泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
今日は晴が島の小中学校に転校する日。まあ、去年の夏休みで田舎学習に参加しているので、子供たちとは顔見知りなんで心配はしてないんですが、見送る際に声をかけておく。 道「よいですか？ここの子たちは純情です。悪知恵を吹き込まぬように」 晴「おまえは私を何だと思ってるんですかね？」
2021-05-28 21:32:19
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
道「以前、この虫は美味しいとかいらん知恵を教えたでしょうが」 晴「いざという時のサバイバル術ですよ」 道「減らず口を申しなさるな。とりあえず、お母様方が困るようなことは教えなさるな」 晴「わかりました。じゃあ、今度はうさぎの狩り方でも教えます。いってきまーす」 道「やめんかー！」
2021-05-28 21:34:47
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
学校終わって、ランドセルを玄関に置いてすぐ出て行く晴。 晴「道！遊びにいってきます！！」 道「こら！宿題は！！」 晴「帰ってきてからやりまーす！いってきまーす！！」 道「こらーー！！」 やんちゃ坊主晴
2021-05-28 21:40:39
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
友達と遊んで帰ってきた晴は、早速道に見張られながら宿題をする。 晴「私、これくらいなら簡単にできますよ」 道「そうですか。さっさと終わらせなければ晩御飯はどんどん遅くなりますぞ」 晴「道～おなか減りました～～！」 道「さっき煎餅かじったでしょう！！」
2021-05-28 21:46:24
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
晩御飯たべて、お風呂はいって、さあ寝ようかという時。晴が縁側で星空を眺めているんですよね。すごく楽しそうに。手元には星図がある。ああ、やはりこの男はあの最高最優陰陽師の晴なのだなとしみじみ思うんですよ。 晴「道、知ってますか？しし座の尾の部分にかみのけ座という星座があるんですよ」
2021-05-28 21:58:35
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
道「かみのけ座ですか……」 晴「ええ、とある国の王妃が戦争に行った夫が無事に戻るなら、髪を神へ捧げると誓い、夫が戻ったので髪を切り祭壇に捧げたそうです」 道「なるほど、そういう逸話が」 晴「いえ、そこから続きがありまして……」 星を見つめる晴の瞳が、うっとりと細められる。
2021-05-28 22:00:59
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
晴「翌朝、王妃の髪の毛は神殿から消えてしまったんです。怒った王と王妃は大変怒り狂い、神官たちは死刑を覚悟したんですが、宮廷天文学者が機転をきかせて『神が王妃の行いを気に入り、王妃の髪が美しいので空にあげて星座にしました』と告げた訳です」 道「なんと……」
2021-05-28 22:03:44
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
晴「その宮廷天文学者が指差した先がしし座の尾の部分。かみのけ座となった訳です。宮廷天文学者の機転のおかげで神官たちの命は救われた訳ですね」 道「なるほど。神話由来というか、天文学者が作った星座なのですね」 晴「面白いでしょう？お気に入りの星座の1つです」
2021-05-28 22:06:07
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
楽しそうに語る晴に、道は嬉しくなる。平安の世でも星を語るときはこのように、童のように目を輝かせていたなと思う。 道「……晴殿、星空が名残惜しいでしょうが、あなたの体はまだ小さき童。そろそろ寝ませんと」 晴「……うん、そうですね。少し眠くなってきました」
2021-05-28 22:09:33
泥あんこ
@V4v7mV9cKzIIWs9
道「……明日も晴れの予報です。また星座を教えてくだされ」 晴「ええ、約束ですよ。また明日、また明日そばで聞いててくださいね」 夜の小さなデートの約束
2021-05-28 22:11:22