Jiminさんのshortstory
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Tuliainen @2019Alumi

「さむ… 」 肌寒さで 目覚めると 隣に 忘れかけてたっていうくらい 会ってなかった顔 私の布団をうばって 小さくまるまって 規則正しい寝息をたててる しばらく その寝顔を眺めてたけど もう一度 布団を奪い返して 背中を向けて 目をつぶった pic.twitter.com/Kf5rQ4Wgem

2023-01-22 11:39:03
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Tuliainen @2019Alumi

寒さで 目が覚めかけたのか 『むぅ…』 と うなり声をあげて 布団を探している

2023-01-22 11:41:21
Tuliainen @2019Alumi

その手が布団の端を掴んだ時 思い切り引っ張ってやった 少し前なら きっと優しくその身体にかけてあげられたのに 自分の気持ちの変わりように今更ながら 呆然とする 布団をたたんで ソファに置いて 勢いよく カーテンを開ける

2023-01-22 12:38:03
Tuliainen @2019Alumi

眩しさに手を顔に当てて 『眩し…さむ…布団どこ』 訳のわからない怒りにかられて頭の下の枕かわりになっているクッションを思い切り引っ張る 『…ってぇな なんだよ 乱暴なやつだな』 「さっさと起きて、早く出てって」 『怒ってる?怒ってるよな ごめん ほんとにごめん だから 布団ちょうだい』

2023-01-22 17:06:35
Tuliainen @2019Alumi

「なぐられてくなかったら さっさと出てって」 私の声音に 事の深刻さをやっと理解したのか 『ちょっと待って、せっかくプレゼント 届けにきたのに ひどくない?』 「え?プレゼント?」 『誕生日でしょ?』 「覚えてくれてたんだ…」 と いいかけて 側へと寄ってきたヤツ

2023-01-22 17:11:58
Tuliainen @2019Alumi

「覚えてくれてたの、なんて言うと思ったの?誰と間違えてんのよ!」 言い終わらないうちに みぞおちにパンチをお見舞い 『うっ…なにすんだよー』 「何をしに来たのよ、アタシは 夏産まれよ、失礼なやつね!」

2023-01-22 17:15:12
Tuliainen @2019Alumi

バツが悪そうに 頭をかきながら 『そうだっけ…ま お前にと思って選んだんだから 貰っといてよ』 そう言って近よってきたと思ったら ふいに抱きすくめられて とふいに 鼻をかすめる香りに何かがプツンと切れた気がした 「離して!離してよ、こんな安っぽい柔軟剤の匂いのする

2023-01-22 22:01:39
Tuliainen @2019Alumi

アンタなんか、知らない! 離してよ!」 はっとしたように 私の身体を離す 『悪かった もう こないから 』 そう言うと ポケットをさぐって何かを机に置いた それは うちの鍵だった そして その横に置かれたリボンのついた小さな箱

2023-01-22 22:15:52
Tuliainen @2019Alumi

まるで おもりがついたように動かない身体 立ち尽くす私には めもくれないまま 『じゃ、な 幸せになれよ』 そんな事を言って 出て行ったアイツ 大きな音をたてて閉まりかけたドアにむかって 机におかれた 小さな箱を投げつけた ガンと 大きな音をたてて落ちた箱

2023-01-22 22:32:41
Tuliainen @2019Alumi

音をたてて 何かが転がったようだった もう 全部 終わった そう思ったとたん 溢れた涙は とまらない これですべて終わったのだと 自分が望んだことなのに アイツが寝ていたベッドの場所に よろよろと腰をおろして そのまま うつ伏せで 眠ってしまっていた

2023-01-22 22:39:10
Tuliainen @2019Alumi

どのくらい時間が たったのか 西陽が窓からさしこんでいて 玄関の床に転がっていた何かが 西陽を反射してキラキラと輝いている ベッドから 力なく起き上がって 拾い上げてみれば それは 私の誕生石のあしらわれたピアスだった 最後の最後に 本当の事をいうなんて なんてひどいヤツ

2023-01-22 22:47:16
Tuliainen @2019Alumi

ゆっくりと拾い上げて 箱に戻す 一度は ゴミ箱へと 棄てようとして 思い直して クローゼットの奥深くへと しまいこんだ finー

2023-01-22 22:52:23