1 乃木高校。自分はそこの生徒で、なるべく目立たないよう生きるのがモットーだ。一年生の頃はうまく無難な高校生活だった。
2021-08-05 23:21:432 自分には不釣り合いなほど可愛い幼馴染がいる。 ?:〇〇〜。学校遅れるよー。 齋藤飛鳥。いつも家まで呼びにきてくれるツンデレなところがあるが優しい奴だ。 〇:すぐ行くよ。 忘れ物をしないよう確認し、家を出て、飛鳥と学校へ向かった。 pic.twitter.com/Jl6xldsPoz
2021-08-05 23:30:073 〇:今日別に出すものないよね? 飛鳥に提出物があるかどうかを聞くのが、俺のルーティーンだ。 飛:えっ、あるけど、 〇:えっ!あるのかよ…完全に忘れてた…なぁ、飛鳥、悪いけど写させてくれない? 飛:えっ、いやだ。 〇:本3冊、いや5冊でどうだ。 飛:わかったよ。 pic.twitter.com/r63nx5DOaH
2021-08-05 23:28:554 と言い、飛鳥は自分のバックから課題のノートを出そうとした時、強く背中をプッシュされた衝撃と同時に ?:ダメでしょ、〇〇!自分でやらなきゃ! と一言言われた。
2021-08-05 23:27:415 背中を押し、こう言ったのはもう1人の幼馴染、 生田絵梨花だった。同じ剣道部で、マネージャーをしている。彼女は音楽の才能に長けていて、音楽の道もあっただろうに、なぜか、俺と同じ部活に来た。 絵:〇〇!自分でやらなきゃ意味がないでしょ! 飛:確かにそうだ。 〇:ええ… pic.twitter.com/nm7RKdfuVu
2021-08-05 23:31:236 結局、飛鳥からノートは貸してはもらえず、自力でやる事になり、その日は帰りが遅くなったのはまた別のお話。 そんな、普段と変わりない日常だが、自分はあまりいい気はしていなかった。
2021-08-05 23:32:037 実際、2人ともかなりの美人だからモテないわけがない。ましてや、自分みたいな根暗人間がそばにいるもんだから、他の男子からはあまりいい顔をされない。だから妬まれることが多い。しかし、 気にしているのは自分だけで、2人は特に気にはしていなかった。
2021-08-05 23:32:198 周りからの鋭い視線が刺さる中、3人で教室に向かった。 🚪ガラガラ ?:あ!生ちゃんに飛鳥〜!おはよ〜! 絵:おはよー!まいやん! 飛:おはよ〜!しーさん! 2人は教室を入った途端、学校内一、二を争う美貌の持ち主、白石麻衣に挨拶をされ、挨拶し返す。 pic.twitter.com/BHStl2mZRl
2021-08-05 23:32:43麻:〇、〇〇君も、おはよう…! 〇:おはようございます、白石さん。 一緒にいるからついでに挨拶してくれたのだろう。と、悲観的に考えつつ、自分の席に向かった。まさか、白石さんが自分に好意を抱いているとも知らず… pic.twitter.com/3svszNjN0O
2021-08-05 23:33:2110 1時間目の授業を終え、10分間の休み時間を迎えていた。忘れていた課題は昼休みにやろうと思い、この時間は何をしようか悩んでいた。そこへ、 飛:ねぇ、〇〇。さっきやった問題で、ここがわからないんだけど、 〇:あぁ、そこね。それは… pic.twitter.com/zh80BspsbN
2021-08-05 23:34:46ーー3分後ーー 飛:そういうことか。ありがとう、〇〇。 〇:全然問題ないよ。 飛:さすが学年1位の人は違うね。 〇:お、おい!飛鳥!それは言わない約束だろ… 飛:そうだっけ? 周りの視線が急に方向転換を始め、自分に照準を合わせ、陰口の如く小声で話し始めた。 pic.twitter.com/ULOoMgny4x
2021-08-05 23:36:15〇:(また、無難に生きる俺の夢が崩れた…) うちの高校は、自分の順位しか知らない、現代のプライバシーを尊重した学校だ。だが、飛鳥の一言で、またロジックが崩壊した。それに、 麻:(〇〇君って、優しくて、頭もいいんだ…//) 白石さんにまたもよく思われてしまったらしい。 pic.twitter.com/2aQPLC5cs2
2021-08-05 23:39:0713 男1:〇〇って、頭いいの?!知らなかったわぁ… 男2:それな。根暗でしかも幼馴染には飛鳥さんや絵梨花さんがいて、終いには頭いいんだぜ?ずるいよな、 ❓:へぇ〜。そうなんだ…一回コラシメナイトナ…
2021-08-05 23:39:3014 その後、浴びせられる視線の集中砲火による精神ダメージを軽減すべく、今日の授業が終わると、颯爽と教室を抜け、部室へ向かった。
2021-08-05 23:39:4715 着替えを済ませ、部室を出ると絵梨花がいた。 絵:あ、〇〇じゃん。今日はいつもより早いじゃん。 〇:まあね… 絵:それより、大変だったね今日は笑 〇:しょうがないだろ。飛鳥が言っちまったんだし。でもまぁ、時間が解決してくれるでしょ。 絵:そっか。 (…頼ってくれてもいいのになぁ…) pic.twitter.com/iGnIyu0kIL
2021-08-05 23:41:5416 絵梨花がそんな事を思っているとは知らず、部活は始まった。 自分が頑張れる数少ないものが、剣道だった。 別にそこにやる気はない。小さい頃からやっていたから、これ以外の取り柄がない。だから、 高校に入っても続けている。それだけだ。
2021-08-05 23:42:1217 練習が一通り終わり、着替えを済ませ帰宅の準備をしていると、 絵:そう言えば、来週から一年生が入ってくるんだって。 〇:そっか。わかった。 一年前、自分もそんな時があったな、と振り返り、時の流れの速さに少々の驚きを感じていた。 pic.twitter.com/fnlDslo5Cs
2021-08-05 23:42:3619 〇:お待たせ。 飛:遅い。どれだけ待ったと思ってるの? 〇:ごめんって…。暗いし、早く帰ろ? 内容は、一緒に帰ろうという呼び出しのメールだった。 pic.twitter.com/MNYK4PwDBF
2021-08-05 23:44:1121 ーー帰り道の道中ーー ドンッ 不良:オイ…痛ぇじゃねぇか…どうしてくれんだよ!! どうやら自分がよそ見している間に、飛鳥が人とぶつかってしまったらしい。 飛:すみません…(自分からぶつかってきたくせに) pic.twitter.com/DlEYdsg0M3
2021-08-05 23:46:2422 飛鳥が反省した態度を見せないもんだから、不良はより激昂しだした。 不良:慰謝料払えよ‼︎払えねえっていうなら、テメエの体で払ってもらうけどなぁ‼︎ 不良が飛鳥の腕を掴もうとした時、
2021-08-05 23:46:3823 〇:やめて下さい。怖がってるじゃないですか。 不良:はっ?誰だお前。そんなヒョロヒョロが何できるってい… 言い終えようとした時、自分にはもう1mmの理性もなかった。 その一瞬、鈍い音が一音、聞こえるのみだった。
2021-08-05 23:46:5824 不良:痛っ…くそっ…覚えとけよ…! 〇:(今時、売れない漫画でもそんな言葉、ベタすぎて吐かないぞ…) なんて事を不良の去り際に考えていたが、我に還り、飛鳥の方を見て、声をかけた。 〇:飛鳥、大丈夫だった? 飛:うん…大丈夫... 〇:本当に大丈夫か?頬、赤いぞ? 飛:えっ!? pic.twitter.com/hwMWDsIkvz
2021-08-05 23:48:1425 飛鳥自身気づいていないらしいが、まるで林檎のようであった。 〇:熱でもあるんじゃないか? 飛鳥の額に手をそっと置いた。 飛鳥:/// 手を当てられた事で、より熱を帯びてしまった飛鳥。 〇:本当に熱あるんじゃないか? pic.twitter.com/Cs3xhqoskz
2021-08-05 23:50:3326 飛:だ、大丈夫だから…// 〇:そっか。 飛:(大丈夫な訳、ないでしょ…//) 結果、飛鳥は家に着くまで頬も顔も赤いままだった。 pic.twitter.com/Kb53oEnRW8
2021-08-05 23:51:4827 ーー次の日ーー 今日は何故か早く目覚めた。 〇:久しぶりだけど、朝食でも作るか… 普段好んで朝食を食べない。というか時間がなくて食べられない。 朝食を食べ終えると、いつもの声が聞こえる。
2021-08-05 23:52:0328 飛:〇〇〜。学校遅れるよー。 それを言い終える前に、ドアを開けた。 〇:起きてるよ〜。おはよう、飛鳥。 飛:珍しいじゃん… pic.twitter.com/wDGdvivAGU
2021-08-05 23:52:2029 飛鳥は少々驚いてはいたが、その後はいつも通り 途中で絵梨花が合流して学校へ向かった。 飛:(昨日の〇〇…かっこよかったなあ…) pic.twitter.com/chwXYvOFPt
2021-08-05 23:53:2530 場面は変わり、4時間目の授業を受けている。 のだが、後ろから気になる視線を2つほど感じる。 麻:(〇〇…//) 飛:(〇〇…//) だが、それ以上にクラスメートからの殺気がすごくて、逃げたい気持ちでいっぱいだった。 pic.twitter.com/4A5O3K5Xta
2021-08-05 23:55:1431 教室で昼飯を食べるのは気まずかったので、授業が終わってすぐに屋上に行った。 〇:たまに来る屋上はいいなぁ〜。 ?:〇〇もたまに来るん? 〇:うわっ、びっくりした…って、西野さん!? 七:悪いことしたなぁ 西野七瀬。同じクラスで、乃木高校の白石麻衣とダブルセンター的存在にある人だ。 pic.twitter.com/xHTIb4sFiB
2021-08-05 23:56:5732 〇:西野さんはどうしてここに? 七:男子たちが寄ってくるのが嫌やねん…だから、 たまに逃げにくるんよ。 〇:そうなんですか。 七:お昼ご飯まだやろ?一緒に食べへん? 〇:まぁ、いいですけど… その後、お互い話せる程度の関係になり、ラインを交換し、たまにやり取りする仲になった。 pic.twitter.com/CEsDt3SPTb
2021-08-05 23:58:0533 ーー1週間後ーー 〇〇は、武道場にいた。 絵:今から新入部員を紹介します! 梅:梅澤美波です。よろしくお願いします。 与:与田祐希です。よろしくお願いします。 絵:みんな優しくしてあげてね! pic.twitter.com/CRFKX3R4Kw
2021-08-05 23:59:4434 新しく剣道部に梅澤美波と与田祐希が入部した。 〇:部長の〇〇です。2人ともよろしく。 梅与:はい! この時はまだ知らなかった。あの”2人”のそれぞれの妹さんということに。 pic.twitter.com/Ib6MsglacO
2021-08-06 00:00:1035 部活も終わり、黙々と帰る支度をしていると、 何やら人だかりが武道場前にできていた。 〇:なぁ絵梨花、これ、なんの騒ぎだ…? 絵:さぁ…私にもわからない… すると1人の男子が自分に尋ねてきた。 男:あの!ここに梅澤美波さんと与田祐希さん、 いらっしゃいますよね!? pic.twitter.com/P5Te477BF4
2021-08-06 00:01:3236 その一言で、なんとなく察した。 〇:いたけど、帰ったよ。 男:そうでしたか…ありがとうございます! すると、武道場前にできていた群衆は一瞬にして 消え去った。 すると、2人は部室からあたりを確認して出てきた。
2021-08-06 00:01:5237 絵梨花は、すかさず2人に聞いた。 絵:2人ともすごい人気じゃん! 与:そうなんですよ〜// 梅:与田!調子に乗らない! 与:ごめん… 梅:多分、姉達のせいなんです。 pic.twitter.com/lROiQdxBka
2021-08-06 00:02:51〇:姉?梅澤さんにお姉さんがいるの? 梅:はい、実は… 言いかけた時、終了時刻を告げるチャイムが鳴ってしまった。 絵:そろそろ帰ろうか。 梅:そうですね。 〇:え、梅澤さんのお姉さんの話… 絵:直にわかるよ…笑 pic.twitter.com/DT0ReY31zM
2021-08-06 00:04:3340 ーー次の日ーー いつもの如く、飛鳥に呼ばれ、絵梨花も合流し、 学校へ向かった。昨日のモヤモヤが残ってはいたが、あまり気にしてはいなかった。すると、 飛:今週の日曜日、暇? 〇:暇だよ? 飛:5冊の件、忘れてないよね? 〇:いや、見せてもらって… 飛:文句ある? pic.twitter.com/KyxHmX0VHJ
2021-08-06 00:06:1141 いつもこうだ。だから、常に自分が引き下がる。 〇:いや、ない。 飛:じゃあ10時に乃木駅ね。 飛鳥とのトレードは、いつも天秤が釣り合わない。
2021-08-06 00:06:2542 ーー日曜日ーー 〇〇は、10分前に乃木駅に着いていた。 待っていると、前方から見覚えのある人が2人、揃ってやっきた。 梅与:〇〇先輩、こんにちは! 〇:梅澤さんに与田さん、こんにちは。今日はどうしたの? 与:今日は2人のお姉ちゃん達とお買い物です! 〇:そうなんだ。楽しんでね。 pic.twitter.com/9Vip3TZOEe
2021-08-06 00:08:0243 と、そこへ、 飛:〇〇〜。遅くなった…って、誰? 〇:部活の後輩の… 梅:梅澤美波です。 与:与田祐希です! 〇:で、こっちが… 飛:あ、齋藤飛鳥です。 pic.twitter.com/XBL6BOGp2k
2021-08-06 00:09:5644 お見合いよりも固い挨拶を交わした所で、 〇:じゃあ、もう行くね。 梅:はい。お気をつけて! 2人は本屋へと向かった。
2021-08-06 00:10:1245 与:ねぇ、梅ちゃん!〇〇先輩って、飛鳥先輩の彼氏だったりして…// 梅:こら!余計なこと考えないの! 白:2人とも楽しそうね笑 梅:あっ!お姉ちゃん! 西:何話してたん? 与:〇〇先輩についてだよ〜! pic.twitter.com/g6eJO3ddN7
2021-08-06 00:16:3546 白:えっ!? 梅:どうしたのお姉ちゃん? 白:いや、なんでもない… 与:しかも〇〇先輩、飛鳥先輩と2人でどっか行ってたよ! 白:えぇっ?!(〇〇が飛鳥と、2人で!?) 西:まいやん、ほんまに大丈夫か?驚き過ぎやって笑 pic.twitter.com/81Hp3SkS8I
2021-08-06 00:17:0747 その後、彼女は、道中常に朝聞いたことが頭を離れなかった。 白:(早くしないと、〇〇が取られちゃう…!) 西:(ふふっ笑まいやんも必死やな。でも、〇〇は譲らへんで…) To be continued pic.twitter.com/83GRVcPUxb
2021-08-06 00:21:37