Kruegerは、2018年に、Hierarchical Taxonomy of Psychopathology (HiTOP) について述べた。 精神病理は不連続的に概念化するよりも連続的に概念化するほうがより有用で、実証的見地からも正確であるといえる。患者群と対照群を比較するような研究よりも、より大きな対象における病因論的要素と
2021-02-22 14:25:19連続的な表現型との分布に関して多変量モデルを創り上げるほうが、得る物が多いと考えられる。 HiTOPは精神疾患を階層的に捉えようとする。HiTOPコンソーシアムの現行モデルでは、精神疾患は6つのスペクトラムに分けられる(発達障害など除外されているものも少なくないが)。
2021-02-22 14:30:15身体表現性、内在化、思考障害、解離(ジゾイドパーソナリティなど)、脱抑制的外在化(物質使用障害など)、敵対的外在化の6群である。 それがさらに、いくつかの下位因子に分けられる。 例えば内在化スペクトラムは、性的問題、摂食病理、恐怖、苦痛、躁病の5群である。
2021-02-22 14:36:19その下位に、現在用いられているようなカテゴリーが割り当てられるが、これは現行のカテゴリーをそのまま受け入れるということではなく、このような階層モデルのもとで、現行の診断基準を修正していくことを意味する。 現時点では、個々の症例の精神病理がどのような形式で記述されることになるのか
2021-02-22 14:40:34またディメンジョン方式の記述に対応するエビデンスはどう算出され、参照されうるのか、具体的には示されていない。 研究による知見はほとんど、精神疾患がカテゴリーで記述するよりもディメンジョンで記述するほうが適切であることを示している。しかしカテゴリー式の診断は、臨床家は使いやすい。
2021-02-22 14:46:28だから問題は、ディメンジョン式の記述が治療に役立つのか否かである。 連続的な分布の中でどこからが病的であると言えるのか、どこから強制的な治療が正当化されるのか、といった問いにはまだ答えることができない。
2021-02-22 14:51:02「カテゴリー的か連続的か」という論争が長年続いてきたが、「カテゴリー的かつ連続的」であることについて、考える時が来ているのではないか。 話題が臨床との関連に及ぶと、持ち出される議論は、1975年のKendellの著作から一歩も出ていないように見える。
2021-02-22 14:54:17Paris, J. が指摘したように、私たちがその中にいる自然の複雑性(多因子論的、確率論的な性格)と、私たちがそれについて考えようとする際の単純性(線形的、因果論的な性格)との間にこそ、基本的な不適合が存在するのである。
2021-02-22 14:57:35これからも精神科医は、妥当性と有用性の間を往復し続けるほかないのか、それとも若い世代がデジタルデータを駆使して、確率論的思考を常識へと変えてしまうのか、今はまだわからない。
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