試運転です
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どーる @doll046

600 「筑紫の夢、覚えてる?」 「うん」 「ミサンガ、切れてた」 「じゃあ、絶対に叶えてあげないと」 晴れた気持ちを表すように、月が顔出す。 「あと二か月。退院したらやりたいことあるんだ」

2022-12-07 21:02:53
どーる @doll046

599 「...うん、ずっと好きだったよ」 月の隠れた空を見ながらそう言った。 「じゃあ、私も聞くけど、アルノこそ筑紫のこと好きだったでしょ」 「バレちゃってたか...」 少し、気恥ずかしさを感じて、私も外を眺める。

2022-12-07 21:02:46
どーる @doll046

598 「今こんな事を聞くのもどうかと思うんだけどさ」 「うん、何?」 「和は、筑紫くんのこと、好きだったよね」 「へ...?」 素っ頓狂な声をあげる和。 そんなの、もう答えてるのと同じだよ。

2022-12-07 21:02:40
どーる @doll046

597 面会時間の終わりも近づいて、私たちは目を腫らした互いの顔を見て笑う。 笑えた。 この心臓が、鼓動を強くしたから。

2022-12-07 21:02:33
どーる @doll046

596 「では、失礼します」 二人きりになって、私たちはまた、泣いた。 二人、身を寄せ合って。 二人、抱きしめ合って。 声も、涙も枯れるまで、ただ、ひたすらに。

2022-12-07 21:02:30
どーる @doll046

595 「頑張ったのね...」 そう言って、一筋の涙を零した。 アルノも、大粒の涙を流していた。 「ここ最近ね、楽しそうだったの。きっと、あなたたちのおかげね」 おばあさんはそう言って、 「ありがとう」 深く、頭を下げた。 私たちがお礼を言い返しても、しばらく頭を下げたままだった。

2022-12-07 21:02:28