1992(平成4) UR農業交渉~1993(平成5) UR農業交渉~米緊急輸入~野党農林族~1994 (平成6) 新食糧法~山本富雄~1995 (平成7) 住専問題~1997(平成9年) 松岡利勝~1998 (平成10) 江藤隆美
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1992年、UR交渉はダンケル事務局長の最終合意案である「包括関税化(例外のない関税自由化)」を巡る議論が大詰めを迎えた。これに対し食料安全保障の観点から“基礎的食料は例外にすべきだ”と主張する日本・スイス・韓国を含む6カ国は包括関税化に反対を表明した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/JBkHnTrQoK

2022-09-07 19:38:35
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遠田大亮 @DaisukeEnta

EC(欧州共同体)も“農業分野で改善されない限りまとまらない”と修正を求め、アメリカも“もっと市場拡大に資さなければならない”とまとまりがつかず“様子見”の状態になった。しかしアメリカではこの年大統領選を控えており、夏までに決着がつかなければ、年内合意は難しいと見られた。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/YkhbWOfmx7

2022-09-07 19:44:22
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1992年2月に我国はダンケル合意案の修正事項をまとめた。これに関し渡辺美智雄外相が“米を部分開放しても、大義名分を果たしながら事実上輸入しない方法もあるのではないか、よく勉強した方が良い”とミッチーらしい含みのある発言を繰り返していた。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/2UA01Nhpvy

2022-09-07 19:56:10
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遠田大亮 @DaisukeEnta

その傍ら、経団連会長は“ダンケル合意案を受入れて日本がリーダーシップを発揮すべきだ”と宮澤首相の意見書を提出する等、経済的な利益だけしか考えない様な発言が目立った。∪Rの年内合意が遠のき、8月末にダンケル事務局長が来日した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/GiqoNGe5WC

2022-09-07 20:03:16
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遠田大亮 @DaisukeEnta

ダンケル事務局長は党本部で保利耕輔、鹿野道彦、大河原太一郎、柳沢伯夫ら農林幹部と懇談し“関税化は保護を関税に置き換えるもので保護の撤廃にはあたらない。来年2月までにUR交渉を終結したいので日本の協力をお願いしたい”ともっぱら低姿勢だった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/U5tABuOyj6

2022-09-08 06:54:03
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遠田大亮 @DaisukeEnta

農林幹部は、我国が世界最大の食料輸入国として国際貿易に貢献している事例を挙げながら、“米の様な基礎的食料は関税化には応じられない”と説明、ダンケル事務局長に理解を求めたのだった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/1Z2QGVlbJS

2022-09-08 06:57:59
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遠田大亮 @DaisukeEnta

他方、ECではアメリカと争っていた油糧種子(大豆、ヒマワリ等)への補助金がガット・パネル(少数国による審判)でクロ(違反)と判定されECはピンチに陥った。さてアメリカ大統領選は民主党の新人ビル・クリントンがブッシュ大統領を大差で破った。そこでECとの“和解”が焦点となった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/WktqWoN5gq

2022-09-08 07:40:24
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遠田大亮 @DaisukeEnta

ダンケル事務局長が中に入ってECが油糧種子の作付を制限し、アメリカも報復措置を解除しさらに輸出補助金を削減する事で“手を握った。”ところがこの合意によってアメリカ・EC間の壁が取り除かれたため新ラウンドは一気に年内合意に向かって突き進む気配になってきた。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/968S030eCx

2022-09-09 09:04:51
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遠田大亮 @DaisukeEnta

このため党では委員会を開き「包括関税化には例外を設けるよう政府は引き続いて粘り強い交渉を行うこと」を決議し宮澤首相の申入た。一方、JA全中では急遽、東京両国の国技館を会場に「米市場開放阻止緊急国民総決起大会」を開催し“例外なき関税化粉砕”を決議し都内をデモ行進した。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/YirrE1mRy7

2022-09-09 09:18:52
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遠田大亮 @DaisukeEnta

一方、松岡利勝ら若手農林族は「日本農業を守る特別行動議員連盟」を結成。“政府が万が一、米方針を転換した場合には宮澤首相の退陣要求を行う”と決議。それに対して宮澤首相は“趣旨と行動はよくわかったが新ラウンドを壊してはならない。ぎりぎりの交渉をしていく”と応じた。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/sdcKofkj78

2022-09-10 07:42:18
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遠田大亮 @DaisukeEnta

年末になって大詰めとなったUR交渉は、市場アクセス分野でアメリカ・ECが「輸出補助金の数量削減を軽減する」等で取りまとめようとしたため、これに我国・スイス・韓国等の食料純輸入国が反対を主張しダンケル合意案の修正を要求した。このため合意は困難になって年内合意は流れた。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/Q9GGQpFhC8

2022-09-10 09:59:02
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1993年「非自民非共産」で連携した7党1会派(新生党、新党さきがけ、日本新党、社会党、社会民主連合、公明党、民社党、民主改革連合)が新連立政権を樹立。首班指名選挙で日本新党の細川護熙が自民党の河野洋平を破った。細川政権は大詰めとなっているURの自民党路線を変更した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/KrVAtjb8oD

2022-09-11 07:48:53
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遠田大亮 @DaisukeEnta

細川政権は、ドウニー議長の調整案を受諾し関税化の特例措置としてMA(ミニマム・アクセス)を容認する挙にでた。MAとは国に輸入義務を課すものである。だがこの受諾には与党第1党の社会党も反対した。この年は、天明の大飢饉以来と言われた大凶作が日本列島を襲っていた。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/gR8ThIAso8

2022-09-11 07:59:15
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1993年宮澤内閣不信任案が可決されて解散総選挙となった。総選挙後成立した非自民7党1会派の連立政権は「UR交渉は成功させるべきであるが米の例外なき関税化には反対である」と連立政権樹立の合意事項に明記した。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/eGuiGVuKQu

2022-09-11 19:56:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

ところが11月に細川首相が訪米、クリントン大統領と会談した。細川首相は“米問題は難しく私の主張は従来通りだ”と語っていながら、その10日後ドウニー議長から交渉妥結の調整案が関係国に出回っている事がニュースで流れた。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/4oAOlAOq31

2022-09-12 06:57:38
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遠田大亮 @DaisukeEnta

松岡利勝ら若手議員は国会議事堂の玄関前に座込み48時間の断食を行い細川内閣に妥協しないよう訴えた。松岡らはさらにジュネーブに飛び韓国議員らと関税化の例外措置を設けるよう直訴した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/BKVLSYtHPj

2022-09-12 07:05:46
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遠田大亮 @DaisukeEnta

だがその直後、ドウニー議長から調整案の特例措置が発表された。その辺の深い事情は、野党であった自民党にはほとんど入って来なかったから記す事ができない。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/PFQZHT76Cq

2022-09-12 07:07:45
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遠田大亮 @DaisukeEnta

その特例措置の内容は①米の関税化を6年間実施しない、②その代償として国内消費量の4〜8%(95年37.9万㌧〜2000年75.8万㌧)のミニマム・アクセスを設定するというものだった。JAグループでは急遽「例外なき関税化絶対拒否ミニマム・アクセス阻止全国農業者総決起大会」を開催した。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/KHDsoDxsL9

2022-09-12 12:27:54
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遠田大亮 @DaisukeEnta

その大会には自民党から森喜朗幹事長、社会党の村山富市が出席。森は“ドウニー調整案は国会決議に違反しており細川内閣は国民に嘘をつくことになる”とし、村山も“ドウニー調整案は国会決議と8党合意、総選挙公約にも違反する。米の市場開放は絶対に阻止したい”と大演説をぶった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/FwrYod1ZlM

2022-09-12 17:37:12
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遠田大亮 @DaisukeEnta

けれどもドウニー調整案の撤回なり修正は不可能なところまで進んでいた。細川首相は12月14日の真夜中、午前3時過ぎから臨時閣議を開いて、米市場開放の受入を決定。首相は記者会見で既に農業交渉が妥結したことを正式に述べた。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/TlguBtFLy9

2022-09-12 17:46:13
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遠田大亮 @DaisukeEnta

細川政権が最終合意した個別約束表には、米に特例措置を導入するが、その他の品目(麦、乳製品、デン粉)は関税化し6年間で関税率を平均で36%最低でも15%引下げる事が盛り込まれた。ミニマムアクセスは6年間導入されるが7年目以降は枠の拡大か関税化を要求される厳しい内容だった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/yz5GgZ8Jpz

2022-09-12 17:57:59
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遠田大亮 @DaisukeEnta

この合意は1994年4月に調印、批准を経て95年1月に発効した。細川首相は自らを本部長とする対策本部を設置し国内対策の検討に入っていく。こうして7年3ヶ月に及んだUR農業交渉の一切が終了した。野党の自民党は直ちに党声明を発表し強く抗議したが、野党の無力さを痛感したのだった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/x9TsqHWNiA

2022-09-12 18:09:18
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1993年は「天明の大飢饉」以来と言われる大凶作となった。6月の日照時間は北海道・北陸で観測史上最も低くなり、7月には23府県で大雨被害が発生し、同時に北海道・東北・北陸・近畿の広い地域で低温と日照不足が続く冷夏となった。梅雨明けは関東で7月28日の異常気象となった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/4j4wLt775N

2022-09-13 06:55:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

気象庁は異常気象はエルニーニョ現象によるものと発表。8月15日時点の米の作況は95の「やや不良」。北海道・青森・宮城は90以下の「著しい不良」。9月に入り東北各地で平年の2倍以上の穂いもち病が発生。細川連立政権は非常事態宣言を出し米の緊急輸入を発表した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/4V57DqRR6h

2022-09-13 07:05:00
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遠田大亮 @DaisukeEnta

10月には米の作況が「著しい不良」の75となり北海道・東北では青森が28、岩手が33、宮城が38北海道が42と壊滅に近い打撃となる事がわかった。農水省では翌年から2年間、生産調整の面積を7万ha緩和して実施する事を発表。冷害による被害総額は1兆円を超え天災融資法が発動された。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/0uunsKnf7o

2022-09-14 06:51:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

12月、食糧庁は主食用米の追加での緊急輸入を決定。累計で265万㌧となった。こうして農水省は矢継ぎ早に外米輸入を決定したが米の流通は混乱してパニックを生む。一方では細川連立政権がUR交渉を受諾したことから連立政権に対する農政不信が一挙に噴き出すのであった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/RBz4Wm0hwZ

2022-09-14 06:57:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

野党農林族 自民党が野党に下野した。宮澤内閣不信任案が衆院で可決され結局衆院解散・総選挙へと突き進んだが、この時期ちょうど生産者米価と重なった。山本富雄、大河原太一郎ら農林幹部は総選挙が終わってから米価決定する事を決定していた。ところが総選挙で自民党が敗北した。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/4HcaIa4C95

2022-09-14 07:24:53
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遠田大亮 @DaisukeEnta

自民党敗北、宮澤内閣退陣、非自民連立政権樹立等、政局の中で生産者米価に突入した。だが幸いにも落選していた江藤隆美、玉沢徳一郎が総選挙で復帰した。とはいえ、党分裂によって羽田孜、鹿野道彦、吹田愰、畑英次郎、井出正一ら有力議員が“ごっそり”抜けたダメージは大きかった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/0p0xgL03DP

2022-09-14 07:34:45
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遠田大亮 @DaisukeEnta

とりわけ農林族の大黒柱だった羽田孜の離党が一番の痛手となった。羽田は離党の事を一切口に出さなかったから周りはただ驚くばかりだった。羽田らが抜けた後の農林幹部会は山本、大河原、保利らが中心となり、柳沢伯夫、中川昭一、北修二、石川弘に江藤、玉沢を入れて再構築した。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/IIwWFWtxCl

2022-09-15 07:12:11
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遠田大亮 @DaisukeEnta

1993年の米価は自民党政権下で決めたが細川連立政権は発足直後から米の凶作とUR交渉への対応に苦慮していた。細川首相は冷害の視察で福島県を訪れた際に農家の人から頼まれ「農魂」と色紙にサインしたが“農魂とは何だ。農政を知らない首相だからどうしょうもない”と批判が強まった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/Rf6dfSLU6S

2022-09-15 07:27:41
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遠田大亮 @DaisukeEnta

しかしながら野党に下野したために農水省よ局長級の役人がほとんど党本部に姿を見せなくなった。畑大臣が“自民党には行くな”と箝口令を敷いたと言うのだ。また農業団体の出入りも少なくなった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/bU9BJbF3UL

2022-09-16 08:28:59
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遠田大亮 @DaisukeEnta

連立与党はPTを設けて甘味資源作物の価格決定にあたったというが参加も少なく議論も低調で“役人ペースで進んでいた”。その間自民党はまったく“蚊帳の外”だった。江藤は「我々は与党ボケしている。野党なのにやっていることは与党時代と変わらない」とボヤくのだった。自民党農政史 pic.twitter.com/hDEjJnKfCI

2022-09-16 08:36:41
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遠田大亮 @DaisukeEnta

また連立与党ではUR農業交渉が最終段階を迎えたにも関わらず議員外交で活発に動くという事は一切なかった。自民党はそうした与党を指して“役人任せで政治不在だ”と批判した。細川首相はUR交渉合意、米緊急輸入を決定するが、その未熟な政治運営を前に自民党は何も出来なかった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/njRDagG1du

2022-09-16 08:51:46
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遠田大亮 @DaisukeEnta

新食糧法 UR農業交渉が妥結したことにより我国では米のミニマム・アクセスが義務化され食糧法の改正が必至となった。食糧法には米を海外から輸入する規定が一切なかったからである。1994年4月、羽田孜外相がUR農業合意に署名して帰国した。このため農政審は農政改革に着手した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/KNSkh0hFAT

2022-09-16 12:25:46
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遠田大亮 @DaisukeEnta

自民党も野党ではあったが大河原委員会にPTを設置し新たな米管理システムのあり方についての検討に入った。だがこの直後に村山連立政権が発足して、大河原が農相に就任したため、急遽、中川昭一が後を継いで議論を進める事になった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/hX1zjMRcEc

2022-09-17 06:06:26
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遠田大亮 @DaisukeEnta

中川委員会は7月下旬から取りまとめに入った。その結果、①農業・農村の中長期的展望、②新基本法の必要性、③価格対策から所得安定対策への必要性、④国による米需給調整の維持、⑤中山間地での直接支払、等を柱とする方針を取りまとめた。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/RBCJ1yjToU

2022-09-17 07:03:37
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遠田大亮 @DaisukeEnta

9月に入り食管改革の議論が最終段階に達した。委員会では米改革とUR国内対策との議論が並行して行われていたが米改革とUR国内対策をごっちゃにした意見が多かった。農水省では米改革法案を秋の臨時国会に提出する事になったため、党ではUR対策より食管改革を優先する方針をとった。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/Uo58RUk4KO

2022-09-17 15:38:25
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遠田大亮 @DaisukeEnta

党の委員会は7回の議論を取りまとめた。米の備蓄ではJA全中が米価への影響を懸念して「100万㌧+α」にするようこだわった。このため与党3党で「+α」は政府の運用で配慮すると決めた。この他、米管理システムとして現行の食管制度を廃止し、新たな制度を構築することを決定した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/3t03pjp6Lr

2022-09-18 10:59:16
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遠田大亮 @DaisukeEnta

新しい米管理システムでは、生産者の自主制を活かして稲作生産の体質強化を図り規制緩和によって流通の合理化を図る事とした。また、米の需給調整については政府が生産調整や備蓄運営の基礎となる数量の把握を行い、これに基づいた基本計画の策定して全体需給の調整を行う事とした。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/oTz6YnNg2M

2022-09-18 11:05:22
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遠田大亮 @DaisukeEnta

米の生産調整については従来通り国が責任をもつ事とした。さらに政府米価格の決定にも国の関与を明確にし、これを農業団体も了承した。このことにより政府は新食糧法を秋の臨時国会で成立させた。これにより旧食糧管理法は廃止され長い間繰返してきた生産者米価劇は幕を閉じた。自民党農政改革吉田修 pic.twitter.com/6jzukCKsWo

2022-09-18 11:14:46
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遠田大亮 @DaisukeEnta

政局が激動した1994年、山本富雄の活躍が目立った。山本は群馬県選出の参議院議員で参議院幹事長の要職にありながら総合農政調査会長を兼務した。参院から会長になったのは檜垣徳一郎に次いで2人目である。山本か農林族に入ったのは農相後のことだから、まだ日は浅かった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/JyxBt2B6CW

2022-09-19 08:57:45
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遠田大亮 @DaisukeEnta

山本は商工族だった。たぶん旅館業を営んでいたからだろう。だが山本農相の活躍に誰もが目を見張った。当時の農相の使命はなんといってもUR農業交渉だったが、山本はブリュッセルやジュネーブで各国の貿易大臣を相手に一歩もひるます堂々と論陣をはって我国の主張を貫き通した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/gVJ9sULf8i

2022-09-19 13:22:32
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そうした姿勢は国内でも同じで、とにかく孤立しやすい農相の立場でも“農業交渉の事は私が全責任をもってやる”と農水省の姿勢を貫き通した。その山本はいつも凛々しくひょうひょうとしており、“日本農業を守るためには、言うべき事をどこでもきちっと言うことが大切なんだ”と語った。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/JF0U2YHxFZ

2022-09-20 07:16:04
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そうした山本の信念を曲げない姿勢に同郷で参議院仲間の大河原太一郎がべた惚れしていた。大河原が山本を総合農政調査会長に強く推薦したのである。大河原は“富さんがいい”と江藤隆美や玉沢徳一郎を説得した。玉沢は山本と同じ清和会だった。江藤も了解した。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/d1tiAnm8sE

2022-09-20 08:01:16
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遠田大亮 @DaisukeEnta

そうゆう山本も役人離れした大河原にゾッコン惚れこんでいた。山本と大河原は根性や性格がよく似ていた。その証拠に山本は自分の参議院政審会長を大河原に引き続いだのだ。この2人の上州人の参院コンビが転換期の農政の舵取り役となったのは単なる偶然ではなかった様な気がする。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/yKBE8BSDPe

2022-09-20 08:06:42
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遠田大亮 @DaisukeEnta

山本は青春時代、スキーで国体選手を務めるスポーツマンだった。機転が速く判断力がシャープだった。山本はよく農林部会の席で“参議院ほ早くから与野党が逆転していたので、野党を抱込む方法は衆議院よりうまいんだよ”と自信ありげに腕を組むのだった。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/2SCQjVg4no

2022-09-20 19:14:32
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遠田大亮 @DaisukeEnta

さて、その山本が最も苦労したのがUR国内対策における財政規模だった。新聞などマスコミでは“3兆円位だろう”という報道が多かった。ところが結果的に山本が6兆1百億円(事業費ベース)まで膨らませたのである。なぜ、そんなに膨らませることができたのか。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/dhfPmtfoCV

2022-09-20 19:19:29
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遠田大亮 @DaisukeEnta

山本は大蔵省の山本主計局の失言問題をやり玉にあげて大蔵省に切り込んで行った。きっと大河原農相から“3兆がギリギリだ”とのSOSを聞いて奮い立ったに違いない。財政規模の問題が大詰めになった時、山本は“6兆は目処がたった。しかし、何とか6兆を突破させたい。〜自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/5aqFXiSG5d

2022-09-20 19:29:48
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遠田大亮 @DaisukeEnta

野党で昭ちゃん(中川昭一)には苦労のかけっぱなしだったから昭ちゃんの『糊代分』を上積みしてやりたいな」と口にしていた。だから山本が6兆1百億円で大蔵省と手を握ったとの話を聞いた時には、その1百億円がまさに“昭ちゃんへのご褒美”と思わざるを得なかったのである。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/AjSC58mPMX

2022-09-21 07:04:30
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遠田大亮 @DaisukeEnta

ところが山本はUR国内対策を成し遂げると急に会議を休みがちになった。それまでも時々医者に行っていたようだが激務の連続であったから病に臥すようになった。山本はその後、入院を続け翌年の3月にはとうとう帰らぬ人となってしまった。大河原の悲しみは誰よりも深かったと思う。自民党農政史吉田修 pic.twitter.com/lL5UkQ7lzv

2022-09-21 07:13:51
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まとめたひと
遠田大亮 @DaisukeEnta

農業、農政、農協等“農”に関してのツィートが多いです。 (個人的には)GHQの占領政策や押し付けられた憲法を金科玉条としたままでは、日本農業はもっと衰退すると考えています。 山形県農協中央会勤務。農協監査士。明治大学法学部卒。山形県酒田市出身。 過去のツィートは、以下↓のまとめサイト(min.t)からどうぞ。