで別物ですから、指示代名詞のようなものがなくても、自己言及ができますわ。

2019-10-19 01:09:57
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

ここまでをまとめますわ。 1.不完全性定理は、論理体系についての定理。 2.その論理体系は、自然数を扱える。 3.自然数についての主張は、論理式で表せる。 例えば、∃x(6=2・x)は「6は2で割り切れる」を表す。 4.論理式についての主張を、直接論理式で表すことはできない。

2019-10-19 01:15:16
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

5.論理式は、自然数で表せる。 6.「論理式を表す自然数」を用いて、論理式についての主張を間接的に論理式で表せる。

2019-10-19 01:16:53
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

では、論理式をどうやって自然数で表すのでしょうか? 論理式は結局のところ、記号の列ですわ。ですから、各記号に自然数を割り当てて、それを並べるという方法がまず考えられますわ。

2019-10-19 01:24:26
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

例えば、xに1、=に2、yに6、∃に24、(に7、)に9という自然数を割り当てたとし、区切りを0で表すことにすると、 論理式∃x(x=y)は24010701020609という自然数で表されることになりますわね。

2019-10-19 01:26:33
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

……ごめんなさい、ちょっと進め方を間違えましたわ。 このやり方ではうまくいかないことを言うつもりだったのですが、やろうと思えばできる気もしてきましたの。 ただ、今のやり方はゲーデルさんのやり方とは違いますわ

2019-10-19 01:37:27
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

ゲーデルさんは、素因数分解の一意性を使いましたの。 各記号に自然数を割り当てて、記号の列に対しては、素数の肩に対応する自然数を順に乗せたものを対応させましたわ。 さっきの割り当て方ですと、∃x(x=y)は 2^24 * 3^1 * 5^7 * 7^1 * 11^2 * 13^6 * 17^9 という、とても巨大な数で表されますの。

2019-10-19 01:42:18
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

ゲーデルさんは、「xは論理式を表す」「xはyが表す論理式の体系内での証明を表す」などを表す論理式を、具体的に構成しましたわ。 そして不完全性定理でカギとなるのが、「xが表す論理式は体系内では証明できない」と主張する論理式ですの。 これを、φ(x)と表すことにしますわ。

2019-10-19 01:47:16
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

あ、いや、またミステイクですわ……ごめんなさいですの。 まず、論理式を表す自然数のことを、その論理式のゲーデル数と呼びますわ。 そして、次のような関数gを考えますわ。 nがある一変数論理式ψ(z)のゲーデル数であるとき、g(n)はψ(n)のゲーデル数としますの。 そうでないときは、未定義ですわ

2019-10-19 02:04:53
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

「g(x)が表す論理式は、体系内では証明できない」と主張する論理式、これを改めてφ(x)とおきますわ。 そして、φ(x)のゲーデル数をαとおきますわ。 では、φ(α)が何を主張しているか、考えてみますの。

2019-10-19 02:11:56
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

まず、xにαを代入して、φ(α)は「g(α)が表す論理式は、体系内では証明できない」と主張していることが分かりますわ。 そして、αはφ(x)を表してますから、g(α)はφ(α)を表してますの。 つまり、φ(α)は「φ(α)は、体系内では証明できない」と主張してますの!

2019-10-19 02:14:41
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

このφ(α)こそ、わたくしたちの欲しかった「この文は体系内では証明できない」を意味する論理式ですわ。 そして、φ(α)もφ(α)の否定も、体系内で証明できないことが、"体系の外で"示されますわ。

2019-10-19 02:18:13
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

以上が、不完全性定理の証明のものすごくおおざっぱな流れですわ。 途中ぐだってしまって、ごめんなさいですの……

2019-10-19 02:27:01
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

最後に2つ補足を。 xに1、=に2、……というのは、わたくしが勝手に割り当てたもので、ゲーデルさんがやった割り当て方とは異なりますわ。 また、ゲーデルさんは「矛盾を生まない」よりも強い条件を仮定しましたが、それを弱められることをロッサ―さんが示しましたわ。

2019-10-19 02:27:36
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

今夜のお話はここまでですわ。質問・コメント・ツッコみ、もしあれば投げてくださいまし。お付き合いありがとうございました

2019-10-19 02:28:37
フジイさん(物理) @physics_arai

@K9MmU7qClO9irZ3 勉強になったのだ! 自己言及しまくるゾーンで何回か読み返したのだ…笑 ところで、「体系内で証明できない」は論理式でどのように表されるのだ…?自然言語での表記は危ないと思うのだが…

2019-10-19 02:34:55
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@physics_arai フジイさんの言う通り、自然言語でやるのは危ないですから、論理式で表されますわ。 「xはyが表す論理式の体系内での証明を表す」を表す論理式ψ(x, y)が作れたとしますわ。 すると、「yは体系内で証明できない」は∄x ψ(x, y)と表せますの。 じゃあψ(x, y)はどんな論理式なのかというと→

2019-10-19 02:40:24
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

@physics_arai 今度は「xは公理を表す」「xはyとzから導かれる」などを表す論理式が合計数十個必要になって……とても書ききれませんの。 もし興味があるなら『ゲーデル 不完全性定理』(岩波文庫)か、『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』を読んでくださいまし。 原論文に沿った証明が載っていますわ。

2019-10-19 02:46:04
フジイさん(物理) @physics_arai

@K9MmU7qClO9irZ3 ありがとうなのだ!調べたりしてみるのだ〜! (もしかして命題論理の筆算みたいなやつやるときに使う推論規則とかいうやつか…?と若干推測したのだ!笑)

2019-10-19 02:57:22
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

さて、即位礼正殿の儀も無事終わって落ち着いてきたので、またお話をするのだ。 今日は「計算機が協力し合うのは意外に難しい」というお話なのだ。 ちょっとした御伽噺を考えてみるのだ。

2019-10-22 15:58:57
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

アガライさんたちの探検隊は、ついに巨大セルリアンを見つけたのだ! そいつは丘の上に佇んでいるのだ。巨大セルリアンはとても強いから、探検隊だけだと勝ち目がないのだ。 そこで、丘の向こうにいるフレンズと協力して、一斉攻撃をかけることにしたのだ。

2019-10-22 16:00:47
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

この作戦で大事なのは、攻撃のタイミングなのだ。少しでもタイミングがずれると、巨大セルリアンに各個撃破されてしまうのだ。 このことは、丘の向こうにいるフレンズたちも理解しているのだ。 だから、何時に攻撃をかけるか合意しないと、作戦を開始できないのだ。

2019-10-22 16:06:02
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

そこで探検隊は、ブラックバックに攻撃時刻を丘の向こうのフレンズに伝えるようにお願いしたのだ。 ブラックバックはこのお願いを快諾して、伝えに行ってくれたのだ。

2019-10-22 16:12:40
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

ところで、丘の周りにはふつうのセルリアンもたくさん潜んでいるのだ。 だから、ブラックバックが無事に伝えてきてくれるか、ちょっと心配だったのだが……ちゃんと帰ってきたのだ。さすがなのだ。

2019-10-22 16:15:55
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まとめたひと
(博士課程で)足掻(くア)ライさん @K9MmU7qClO9irZ3

博士課程に進んだはいいが、孤独感に押しつぶされそうなのだ…… けもフレ3は研究で疲れた心を癒してくれるのだ アガライさんと呼んでほしいのだ 時々コンピューターサイエンスのお話をするのだ ↓にまとめてるのだ