1 退屈な日常。 学校特有のスクールカースト。 複雑で面倒な人間関係。 それが原因で、いつからか僕は誰かと共に行動することをしなくなった。
2020-09-07 23:30:092 そんな時に見つけたのが屋上だった。 鍵は施錠されずに開放しており、自由に出入りできる。 しかも、ほとんどの生徒に知られていない。僕にとって好都合の場所だった。
2020-09-07 23:30:154 いちばん驚いたのは、彼女が同じクラスだったこと。 『名前なんだっけ?』 そう言うと、不満げな顔で… 「遠藤さくら!…私、〇〇君の後ろの席なのに…」 プクーっと頬を膨らませる彼女。
2020-09-07 23:30:335 そんな近くにいたとは… どれだけ僕がクラスに興味が無いのかわかったと思う。 『そういえば、遠藤さんは何で屋上に?』 ここで疑問の一つを聞いてみる。
2020-09-07 23:30:466 「えっ?…〇〇君、クラスで誰とも話さないでしょ?私も人見知りだから、なんか仲良くなりたいなぁって…///」 上目遣いでこちらを見てる。 そんな姿が可愛らしくて、思わず笑みが溢れる。
2020-09-07 23:30:558 チャイムが鳴り、教室に戻る。 もちろん別々で… 教室では前と同じく、喋らない。 屋上でだけの、不思議な関係のまま続いた。 そんなある日の放課後…
2020-09-07 23:31:129 ザーザーッ… 夕立ちが降り、傘を持っていない生徒が昇降口に取り残されていた。 僕は折りたたみの傘があり、残された生徒を背に下校しようとしていた。 その生徒の中に彼女の姿を見た。
2020-09-07 23:31:1810 空を見ながら哀しそうな顔の彼女に、無言で傘を差し出す。 「そんな…いいよ。」 断る彼女。 『なら、一緒に帰ろ。』 周りを気にせず彼女の手を引き、傘をさす。
2020-09-07 23:31:2711 顔なんか見れず、足早に歩く。 「ちょ、ちょっと…」 彼女の声で立ち止まる。 「歩くの早すぎ…」 『ゴメン…』 「〇〇君との時間だから、ゆっくり帰りたい…///」
2020-09-07 23:31:3212 恥ずかしながらも、こっちを見て言う彼女を愛おしく想いながら、ゆっくりと歩く。 屋上の時よりも、時間が長く感じた。 だが、ドキドキしながらなので短くも感じた。
2020-09-07 23:31:3813 「ありがと…」 自宅の前でお礼を言う君。 『また明日。』 と声をかけると、彼女は微笑み、頷いた。 君の特等席② fin.
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